【 I'm loving you. 追憶 】 14話「 おお~ 帰ったか~ 」何か変な感じだった。「 あなた! お食事 … それともお風呂 … 」と おどけながらシャワーを進められ浴室 …先輩もシャワーをしたのか勝手に私のウェアーを着こんでいた。シャワーを済ませキッチンへ入っていくと缶ビールを渡されひと口飲んだ。男二人が、キッチンのテーブルをはさみ向かい合って食べるのもおかしいだろうという先輩の提案でリビングで音楽を聴きながらだらだら食べることにした。すご~~いご馳走を作ろうとしたが結局このメニューだ。 と 前置きがありいろいろな具を入れたという 大きめのおむすびが並んでいた。そしてぐつぐつ音をたてている 先輩の説明では具だくさんのお味噌汁風の鍋が置かれていた。先輩がふたりの小鉢に … 部屋に入った時の匂いはこれかと小鉢を眺めながら急に空腹感におそわれおむすびを手に取り 頬張った。「 お前は何だ。 僕のは鮭だ。」私のひとかぶりしたおむすびを覗き込んだ。「 おお~ 梅干しか。梅干しには当たりとはずれがあるんだ! それはどっちだ?当たりは種なし。 はずれは種が3つ。 最初は種捨てようかと思ったが梅肉が結構ついていたから種3個分まとめて入れておいた。」「 それにしてもこんなにたくさん食べきれないだろ~」「 そうだな~ お前ところの釜 7合炊きだったから7合炊いてみんな握っておいた。あまったら明日彼女のところへ持って行って食べろ~ 」具だくさん味噌汁といわれている物も汗をふきふき食べた。おいしかった。先輩は食べながら鍋の具に入れた中身の説明が始まった。「 白菜だろ~ 大根 人参 ゴボウ しめじ 豚のバラ肉 さつまいも 玉ねぎ ねぎ あとは … ああ~ こんにゃく ちくわ とうふ あとは …? 味噌も3種類入れてあるんだぞ~ 」しばらく食べるのに専念した。ビールを取りに席を立った先輩がぼそぼそ独り言のように「そうかあ~ やっぱり店しまっていたか? 」「 シャッターが下りていた。 数日休むと書いてあったな~ 」「 えっ! 貼り紙紙はってたんだ。」「 見なかったの?」「 車からおりなかったから … なんて書いてあった?」「 お知らせなしで店を休むという断りと 数日休むとかいてあった。」「 はじめてのことだな~ 土曜日は彼女来るかな~ ? 」「 土曜日?」「 土曜日 と 水曜日は 店の花をかえに来るんだ。」少し元気がなくなったようにも見えた先輩が「 それにしてもお前が言う昨晩の事でどうして店を閉めるのかが分からないなあ~いとこの相手がお前がということでか? 」少し考え込んでいるようにも見えた。「 お前に聞いてもわかるはずがないかあ~帰るわ~ 作ってやったんだから片づけはお前だ! じゃあな~ 」急に思いついたかのようにそう言い残し さっさと部屋を出ようとした先輩が「 そうだ! 服 … 服 …着替えるの邪魔くさいからこのまま帰る。洗濯して預かっといてやる。 」そう言って着てきた服を無造作にさげ部屋を …私はてっきり泊まると思っていたので「 えっ! 帰るの~ 」「 驚く事はないだろ~恋人じゃあるまいしお互いの家にお泊りごっこか~?」と笑いながら玄関フロアーに …靴を履きながら私の何かありげな態度に気がついたのか「 それともお話でもおありですか?」「 泊まるものだと思っていたから …」私の逃げ切らない態度でしばらく私の顔をながめていた先輩が「 はいはい … 泊まるかどうかは別として戻りましょ~」と 言ってリビングに戻りそのまま飲みかけのビールを手にベランダに出た。雨ざらしのテーブルとイスをあわてて汗を拭いたタオルで …私もビールを手に持ちテーブルをはさみ横並びに座った。「 早く話せよ。 話があるんだろ~ 」「 まあなあ~ 」と 私は席を立った。マンションへ着き後ろの席に置いてあったクーラーボックスとショルダーバックをもちエレベーターに乗る際 バッグがあいていて中身の物が少し落ちた。あの数冊のノートも …そのことで迷いがあった。玄関先に車から持ち込んだものがそのままだった。バッグを下げベランダへ戻った。テーブルにおいたバッグからノートを出しテーブルの上に …「 なんだ? そのノートは … 」昨日 祖父から渡された時の事を話した。「 で … なんだ! 」どう切り出していいか まだ自分の中で迷いがあった。「 あの彼女いっていたな~ いとこがノートに書いていた呼び方で …お前の彼女が残したノートは彼女の身内は読んだということだな~」「 そうだろな~ 」「 それでお前にも読めということか~ 」「 いやそうとは言ってなかった。 ただ返さなくてもいい…僕が始末してほしいと頼まれた。」先輩はノートを手に取り眺めてテーブルに戻した。口をとがらせたり顔の表情を変えながら考えこんでいるようにも見えた。「文系人間のわたくしが分析するとだなまず、 あちら様は お前の存在を知っていると表示したわけだ。ここ数年彼女の身の回りを整理をしたがこのノートだけは どうしたものかというところだった。そこへお前が … 墓地の管理事務所からの連絡で待ってましたとばかりに …」先輩はベランダを行ったり来たりまるで法廷の弁論をしているかのように両手を動かしながら …「 あちら様としてはこれにて一件落着。次はお前だな~お前は祖父から手渡され、昨夜の出来事もあり数時間まで正確には帰宅前まで存在を忘れていた。さて、どうしますか?まず2点。ノートを読むか?ノートを読むにしろ読まないしろノートのその後の扱い。どうだ! 整理するとこんなところで …まず! ノートは読むのか?」「 読まない。」私の前を通り過ぎ 前に進んでいた先輩が振り返り「 おい! 即答か?」「 ……… 」「 どうして … ?」「 彼女の祖父も先輩も言った。前に進めって … 」「 ああ~ 確かに言った。」といいながら先輩は戸惑っていた。私は席を立った。リビングに戻るとキッチンで水の音がした。リビングが片づけられていた。キッチンへ行くと水を出したまま おむすびを容器に詰め替えていた。残っていた鍋も小さいお鍋に移し替えられていた。「 何をしてた。遅いじゃないか?いつでも主夫はOKなんだがな~夫や父となるとな~ ? 」「 いいよ。 あとでやるから … 」「 そうか。 ワインにするか?」そういいながら、 引越し祝いに先輩から送られたワインセラーの中のワインを手に取り「 おお~ 少しは成長したな~いいものが入っている。今の雰囲気ではこれかな~」と 言いながら雰囲気とは関係なく多分 私がロゼが好みと知ってロゼを選んだ。「 おい。 少し頭を冷やさないと回転が悪くなるからベランダの物をこっちへ持ってこい。クーラーを入れて … これは何だ?」ベランダの椅子を立ち 書斎から持ってきた箱に手をかけ「 あけるぞ~」箱の中のものを不思議そうに眺めている先輩を横目にベランダへ …ベランダのテーブルに残されていたバッグとノートを …ガラス戸を閉めカーテンもひいた。