【 I'm loving you. 追憶 】 16話先輩がソファーからベットに移動した後私はソファーで休もうとしたが結局先輩はそのままソファーで 今なお眠っている。 先輩はあれから折り鶴の千代紙の裏に書かれた文を読みながらワインを1本あけたようだ。ノートも読んでいいとテーブルの上に置いておいた。私は両親がいつの日にか泊まるという日がきた時にとひと部屋 和室を設けた。その部屋で休んだ。目がさめシャワーをし 身支度してクーラーボックスの中身を詰め昨夜のおむすび数個をカバンに入れ出かけた。先輩へ残りのおむすびは持ち帰ってくれと書き置きし彼女のもとへ …墓地の駐車場に車を停め 大きく息を吐いた。ノートの件をどう話していいものか少し気が重い。管理事務所の前をいつものように頭を下げ『 ご苦労さま 』 と いう声を背に通り過ぎようとしたが、 ひき戻り「 こちらの責任者の住職様にお時間をいただきたいのですがその旨お伝えしていただけますでしょうか? 」 と 申し入れた。現在お勤めの時間帯で のちほど返事をいただくということで携帯の番号を残してその場を …彼女の前に着いた時 「 あっと! 」 小さな声を …忘れな草が置いてあった。日曜日 月曜日 火曜日の忘れな草が枯れ気になっていたが片づけられていた。枯れかけの水曜日のものと木曜日のものは残されていた。昨夜なのか早朝なのかはわからないがわざわざ持ってきてくれたのだと感謝した。忘れな草をいつも置く場所に置き 椅子を開きいつの間にか荷物もそれなりに所定地ができ それぞれの場所におき コーヒーとおむすびを手に 椅子に腰を下ろした。ミネラルウォーターだけを飲み出かけたので「 さあ~ 朝食だ! 」と、 彼女にコーヒーとおむすびをみせ ひとかじりすると大あたりというか先輩が言っていたはずれのおむすびだった。ひとかじりしては種に絡んでいる梅肉がきれいになるまで口の中で転がした。この梅干しは先輩秘伝の手塩にかけた梅干しかな?塩は … 梅は … どこのものでなければとわざわざ取り寄せ 塩の割合 梅は一粒一粒丁寧に扱い 勿論 三日三晩干す。そんな事を懐かしく思い出しながら 通常より時間をかけて食べた。席を立ち見慣れてきた景色を眺めていたら後ろから声が …振り返ると祖父母を案内してきた僧侶だった。「 あちらの方に来ていただこうかとも思いましたが、わたくしがこちらに …お話がおありだということを聞きました。 」この方が住職様 私は自己紹介的なご挨拶をさせていただきそれに付けくわえこのような申し入れのお詫びをした。住職からは 働き手がそれぞれ失礼のな行動を詫びられた。二人して景色をしばらく眺めていた。私は眺めながらどう話しを切り出せばいいのか?そんな時 タイミングよく住職様が切り出してくれた。祖父母から託されたノートの話をした。それに対する想いを語った。ノートを彼女のもとに戻すのは可能だが墓石を動かすには祖父の許可がいるらしい。簡単な供養をして彼女の遺骨のそばに収めるという運びになるらしい。住職様から私の意図を祖父母に伝えていただけることになった。折鶴のことも気になり灰にするということを話した。それともノートと一緒に収めた方がいいかと聞いた。ノートは彼女のもとして 折り鶴は彼女が私に送ったものだから私の考えでいいのではと助言があった。祖父が私と別れの際に話された言葉が私への祖父の思いとして住職にも話されていた。住職からも祖父の言葉につけ加えありがたいお言葉をかけていただき胸を突き上げてくるものをこらえながら話を聞いた。その後、帰られたあと今日は読みかけの本を …日が沈みかけたころ携帯の着信音が …住職からだった。祖父への連絡の報告だった。あす10時に簡単な法要をし 収める儀を行うという電話だった。よければ本堂の茶室の方にと声をかけられた。少し迷いもあったがわざわざかしこまった席にご招待ということはその他にも話があるのではとお断りする理由もなかったのでおよばれすることにした。彼女に今日はこれで引き揚げると告げ荷物をまとめた。荷物を持ち管理事務所の前を通ると慌ててうしろから作務衣を着た方が追いかけてきた。多分 私が来たら住職のところに案内するようにと言われていたのだろう。私は荷物を車に置き戻ってくることをつげた。携帯の電源を落とし管理事務所に顔を出した。奥から黒い衣を着た少し年配の方の案内で奥に通された。茶席は随分前に家で簡単な茶会が行われたあと 母にいっぷくたててもらったのが最後だった。案内された茶室にはすでに住職が亭主の席に …案内してくれた僧侶が 半東を務めた。私も席に着き久しぶりに背筋を正し緊張の中に 健やかな気持ちが漂った。お茶菓子が運ばれそのあといっぷくいただき久しぶりに別世界の空気を感じた。そのあと住職が亭主の座をおりお互いに少し気楽に話をとあらためて先ほどの僧侶からお煎茶を …住職が住職の一存で 明日 祖父と私だけでという断りをされた。私の意を理解していただきありがたかった。私の結論を祖父に告げた時には、祖父母とファワーショップの彼女と両親を同席させその後 皆に 私を正式に紹介したいと主張されたそうだ。しかし、住職は私の立場も気持ちも十二分に理解をしていただていたようで最終的に祖父と私ということで午前10時にその他の手配はすべて住職がすませてくれたと報告があった。その後、 住職は祖父とは幼馴染で こちらの境内でよく遊んだ仲で長きに渡り人生を共に歩んできたと話された。祖父は彼女が厄介な病魔に侵された時も家族には凛とした自分でいたいと願っていたらしい。しかし、 ここにきては旅立ったあとも 二人して涙したり思い出に時間(とき)を過ごしたと語られた。勿論 ノートも読まれ私の存在は知っておられた。私が通い始めたころ他国に行かれていて帰国し報告を受け すぐに私だと思い祖父に連絡を入れたと話された。穏やかで品位品格がありおそばにいるだけで心が落ちつく高尚なお人柄。住職は私のお願を聞いていただけますかと前置きをされこの歳になると時代にうとくなりがちで いろいろ教えていただきたい。これから 若き良き友としてお付き合いしていただきたいとこの若輩者の私に深々と頭を下げられた。私は恐縮した。しばらく庭を眺め話す言葉は少なかったが時間が流れ私は両手をつきお礼を申し上げ席を立った。道中 フラワーショップに寄ってみたがやはり店は閉められていた。他のフラワーショップで とも思ったが思いなおした。先輩の店にもよらず通り越しマンションへと …部屋に入るとまた食欲をそそるいいにおいがした。部屋も片付いていた。鍵は確かに開けて入った。上り口に靴がない。先輩はどこかへ出かけたか 片付け食事を作り帰ったのだと思いいつものことながら浴室に隣接している洗面室に …明かりがつき服が無造作に脱がれていた。浴室をノックし声をかけると 先輩が「 おお~ 帰ったか~ 」ドアを開けると先輩は浴槽に浸かっていた。