最終話 【 四月の雪 】 編 スンジョンと…ドンヒョクは着替えを済ませ レオの電話の様子から早朝出勤はのがれられないと察した。かばんの中の整理をし明日着ていく服の用意も済ませリビングに行くとソファーのジニョンは … いつものことながら、 規則正しい寝息を耳に 寝室へ …夜明けと共にドンヒョクは目が覚めシャワー室へ …やはり日課であるジョギングで身体のリズムが刻み込まれているだけに少し違和感を感じながら身支度をした。出かける前にジニョンの寝顔に挨拶をし それでも反応のないジニョンを眺めながら ジニョンお気に入りの 黄色い物体 ” 僕ぷ~ちゃん ” の 目覚まし時計をセットし 手紙を添えて 携帯もそばに置き出かけていった。オフィースについくとレオがすでに出社していた。「 おお~ ボスのお出ましか? おはよう~ 」「 おはよう~ 昨日は悪かったな~ それで … 」丁度レオはコーヒーを入れかけていたところだった。ドンヒョクの分も注ぎ 打ち合わせをかね 説明を始めた。レオはボスであるドンヒョクに以前 「 おはよう 」 と 声をかけて「 ああ~ 」 と かえればいい方でほとんど反応はなかったがいつの日からか 「 おはよう~ 」 の返事が返るようになっていた。ドンヒョクはひと仕事を終え 時計に目をやると9時を少し回っていた。もしやと思いながらジニョンの携帯に電話をいれた。もしやが的中した。呼び出し音は返ってくるがなかなかでない。 もうすでに仕事にかかり忙しく走り回っていて気がついてもらえないのだと思い メッセージを残そうと切り替えをしかけた時「 はい … 」聞き取りにくい鈍い声が返ってきた。「 ジニョンまだねていたの~ しごと … 」 仕事は? と、 いいかけた時 携帯の中からけたたましく「 何よ~ うわ~ ちこくだ! も~ … シャワー シャワー 」足音が遠ざかっていく … しばらくするとまた声が聞こえてきた。「 も~ あんたときたら役にたたないんだから … しっかり! おこしなさいよ。 服! ふく … 」ドンヒョクはあの黄色い物体が気の毒に 今 ジニョンからお仕置きの言葉を投げかけられているのか?ドンヒョクは携帯から流れてくる実況中継を耳にしながらレオに目をやると目が合った。レオはドンヒョクの異様な行動はすでに感じていた。ドンヒョクは隠そうとしているなんともいえない笑顔にもなれ携帯の相手がジョンだということも …「 ボス! 手短にたのむよ 」ドンヒョクはきまづさを感じたのか イスの方向を変えた。ふく! 服と叫ぶジニョンの声にドンヒョクは と、 いう事はひきしまった身体の一部はもう … などと映像つきで …そうこうしているうちに ” ばたばた … ” と 足音が聞こえ携帯は静かになった。つかの間! また足音が … 「 携帯! 携帯 … も~ こんな時に~ 」という事は この今かけている携帯は行方不明ということか?さあ~ みつかるかな~ みつかるなよ~ すでに遅刻しているのだからもう少したのしませていただきたい! などとドンヒョクも今の状況に はまり込んでしまっている自分におかしくもあり あきれながら笑えてくる 顔面の筋肉のゆるみを押さえるのに奮闘していた。だんだん声が大きくなる。ああ~ これでおしまいかあ~ みつかってしまう~「 なんだあ~ こんなところに … 」ジニョンは携帯を手に取り携帯が開いていているのに気がつき そ~っと 携帯を耳にあて 「 もしもし … 」ドンヒョクはジニョンの声に驚き 「 ああ~ ジニョン! 」「 そうだったわ。 そうそう … そうよ~ 携帯がなって … … そしたら …や~~だ! ドンヒョクさん今まで待っていてくれていたの~ とにかく急いでいるからまたあとでね~ 」 と、 幕はおろされた。ドンヒョクは苦笑しながらしばらく携帯を眺めていた。背中からそれでなくても大きな声のレオが我慢しきれず輪をかけ おきな声で 「 ボス! 仕事はひとつだけではないんだぞ~ この山積みの書類に早く目を通してチェック急いでくれよ 。 あと3時間しかない。」ジニョンはタクシーをひらい 何とか1時間の遅刻でホテルについた。ロッカールームであわててソ支配人に変身。 スタッフに 「 おはようございます。 」 の ジニョンスマイルで挨拶しながら スタッフルームへと …ひと足踏み入れたとたん けたたましいスンジョンの声が~「 ジニョン! も~ あんたってひとは … 今電話するところだったのよ~ 」横にテジュンもいた。10時前には、 社長室に総支配人からスタッフの出勤状況を含めスケジュール表の提示し報告される。連絡なしでジニョンだけがまだ出勤して事を テジュンはこの時に知った。昨夜総支配人に電話を入れた時から気になっていた … ソ支配人が何か切羽詰った話があると相談されて ほおって行くわけにはいかないから … スンジョンにそのあたりの事を確かめようとスタッフルームに …一部始終の話を聞き終わったところだ。ジニョンは罰が悪そうにペロッと舌を出し 「 ソ ・ ジニョン! 睡眠を多くとりすぎました。 」スンジョンがつかさず 「 寝過ごしたのでしょ~ すなおにそういいなさいよ~ 」テジュンはとにかくジニョンに何もなかった事で安心したが この二人の会話にいつものことながらあきれて溜息をつき「 おふたりさん! お仕事しっかりして下さいよ! 」 と、 言い残し出て行った。スンジョンはテジュンがスタッフルームから離れるのを確かめ「 ねえねえ~~ ジニョンあれからさあ~ … 」 が、 続き ジニョンは何度も仕事をするように促したがまったく聞き入れる様子もなく「 それでさ~ 私 途中から主人公の男優がさあ~ どうしても理事と重なり 主人公の女優があんたに見えてきて … 」と、 意味不明の流れにジニョンは怒りが頂点に …スンジョンに客室の掃除が終了したから点検をという連絡が入りぶつぶつ言いながら スタッフルームを出て行った。昨夜見に行った映画に関しては一歩も2歩もおくれていたスンジョンは、 今日を境に一挙に逆転! 仕切りはじめた。あげくのはてに必ず 「 ねえねえ~~ 理事に… 」 を 付け加えるものだから映画を見た女性スタッフは そうは思ってはいたものの話題になってはいなかったが、 そう言えば … そうですよね。スンジョンの手で波紋は大きく広げられていかれた。数日後 ドンヒョクはホテルに理事として足を運んだか 女性スタッフの目線がおかしいのを感じた。 しかし、 ドンヒョクは ロビーで ジニョンとすれ違い、社長室にジニョンの手でお茶を運ばれてきた時に見せたジニョンスマイルで ドンヒョクには女性スタッフの異様な目線など、 どうでもいいことだった。
【 完 】