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IZMCLUB別館
IZMCLUB別館(https://club.brokore.com/kurumitom2)
IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1362981/1595663
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izm MV
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No 5 HIT数 4557
日付 2009/10/09 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル izm創作 2 “Room Service”
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本文


 




翌日ホテルに戻ると思いもかけない再会を見た

昨晩、あのレストランで注目を浴びていた女・・・
いや、何故か僕の気を惹いた・・・女・・・

      同じホテルだったのか・・・

僕らが乗っていたエレベーターに
その女が僕にぶつからんばかりの慌てぶりで
乗り込んできた

女はエレベーターの角に寄りかかると
何やらブツブツ呟きながら
壁に自分の頭をぶつけていた


      今日もまた何かに怒っているのかい?

      どうも自分に怒っているようだな      


同じエレベーターに乗り合わせている僕のことなど  
眼中にもないらしい・・・

しかし僕はそうじゃなかった
背を向けていながら、彼女が気になってしかたなかった
時折視線を彼女に投げてもみたが、
彼女は自分のいらだちに大層忙しそうだった

不思議な感覚だった
彼女にどうしようもなく心が騒いでいた
そんな自分が可笑しくてならなかった

僕らが押していた階でエレベーターは止まると
彼女はまた僕に視線さえ向けず先に降りてしまった

そしてそのまま振り向くこともなく廊下を突き進むように歩いて行った

僕は彼女の後姿から目が離せなかった


     僕の記憶が正しければ・・・

     君はエレベータに乗り込んだ後、
     階数のボタンも押さなかったし

     押してある階数も確認していなかったはず

     きっと・・・ここは君の降りる階ではないと・・・思うよ


 


「昨日の・・・レストランの・・・」

「彼女の部屋を調べろ」

僕はレオにすかさず命じた

僕の顔を怪訝そうに伺うレオの視線を感じながら
僕はそれを無視して彼の前を先に歩いた


     彼女の部屋を調べて・・・どうするつもりだ、フランク

     どうするつもり?・・・自分でもわからない・・・

 
「ボス・・・さっきの女の部屋だ・・・」 レオが無造作にメモを差し出した

「ん」

「それで?・・・どうする・・・」

「どうするって?・・・」

「この部屋に呼んで遊ぶか?、ボス・・・            
 しかし女は明日になれば、よりどり見取りだろ?
 何も、どこの誰かも知らない女を・・・」

僕はレオを突き刺さんばかりに睨んだ      

わかっていた
レオはいつものように軽口を言ったまでだった
いつものことなら、僕はそれを聞き流すだけだ

     何をそんなに剥きになることがある・・・


「睨むなよ・・・いつものことだろ?
 何なら、俺が代わりに彼女に声をかけてこようか?」

レオが少し皮肉交じりの言葉を添えて僕を睨み返した


「余計なことするな!」

つい怒鳴ってしまった僕はレオから視線を外した

自分でもわからない気持ちをわかったように言われたことへの
いらだちがあったのかもしれない

僕は乱暴に上着を手にすると無言で部屋を後にした
気がつくと、手にはさっきレオに渡されたルームNOのメモが握られていた

      こんなもの・・・何する・・・

僕は一度フロアのゴミ箱にメモを捨てかけて・・・
思い直してスーツの内ポケットにそれを差し込んだ

      どうする気・・・
     
      何もする気はない・・・

      なら・・・どうして・・・

 
僕はホテルの中を当てもなく歩いていた

様々なブティックなどの店が並ぶ中をのんびりと歩いていると
僕は自分がこの世界から取り残されていた人間であるように思えてくる

仕事ばかりの生活で・・・巷のものに何も興味を惹かれない

ホテルではいつも、部屋で過ごし
必要なものはルームサービスを利用する

必要なとき以外は他人との接触を避けようとする僕の・・・
いつの間にか当たり前のようになっていた習慣

しばらくして・・・       
僕の足はしゃれたブティックのショーウインドウの前で止まった

気がつくと僕はふらりとその店に入っていた


「いらっしゃいませ・・・何かお探し物でしょうか・・・」

     探し物?・・・僕は何を・・・探してる?

ここは・・・どう見ても・・・女性ものしか扱ってそうにない

その時・・・あの女が怒りを込めて投げ捨てたスカーフが
僕の脳裏をよぎった・・・


「あー・・・スカーフを・・・」

「恋人へのプレゼントでらっしゃいますか?」

     おせっかいそうな店員・・・


「あ・・ああ・・・まあ、そういうとこだ」


     恋人?

     何故・・・そう答えたんだろう・・・

     いちいち説明が面倒なだけ・・・それだけだ・・・


僕は女へのプレゼントを惜しんだことは無い

しかしそれを・・・自分で選んだことなど、たったの一度も無い

必要があれば店の人間の見繕いで届けさせる

その手配すらいつの間にかレオに任せていた

自分が女に何を贈ったかなど気にも掛けたことがない


しかし次に会うときに・・・

女は必ず、それを身に付けて現れる

そして僕に向かってこう言う・・・「とっても嬉しかった」と・・・


僕はその時初めて、自分の贈ったものが何だったのかを知るんだ

そして・・・女を抱き寄せ耳元にささやく・・・

「とても素敵だ・・・」

女への贈り物など・・・僕にとっては

取るに足らないイベントに過ぎない

その僕が・・・
      

    何故・・・今こうして彼女へのプレゼントを自ら探すんだろう・・・

    彼女が何ものなのか・・・何ひとつ知らない・・・

    それなのに・・・

       
おせっかいな店員がいそいそと
店の奥から何枚ものスカーフを乗せたトレイを運んできた
僕はその中から花柄のシルクを手にとった


    彼女に似合いそうだ・・・

    素直にそう思った・・・


「これを・・・」

そう言って店員にスカーフを手渡した自分の顔が

目の前の鏡に映って驚いた

自分の思いもかけなかった柔らかい表情に・・・

思わず目をそらすように下を向いた

    たかが・・・女への・・・気まぐれのプレゼントじゃないか・・・


    さあ、それでどうする・・・フランク・・・

    これをどうやって渡すつもりだ?・・・

    彼女の部屋のドアをノックして・・・渡すか?

    どんな理由をつけて?

      

    しかも突然、部屋へ?

    それはあまりにも不自然過ぎる・・・


    もともとこのプレゼントだって不自然だ

しかし、潜在的な何かに突き動かされるかのように
僕の心が彼女へと飛んでいた


          ルームサービス・・・

             そうだ・・・ルームサービス・・・


「ルームサービスの手配を頼む・・・この部屋に・・・」

    さっきしまったメモを、内ポケットから取り出して店員に渡した

「花を・・・一緒に添えてくれ・・・」
そう言って僕は向かいの花屋を指差した

       あの店の名前にちなんだ花を添えてみよう・・・


「バラの花を・・・」

       それでも・・・気づくことはないだろうな

       僕があの店で彼女を見ていたことなど・・・

       彼女が知るはずないのだから・・・


「かしこまりました・・・メッセージはいかがなさいますか?
 よろしかったら、このカードへどうぞ・・・」


      メッセージ・・・

          なんて書けばいい?

      君は僕を知らない・・・

      そんな僕がどんな言葉を君に贈ればいい?


          昨日・・・レストランで見かけて・・・

          気になった・・・


      気になった?僕が・・・彼女を?気にしてる?

          結局言葉など浮かぶはずが無い・・・


   店員が怪訝そうな顔で僕の顔と白紙のカードに交互に視線を送っていた


 


   僕はチェックサインのように名前だけを書き入れて、カードを封に入れた・・・

           君はどんな顔をして・・・

           どんな想いを巡らせて・・・これを受け取るだろう・・・

           まさか・・・全く知らない男からの贈り物だなどと・・・

           微塵も思うことはないだろうね・・・

           それとも・・・偶然・・・フランクという知り合いでもいるか?・・・

      そんなことを想像して・・・思わず自分の頬が緩んだことにも慌てた


      それから・・・どうする?

      明日の朝・・・部屋をノックしてみるか・・・


           バカな・・・


      偶然を装って出会ってみるか・・・


           どんな風に?・・・

           何故そんなことを?・・・

 

 

「どうだった?」

「朝早く、チェックアウトしたそうだ・・・」

「そうか・・・」

      どうせ・・・そんなもんだ・・・

           彼女と触れ合う理由すらないものを・・・

      どうかしてる・・・

      どうかしてた・・・

「出発しよう・・・」


 

 

「こんな砂漠で女がひとり・・・ヒッチハイクのようです」

運転手が後部座席の僕らに声を掛けた

「放っておけ・・・」

僕はレオからの情報をPDAに打ち込みながら、無関心に答えた

「それは無いだろうボス・・・こんな砂漠の真ん中・・・
 車など、そう通るものじゃないぞ・・・それに・・・」

 

「どちらまで?おひとりですか?」

運転手に勝手に車を止めるよう支持したレオがウインドーを下げて言った

       レオ・・・何を・・・僕はそんな暇じゃ・・ない・・・

           何故・・・君?・・・


レオが、正解だろ?と言わんばかりの顔を僕に向けた・・・


君が突然僕の車に乗り込んで僕の目の前に現れた

       こんなことがあるのか・・・


   つい2時間ほど前まで、僕は君のことを考えていた

   何も知らない君にルームサービスを贈り
   君の反応を確認しようとまでしていた

   僕は君に接近しようと試みていたんだ

   しかし、君はとうにチェックアウトを遂げ僕の接近を避けた

       もちろんそれは・・・君の知るところではないけれど・・・


「友達と一緒だったんです・・・置いて行かれちゃって・・・」

「あなたみたいな人を?こんな砂漠の真ん中に?」

「たぶん、彼は・・・忙しかったんだと・・・」

           彼?・・・


「忙しいからと、レディを砂漠で置き去りに?」

「もういいだろう・・・エリックの話を・・・」

僕は二人の会話を無愛想にさえぎり、レオに仕事の報告を催促した

君は少し身の置き所のない表情をして下を向いた

           あ・・・そんなつもりは・・・なかった・・・


サングラスの下の僕の視線は終始君に向けられていた

           僕の視線を感じた?

はだけた裾を慌てて直して、君は僕を警戒するような目で見た


           レオには笑顔を向けて話してたのに・・・

           僕にはそんな硬い顔?


その時彼女の視線が対向車線を猛スピードで走る赤い車に注がれた

           君の心がその車を追っていたね・・・

           あの車に・・・彼が?・・・

           喧嘩でもしたの?・・・

           このままこの車に乗っていてもいいのかな?・・・


           でも・・・そんなことは・・・言わない・・・


喧嘩をして・・・車を降りて・・・その車が猛スピードで引き返す・・・

きっと、君を連れ戻しに急いでいるんだろう・・・

それだけで、彼と君がどんな関係なのかが読み取れる・・・

君はいつまでもその車が走り去った方向を見つめていた

      本当なら・・・ここで僕はこう言うべきだろうか・・・


           お友達の車・・・あなたを迎えに戻ってるんですね・・・

           引き返しましょうか?


       でも・・・   言わない・・・


       その代わりに彼に・・・礼を言おう

           その彼が・・・君との出逢いを僕にくれた

         その事実に・・・


       君を見かけてからずっと・・・何かが胸に痞えたままの・・・

           妙な想い・・・


       君をこうして偶然に拾って・・・

           君が・・・僕と・・・初めて出逢った


           その瞬間に胸に痞えていた何かが


              ・・・不思議と消えてなくなった・・・















  

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tomtommama
もうすでにここでテジュンssiに同情しているfeiちゃん^^; 貴女の言う通りよぉ~最強のレイダースには運も味方につくのよ^^ 2009/10/11
fei
ついに自分でも分からない気持ちを自覚し始めたフランク。そうそう、それは普通の人間には当たり前のことなんだよ(^^ でもチャンスを掴む運のよさはやっぱりただものではない!テジュン 相手が悪かったね~ 2009/10/10
tomtommama
スカーフを選んだ時鏡に映った顔が本当の自分なんだよFrank。 本編の隙間にみるFrankの心情が心地よく私を酔わせてくれる~(*^・^*) 2009/10/10
tomtommama
ドキドキしながら読んでしまうのはしかたがない?^^; ついつい何度も息を止めて読んでしまうので読み終わるとふぅ~っと腰砕け状態なのよ~いつになったら慣れるんだろうヾ(≧▽≦) 2009/10/10
sumirehime
あのスカーフこんな気持ちで選らんだのね。毎日寝る時に観てるあのDVDが奥深くなります。 2009/10/10
きみりん
偶然じゃなくて必然・・・二人が出逢うためにテジュンssiと出逢ったわけで・・・あ~~奥が深い・・・サングラスの下でどんなお目目してジニョンを見てたんでしょうか?  2009/10/10
きみりん
そうそう、ありがとうテジュンssi~☆ サングラスしてるとダイスキな目が見れなくて・・・その分、唇に目が行っちゃう・・・・ 2009/10/10
 

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