ラビリンス-過去への旅-7.白い手
ジニョンはひとりになると、寝室に入り、クローゼットを開けると ポールに掛けられている服や、引き出しの中を確認した。 ドンヒョクが言っていた通り、ジニョンの衣類も一揃いあるようだった。 彼女は今日一日に起きたことを思い出しながら、そこにあったバックに 何枚かの衣類を詰め、数日分の身支度を手早く済ませた。 そして疲れたようにベッドに腰を下ろすと、自分の左手の指輪を見つめた。 ドンヒョクが10年前に用意してくれていた小さな石が光る指輪と並んで、 つい一週間ほど前、彼にはめてもらった彼との揃いの結婚指輪を 右手の人差し指でそっと撫でた。
ドンヒョクの言いつけを守らない言い訳を、心の中で呟きながら。 ≪フランク・・・あなたのせいですからね。≫
ドンヒョクは自分に重ねられたエマの手を右手でそっと持ち上げると その手を自分の唇へと運び、儀礼的に軽くくちづけた。 そして、何も言わず、その手を彼女の膝の上に戻した。
エマはドンヒョクのその行為が、見事に自分を拒絶していたことに 視線を落とすしかなかった。 それでも彼女は彼に、ずっと伝えたかった言葉を静かに口にした。
「・・・・あなたを・・・忘れたことはないわ」
ジニョンはとうとうドンヒョクに置き去りにされてしまい、 そのことに腹を立てます そして、彼の気も知らないで、勝手な行動を起こそうと決心を固めるのです
そして、ジニョンが指輪を撫でているそのとき ドンヒョクの手に重ねられた白い手
ドンヒョクの横に怪しげな女性の影です
「ドンヒョクにはジニョンしか駄目なんだから」という硬い読者の気持を逆なでするべく 登場させるドンヒョクと関係があっただろう女性(笑)
だってね、30過ぎた男です ジニョン以外に誰もいなかったなんて、有り得ません(断言)
2012.7.17 kurumi
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