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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3853695/4697321
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ラビリンス
創作
No 15 HIT数 5914
日付 2011/06/26 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ラビリンス-過去への旅-15.目撃
本文















「ジニョンssi・・少し出掛けてきます」 ジョアンが言った。

「何処へ?私も一緒に・・」 

「いえ、ジニョンssiはここで待っていてください。
 一時間くらいで帰ってきます。そしたら食事に出ましょう。
 ですから。お願いです。僕が戻るまで
 何処へもお出掛けにならないよう。」 ジョアンは硬く念を押して言った。

今朝からルカがひとりで外出していた。
ジニョンとルカをふたりだけで残すことに、不安を抱き始めていたジョアンは
ひとりで出掛けるには今がチャンスだと思った。

「直ぐに戻ります」 そう言ってジョアンはホテルを出た。


ジョアンはホテルを出ると、帽子をかぶり、サングラスをかけ、
薄手のスカーフを口元まで巻いた。
そして、2ブロック先のフランク達のホテルに向かって急いだ。

ルカのことが気になっていたのは、思えば最初からだった。
彼女を同行させるのではなかったと、後悔しても始まらないことはわかっている。
元はと言えば、ジニョンにペースを乱されたことがジョアンの判断を鈍らせていた。
「言い訳だ、そんなこと。すべて僕のせい」 ジョアンは小さく呟いた。
≪とにかく今日こそはミンアと連絡を取らなければならない≫

しかしできるなら、ドンヒョクとは遭遇しないことが望ましかった。
胸に十字を切りながら、ジョアンはそのホテルを見上げた。


ジョアンがミンアの部屋番号を訊ねようと、フロントに向かったその時だった。
ひとつの影が彼の視線の端を横切るのが見えた。
一度は見間違いかと行き過ぎようとしたが、その影は確かに自分を追っていた。

ジョアンは今度はしっかりと振り返って、その影を追い、焦点を合わせた。
その瞬間、彼は心臓が止まるほどに驚いた。

「何をしてるんですか!」 
彼はその影に足早に近づき、できる限りの小声で怒鳴った。

そこには自分と同じように目深に帽子を被り、サングラスを掛け、
その上マスクまでした怪し過ぎるジニョンの姿があった。

「だって・・気になるの・・私も・・ミンアさんのこと」≪いいえ・・ルカのこと・・≫
ジョアンは困ったように溜息を吐き、キョロキョロと周りを見た。
「だからって。・・ボスに知れたら、僕が困るんです」
ジョアンはさっき怒鳴った時よりは少しだけ柔らかい口調でそう言った。


その時、ジョアンの不安が現実となって目の前に現れた。
彼の視線の奥にエレベーターを降りるドンヒョクの姿が垣間見えたのだった。
彼は咄嗟にジニョンの腕を掴み、彼女を抱き寄せ柱の影に隠れた。
「キャッ・・」「シィッ・・静かに。」

ジョアンはジニョンの背中を柱に付けて、彼女の肩越しに上目遣いでボスを追った。
すると、ドンヒョクの横に付いていた女が、ミンアでないことに気づき、
彼は小さく声を漏らした。「アッ・・」

ドンヒョクとその女が、ジョアンとジニョンが隠れた柱の数メートル横を通り、
エントランスへと向かった。

その時、ドンヒョクがチラリとこちらに視線を投げたような気がして、
ジョアンは思わず顔を伏せ、ジニョンを抱く腕に力を入れた。

しかしドンヒョクがそのまま通り過ぎたので、気のせいだったのだと
ジョアンは安堵したように小さく溜息を吐いた。

「ジョ・・ア・・ン・・苦しいわ」 ジニョンが彼の腕の中で蠢いた。
「あ・・ごめんなさい」 
ジョアンの腕の中からやっと解放されたジニョンがその視線を何気なく
エントランスに向けた。

「・・・・ドンヒョクssi?」 ジニョンが小さく呟いた。

「ジニョンssi?」
ジョアンは咄嗟に、ジニョンの気を自分に向けるよう名前を呼んだ。
「ん?」
「気のせいです。」 


気のせいではなかった。

ドンヒョクは女の人をエスコートして車に乗り込み、そのまま去って行った。
その女性の横顔がとても美しくて、ジニョンは一瞬見とれてしまっていたのだ。
彼女はその場に立ち尽くすように固まった。

ジョアンはそんな彼女の様子を見て、悔やむように唇を強く結んだ。
そして咄嗟に彼女の気を紛らそうと、そばにあったcafeを指差した。
「ジニョンssi・・ほら、見てください
 このチーズケーキ美味しそうじゃないですか?」






「あいつ・・・」 ドンヒョクが車の中で吐き捨てるように呟いた。

「えっ?」 エマがその声に反応して彼の横顔を覗いた。

「何でもない。」 ドンヒョクはそう答えると、車窓から外を眺め、
苛立たしげに車窓のガラスを指で叩いていた。 

エマはドンヒョクの落ち着かない様子を怪訝そうに眺めていた。

「ホテルは何処だ?」 
ホテルを出る前に伝えたはずだと思ったが、エマはそれには触れなかった。

「グランドホテルよ」

「そうだったな」 ドンヒョクは気を静めようと口角を上げ小さく笑った。

「今はジュリアーノの持ち物。・・・一年前はあなたのものだったわね
 彼・・最近あなたの持ち物を集中的に標的にしていたわ」

「そんなことは・・どうでもいい」 ドンヒョクは更に静かに言った。
しかしエマは彼のその声に、苛立ちが消えていないことを感じ取った。





ジニョンは大好物のチーズケーキとカプチーノを注文した。
ジョアンは少しホッと胸を撫で下ろしたが、ジニョンはさっきのことを
忘れてくれたわけではなかった。

「・・・・・私が彼を見間違うわけないわ。」 
ジニョンはジョアンを見ないまま、カップを手にして言った。

「そうですか?」 ジョアンは白を切ろうと決めていた。

「!・・・・横にいた女性は?。」
今度はケーキを頬張りながら、ジニョンはジョアンに向かって、
詰問口調で言った。

「ミンアさんじゃないですか?」 ジョアンは往生際悪く答えた。

すると突然、
ジニョンはテーブル越しに手を伸ばし、ジョアンの掛けたサングラスを乱暴に取った。
そして彼の目に自分の目を近づけ、凝視した。「ごまかす気?」

「ごまかす?」
ジョアンは思わず首から上を後ろに引いた。

「あれはフランクだった。隣にいたのはミンアさんじゃない。
 さて・・誰でしょう。」 ジニョンは自分の指を一本ずつ三本折ってそう言った。

「あー・・・きっと弁護士です」 ジョアンは更にとぼけて見せた。

「ふーん・・弁護士ね。知ってる人?」
「いいえ。」≪嘘じゃない。会ったことも、話したことも無いんだから≫

「ならどうして弁護士だと?」
「・・・・・ミンアさんの代わりだと思って・・」 

「何故彼女は彼といないの?」 ジニョンは矢継ぎ早にジョアンに質問したが、
ジョアンもここで負けるわけにはいかなかった。

「知りません!ミンアがいなくて、僕だって頭がこんがらがってるんですから!」
あの後フロントで、ミンア・グレイスが宿泊していないと彼は知った。

「・・・・・・・・ごめんなさい・・・」 ジニョンがうな垂れて神妙に言った。

「あ・・すみません、そんなつもりじゃ・・あの・・あの人は・・
 昔うちに・・.SJにいらした人で・・僕達の・・先輩です」
≪ああ・・この人には絶対に嘘はつけない≫
ジョアンは目の前でしょげ返るジニョンに対して、正直になるしかなかった。


あれは一年前のことだった。
ジョアンが初めてイタリアに来て、自分が使うデスクを整理していた。
その引き出しの奥に一枚の写真があって、彼の注意を引いた。
そこには肩を寄せ合ったボスと彼女が写っていた。

『綺麗な人だな・・ミンアさん・・この人は?』

『ああ、私達の先輩よ。』

『ボスと親しそうですね』

『恋人同士だったから』

ジョアンはその日のことを脳裏に浮かべていた。
その時目の前のジニョンがゆっくりと顔を上げるのが見えた。

「知ってたんじゃない。」 ジニョンは目の淵に力を入れていた。
「先輩か・・・綺麗な人ね。」 
ジニョンの声のトーンは冷めていた。ジョアンはしてやられたと思った。

「そうですか?ジニョンssiの方が綺麗ですけど」
ジニョンは横目でジョアンを見た。「彼女・・フランクの恋人だったとか?」
ジョアンは思わずコーヒーを噴出してしまった。
彼女にどこまで話すべきか頭をめぐらせていた彼は不意を付かれてしまった。

「ふ~ん・・そうなのね。あなたって、分かり易い。」 ジニョンは笑った。
「あ・・ご・・5年も前のことですよ。あの・・今はボスは・・その・・
 ジニョンssi一筋ですから。」
「何慌ててるの?・・わかってるわよ・・そんなこと」

ジニョンがケーキを三つ平らげるのを待って、ジョアンが清算をしていると
ジニョンは彼を置いて、先にcafeを出て行った。

ジョアンは慌てて彼女を追いかけた。
ジニョンはさっき、「気にしてないわ」とにっこり笑って言った。
しかしその後、彼女は何も話さなくなった。

「あの・・ジニョンssi?」
「何。」 振り向いた彼女の顔は、平静とは程遠いものだった。
「いえ・・何でもありません」
ジニョンは前に向き直って、ぎこちなく進んだ。

≪やっぱり・・話すんじゃなかった≫ジョアンは自分の頭を拳で叩いた。



ジニョンはジョアンの前でつい無口になる自分が情けなかった。
≪・・・わかっているわよ。
 過去のことよ。でもどうして?どうして5年も前の恋人と?
 今。一緒に仲良く連れ立っていなきゃいけないの?
 しかも私にはそんな人と一緒にいるなんて言わなかった。
 私には話す必要がないってこと?それって有り?
 私はあなたの何?ドンヒョクssi≫

ジニョンはジョアンの前を早足に歩きながら、沸々と沸いてくる苛立ちを
ジョアンに気づかれまいと懸命だった。





エマの話通り、会議室にミンアが先に現れた。
ドンヒョクは席を立ち、来客の出迎えに備えたが、彼女の後から入って来た
あまりに見慣れた男の姿にほんの一瞬驚きを見せた。

「Mr.フランク・・ご紹介致します。こちらはアメリカからお越しくださった
 Mr.パーキンです・・・Mr.パーキン・・こちらはビアンコ会長の代理人
 Mr.フランク・シンです」
ミンアは双方共に初対面であることを強く意識して、卒なく紹介した。
ジュリアーノ会長の側近トマゾが同席していたからだった。

「初めまして・・フランク・シンです」
「お目にかかれて良かった・・レイモンド・パーキンです」

≪流石ね、おふたりとも揺るがないポーカーフェイス≫
ミンアは心の中で感心しながら、ホッと胸を撫で下ろした。

エマもまた、その聞き覚えの或る名前に胸中で驚いてはいたが
ドンヒョクのそ知らぬ態度に合わせて、挨拶をした。

会議室では、1時間に渡り、レイモンドから提示された書類を元に、
今後の商談について、話し合いが持たれた。

「それでは・・明日から三日間の内に必要な書類を作成
 ジュリアーノ会長に検分を願った上で、最終案を提示させて頂きます
 その後取引終結、その運びで宜しいでしょうか。Mr.パーキン。」
ドンヒョクがそう言って締めた。

「アメリカからの追加資料も必要でしょう。三日後。
 異論はありません。」 レイモンドは答えた。

ミンアはわかっていた。
ふたりのこの会話が何を意味しているのか。
三日後、すべての計画を完結させる。ボスはレイモンドにそう言って、
レイモンドはそれを了解したと答えたのだ。
ミンアは自分しか知らないその男達の暗黙の会話に心を震わせた。

「トマゾ・・会長に報告して欲しいことがあるの」 エマはそう言って
トマゾを部屋から外へ誘い出した。

部屋に残されたドンヒョクとレイモンドが向かい合ったまま互いを見ていた。
そして、彼らの視線が交じり合った先にミンアが小さく座っていた。

「なるほど。」 不意にドンヒョクはレイモンドを睨んで、鼻で笑った。

「・・・・・・」 レイモンドは彼に向かって顎を上げただけで、何も答えなかった。

「そういうことか。」 
ドンヒョクは口角を片方だけ上げ、そう言うと苛立ったように席を立った。

そしてミンアを一瞥し、冷たく言い放った。


「ジョアンを呼べ。5分でホテルに来い、


        ・・・そう伝えろ。」・・・






 













 





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kurumi☆
poraris31さん、ジニョンが凄く怒られる?・・さて・・ジニョンに直ぐに逢えるでしょうか・・・それが問題です^^ 2011/07/05 00:18
kurumi☆
hiro305さん、ありがとう^^そうです^^どんな動きも、見逃さない。それがジニョンが係わっているとなると尚更です^^ 2011/07/05 00:17
kurumi☆
ノランさん、いつもありがとう^^台詞の裏を読んでいただいて、嬉しい^^台詞は結構自分なりに、推敲を重ねているのですが、上手く表現できなくて、苛立つ時があります^^; 2011/07/05 00:15
kurumi☆
miyukierikaさん・・・暴走・・・しちゃうかも^^ジニョンが係わるとドンヒョクは平静ではいられない。如何に平常心を保ち、敵と戦うか。そのすべてがいつもジニョンに掛かっている^^ 2011/07/05 00:12
kurumi☆
akanenoaiさん、お待ちいただいてありがとう^^考えてみると、ジニョンと離れている時のドンヒョクが一番、ピリピリしてるかも^^ 2011/07/05 00:09
kurumi☆
れいもんさん、ジョアンがいるんですから、ジニョンもいると・・ドンヒョクがわからないわけが無い。それでもポーカーフェイスを装わなければならない。だからこそ、苛立ちが仕草に出るのですよ~^^ 2011/07/05 00:08
tomtommama
・・・・哀れなジョアンは きっと秒殺だなぁ。。。。怒らしちゃったよ^^; 2011/06/29 23:12
mf1117
大変~~~だ。やっぱり見つかった。ドンヒョクだもの見過ごすはずがない!!さずがドンヒョク!! 2011/06/29 11:30
poraris31
わお~ 見つかっちゃった! ジョアンはきっと物凄く怒られるんだろうなあ~ ジニョンは大丈夫かなあ?心配です(-_-;) 2011/06/27 22:28
hiro305
ほんのかすかな動きもドンヒョクは見逃さないのですね~ジニョンの暴走が心配②です^^;でも彼女の焦りも分かるしね・・・ ジョアンを呼びつけてこの後どうするのでしょうか~フランク? 2011/06/27 22:20
ノラン
ジニョンに振り回されるジョアン@@ドンヒョクに見つかってしまってこれからが大変〰複雑に絡まる人間関係やいろいろなセリフのウラを読み解くのにドキドキします☆ 2011/06/27 21:06
miyukierika
とうとうめっかっちゃった~❢事情のわからないジニョン・・・暴走しなければいいのですが・・・・きゅうにドキドキしてきちゃいました(*_*; 2011/06/27 15:20
akanenoai
kurumi☆さん、こんにちは。朝、昼、夜、毎日開いて待ってました、待った甲斐があり、凄いドキドキ感を感じましたし、れいもんさんと同じ、最後の3行に私も堕ちました、次回も毎日待ってます。 2011/06/27 12:28
れいもん
ああ~、見つかっちゃった@@ジョアンだけでなく、ジニョンも見つかったなのかなあ。。それにしても、できる男二人の会話はかっこいい!そして、最後の3行に私は堕ちていきます~〃▽〃 2011/06/26 23:30
 
 

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