【 koko の Valentine's Day
】 14話
車はすぐに発進された。
乗り込んだなほこが母にすなおの祖母と話した内容の報告をすませ、
なほこの携帯から八重が園田家に電話を
…
「 園田でございます。」
「 八重でございます。 ごめんなさい。 あわただしくて …
」
「 とんでもございません。 こちらこそ … 」
そして、なほこの母八重が、
「
なほこから、園田様のお食事のお心遣い聞きました。
お弁当を用意して持たせられておりますので … 」
「
そうでしたか。
それではこちらもすませておきます。」
「志乃さん。 年を重ねますとどうも残り少ない
時の流れが早く、気が短くなって
…
おほこがお電話をお切りいたしまして園田様からのお電話が
もしやの内容ではと何やかやと思いめぐり気をもんでおります。
このお電話で、こちらにお電話をいただきました、
いきさつをお聞きできますでしょうか?
」
志乃は、少しためらったが、考えて見れば、
面とむかってお話をするよりはいいのではと思った。
「
そうですね。」
「 それでは、お願いいたします。」
「
あの~ どこからどのように話せばいいのか? 」
「 ……… 」
「
もともと、話すと言う事が苦手ですので、
とにかく、ここ数日の出来事をそのままお話させて
いただくということでよろしいでしょうか?
」
「 はい。 うかがわしていただきます。 」
「
実は、いっ昨日の事でございます。
筒井さんのお店に華子とまいりまして、
筒井さんのお店は、以前と申しますか
…」
志乃がそこまでいいかけると、八重が …
「 覚えております。 」
「
お店を出ました時に、すなおとお友達とばったり出会いました。
その場で、すなおから簡単に祖母と母です。 kokoさんです。
と、言う程度でなお達はお店に入り、わたくしと華子は帰りました。」
志乃から
koko の名前を聞いた八重は動揺した。
その姿になほこも心配そうに八重の顔を
…
携帯から志乃が話を続けた。
「
あくる日に、華子が、筒井様に用事がございまして、
うかがった際のことでございます。
園田様から華子はお茶をご馳走になりながら、昨夜のすなおの話になり
そして、
koko
さんと紹介されたお嬢さまが加賀美様と言う事を知りました。
まさかと思いながら、
昨夜、すなおには内緒でkoko
さんにお会いいたしまして
加賀美様の次女のお嬢様であると知り、また、すなおと
7年間もお付き合いをしていると言うことも知りました。」
華子が、母、志乃に椅子にすわるように促した。
神戸に向かう車中では、なほこが心配そうに
顔色がすぐれない母八重を見つめていた。
電話をかけた時の元気はなく、弱弱しい声で
…
「 で … 二人には … 」
「
何も話しておりません。 わたくしどもだけで
判断できかねましたのでご相談をとお電話を …
昨夜、すなおには内密にとお忙しい
koko さんにお時間をいただき
奥井さんのお店でお会いして華子が奥井様からお聞きました。
確認と言いますか koko
さんも多分私どもの不審な態度に
納得はされてはいないと思いましたが、
近い日にあらためてとお話をさせていただくということで、
その場はこちらの思いをご理解いただきお別れいたしました。
ただ、すなおがわたくしどもと
koko
さんとすなお抜きで会ったことを知りまして、
昨夜自宅でそのことで少し話しましたが、
私どもの態度にがまんしきれなかったのだと思います。
あら声など出した事がない子が、
『
そちらにはそちらの都合と言うものがあるらしいけれど、
そんな、身勝手で納得しろと …
とにかく僕には今、話してくれないかな~
僕も、もういい年だ。』 などと、いいました。」
「
それで、 koko は? 」
「
鮮明なお嬢様ですので、何かあるのではと
感じられたと思いますが冷静に、こちらの申し入れと申しますか、
お願いいたしましたことは、ご了解していただきました。
」
「 お願いといいますと …?」
「 なおにも話ましたが、
『
ながく時間(とき)を重ねてきましたら、時として予期しない事柄が
…
しかし、
わたくしの一存で事を進めると言うわけにはいかない事柄もありまして、
出来るだけ早い段階で今日の日の事のお詫びをかねて、
あらためてお席をもうけて、お話をさせていただくと言うことで、
今日のところはご理解いただけないかしら
… 』
と、身勝手なお願いごとを … 」
「 それで、 koko は … 」
「
少しのためらいは感じましたが 何もおっしゃらないで
『 はい 』 と、一言 」
「
そうですかあ~ それで、光太郎さんは? 」
「 加賀美様と、
くれぐれもよくご相談して、我々の立場より若い者への配慮をと
… 」
しばら二人の間に沈黙が …
「
志乃さんしばらくこのままでお待ち願いますでしょうか?」
「 はい。」