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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3853658/4697284
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ラビリンス
創作
No 12 HIT数 5875
日付 2011/06/04 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ラビリンス-過去への旅-12.警告
本文
















ジニョンはコーヒーを片手に、カーテンを開けた。

窓の向こうは、狭い道路を挟んで建つビルの壁面が視界を阻んでいる。
しかしイタリアの街というのは、それだけでも風情を醸し出すものだと、
彼女は微笑んだ。

彼女は昨夜のドンヒョクからの電話に、充分に応じられなかったことを
少し悔いていた。

『逢えなくて寂しいって・・言わないの?』

≪・・・わかってるじゃない・・・バカ・・・≫

今この時も、2ブロック先のホテルにはドンヒョクがいる。

≪今すぐに・・・私がドアをノックしたら・・・どんな顔をする?ドンヒョクssi≫


「お早いですね」
ジニョンが振り向くとスポーツウエア姿のルカが立っていた。

「ルカ・・何処に行ったかと・・・・ジョギング?」 
ジニョンが30分ほど前に目覚めた時には、隣のベッドに
ルカの姿は無かった。

「ええ・・いいお天気ですよ、気持ちいいです、とても」
ルカは肩に掛けたタオルで額の汗を拭きながら、そう言った。

「旅先でも運動を?」 

「ええ・・いつものスタイルですから・・私の」

「スタイル?」

「ええ・・・どうかなさいました?」

「ふふ、ちょっとね・・あなたと同じこと言った人のこと思い出したの・・・
 ・・・シャワー浴びてらっしゃいな」

「ええ、そうします」

「その後に食事に出ましょう?」

「ホテルを出たところに、素敵なcafeがありました」

「じゃあ、そこで。急ぎなさい、ジョアンは時間に正確よ」

「はい」




その日から、ジニョンとジョアンはルカの案内の元、ミラノでの活動を始めた。

まずは彼のクライアントであるジュリアーノ会長の周辺を探ったが
予測していたこととはいえ、会長サイドの包囲網の硬さは並大抵ではなく、
重要な手掛かりを掴むことなど、容易ではなかった。

「まだ始まったばかりだわ」 
ジョアンの不安げな表情を見て、ジニョンは慰めるように微笑んだ。

「ええ、そうですね」 ジョアンもまた笑顔で返した。

しかし二日目になっても、大きな進展が見られないばかりか、
ドンヒョクとミンアからの連絡さえも無く、ジョアンの不安は募るばかりだった。





一方ドンヒョクの交渉相手であるサイモンは、ドンヒョクが提示した条件に
なかなか首を縦に振らず、交渉は思ったよりも難航していた。
しかし、当のドンヒョクは一向に焦りを見せていなかった。

「会長が催促して来たわ」 エマが言った。

「・・・それで?」 ドンヒョクは平然と口角を上げた。

「あなたと話したがってる・・」

「交渉が終るまでは会わない。任せるはずじゃないのか」

「彼が納得しないわ」

「納得させるのが君の仕事だろ?」 
ドンヒョクはそう言いながら、彼女を睨み上げた。

「・・・承知致しました、ボス」 

「・・・・・・」 ドンヒョクはエマが自分をボスと呼んだことに眉を潜めたが
何も言わず机上の書類へ視線を移した。

エマは一昨日、彼の胸に飛び込んでしまったことを後悔していた。
今はまだその時ではなかった。
こうして彼と共に引き受けている案件の解決に、重きを置かなければ・・・
今はそれを優先させるべきなのだ。

彼の信頼と・・・愛を取り戻すために。そして・・・
命にも等しい彼を守るためにも。

彼に話すべきことは、今しばらく胸にしまおう、エマはそう思った。

しかし、こうして彼を前にする度、胸のざわめきが彼女を攻め立てた。
彼を「ボス」と呼んだのは、そんな自分の激し過ぎる想いへの戒めだった。

「用はそれだけか」 
ドンヒョクは持っていたペンを書類の上に放り投げ、エマに視線を合わせた。

「ええ」 

「他に言いたいことは?」 ドンヒョクは彼女を見据えたまま冷たく言った。

「無いわ。」 エマは淡々と答え、いつの時もすべてを見透かそうとする
彼の視線から逃れるように踵を返した。






そんな折、ジョアンはドンヒョクが交渉を担っているアメリカ企業の
重要な情報を掴むことにやっと成功した。

ジョアンが根気良く、彼らの尾行を続けていた賜物だったが、
ジニョンは、時折彼が自分をホテルに残して出歩くことに
少なからず不満を抱いていた。
しかし、ジョアンにとって自分が大きなお荷物であることを、
彼女は自覚もしていた。
それだけに、その悪条件の中の彼の功績は素直に喜ぶべきだと思った。


ジョアンの調べはこうだった。
アメリカの企業主は、フランク・シンが韓国でホテルを手に入れた経緯を
探っているというものだった。
フランク・シンは自分の利益の為にクライアントを裏切り、大きな損失を与えた。
その事実を突き止める為、念入りに調査しているらしいとのことだった。
その為に今商談を滞らせ、時間稼ぎをしていると。

言うまでも無くそれはソウルホテルのことだった。

「それって、重大なこと?」 ジニョンがジョアンに不安げに聞いた。

「ええ、この手の交渉ごとは優位に立つ方が勝ちですから」 ジョアンが神妙に答えた。

「そう・・」

「しかし・・どうしたものか」 ジョアンは頭を抱えた。

その時突然ルカが言った。
「ボスが韓国で手に入れたホテルって、ソウルホテルのことですか?」 

「・・・どうして?・・それを?」 
ジニョンが驚いて言うと、ジョアンもまた驚きの表情でルカを見た。

「実は・・色々調べてみたんです」

「うちの会社のことを?」

「ええ、会社がどんな仕事をしているのか・・気になるのは当然でしょ?・・・
 ボスは今までに・・いくつものホテルや企業のM&Aに
 係わってらしたんですよね。成功率はかなり高いと評価されてました。
 つまり、奪うと決めたものはかなりの確立で奪ってきた。
 そういうことですよね。
 しかも依頼された仕事は選びに選び抜いて、気が向かない仕事は
 決して引き受けたりはしなかった。
 その代わり、引き受けた以上、どんな手を使ってでも成し遂げる。
 フランク・シンという人は・・ボスはそういう方でしょ?」

ジニョンとジョアンはルカの言葉に目を見張っていた。

「それなのに・・・
 ソウルホテルの一件ではボスはかなりの損失をなさっています。
 自分の財産を注ぎ込んでまで。
 ボスはどうしてそんなに、そのホテルを手に入れたかったんでしょう」

「驚いたわ」 ジニョンは目を見開き、ルカを見つめた。

「えっ?」

「あなたの口からそんな言葉が出るなんて・・・」

「そうですか?」 

「・・・・・・」

「そんなにしてまでそのホテルを奪った理由が気になったんです」

「奪った理由?・・・奪ったりしてないわ。・・・・救ったのよ」 
ジニョンはルカに対して、少し興奮したように語気を強めた。

「救った?」

「ええ、彼は・・いえ、ボスは・・ホテルで働くすべての人の為に
 あのホテルを救ったの。」

「働くすべての人の為に・・・」 ルカはジニョンの言葉を繰り返した。

「そうよ。」

「ボスって・・慈善事業家なんですか?」 ルカの言い方は皮肉に聞こえた。

「慈善・・事業?」 
ジニョンには更に胸の中に怒りに似たものが湧き上がっていた。

「ええ。だって・・誰が好き好んで自分の財産を投じたりするんです?」
この時のルカの言い方はまるでジニョンの怒りを煽っているようだったが、
ジニョン自身にはそれとはわからなかった。

「・・・・愛する人のためさ。」 ジョアンが言った。
「ボスは・・・愛する人の為に、すべてを捨ててもいいと思ったんだ」
そう言ってジョアンはジニョンを優しく見つめた。
ジニョンは彼のその言葉に救われる想いがした。

「愛する人のため?・・・そんなこと、なさる方だとは思いませんでした」
そう言ったルカの表情に何か含んだものを感じた。

「君はボスの何を知ってると言うんだ?」 
ジョアンがまるでジニョンの代わりに言ってくれているようだった。

しかしその後、ルカは何も答えなかった。
「・・・・眠くなったので、もう休みます」 ルカはジョアンから視線を逸らした。

「そうね・・今日はご苦労様。ジョアン・・もう休みましょう。」
ジニョンは納得がいかないような顔をしたジョアンの肩に手を置いて言った。
ジニョンもルカの思いがけない言葉に、つい興奮してしまったが
彼女が思っていることは、きっと世間の多くの人間が思うことなのだろうと、
そう解釈するしかないと考えた。

「それから・・さっきのことは・・私に任せて」

「えっ?」

「アメリカ企業の調査の件」

「任せるって・・どうなさるおつもりですか?」
ジョアンはジニョンに向かって、不安そうに言った。

「大丈夫よ。危険なことはしないわ。さあ、もうお休みなさい。
 それから・・・ありがとう。」
ジニョンはジョアンがルカに言ってくれたことに対して感謝していた。

「・・・わかりました。おやすみなさい」 
そう言いながらジョアンは、既にベッドに横になってたルカに向かって
疑心暗鬼な視線を投げて、部屋を出て行った。




夜中の2時過ぎに、ジニョンはルカに気づかれないように起き上がり
部屋の外に出て、国際電話を掛けた。

「どうした?ジニョン・・君から電話があるなんて・・
 そろそろ韓国に渡るか?それなら迎えに行くぞ」

電話の相手はレイモンドだった。

「あ・・レイ、まだ行けないわ。それよりお願いがあるの」

「お願い?」

「ええ、実は・・・」



ジニョンの話を聞いて、レイモンドは驚いていた。

現在彼はドンヒョクの依頼で、或る案件を調べていたが、まさか
ジニョンがドンヒョクの仕事に係わって来るとは思いもしなかったのだ。

イタリア滞在中、ジニョンを彼の仕事からできるだけ遠ざけておくと
ドンヒョク自身から聞いていたからだ。

≪フランクが知ったら、やっかいだぞ、ジニョン≫

レイモンドは心の中で呟いた。





「Mr.サイモンがサインするそうよ」 
エマがドンヒョクの部屋にやって来て言った。

突然、滞っていた商談の事態が急転した。

「どういう風の吹き回しだ?二日前はあんなに渋っていたのに」

ドンヒョクがいつも以上に慎重に事を運んでいたこともあり、
なかなか交渉が結実しないことに、ジュリアーノ会長も痺れを切らしていた。

しかしドンヒョクにとってはそれで良かったのだ。

無論、彼にとって今回の案件に失敗は許されない。
しかし彼が今何より重きを置いているのは、時間を稼ぐことだった。

「ええ、とにかく、あなたの交渉に応じるそうよ。」

「・・・わかった。」 ドンヒョクは無表情にそう言った。






「調べたよ。確かにソウルホテルを嗅ぎ回っていたやつらがいた。
 でももう心配はいらない、ジニョン」 レイモンドは電話口でそう言った。
「ソウルホテルの件は表向き、私が動いていることにしてある。
 何処からの調査が入っても、フランクの評価がマイナスになることはない。
 むしろ、好材料となるよう仕向けておいた。」
 
「レイ、ありがとう。」

「しかし・・・気に入らない。」

「えっ?」

「どうして君がこんなことを?」

「何でもないの・・でもレイ、お願い。
 私があなたに・・その・・こんなことお願いしたなんて・・彼には・・」

「当然だ。」 レイモンドは怒ったように言った。


ジニョンは思っていた。
何よりも、ソウルホテルの存在が、ドンヒョクの負担になって欲しくないと。
誰が何と言おうと、彼はホテルに係わるすべての人達の為に
ホテルを守ってくれたのだから。
その彼をホテルの為に窮地に追い込むことはできない。

「しかしジニョン、これ以上、フランクの仕事に係わるな。
 これは警告だ。」 レイモンドが強い口調で言った。

「どうして?」 

「どうして?どうしてもだ!
 彼の仕事に首を突っ込むのはここまでにしておけ。いいな。
 もしも聞かないようなら、すべてをフランクに密告するぞ。」
レイモンドはジニョンを脅すように言った。

にも係わらずジニョンはつい噴出してしまった。「密告って、レイ・・」

「冗談じゃないぞ。“はい”と言いなさい。」

「・・・はい」 ジニョンは口を尖らせながら答えた。




「まったく。」
レイモンドはジニョンとの電話を終えると、デスクチェアーに深く座り
大げさに溜息を吐いた。

実際のところ、レイモンド自身もイタリアでのドンヒョクの援護を担っていたが
彼がドンヒョクに依頼されたことは、遠く離れた大陸でもできることだった。
それよりも自分はソウルホテルの復興を進めなければならない、
それが自分の役目だと、レイモンドは認識していた。しかし・・・

「そうは行かなくなったな」 彼は呟いた。



       ・・・ジニョンのやつ・・・

















 


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hiro305
「・・ホテルを奪った理由・・」引っかかるルカの言葉。。あなた、何者?とつい呟いてしまいました^^;過去の仕事に関わっているのかな?首を突っ込んでいるジニョンが心配ですがレイが来てくれそうでちょっと安心 2011/06/08 15:58
れいもん
レイにも知られちゃった、ジニョン。でも、これでジニョンを守ってくれる人がやってくるから、ちょっと安心かしら。。 2011/06/05 05:20
ノラン
久しぶりにレイの登場♡この先、レイの活躍はあるのかしら〰!?あったら嬉しいな♡それにしても、ルカの言動が気にかかるなぁ〰(^^); 2011/06/05 01:59
 
 

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