持ってきたことを思い出した。「 どこにしまいこんだのかしら …? 」と、 独り言を言いながら、 クローゼットの中を捜した。大きめのデパートの袋に入った、 すべてのものが値札がついたまましまわれていた。バスロープを袋から出し値札を外し、 広げてみた。男性の衣類の大きさに驚いた。そして、 パンティー? が 数枚。少し明るい色のものを選び、 袋から出し、 たたみ直した。あとの物はあわてて袋に詰め、 元の位置に戻し、浴室の化粧室に持って行った。そこで、 ふと! そういえば浴槽に浸かっているのか浴室からの音を耳にしていないことに気がついた。声をかけるのもためらい、 先に用意しておいたものをしまい、袋から出したバスロープと下着を置いて そっとその場を去った。挽きかけたコーヒー豆を挽き、 コーヒーをたてた。冷蔵庫をあけ、 買い置きをあまりしない 呼子 は残り少ない野菜を出し調理した。4分の1ぐらいのレタス。 10センチ弱のセロりー キュウリにトマト。数枚のベーコンを小さく切りカリカリに炒め、 野菜の上に …クロワッサンが袋に2つ。ひとつづつお皿にのせ、お揃いのマグカップにお湯にを張りささやかではあるが朝食の準備をした。水道から流れる水の音。野菜を切る音。食器の …そのほかの音はなく、 静まり返った部屋に浴室からの音はない。いったん腰をおろしたが浴室に …化粧室の扉を そ~っとあけ気配を伺った。そして、 中に入り軽く浴室のドアをノックし「 直 さん … 」声をかけたが返事がない。ドアを少しかけ中をのぞいた。かすかに寝息が聞こえた。少し口を開け湯船に頭をあずけ、 寝ている姿が目に入った。何度か 直 さんと声をかけやっと驚いた 直 は「 ああ~ ねてしまっていたんだ! 」と言いながら姿勢をかけた。長年シャワーだけの生活と、 空港から直行で一連の行事をこなし、その後の出来事で疲れが一気にでたのだろう。直 は 熟睡を …呼子 もどう声をかけていいか戸惑ったが「 コーヒー入っているよ。」「 うん。? 」直 は、 湯船に頭までつかったかと思うと立ち上がった。呼子 はあわててドアを閉めた。