《 続 》 【 koko の Valentine's Day♪ … 白いページ … 15話 】広い道路から、 裏道に入りしばらく走ると山道を登り始めた。このあたりは、 二人でよく歩いた。ほとんど変わっていなかった。10分足らず走ったところで車はとめられた。特別景色がいいわけでもなく、 直 は 走りながら、車を止めることができる場所を求めていただけだった。山道をはさんで小さな公園が前にあった。小さな砂場。 すべり台。 ブランコ。 ベンチが …両サイドの窓があけられた。ちょくは シートベルトをはずし、 運転席が少したおし両手を上げ 組まれた手の上に頭をのせ目を閉じた。そのままの姿勢で静かに話しだした。「 呼子。 父の葬儀で帰国したが、 これを最後に僕はすべてを引き払いアメリカでの生活をと決めての帰国だったんだ。」ちょくは停滞で進まない車中の 呼子 を数分後に園田家におろせる状態ではないと察し、園田家にあのような電話をした。少し、 呼子 に 慰める言葉でもかければと思っていたが車をとめ、 エンジンをきり、 シートベルトを外し、 運転席に身を任せ 呼子 へかける言葉は見つからなかった。自分でも予期しなかった内容を語りだした。「 帰国して 呼子 ばかりを眼で追い、 眼に焼き付けていた。丁度みなが席につき、 話そうとしていた時、 君のお母さんが …なあ~ 呼子 。 呼子 には思いもしない話が聞かされ、言葉では言いようのない衝撃的な内容でつらい思いは … 」直 は、 声を詰まらせた。「 さっき、 君のおねえさんと話していて、 僕は10年前逃げ出し、また逃げ出そうとしていた自分が情けないよ。君のお姉さんは、 ふたつの家族を、 ああも見事につなぎ合わせ、 それぞれを、 それぞれの居場所を与えてくれたんだね。」呼子 は 姿勢を変えないで淡々と話す ちょく の 話を耳にしながら、” 君のお母さん ” ” 君のお姉さん ” と 表現するたびに、少し違和感を覚えながら聞き入っていた。「 呼子 。 君のお母さんが話された話だけれど、僕は最初は今更話さなくても、 君のおばあ様やおじい様のようにお墓の中まで … と思った。しかし、 君のお母様がおっしゃられたいたように、僕たちのために話してくださったのだと素直に受け止めることにする。10年もの間。 屈折したまま終止符を打とうとしていた。情けないが、 たった、1日で …父のあとかたずけというか、 まったく何をどうしていいのか予想もつかないが、 光子 さんや君に手伝ってもらいながら済ませたら、 いったんアメリカに帰って、 どのぐらい時間が必要かわからないが、 できるだけ早く整理して引き揚げてくるよ。今の僕には君とは離れて過ごすなんてことは考えられない。」呼子 は、 直 が 話す中で ” 君のお姉さん ” という呼び名から” 光子さん ” と 語った時には 直 の 横顔をちらっとみた。「 わかっている。 自分勝手なことを話しているのは …何を何からどう話していいかわからないんだ!今の 呼子 を見ていて、 慰める言葉を言わないといけないと思うけれど … 言葉がみあたらないんだ … 」直 は 声を詰まらせた。「 光子さん に いわれたよ。『 あんたがしっかりせんと! 』 と …多分、 一生しっかりはできないと思うよ。たった1日でこうも簡単に …あんな辛い日々を送ると思うと今の僕には耐えられない。勝手だろ~勝手に自分の殻に閉じこもり、 今度は耐えられないとさらっと話すのだから …呼子 に 嫌われそうだな~ 」そう言って、 あげていた腕は下げられ、 姿勢を変え 呼子 を見た。「 それと、 僕がアメリカを引き上げる前に呼子 一度アメリカに来てくれないかな~ 見てほしいんだ。10年間。 僕が生活をしていた場所を …数日でもいい。 一緒に暮らしたい。」呼子 は、 話された内容もそうだが 呼子 を見つめた ちょく と 目があい驚いた。生き生きとし少年のような眼をしていた。口元に笑みを浮かべ、「 呼子 どうする?」お互いにしばらく見つめあっていたが、「 そうする … 」呼子 は 自分でも驚いた一言が口から飛び出した。「 えっ! 」呼子 の 即答に近い返事に驚いた ちょく だが、「 そう~ そうする。。。 そうするかあ~ そうかあ~ そうする … 」ちょく は 同じ言葉を何度も何度も繰り返しながら、エンジンをかけシートベルトをした。呼子 を みて …
さ~ 気の変わらないうちに … 」そう言って微笑みながら車を発進させた。