《 続 》【 koko の Valentine's Day♪ … 白いページ … 】 9話部屋に入ると 呼子 のにおいがした。スリッパ立てには数足スリッパがあったが、呼子 は 下駄箱をあけ、 直 の 前にスリッパをおいた。スリッパ立てにおかれていない、1足のスリッパと色違いのスリッパだった。呼子 は、 自分のスリッパを新しくする時には必ず色違いで買っていた。お揃いのスリッパをはき、 お互いに顔を見合わせ口元がゆるんだ。あかりをつけ、 リビングへ …カーテンやソファーに置かれているクッションは変わっていたが家具などはそのままだ。" ああ~ テレビはかわっている。"直 が座った真正面に置かれたテレビが目にはいった。三人がけのソファーが、 この部屋での 直 のくつろぎ場所だった。この部屋に長いし、 仮眠を取る時もケットをかりソファーでねていた。そんな事をなつかしく脳裏に …呼子 は 直 の横ではなく、 直 の右側のテーブルの角をはさみひとりがけのゆったりしたソファーに …長い時間。 二人はソファーに身体をあずけた。呼子 は ソファーに身を預け、 しばらくは放心状態で何も考えることは出来なかった。ふと! 熱いまなざしを感じ、 ” ああ~ そばにちょくさんがいる。”何度も何度も声が聞きたい。携帯のダイヤルボタンをおし、 最後の数字を押すことができないで …ああ~ あいたい。何度かチケットを買い求め、 机の引出しに忍ばせた。その ちょくさんが~ すぐ手の届くそばに …目と目が合い、 ちょくさんが立ち上がり 呼子 のそばに …ガラス細工を扱うようにそ~っと、 呼子 をたたせた。そして、 今まで座っていたちょくさんのソファーへ …二人は寄り添い、 ちょくさんの腕は 呼子 の肩に …呼子 は 自然に 直 の 大きな胸に身をまかせた。背中に ちょくさんの腕のぬくもりが …身をあずけた耳元でちょくさんの心音が …呼子 は、 はっと気がついた。ちょくさんと自分の心音が同じリズムで刻まれていると…細身の 呼子 は、 いっそう小さく感じさせた。新たな涙がほほをつたう。そんな 呼子 を、 どうすることもできない。どうすればいいのか戸惑いながら、 呼子 の乱れた髪にふれちょくは指先を動かし、 髪を整えた。少し姿勢を変え、 ちょくは 呼子 の前髪をしなやかな指先で …呼子 の額に唇を …呼子 は 静かに涙でおおわれた瞳をとじた。ちょくの唇が、呼子 の 額からはなれ、 呼子 が瞳をとじ、瞳をこれでもかこれでもかと洗い流した涙が、 濡らしたほほに唇が …どちらからともなく二人は抱きあった。