ラビリンス-過去への旅-11.嘘
チョコレートで薔薇の花を形どったケーキがジニョンの席に置かれていた。 「まあ、ホント、美味しそう。私、間違いなく太るわね。 毎日こんなに美味しいものばかりいただいて・・あ・・ジョアン・・・ ミンアさんだけど・・」 そう言いかけながらジニョンはケーキを口に頬張った。 「彼女ね・・今、電話できるような・・・状況じゃないらしいわ 近い内に向こうから掛けるからって・・・伝言があった。」
「そうですか」 ジョアンは肩を落として溜息を吐いた。
「・・・どなたからの伝言だったんですか?」 ルカが首を傾げた。
「ジニョンさんの助手からだよ」 ジョアンがすかさず答えた。
「ジニョンさんにも助手がいらっしゃるんですか?」 ルカは目を大きく見開いた。
「ああ・・ま・・まあね」≪かなりできる・・助手がね≫ジニョンは天井を仰いだ。 ジョアンは傍らで俯いて意味有りげに笑みを含んだ。
「凄いな~私も早くそんな仕事がしてみたい。 いつか私にも助手付きますよね」
「まだ雇うとは決まってないだろ?」
ジニョンは、ドンヒョクが滞在するホテルの直ぐそばまで来ていながら ドンヒョクには会ってはならず、その事実を告げることもできない 彼からの電話にも、いかにもフィレンチェで観光を楽しんでいる様子を 伝えるしかなかったのです 「誰からの電話」かと尋ねるルカに、ジョアンが、その主がボスであると知りつつ 「ジニョンさんの助手から」と真顔で答える 自分で書いていながら、その状況が今でもまるで撮影風景のように浮かぶと言ったら 笑いますか?でも本当なの^^
kurumi 2012.7.23
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