ラビリンス-過去への旅-18.ルカの秘密
「そう・・・・そうね、確かにこの10年間のあの人を私は知らない。 どんな生活を送っていたのか・・どんな人と出会っていたのか・・・ 何ひとつ知らない・・・」 ベッドに腰掛けていたジニョンは少し寂しげに言葉を続けた。 「ねぇ、ルカ・・・心から・・愛する人の生きて来た何もかもを知らないって・・ どういう気持ちだと思う?・・・」
「・・・・・・」
「胸がね・・破裂するように苦しいのよ・・とっても・・・ 10年・・とっても長い年月だわ・・私はその10年の一分も一秒も・・ 彼のことを知らない・・・」
「・・・・・・」
「その世界を想像するだけで・・すごく苦しくなる。悲しくなる。 それでもどうしても想像してしまうの・・・ この時彼はどんな風に生きていたんだろう・・ あの時彼はどんな景色に埋もれていたんだろう・・ 私以外の誰を見ていたんだろうって・・ その度にね・・・どうしようもなく胸が締め付けられるの・・」
「・・・・・・」
「でもこれだけは信じられる・・・ 私が苦しいのは・・彼に愛したひとがいるとか、いないとか・・・ そういうことじゃない・・・」
「・・・・・・」 ルカはジニョンの言葉を真剣な顔で聞いていた。
「そうじゃないの・・・あるのは・・ あの人が過ごした時間に自分が存在できなかった・・その後悔・・・ そのことが悲して・・悔して・・寂しくて・・ただ・・それだけなの・・」
この回のこの部分は、ジニョンがドンヒョクと別れていた10年間の時の長さを 思いながら、彼女の身になって書きました^^ ふたりが離れていた時間をどれほど身を割かれる思いで過ごしていたか・・・。
ルカと人物についても、5年前に起きた事件についても、この辺りから徐々に 明確になってきます。全27話の17話ですから、ちょっと気を持たせ過ぎたでしょうか でも私としては、ルカの素性についても実はもっと後に判り、エマという存在をもう少し際立たせ ジニョンとドンヒョクの気持をしばらくこじれさせてみたかったのですが、 mirageから10年後のpassionでやっと結ばれた二人を、そんなことでもしようものなら・・・^^; きっと大きな石が飛んできたでしょう^^ ま、時間的にも長く引っ張りたくなかったこともあり、27話で完結させた、というのが実情です^^
2012.8.9 kurumi
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