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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3853593/4697219
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ラビリンス
創作
No 11 HIT数 5814
日付 2011/05/30 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ラビリンス-過去への旅-11.嘘
本文












 

ジョアンが予約したホテルは、ドンヒョク達のホテルから、2ブロックほど
離れた場所にあった。
ジョアンはチェックインを済ませると、ジニョンとルカの荷物を抱え
まずジニョン達を部屋へ案内した。

部屋は細めのシングルベッドがやっとふたつ入る程の広さしかなく
バスルームはシャワーとトイレが付いているだけの小さな空間だった。
「すみません、今丁度観光シーズンで、部屋が空いてなくて・・・
 こんな小さなホテルで・・」 ジョアンは済まなさそうにジニョンに言った。

「充分だわ」 ジニョンは笑顔で答えた。

「僕の部屋は隣ですから、何かあったら直ぐに電話下さい
 一時間程休んだら、食事に出掛けましょう」
ジョアンはふたりの荷物をベッド脇のサイドボードに置くと、
鍵をジニョンに渡し部屋を出て行った。

 

「ジョアンさんて・・」 
ジニョンとふたりだけになると直ぐに、ルカが口を開いた。

「えっ?」

「ジョアンさんて、ジニョンさんにとても気を遣ってるんですね
 ・・・彼があなたの助手みたい。」 ルカはベッドに跳ねるように腰掛け
弾まないスプリングを確かめながらそう言った。

「ああ、・・私の方が年上だから・・じゃない?」

「・・・・・ねぇ、ジニョンさん、ボスってどんな人ですか?」
ルカが突然ドンヒョクのことを訊ねたが、彼との関係を隠してしまった手前
ジニョンは答えを間違ってはいけないと、一呼吸置いた。

「・・・どんな人って?」

「とても素敵な人だって聞いたものですから」

「あ・・そうね・・まあ・・素敵だわ」 
ジニョンは嬉しさと恥ずかしさが入り混じった気持ちを隠そうと、
人差し指で自分の鼻を撫でながら、ルカの視線から遠ざかった。

「でも・・・人を人とも思わない怖い人」

「えっ?」 ジニョンは小さく背中に届いた声に振り返った。

しかしそこにはルカがとっくに眠ったかのようにベッドに横たわっていて、
しばらくすると本当に寝息を立てていた。

≪疲れたのね・・・でも・・さっきのは・・・聞き違いだった?≫
ジニョンはしばらくベッドの中のルカを見つめていた。

 

 

ドンヒョクがミンアと会うことができたのは、その日の夜だった。
会長の公約通りエマもその席に現れた。
エマはディナーの席にふさわしい優雅な装いで凛と佇み、
ほんの数時間前にドンヒョクの前で見せた儚い女の姿はそこに無かった。

ドンヒョクはミンアの安否の確認ができたことでまずは安堵していた。
「すまない」 彼はミンアに向かって、申し訳なさそうに言った。

「ボス・・・ご安心下さい。
 携帯電話を取られた以外は何の不自由もありません。
 かなり丁重に扱っていただいています。
 こうしてお目にかかって、お話しすることもできるんですから。
 ただ、ボスの手や足になれないことが残念です。
 こんな時にやはりジョアンがいたらと・・・」

「朝、連絡が来た・・今日はフィレンツェ観光だと言っていたよ
 さっき家に戻ったところだ、と留守電も入っていた。
 君から連絡が無い、とも・・・
 ・・してみるか?」 ドンヒョクはそう言って携帯を差し出した。

「いいえ、ボスの携帯から電話したら変に思います。
 私が普段と違うことをすると、何か予期せぬことが起こっていると。
 あの子・・勘がいいですから。」

「そうだな。飛んで来られても困る」 ドンヒョクはそう言って笑った。

その時エマが、俯いて嬉しそうに笑った。
今まで彼女には少しの笑顔も見せてくれなかった彼が
目の前で笑っていたからだった。
ミンアはそんなエマの様子を視線の端で捕らえていた。

「・・後で連絡取れるようにしてみます。それより奥様は・・」
ミンアはそう言い掛けて、エマの視線を感じて口ごもった。

「妻も観光を楽しんでいるようだ」 ドンヒョクが即座に答えた。

「そうですか。良かった」≪ジョアンもやっと観念したのね≫
ジョアンが今回の仕事から外されたことを不満に思っていることを、
彼女は知っていた。
そのせいでジニョンに対し、不満げな態度を取りはしないかと
それだけが気になっていたのだった。

「それで・・会長の様子は?」 ドンヒョクが話題を変えると、
ミンアは無言で、警戒するようにエマに視線を向けた。

「気にしなくていい。思ったままを報告しなさい。」 ドンヒョクは言った。

「はい。・・・ボスを警戒するように、部下に指示しておられる姿を
 何度かお見かけしました。ボスの同行を逐一見張っているようです。
 ボスがどう動くのか・・・かなり気になさっているように思います。」

「どう動くも・・僕は会長の仕事をしているだろう?」 
ドンヒョクはまたも笑って言った。

「はい、私もそこがよくわかりません・・・
 Ms.ビアジはどのようにお考えですか?」 
ミンアはエマに視線を移して言った。

「・・そうね。・・・面白がっているのは確かだわ」 
エマはドンヒョクを見つめながら答えた。

「面白がってる?」 ミンアが言った。

「人が面白がる時は・・・その相手が怖い時。
 相手に脅威を感じている時だと、私は思うわ」 
エマは形ばかりの笑みを浮かべながら言った。

「相手って・・今回うちのボスは会長側ですよ。
 ボスに仕事を依頼なさったのも会長です。
 会長が怖がる必要が何処にあるというんでしょう?」 ミンアは言った。

「怖いから自分の手元に置きたい・・・ということかしら。
 自分の自由に動いてもらうために」 エマは答えた。

「ボスは誰の自由にもならないわ。」 ミンアは強い口調で言った。

「自由にならないから欲しいのよ。」 エマも強く返した。

「あなたも?」 ミンアはエマを睨んで言った。

「ミンア。」 ドンヒョクはミンアをたしなめるように名前を呼んだ。

「・・・申し訳ありません」 いつしかミンアは自分がエマに対して
攻撃的な物言いをしていたことに気がついて、自らを省みた。

「今日のミーティングはこの辺で宜しいでしょうか」 エマが言った。
エマがこの場を早く切り上げたがっていることを、ドンヒョクは察していた。

彼女のその目が、この場所を警戒しろと言っていた。
「ああ。」 ドンヒョクはそれに応じた。

 

 

「ジニョン?」 ドンヒョクは部屋に戻ると直ぐにジニョンの携帯に電話した。

「あ・・・・・」 ジニョンの声がそれだけ聞こえて、声が途絶えた。
そして少しして彼女の声が届いた。「ごめんなさい、場所を変えたの」

「誰かいたの?」

「ええ、ジョアンよ・・今食事に来てるの。
 席で話すわけにはいかないから・・」

「そう・・ところで・・・
 今日は何処で美味しいものにありついているんだい?」

「あー・・・あの・・ヴェッキオ橋の近くの・・その・・」

「ココ・レッツォーネ?」

「そう!そこ・・」≪行ったのは嘘じゃないわ≫

「そう、そこの料理は美味しいんだ」

「ええ、とても・・」

「楽しそうだね・・もう怒ってない?」

「んー・・・少し怒ってる・・かも」

「ごめん」

「でもいいの・・大人しくしてるわ。あなたが望むなら」

「ああ、頼むよ・・ジョアンなら・・
 あいつなら、必ず君を守ってくれる・・・安心して、付いておいで」

「ええ、そうする」

「これから少しの間、電話できないかもしれない。
 でも心配しないで、いいね。」

「ええ。わかったわ」

「随分素直だね。」

「そう?」

「ああ、珍しい」

「あら・・素直になりなさい、ってあなたが言ったのよ」

「そうだったね・・・でも・・・」

「ん?」

「逢えなくて寂しいって・・」

「えっ?」

「・・・言わないの?」

「・・あ・・ごめんなさい、ドンヒョクssi・・もう切らないと・・」

そばに人の気配を感じたジニョンは慌ててそう言った。
そしてドンヒョクに対して嘘をついている後ろめたさを抱きながら、
急いで電話を切った。


「ジニョンさん?」 

「あら・・ルカ・・デザートは?」

「はい、今・・それでお呼びしようかと・・・お電話、お済みですか?」

「ええ」

「Ms.グレイス?」

「いいえ、違うわ」

「・・・・デザート、美味しそうですよ」 ルカが満面の笑顔で言った。

「そう?じゃあ行こう。」 
ジニョンもそれに応えて、彼女の腕を取り、店の中へ向かった。


チョコレートで薔薇の花を形どったケーキがジニョンの席に置かれていた。
「まあ、ホント、美味しそう。私、間違いなく太るわね。
 毎日こんなに美味しいものばかりいただいて・・あ・・ジョアン・・・
 ミンアさんだけど・・」 そう言いかけながらジニョンはケーキを口に頬張った。
「彼女ね・・今、電話できるような・・・状況じゃないらしいわ
 近い内に向こうから掛けるからって・・・伝言があった。」

「そうですか」 ジョアンは肩を落として溜息を吐いた。

「・・・どなたからの伝言だったんですか?」 ルカが首を傾げた。

「ジニョンさんの助手からだよ」 ジョアンがすかさず答えた。

「ジニョンさんにも助手がいらっしゃるんですか?」 ルカは目を大きく見開いた。

「ああ・・ま・・まあね」≪かなりできる・・助手がね≫ジニョンは天井を仰いだ。
ジョアンは傍らで俯いて意味有りげに笑みを含んだ。

「凄いな~私も早くそんな仕事がしてみたい。
 いつか私にも助手付きますよね」

「まだ雇うとは決まってないだろ?」 
ジョアンはフォークを口に運びながら淡々と言った。

「ジョアン。」 ジニョンがやんわりと彼をたしなめた。

「私!頑張って、ボスに早く認めていただけるようになります!」
しかしルカはジョアンの言葉に、決してめげることは無いようだった。

 


ドンヒョクはジニョンが穏やかでいてくれる様子に安堵しながらも、
少しばかり落胆したようにベッドに腰を下ろした。

緊迫した状況下にある自分が、唯一心を解きほぐせる場所、
それがジニョンという存在。それは間違いの無い事実だった。
そんな掛け替えの無い彼女を、手元に置くことができない現実を、
ドンヒョクは恨めしく思った。

『逢えなくて寂しい』

さっきの言葉は彼自身の想いだった。

本当は彼が彼女に言いたかった言葉だった。

そして、彼女から聞きたい言葉だった。


  寂しいって言わないの?


    ・・・「言わなかったね・・・」・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



























 



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kurumi☆
ふふ^^皆様のコメントにミステリー・サスペンスという言葉があったので、それらしいコメントをしてみました(笑) 2011/05/31 11:59
kurumi☆
彼自身が今、緊迫した精神状態であることが大きい要因です。それは何故なのか・・・引き受けているビジネスのことだけで今更この男が緊迫などするはずがない(笑) 2011/05/31 11:55
kurumi☆
hiro305さん、ありがとう^^ジニョンがついた嘘・・・いつもならドンヒョクはその嘘に直ぐ気がつくはず。顔が見えなかった電話だったこともあるのでしょうが・・・ 2011/05/31 11:54
kurumi☆
きっとジニョンはひとりになった瞬間に、肩を落としているだろうと思います^^; 2011/05/31 11:49
kurumi☆
ノランさん、ありがとう^^ジニョンはジョアンやルカと一緒にいるので、寂しいと思う暇は多くはないと思いますが、この背景のシーンは、きっとルカがシャワーでも浴びている一瞬でしょうか・・・ 2011/05/31 11:48
kurumi☆
ふたりの語らいや触れ合いはもう少し後になりますが、離れていても、いつも互いのことを思いあっている・・・それに変わりはありません^^ 2011/05/31 11:46
kurumi☆
akanenoaiさん、お待たせ致しました^^ちょっと間が空いてしまいましたね^^;この背景、いいですよね^^ふたりの「寂しい」の声が聞こえてきそうです^^ 2011/05/31 11:45
poraris31
ジニョンが危ない目にあわないと良いんだけど・・・ きっとドンヒョクに今回のことバレちゃうんだろうなあ~ってドキドキです。kurumiさん続きまっていま~す♪ 2011/05/31 00:45
hiro305
噓をついてしまったジニョンが危険な目にあわないと良いけれど、サスペンスの色合いが濃くなってきてワクワクドキドキです。 2011/05/30 22:37
hiro305
ベッドに後ろ向きのジニョン、その彼女に背を向けたドンヒョク、会えないままにすれ違って行くのかしら・・・。ルカも秘密を抱えていそうで糸が絡まってきましたね^^「寂しい」って言いたいくせに言わない2人。 2011/05/30 22:34
ノラン
ラブロマンスと思いきや、ミステリーとサスペンスの世界に楽しく想像を膨らませてます☆ 2011/05/30 20:41
ノラン
ドンヒョクの「寂しいっていわないの?」の言葉に胸がキュン…寂しいんだろうなぁ、ドンヒョク〰〰〰それにしても、ますます気になる人間関係☆ルカはドンヒョクと面識なくても何か秘密の関係がある!? 2011/05/30 20:39
akanenoai
少しさみしいです。 2011/05/30 11:59
akanenoai
kurumi☆さん、こんにちは。やっと会えました、毎日毎日PC開いて待ってました、背景が凄いですね、ジニョンさんのホテルにいる状況や寂しそうなドンヒョクの表情が。あまり2人の語らいや触れ合いがないのが 2011/05/30 11:59
 
 

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