ラビリンス-過去への旅-14.最後の晩餐
≪最後の晩餐≫ レオナルド・ダ・ヴィンチの珠玉の名作といわれる壁画。 その作品がある「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」に三人は出掛けた。
「ジニョンssi、この辺からご覧になるといいですよ」 壁画の部屋に入ると、ルカがそう言って、壁画から少し離れた位置を示した。 「絵の奥行きがわかります」
「・・・・・・」 ジニョンがルカの顔をまじまじと見ていた。 「どうかなさいましたか?」
「ふふ・・“ジニョンssi”って・・」 ジニョンがそう言って笑った。 「あ・・いけませんでしたか?ジョアンさんのが移っちゃたみたいです」 「いいのよ・・・・遠近法ね」
「ええ」
「素敵ね・・・」 ジニョンはまるで体いっぱいに光を浴びるように胸を張りながら、 その偉大な絵を眺めた。
本当は行きたかったミラノ、そして「最後の晩餐」^^ でも今回のイタリア旅行では叶いませんでした それでジニョンさんに行って頂いたのです^^
「ねぇ、ジニョンssi・・」
「えっ?」
「・・・この絵が何を語っているか、ご存知ですか?」
「ええ、何かで読んだことがあるわ。確かこの絵は・・ キリストが自らの死を悟って、裏切り者を糾弾している場面よね」
「ええ、そうです。・・ジニョンssi?どの人物が裏切り者かわかりますか?」
「ユダよね」 そう言ってジニョンは「ユダ」であろう人物を探し始めた。 「うーん・・カンニングしてもいい?」 ジニョンが解説プレートを指差して笑った。
「ふふ・・ヒント・・左側にいます」 ルカが笑った。
「あ・・わかっ・・」 見つけたジニョンがルカに振り向くと、彼女が神妙な顔をして こちらを向いていたので、ジニョンは怪訝そうに小首を傾げた。
ルカの眼差しはジニョンやジョアンの方を向いていたが、その心は 彼らを通り越しているように見えた。
「・・・・ユダは・・・イエスに心から心酔し・・愛していたんです・・・ なのに・・どうして裏切ったりしたんでしょう・・・ でもこの時はきっと・・後悔していたのかもしれませんね」 遠い眼差しで絵を見つめながら、ルカはしみじみとそう言った。
ジニョンとジョアンがその言葉を聞いて、無言でルカを見つめていた。
するとルカは、たった今彼らの視線に気がついたかのように、 作り笑いを見せた。
「・・・・・見つけました?」
この頃のルカは、フランクがエマを裏切って、別の女性と結婚してしまったと 思い込んでいます 本当は当初、ルカという人間を女性にして、すごく酷い人間として書くつもりでいたんです ジニョンに対しても冷酷にできる嫌な女性を^^; でも私、何故か恐ろしいほどに酷い人間を書くことができません ということはやはり素人なんだな~とつくづく思います^^;
kurumi2012.7.27
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