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IZMCLUB別館
IZMCLUB別館(https://club.brokore.com/kurumitom2)
IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1363203/1595885
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izm MV
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No 13 HIT数 2918
日付 2009/10/17 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル izm創作 5 “とまどい”
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本文


 








「ボス・・・朝食が来たぞ・・・」

「ああ・・・」

朝食に昨日君が言っていた市内観光のパンフレットが添えられていた

   どうぞ・・・行って来て・・・そういうことかな?

   それはないでしょ・・ジニョンさん・・・

そして僕は、こうしていつものように食事をルームサービスで
済ませていると・・・
君と出逢うチャンスが少ないということにふと気がついた

「レオ・・ランチはレストランで・・・」

「レストランのメニューは部屋に運んでもらえるぞ」

「知ってる。」 僕はレオから視線を外して憮然として言った

「あぁ・・そういうことね・・・どうぞどうぞ・・・
 俺はブライアンからの連絡を待たなきゃいけないから
 ここで済ませるよ」

「・・・・・・。」

   そういうこと?・・・どういうことだというんだ?

レオの意味有りげで投げやりな言い様が激しく癪に障ったが、
僕はただ彼を一瞥しただけで何も言わなかった
 

   そうなんだ・・・
   今朝君を見掛けられなかっただけで・・・

   ため息をつく自分に・・・僕自身がいらだっていた

そんな自分を彼に見透かされていることが、余計に腹立たしかった

 

部屋を出て、僕は昨日君と歩いた道を・・・

君の言葉をひとつひとつ辿りながらゆっくりと歩いてみた

昨夜眠れなかったのは・・・何のせい?

   君の言葉・・・ 

   君の笑顔・・・

   君の・・・僕に向けられていない・・・心・・・

僕は自分が急に可笑しくなった

こうして庭を歩いていても・・・

レストランに向かうロビーの中でも・・・

君を何処かで見掛けられないかと見渡している自分がいる

それがあまりに滑稽に思えて・・・自嘲した

 

レストランに入ってからも、店内とホテルフロアーとを仕切っている
ガラスの向こうに君を探していた

こんなにも僕の心が君との出逢いを待っているなどと
自分でも信じ難かった

   僕が待っているもの

   それはいったい・・・何なんだろう・・・

 

しばらくして小さな女の子の手を引いてエレベーターに向かう
君の姿が見えた

料理はテーブルに運ばれてきたばかりだったけれど
僕は思わずウエイターに向かって精算の合図をしていた

そして君がエレベーターの中に消えてしまわない内にと
君に気づかれぬよう足早に近づいた

「誰かな?・・・」

僕が君の背後から声を掛けると、君が驚いて振り向き僕の顔を見た

「オモッ・・・あ・・・お客様です・・お食事だったんですか?」

「ええ・・・ここの食事は最高です」

僕はさっき出てきたばかりのレストランを指してそう言ったが
こうして君に声を掛けるために、料理を口にするチャンスはなかった
とは言えなかった

「ありがとうございます」

「あ、それから、観光のパンフレット・・ありがとう・・・」

「あ、いいえ」

「それで・・・あなたの退社時間は?」

「・・・4時に交代ですが」

「それじゃあ、その後、案内してください」

「あ・・・申し訳ありません・・・今日は・・・ちょっと・・用が・・
 あの・・総支配人の歓迎会なんです・・・」

   僕の唐突な申し出に、君は無論困惑していた

「それは何時?」

   だからと言って、引き下がるつもりは毛頭無かったよ

「8時です」

「それまでには戻れます・・・では4時10分にロビーで」

僕はそう言い残して君の戸惑いの視線からわざと逃れた

   ごめん・・・

   君とどうしても一緒にいたい

 

4時10分前
僕はロビーのソファーに腰掛けて君が現れるのを待っていた

    今日はどれくらい・・・遅れて来るだろうか

君を待つ時の自分のこの胸の高鳴りを・・・

僕は少し面白がるようにさえなっていた

僕のこの想いを君が知ったら・・・

    君はきっと困惑するに違いない

    君は僕を間違いなく敬遠するだろうね

    だから、もうしばらくは・・・気づかれないように・・・

    ゆっくりと・・・近づいていこう・・君に・・・

 

 

4時20分過ぎ

君の姿がやっと・・・僕が手にした新聞の端に見えた
僕はそのまま顔を隠して新聞を読んでいる振りをしていた
僕の5m先で、君が辺りをきょろきょろと見渡し僕を探している
当然今、君の心の中にあるのが僕だけだということに・・・

    僕の胸が弾んでいた・・・

 

もう少し、このままそんな君を盗み見ていたかったけれど・・・

そんなことをしたら、君はあきらめて帰ってしまうだろうね

    わかってる・・・ 

    それくらい僕はまだ・・・君の心に入り込んではいないこと

「あ、いらしてたんですね・・・ごめんなさい・・・
 気がつかなかった・・・」 

    僕は冷静を装って君に声を掛けた

 

「あ・・ごめんなさい・・・
 随分、お待ちになりましたか?・・・」

「いいえ・・・ほんの・・・30分ほど・・・」

    君をからかうのは実に楽しい・・・


「本当にごめんなさい・・・急用ができてしまって・・・」

しかし・・・本当に申し訳なさそうな顔で頭を下げる君の姿は
僕にとってはあまり嬉しくはないんだ 

    それは
    君にとって僕が・・・単なる“お客様”でしかない、
    そう念を押されていることだからね

 

「いいえ、僕が無理やりお願いしたんですから・・・
 さあ、行きましょう・・・時間までにあなたを送り届けないと
 お友達に叱られそうだ・・・」

 

 

僕たちは君の案内のもとに幾つかの観光スポットを歩いた
でも正直、僕はそんな名所に興味があるわけではない

    僕にとっては
    君と歩くこの時間そのものに意味があったんだ

 

今日もまた・・・君は僕に色々な話しをしてくれた
しかし僕には君の話のその内容もどうでもいいことだった

むしろ僕が時折、機嫌を損ねたような表情をしていたことに

    君は気づいてもいなかったよね・・・

 

それが・・・君の話題の中に必ずひとりの人物の影があり、

僕にとってその話題は決して面白いものではなかったということにも・・・

 

でも、そんな想いを隠して、君の話に合わせた質問をしていたのは・・・

    ただ・・・ 

    君の声を聞いていたかったからなんだよ・・・

 

「ジニョンssiも?」

「えっ?」

「バレンタインにチョコを渡した人を本当に愛してた?」

「あ・・・実は・・・」

「王妃や王のようではなく・・・」

    ごめん・・・やっぱりそれは聞きたくはない・・・

 

僕はまた話題を変えて君の話を途切れさせた

 

「男と女は・・・互いに無いものを補うように出来ている・・・」

   だから僕は・・・君に惹かれるのかもしれない

 

「Mr.バレンタイン?」

「いいえ~お客様です・・・あ、さっき会った女の子」

「子供好きなんだね」

「子供嫌いな人なんていません」

「そう?子供を捨てる人だっている」

「それは何か事情があるんだわ・・・」

「事情?捨てるくらいなら生まなければいい」

僕は自分が少しばかり、冷静さに欠けていることに気がついて
彼女から視線を外した
「父と同じようなことをおっしゃるのね・・・
 父も親が子供を捨てる話になると、凄くむきに・・・
 あなたのお父様も?」

「時間ですね・・・戻りましょう・・・」

   その話題は・・・君との貴重な時間にしたいものじゃない


「事故でも遭ったのかしら・・・混んでますね」

君が心配そうに時計を覗いては前方の渋滞を恨めしそうに見ていた

「これでは間に合いませんね・・・僕は・・・嬉しいけど・・・」

僕の言葉に、君は少し困ったように眉を顰めた

    同僚の歓迎会がそんなにも大切なのかな? 

    甘いものが好きな彼・・・

    今年はあげられなかったバレンタインチョコ・・・

    ブランクの後に復帰した総支配人・・・

    そして、あの日・・・砂漠に君を置き去りにした・・・彼・・・

 

あの日、僕に君との出逢いをくれた彼と・・・

君の心に棲むMrバレンタイン・・・

そして、僕の標的ソウルホテル総支配人が・・・

 

    今日・・・僕の中で重なった

僕はこの時、自分のこの感情を「嫉妬」と呼ぶことを知らなかった

  

    もう・・・あきらめてくれないか・・・・

「これでは時間までに帰れそうもありませんね・・・
 何処かでお食事でもしませんか?」

「えっ?・・・・ええ・・・」

「何が食べたいですか?あー・・・安食堂以外で・・・」

「フフ・・・じゃあ、ホテルにないものを・・・」

確かに・・・ホテルにはないけれど・・・

僕はこういうのは、学生の時以来口にしたことがない・・・

    そんなに・・・大きな口をあけて・・・ 

    君という人は・・・きっと、誰の前でも・・・ 

    飾らず・・・いつも自然体の人なんだろうね

 

僕はそんな君の素顔を・・・独り占めしたくなってきていた・・・ 

    もっと・・・もっと・・・君といたかった・・・ 

    もっと・・・君に近づきたかった

そんな僕の想いをまるで神が聞き届けたかのように

    空から雨を味方によこした

「どうしましょう・・・」

その時僕は無言で君の上に自分のコートで傘を差した

車までの短い距離がページの中から抜き取られたかのように・・・ 

    僕の中で別世界になった・・・ 

    君と僕だけの・・・世界になった

 

 

 

「まだ、気になりますか?」

「えっ?」

「歓迎会」

「いいえ・・・もう、とっくに終わってますもの・・・」

「でも・・・気になってるように見える」

「・・・・・・」

そう言ってしまって僕は直ぐに後悔した 

    それは却って彼を・・・君の心に戻してしまっただけだったね

 

 

「着きましたね・・・いいえ・・・着いてしまった・・・」

僕はため息混じりにそう言いながら、君を熱く見つめていた

そんな僕に・・・君が改めて僕の真意を覗こうとしていた

「あの・・・」

「今日はありがとう・・・結局、僕のせいで・・・
 あなたの予定を狂わせてしまったね・・・許してください・・・」

    今の僕の想いを
    君に気づかれるにはまだ少し早い・・・

「いいえ・・・私も楽しかった・・・」

「本当に?」

「ええ・・・」

「良かった・・・あなたに嫌われるんじゃないかと思って・・
 本当は少し・・・反省してた・・・」 

    反省?そんなもの・・・本当はしていない・・・

 

「時間が遅くなったのはあなたのせいではないです・・・
 もう気になさらないでください・・・」

    ごめん・・・ 

    ナビを見て・・・事故の遭った道をわざと通った・・・

    君と少しでも長く一緒にいたかったから・・・

 

「送っていただいてありがとうございました・・・」

 君が助手席のドアを開けて、急いで外へ出ようとしていた

「待って!濡れるから・・・ちょっと待ってて・・・」

僕はまたコートを手にして、助手席の君を迎えに走った

もう少し・・・君のアパートまでの道のりを・・・君と・・・

 

そのために、少し離れた所に車を止めた・・・

 

    濡れるよ・・・もっと僕に寄り添って・・・

 

 

その時、君が急に立ち止まって驚きの表情を前方に向けた

一人の男が傘を片手に怖い顔でこちらを睨んでいた

 

    Mrバレンタイン?

 

このとき一瞬にして、君の心が止まった・・・

 

つい今しがた・・・僕に笑顔を見せて・・・

 

    少しだけ・・・僕の心を覗いてくれていた君・・・

 

    その君の瞳から・・・

 

           君の心から・・・

 

       僕が簡単に・・・消えて・・・

 

 

            ・・・なくなった・・・












 

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tomtommama
「車までの短い距離がページの中から抜き取られたかのように・・・」美しい表現と美しいシーンに満足満足私もドンヒョクコート傘に入りたい(〃^0^〃) 2009/10/18
tomtommama
「そういうこと?・・・どういうことだというんだ?」そういうこと?はつまりそういうことです。。。Frank。うふふ・・・ツボだわ~(_ _)彡☆バンバン! 2009/10/18
 
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