私は死別した父と同じ“白血病”を患った。

　この本を書くことにより、　

　 父との数少ない思い出を辿ることができた気がする。　




　　 そして、多くの難病を抱えた人が　

　 　どれほど多く存在するのか、改めて知った。




私は本来、

具合が悪いとか、調子が悪いとか、

口にするのも、正直聞くのもあまり好きではない。

でも今回は自分の病気のことを題材にしてしまった。




個人でできることには限界がある。

それでも、人の助けを借りることで、限界の枠が広がる。　




その事実がこの場にあった。




　　　

今思えば、　

告知される前年（2015年）、私はとても忙しかった。　




　 1月の正月には長崎に帰り友人たちと食事を共にし、　　

　 久しぶりの再会に楽しく語らい、　




　 2月には、母と娘を連れて長崎旅行、　

　 島原・雲仙・長崎のランタン祭りを満喫した。　　


　

　 4月には友人の誘いで、京都・大阪に旅し、　　

　 生まれて初めて“御室桜”という珍しい桜、　　

　 大阪造幣局の桜の花道を喜々として歩いた。


　

娘の結婚もこの4月だった。




生涯の念願だったクロアチア旅行は　

例のテロ軍団の恐ろしい影響で、　

　 やむなくキャンセルすることになったが、　

　 旅行計画を立てていた数か月はことのほか楽しかった。　

こうなるなら、行っておけば良かったと正直後悔はしたけれど。




7月には友人が58歳の誕生日を祝ってくれた。　　




8月と10月には、風邪でもないのに40度近い熱が数日続いた。

　 意味のない発熱も白血病の症状だそうだ。

　 それも、闘病中に知った。　




9月には、友人達と東京近郊を小旅行、はとバスを初経験。

宿泊した目黒雅叙園で、　

　 念願だった百段階段を鑑賞することができた。　




そして同じく9月、　

十年もの長い間、心を一にしていた多くの仲間達と　　

久しぶりに楽しいひと時を過ごした。　　




今、この本の出版をきっかけに、　

その仲間達が恐ろしいほどに（笑）大きな心をくれている。　

私はその心に有難さを抱きつつ、すべてを委ねている。　




長年の友人が脳科学を勉強しているらしく　

「私達はDNAで会うことは決まってたんだって」　

と言ってきた。　




出逢いは・・・　




偶然と言ってしまえばそれまでだが、後になって思うと、　

すべて何かに導かれることもあるのかなと思う。

彼女の言葉がそれを裏付けてくれたようだ。




病床の中、 　

過去を振り返り、未来を探ることができたことは、 　

大きな財産と言えるだろう。 　

後に母が私に言った。

「ここ数年、まるで生き急いでいるように思っていた」と。

“さもありなん”と近年を回想して思う。
　



しかし、

今こうしてまだ、自分の想いを文字に残せる自分がいる。




それがいつまでなのかはわからないが、

何かの、誰かの、或いはDNAの（笑）“導き”とすれば、

ありがたくそれに従おうと思う。






　 KURUMI 2017.4.12