知っていたと言うことだった。高校に入り、1ヶ月もたたない頃、友人が交通事故に会い血液型の事が話題になった。それまで、不思議なぐらい一度も自分の血液型を気にも止めていなかったがふと気になり、虫の知らせとでもいうか家族に聞く事なく、友人の父が開業している病院で 数名と検査を受けた。その後、華子が子宮筋腫で手術をしたさい、見舞いに行くとその頃は、枕元にネイムプレイトに血液型が記載されていた。あれ? まさかと思ったが義母である事を知った。すなおは、祖母の横でうつむく華子を眺めながら、淡々と語る祖母の話を聞いていた。出生のいきさつを話され、すなおは話の途中でふと、今、話されている話をするためにわざわざ職場に電話までしてきて話さなくても、前夜でもよかったのでは?今日でなくても後日でもとおもった。そして、戸惑う祖母にその事を話すと、そのあとから話された内容にすなおは驚きと冷静さを失い、血の気が引いていくのを感じた。長い沈黙が続いていた園田家のリビングの電話がなり響きそれぞれが、我にかえった。母が、電話にでたあと祖母に変わり、「 お待ちいたしております。」の言葉に、すなおはあらたに血の気が引いていくのを感じた。その後、母と祖母はあわただしくあちらこちらをばたばた動き回り落ち着かない状況が続いた。「 お母様。 お玄関にスリッパは いくつ並べておけばいいのでようか?」と言う母の声が耳に入ってきた。「 お三人でおこしになられると言われていたわ。」インターフォンが …二人は、玄関に飛び出していった。リビングのドアがあいた。祖母のあとに着物を着た三人の女性が入ってきた。すなおは、客室に通されるものと思っていたのであわてて席を立つた。すなおのいる場にみなが集まった。「 こんなに大きく … 」そのあとは言葉にならず、バックからハンカチを出し涙をぬぐう。「 すなお。 あなたのおばあ様よ。 加賀美 八重様 。」すなおは、軽く会釈した。そして、入ってきた時に一瞬 koko かと思ったぐらいに よく似た女性を「 すなお。 直穂子さんよ。」祖母は、母華子に遠慮をしたのか、お母さんとはつけず直穂子さんと紹介した。すなおは直穂子さんと紹介された koko にそっくりの女性を眺めていた。直穂子さんは涙をぽろぽろながしていた。こんなに目から涙が流れる出る状態を見るのははじめてだ。涙をぬぐった直穂子は、園田の祖母の後ろにたたずんでいた華子のそばに行き、「 華子さん。 ありがとうございました。 こんなに立派に … 」そのあとの言葉は、聞きとりにくく、少し間をおき手に持たれた、包みから一冊の本のようなものを手に …すなおに手渡した。「 華子さんが、あなたの事を年の初めにてんとう虫のチョコレートと、お写真と近況を知らせてくださっていたのよ。」すなおはそっと開けて見た。そこには、母、華子の字でかかれた便箋と写真が奇麗に整理されていた。こおこが待ちきれず、すなおのそばにいき、にの腕のあたりを指でつつき、笑(え)みで、「 こんばんわ。 はじめまして?はじめましては、おかしいかな~ 10ヶ月もおなかの中で一緒だったのよね。こお子です。数時間前にすなお君と言う双子の弟が存在すると言う事を聞かされ、てっきり、うりふたつの、もうひとりの 「 こお子 」 が と思っていたらまったく似ていないのね。」と、 じろじろながめながら …「 一応、少しあなたよりこの世に一足早くでてきたらしくあなたのおねえちゃんどす。koko ちゃん。 ずるおすなあ~こんな素敵な青年を7年間も独り占めしていたなんて!あんなに結婚を進めても話にのらないはずだわ~私だって … 」「 こお子ちゃん。 お行儀の悪い。 すみません。しつけが行き届いてませんで … 」と、祖母八重が深々と頭を下げた。園田の祖母が、 「 直穂子さん、ありがと~ こんなに奇麗に元気にそだてていただいて … 」「 ああ~ 神様に感謝ですわ~急に、お父様が二人。 お母様もふたり。 おばあさまも … そして、こんなにすてきなおとうと君が … 」お互いにそれぞれ顔を見合わせ笑いがおきた。「 も~ こお子! すいまへん。 いつもこんな調子で … 」祖母八重と、母直穂子がまた頭を下げた。「 あの~ 園田のお父様は? 」と、あっけらかんとした口調で、こお子がきょろきょろしながら聞いた。「 すみません。 急にこんな運びになりまして、仕事で今日は、帰れないかもしれないのです。週あけに、アメリカで学会がございまして、その準備におわれています。 」「 いや~ アメリカに行きはるのどすか~?加賀美のお父さんはこの間、エジプトでした。こお子は幸せものどすなあ~ 立派なおとうはんがふたりもいてて … すなお君は、やさしい、きれいなおかあはんがおふたりいてはってよろしおすなあ~ 」華子が、志乃に耳打ちをした。「 ああ~ すみません。 立ち話で … あちらの部屋の方に … 」直穂子が華子に手土産を渡し、園田の祖母のうしろをみながついていった。