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IZMCLUB別館
IZMCLUB別館(https://club.brokore.com/kurumitom2)
IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1363027/1595709
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izm MV
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No 10 HIT数 3465
日付 2009/10/12 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル izm創作 4 “いつのまにか”前編
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本文


 



「ボス・・・20年ぶりか?」

「いや・・・21年ぶりだ」

     21年ぶり・・・
    
もう二度と訪れることはないと思っていたこの地に
この日・・・僕は降り立った

まるで目に見えない何かに導かれるようにして・・・


まずひとつの目的・・・迎えを受けて韓江流通に案内されると

キム・ボンマンという胡散臭そうな男が待ち受けていた

その男は、値踏みするかのように僕とレオを見た
「やあ、ようこそ・・・写真よりお若い・・・」

   どうやら僕は、あなたのお眼鏡にかなったようだ

「ホテルはグランドホテルロイヤルスイートを・・・
 仕事場は私の部屋の隣に用意しました」
「ホテルはソウルホテル・・・仕事もそこで・・・当面・・・
 私たちの関係は内密に・・・特にソウルホテルの人間には・・・」

   しかし覚えておいていただこう
   僕が例え相手が誰であろうと、思惑通りに
   動くだけの男ではないことを・・・


                             
     

「ソ・ジニョンさんは?・・・ここで、支配人をやってらっしゃると・・・
 今日は勤務中?」

「ええ・・・あの方は寝るとき以外、ホテルにいるような方です」

「ホテルの中にお酒を楽しめる場所はあるかな・・・」

「はい・・スターライトというところがございます」

「スターライト・・ね・・・・・・・ジニョンさんにこの伝言を・・・」

「承知いたしました」

 

「ラスベガスで会った女か・・・」

「ん・・」

「ふ~ん」 レオが思わせぶりな笑みを向けた

「変な想像をするな」

「だいたい、ホテルの従業員の女というのはな・・・」

「 忠告は必要な時に! 」

僕は振り向きざま、レオの顔をきつく睨んだ
彼は瞬時に僕の怒りに言葉を飲んで苦笑いを浮かべた
そんな彼に対して僕もまた後味の悪さを引きずり黙り込む

   どうして、僕はお前に対してこんな態度しか取れないんだろう・・・

「今日は遅くなる・・・荷物を整理しろ」

「Yes Sir」

   しかしレオ・・・僕にもわからない心の内を覗くな

韓国に渡る日など、生涯訪れない、そう信じていた
それが・・・こんなにも簡単に覆された

 

   ソ・ジニョン・・・

彼女と出逢って・・・僕の何かが変わっている・・・

渡韓を決めた後も、その撤回を幾度も考えていた

僕が生きていく上でこの国を必要としなくなって久しいものを。
今更心を立ち戻らせる理由も・・・義理もない・・・

   それなのに・・・

僕の中の何かが無意識に僕に指示をする

   早く・・・   早く・・・   早く・・・

何をそんなに急がなければならない・・・

   何を・・・

 


「ブルーマルガリータを・・・」

「かしこまりました」

女を待つことなど僕は今までしたことがない

人を待つことも、物事を待つことも、僕は昔から嫌いだった

ソフィアが僕のこんな様を見たら、きっとこう言うだろう・・・

   あなたらしくもない・・・

   ああ・・本当に・・・僕らしくない・・・

   フランク・・・いったいお前は・・・どうしてしまったと言うんだ・・・


「お替りを・・・」

何杯飲んでも・・・僕は酔うことができなかった
グラスをひとつ口に運んでは・・・入り口に視線を向ける自分の行動が
急に可笑しくなって・・・僕は席を立った・・・


   ジニョンさん・・・
     
   あのメモがまだ・・・君に届いていない・・・

       それだけのこと・・・

   自分にそう言い聞かせて目を閉じた・・・

       また・・・明日がある・・・

   本当に?・・・明日は・・・あるのだろうか・・・


   あの日君と過ごした風のときを・・・

   僕が忘れられないでいることを・・・

   君は知らない・・・


   あの日君に抱いた感情の真実を確かめに・・・

   僕が・・・ここへ来たことを・・・

   君は・・・きっと知らない・・・


飲み過ぎた酒が、歩いているうちに少し回ってきたようだ

なにかしらの物足りなさが・・・

僕の頭に何の思考も受け付けさせてはくれなかった・・・

ただ、一時間ほど前に通っただろう道を何も考えず引き返していた

ふと、視線を前方に向けると、坂の上に人影が見えた

   彼女だ・・・

   いったい、ここで・・・何を?


「ナイスミーチュー Mrフランク・・・

 ハウドゥユドゥ・・・アニャ・・・」

君は首をかしげながら、どうも僕への挨拶の練習をしているようだった

あまりの可愛さに僕の頭の中は瞬時に君でいっぱいになった・・・

僕はしばらく君の・・・あの時とはまた違う凛々しい後姿に魅入っていた

「こんばんは・・・ソウルホテルへようこそ・・・」

「こちらこそ・・・」

「オモッ」

君が僕の声に驚いて勢いよく僕に振り向いた


   僕の・・・一番の理由が・・・ここに・・・いた・・・

   君に・・・逢いたかった・・・

   もしも、そう言ったら・・・君はきっと驚くんだろうね・・・


   抱きしめたいほどの衝動が僕の理性と戦っていたなんて・・・

   これも・・・君の知ったことではなかったね・・・

 

「あ・・・メモを見るのが遅くなって・・・
 もう遅いので明日出直そうかと・・・」

出直さないでくれて良かった・・・このまま君に逢えなかったら・・・
僕の心は塞いだまま、今日はきっと眠れないところだった


「どちらかにお出掛けだったんですか?」

   それはないでしょう・・・

「或る人にすっぽかされて・・・一時間も一人で飲んでました」

   僕が勝手にしたことだけど・・・それ位言ってもいいでしょ?

「あ・・・」 君は少しだけ申し訳なさそうな顔をした

   君のそのうつむき加減のしぐさが僕は好きです

      好き?

   僕はこの人が・・・好きなのか?・・・


「また、会えましたね・・・」

僕はあの時と違って・・・今度は正面から君に手を差し伸べた・・・

君は少し照れながらもそれに応えて・・・

僕らは初めて互いの目を見て触れ合った・・・

「いつ・・・こちらへ?」

「今日です・・・」

「お仕事で?」

「ええ・・・それも・・・ある・・・」

「それも?・・・お忙しいんですね・・・」

僕たちの間にまた無言の時間が流れる・・・
君が少しうつむいて・・・僕がそんな君を見つめている・・・

   あの日も・・・何度かこんなシーンありましたね・・・

女との間に言葉が無いことはよくあることだ・・・
しかし・・・こんな風に・・・話したいのに・・・言葉を捜せない・・・
こんな経験をしたことがない・・・


「・・・少しお部屋で・・・」

「ごめんなさい・・・私、まだ仕事中なんです・・・
 今日はこれで失礼します・・・」

「あぁ・・・仕方ありませんね・・・明日もお仕事ですか?」

「ええ・・・」

「そうですか・・・でも、お昼休みはあるでしょ?」

「えっ?ええ・・・」

「それじゃあ、明日12時に、僕の部屋に寄ってください
 久しぶりにあなたの楽しい話が聞きたい・・・いけませんか?」

「お時間はお約束できませんが・・・」

「待ってます・・・」

「え・・ええ・・・」

   
僕は君から、なかなか気持ちのいい返事がもらえないね

だから僕は・・・君に対して少し強引にならざる得ないんだ・・・

   君はそんな僕がわずらわしいだろうか・・・

   あぁ・・・僕は可笑しくなっている・・・

   人にどう思われるかなんて・・・今まで気にしたことすら・・・

          ・・・なかったのに・・・

 






 











  


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