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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3821376/4665002
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ラビリンス
創作
No 29 HIT数 4797
日付 2012/03/31 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ラビリンス-過去への旅-27 完 あなたの過去も愛してる
本文


「何をしていた?」 
ドンヒョクは恐ろしく冷たい声で言った。
ジニョンは彼に掴まれた胸倉のせいで、爪先立ちになるしかなかった。

「今まで。何をしていた!」 
ドンヒョクは尚も声を荒げ、彼女の胸倉を掴んだ手に更に力を加えた。
「くっ・・」 ジニョンは息苦しさに声を詰まらせた。

「ボス!申し訳ありません。すべて僕が悪い・・」 
ジョアンが慌てて仲裁に挑もうとふたりに駆け寄った瞬間、
ドンヒョクが大きく振り上げた肘が、ジョアンの顔面に命中し、
彼はいとも簡単にその場に伸されてしまった。

「ボス!」 それに驚きとっさに動こうとしたミンアの行く手を
レイモンドの腕が阻んだ。
「黙ってろ。」 レイモンドはミンアに落ち着いた口調で言った。

ミンアは行く手を阻むレイモンドと、まるで炎と化したドンヒョク、
倒されながらも何とか起き上がろうとしているジョアンを、
不安げに見ていた。

ドンヒョクはジニョンの胸倉を掴んだまま、彼女を睨みつけていた。
ジニョンもまた、ドンヒョクから決して目を逸らさなかった。
彼女には彼の想いが手に取るようにわかっていた。
「わかってる。」 ジニョンは落ち着きを装い、そう言った。

「わかってる?何がわかってる!」 
ドンヒョクの目はジニョンの胸の奥を刺すように鋭かった。
「心配かけて・・ごめん・・なさい」
ジニョンはドンヒョクの怒りを逆撫でしないよう、注意深く言った。

するとドンヒョクは突然手の力を抜き、ジニョンの首を楽にした。
そしてジニョンがホッと息を吐いた直後、彼は踵を返し、
出口へと突き進んだ。

ジニョンにはドンヒョクのその行動も予測することが出来た。
彼女は彼によって押し付けられた壁に背中をつけたまま
目を閉じ大きく息を吐くと、今度は決心したように目を見開き、
ドンヒョクの背中を強く睨んだ。
「ドンヒョクssi!」

その声を無視して憤然と突き進むドンヒョクの背中に向かって、
ジニョンは更に声を張った。
「シン・ドンヒョク!」
ジニョンの甲高いその声が天井の高い静かな部屋に響き渡った。
ドンヒョクは一瞬ピクリとして立ち止まったかと思うと、
怒りに満ちた顔を変えられないままに、ゆっくりと振り返った。

ジニョンはドンヒョクにつかつかと近づくと、彼に負けじと
強固に睨み上げた。
「何だ。」 ドンヒョクは冷めた声で突き放すように言った。

「何故逃げるの?」 ジニョンは責めるように言った。
「逃げる?」 ドンヒョクはそう言って更に胸を張った。

「ごめんなさい、って謝ったでしょ?
 心配してたって・・素直に言えばいいじゃない。」

「はっ・・」

「意地っ張り。」
「何だと?。」

突然、ジニョンが彼の胸倉をネクタイごと掴み取り、
力の限りそれを自分へと引き寄せた。
ドンヒョクの顔はその勢いのままジニョンへと向かい、
彼の唇はジニョンの唇で乱暴なまでに塞がれてしまった。
その瞬間、ドンヒョクの驚きの目とジニョンの怒りの目が
指一本分の距離で相対した。

ジニョンは彼を逃がすまいと腕に取ったネクタイの付け根を
力いっぱい締め上げるように握っていた。
「く・・」 合わさったままのふたりの唇の間から、ドンヒョクの
「苦しい」という声が小さく漏れたが、ジニョンはそれすらも無視した。
ただ勢い任せの乱暴なキスだった。

  《あなたがどれほど心配していたのか・・
   わかってるわ・・ドンヒョクssi・・・》

ジニョンは自分の想いを彼と交わる唇に込めていた。

  《わかってたまるか》

ドンヒョクは余りに窮屈なキスに、仕舞には苦笑しながら、
胸に呟いていた。
少しして、我慢の限界とばかりに彼はジニョンの体を持ち上げ、
彼女によってもたらされた首の圧迫から自分を解放した。
そして重なった唇はそのままに、彼女に両腕を巻きつけると、
容赦無くその細い肢体を締め上げた。



エマはふたりを目の当たりにして、小さく溜息を吐いた。
目の前に、ひとりの女を恋しさの余り怒る男の姿があった。
その男は自分が長年恋焦がれたひと。
しかしその男が悲しくも焦がれる女は自分ではない。

わかっていたはずだった。
決して自分の前で怒りに震えることのなかったひと。
決して本心を覗かせもしなかったひと。
望めるはずのないものと、とうに知っていた。
それでも重なるふたつの影に胸が締め付けられる自分が
情けなかった。
エマは静かにふたりに背を向け、出口へと向かった。

ルカはそんなエマを黙って見つめていた。
そして慰めるように肩を抱き、彼女のそばを離れなかった。
その後ろをトマゾがふたりを守るように付いて歩いていた。

レイモンドは少しばかり呆れた顔でふたりを眺めながら、
倒れていたジョアンを立ち上がらせると、ミンアに出口を指して、
ここを出るよう合図した。
そして、ジョアンを肩に担ぐように抱き上げ、出口へと向かった。



「く・・くるしい・・・」 ジニョンは唸りながら、彼の胸を押しやって
やっと自分の唇を彼の唇から離した。「苦しいわよ、ドンヒョクssi」
ジニョンは大きく深呼吸しつつ、彼を罵しることを忘れなかった。

「君から仕掛けた。」

「だいたいね。」 ジニョンはドンヒョクに詰め寄り、続けて言った。
「あなたはいつもそうなの。つまらないことで直ぐ怒る。
 怒ると直ぐに黙ってしまう。こ~んな顔してね。」
彼女は自分が仕出かしたことを棚に上げて捲くし立てた。

「つまらないこと?」 ドンヒョクは首を傾げてみせた。

「そうよ! いつも。 怒って。 ばっかり。」
ジニョンはドンヒョクの胸に何度も指を突き刺しながら言った。

「はっ・・つまらないことか?」 
ドンヒョクは肩をすくめ、わざとらしく繰り返して言った。

「ぁ・・そうじゃないけど・・悪かったと思ってるわよ・・本当に・・でも。」
「でも?」

「あ・・あんな風に冷たく背中を向けられたら・・
 いったいどうしたらいいわけ?私は。」
ジニョンは決して形勢逆転に及ぶまいと、踏ん張った。

「・・・追いかけてくればいいだろ?」
ドンヒョクは“当然だろ?”と言わんばかりに言いのけた。
「オモ・・何てこと?・・・・暴君。横暴。」
ジニョンは負けじとばかりに胸を張った。

「悪いのは君だっただろ?」
「悪いのは私だけ?」

「僕への仕打ちを大いに反省することだ。」
「仕打ちって・・大げさよ。」

「大げさ?この三日間、死にそうだったさ。」
「元はと言えばあなたが私を置いてきぼりにしたからでしょ!」

「勝手に動くなと念を押したはずだ。」
「それが暴君だっていうのよ。」

「暴君。結構。」
「ほら直ぐに居直る。・・・だったら!どうすればいいわけ?」

「僕が苦しんだ分、苦しんでみるといい。」
ドンヒョクのその一言でふたりの矢継ぎ早な言い合いが
やっと静まった。かに見えた。

「・・・・・性格悪い。」 ジニョンが一瞬の静寂に呟きを投じた。
「はっ・・今更?」 ドンヒョクは腕を組んで顔を背けた。

「あなたって!ホントに。性格悪い!」
ジニョンが肩を怒らせた瞬間、ドンヒョクが彼女の胸倉を素早く掴んで
今度は彼女の唇を自分の唇へと持ち上げ、押し当てた。
「く・・・」
結ばれたふたりの唇の間で“苦しい・・”と声を漏らしながら、
ジニョンは急に可笑しくなった。
そして怒りで力が入った肩を彼の腕に委ねると、突然笑い出した。

「さっきのお返しだ」 
彼は彼女をふわりと抱くと、唇を少しだけ離し無愛想に言った。
ジニョンは彼の腕の中で柔らかく笑っていた。

「もう、こんなことはしないと約束して。」 
ドンヒョクはジニョンの頬を両手で挟んで、自分から少しだけ離すと
今度は彼女を優しく見つめて言った。

「こんなことって?・・」
白々しいジニョンの返事に、ドンヒョクは片方の眉を上げてみせた。
「タイを締め上げたキス?・・それとも・・すごく心配かけたこと?」
ジニョンは続けて言いながら、自分が乱してしまったドンヒョクの胸元を
丁寧に直していた。

「・・・キスは・・・許す。」 ドンヒョクは仕方ないというように呟くと、
今度はくすぐったいほどに優しくジニョンの唇を噛んだ。
ジニョンの顔がドンヒョクの胸の中で溢れるほどの微笑に崩れた。



ドンヒョクとジニョンが教会から出て来ると、外には
レイモンドやミンア、少しまだふらついたジョアン、
エマの肩を抱いたルカたちがふたりが出てくるのを待っていた。
ジニョンはみんなの顔を見ると、照れ隠しの笑みを浮かべた。
一方ドンヒョクは、彼らに対して無愛想なまま顔を逸らした。

ミンアはジニョンのそばに駆け寄り、涙ながらに無事を喜んだ。
「ジニョンssi~~心配したんですよ~」 
ドンヒョクによって顔に青あざを作られたジョアンも涙声だった。
ジニョンは右手でジョアンの手を取り、左腕にミンアを抱いて、
“ごめんなさい”と繰り返した。

「いつまでも駄々をこねてたのか?」 
煙草に火をつけながら、レイモンドがドンヒョクに向かって
意地悪さ全開に言い放った。
ドンヒョクは俯き小さく笑ったが、その顔を彼には見せなかった。

「駄々・・って、Mr.レイモンド・・」 
傍らでミンアがレイモンドの遠慮の無い言葉に目を丸くして、
レイモンドとドンヒョクを交互に伺った。
今まで何処の誰も、フランク・シンに向かってそんな口を利く人間を
見たことがないミンアやジョアンにとって、或る意味
レイモンドの容赦の無い物言いは、内心小気味よく聞こえた。

ドンヒョクは煙草を優雅にくゆらせるレイモンドをきつく睨むと、
突然何も言わずジニョンの手を掴んで歩き出した。
「ボス!」 ミンアの声が追いかけたが、ドンヒョクは振り向かなかった。

「放っておけ」 レイモンドが言った。
「でも・・」 ミンアはボスであるドンヒョクとレイモンドの間で
おろおろとするしかなかった。

「奴にはプライドを繕う時間が必要なんだ。」
「プライド・・ですか?」

「あいつは・・ジニョンの前では、体裁もプライドも
 かなぐり捨てることができる。シン・ドンヒョクに戻ることができる。
 しかし、私達の前では冷静で、沈着で有らなければならない。
 いつも“フランク・シン”でなければ、自分が許せないのさ。」
レイモンドはそう語った。

「・・・・・何だか・・寂しい気がします。
 私達の前でもシン・ドンヒョクであってくださればいいのに・・」
ミンアが寂しげにそういうと、レイモンドは無言で彼女を見つめた。

「何ですか?」 ミンアは彼の視線に気付いて首を傾げた。
「それは・・・愛情表現なのか?」 レイモンドは言った。
「えっ?愛情って・・まさかそんな・・」
ミンアはしどろもどろになって赤くなった。

「冗談だ。」 レイモンドは少しムッとしたように言った。
「お人が悪いですね、Mr。」

「本当の奴を知ってどうする」 レイモンドは淡々と言った。
「どうするって・・」

「私は知りたくないね。本当の奴を知ったら・・苦しいだけだ」
「苦しい?」

「ああ・・悲しいくらいに苦しい。だがジニョンなら・・・
 彼女なら決して苦しいままで・・悲しいままで終わらない。
 何故ならフランクが・・・それを許さないから。
 彼女になら・・簡単に降参してしまうから。
 ふっ・・そうなんだ・・
 あいつはジニョンに抱かれた瞬間、鋭い爪を隠す・・
 まるで野生の豹が飼い猫になったみたいにね。
 そして彼女の腕の中で体を丸くして眠るんだ。」

「飼い猫ですか」

「ああ、気弱な飼い猫だ、あいつは。
 ジニョンという女にしか懐かない、癖の或る飼い猫。」

「何だか・・納得できそうで、怖いです。あなたの論理。」

「知らなかったか?・・私は正論しか言わない。」
レイモンドはエマが自分の話を後ろで聞いていることを
承知していた。
実を言うと彼は、彼女にそれを伝えたかったのだった。
エマもまた、そのことを理解していた。
レイモンドの言葉を聞きながら、エマは俯き加減に微笑んだ。

「エマ・・・」 ルカが慰めるような眼差しで彼女を見つめた。
「ルーフィー・・・」
エマはルカの優しい眼差しに触れると、心が痛かった。
「ごめんなさい・・・あなた達の・・」
ルカは首を横に振った。「もう何も言わないで・・・」
エマは優しく微笑み頷いた。そしてルカの頬を撫でながら言った。
「ルーフィー・・どうか・・・お父様やお母様の分も・・・
 沢山の幸せを掴んで・・・お願い・・・」

「わかってる・・・わかってるよ、エマ・・・そうする・・・
 必ずそうするから・・・」
ルカはそう言いながら、自分の頬を撫でるエマの手を
優しく包んだ。



「どうぞ、用意が出来ました」 トマゾが言った。
ドンヒョクとジニョンはトマゾに誘導されて、ボートに乗り込んだ。
ジニョンはレイモンド達が乗り込んで来るのを待っていたが、
彼らが乗り込まない内に、操縦士がエンジンを掛け、
今にも発進させようとしていた。

「あ・・待ってください」 ジニョンが操縦士に声を掛けた。
しかし川岸に立つ人々は、一向にボートに乗り込む気配が無かった。
「レイ!・・早く乗って?」 ジニョンが声を掛けた。

「あ・・言い忘れたよ、ジニョン。
 私たちは今夜はここに滞在することにしたんだ。
 部屋もホテル並にあるようだしな。だから・・・
 ここでさよならだ。またその内にな。」

「え?レイ、そんな・・ルカ・・みんなも?」
対岸の人々はそれを認めるように一様に微笑んだ。

「ジニョンssi!・・ありがとう!
 あなたと会えてすごく嬉しかったです」
ルカが満面に笑顔を称えて言った。

「そんな・・だったら、私たちも・・」 
そう言いながらジニョンはボートを降りようとした。
その腕をドンヒョクは掴んで自分に引き寄せた。

「ドンヒョクssi?・・」
「いいんだ・・・ここで別れよう。」

「えっ?だって・・まだ沢山・・お話・・ルカとだって・・
 ちゃんとお別れもしてない」

「いつかまた会えるさ」 
ドンヒョクはそう言ってジニョンの肩を抱いた。

「だって・・こんなあっけないお別れなんて・・」 
ジニョンは涙が込み上げて仕方なかった。
彼女はいつの間にか既に川岸から離されたボートから、
川岸のルカを見つめた。

「ジニョンssi!」
突然ルカがジニョンの名を叫びながら、対岸を走り出した。
ジニョンは彼を目で追った。

「ルカ!・・ルカ!・・ありがとう・・」

「ジニョンssi!僕こそありがとう。本当にありがとう!」

「私を守ってくれてありがとう!
 フランクを愛してくれてありがとう」

「ジニョンssi・・・僕・・僕・・・ジニョンssi!愛してます!」
ルカはボートを追いかけながら大きく大きく手を振った。

「私も。私もよ・・・愛してる、ルカー」

「ジニョンssi!・・さようなら!」

「さよなら!ルカ!」 ジニョンもまたこぼれる涙を拭いながら、
次第に小さくなる川岸に大きく手を振った。
互いの声がもう届かないほどにボートが岸を離れていき、
川岸に立つ人々が更に小さくなって、ついには見えなくなった。

「ジニョンssi・・・ありがとう・・・
 あなたは本当に僕の守護神でした。」
ルカは既に見えなくなったジニョンに向かって呟くと、
静かに袖で涙を拭った。


ジニョンはいつまでも泣いていた。

「まるで恋人同士の別れだな」 ドンヒョクが嫌味を込めて言った。

「だって・・ヒクッ・・」

「僕のことも眼中に無かったな、あいつ」

「ひどいわ・・こんな別れ方・・」 
ジニョンはヒクヒクと声を裏返して泣きじゃくった。

「ルカがそうしたいと言ったんだ」
「・・・ルカが?」

「あの子は今、エマのことを考え、そばにいてあげようとしている
 しかし君がいたら・・・
 子供の癖に、気が回るんだ、あいつ・・・」

「・・・・そう、そういうことなのね」 ジニョンは涙を拭いながら言った。

「だから・・もう泣くのはお止め」 
ドンヒョクはそう言って、ジニョンの髪を撫でた。
「ええ」 ジニョンは納得して大きく頭(かぶり)を振った。

ジニョンはドンヒョクの肩に頭を預け、もうとっくに見えなくなった
川岸の方角を愛しく見つめていた。

「ところで・・」 ジニョンがそのままの姿勢で言った。
「ん?」

「ルカはどうしてエマさんのことで私に気を遣うの?」
「えっ?・・」

「エマさんという人のこと、私、あなたに何も聞いてないわ」
「あ・・それは・・・」

ふたりの背には、赤い夕日が水平線を美しく揺らめかせていた。
「ね、見てご覧・・・」 
ドンヒョクがジニョンの肩を抱いて後ろを振り向かせた。

「わぁ・・綺麗・・」 
ジニョンは目の前に広がった美しい景色に瞳を輝かせ、
感嘆の声を上げた。
「だろ?・・」

「ドンヒョクssi・・・」
「ん?」

「ごまかした?」
「何を?」

「ふふ・・大丈夫よ」
「何が?」

「あなたの過去も・・・」
ジニョンはわざとらしい笑顔でドンヒョクを見上げた。
「ん?」
「・・・愛してるから。」 
「えっ?・・・」 

「ふふ・・何でもない・・」 ジニョンはドンヒョクの胸に頬を寄せた。
ドンヒョクは微笑みながら、彼女の頭をそっと包み込み抱きしめた。
「何だか意味深だな」

「そう?」

「ふっ・・」

「不思議なの・・・たった数日なのに・・・
 ルカと過ごした時間が、あなたと逢えなかった10年分を
 簡単に埋めてくれたような気分なの」
  
「ルカにそんな力があったのか?侮れないな」

「そ、侮れないわ」

「しかし感謝した方がいいかな?」

「そうね、あなたはみんなに感謝した方がいいわ・・
 あ・・忘れないでね、私にも。」

「いつもしてるけど」

「んー足りないみたいよ」

「じゃあ・・この深~い感謝の気持ちはどう表わせばいい?」
 
ジニョンが突然、ドンヒョクの頬を両手で挟んで優しく唇を合わせた。
少しして、ドンヒョクはジニョンの髪をクイと後ろに引いた。
「これでいいの?」
ジニョンは満面の笑顔で「ん・・」と応えた。

ドンヒョクは体を少し反らしたまま、両手をジニョンの背中で交差し、
下へ滑らせると、その腰を優しく引き寄せ抱いた。
そして彼女を見つめながら、ゆっくりと唇を近づけた。
「それなら・・・」


       ・・・お安い御用だ・・・



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kurumi☆
常念さん、ありがとうございました^^>漸く二人に 平穏な幸せなが戻りそうですね<はい、きっと平穏で幸せ一杯かと^^きっと周辺にルカがうろちょろしているでしょう^^ 2012/04/08 00:35
kurumi☆
シロッコロさん、いつもありがとうございました^^>いつか又 kurumiさんの作品読めたら嬉しいです<いつかまた…とは思いながら、試練の無い物語は書けないし、ふたりに試練ばかり与えたくないし(笑) 2012/04/08 00:33
kurumi☆
hiro305さん、>2人の言葉の攻防が動画のように頭に浮かびました<なんて賛辞^^;嬉しすぎる^^いつも応援ありがとうございました^^ 2012/04/08 00:27
kurumi☆
poraris31さん、ありがとうございます^^シーンを頭に描いていただき嬉しいです^^各側は独りよがりかもしれないので、他の人からそう言っていただけるとホッとします^^ 2012/04/08 00:25
kurumi☆
れいもんさん、ありがとうございます^^某所でれいもんさんがヨンジュン以外の人も大好きだと知っておりますが(笑)ドンヒョクを忘れずに観に来てくださってありがとうです^^ 2012/04/08 00:24
kurumi☆
軸であると思っているからです^^そしてお分かりでしょうが、レイモンドもまた「ぺ・ヨンジュン」が演じていました(笑)いつもW主役と意識してましたので^^; 2012/04/08 00:22
kurumi☆
dangowaoishiineさん、ありがとうございました^^最後にレイモンドの言葉を挙げてくださってありがとう^^何故なら、mirageやpassionもそうでしたが、レイモンドの存在はこの物語の 2012/04/08 00:20
常念
手に汗握る イタリアでの日々、漸く二人に 平穏な幸せなが戻りそうですね。熱くて切ない それぞれの愛に 感動です。 2012/04/01 22:31
シロッコロ
kurumiさん この一年お疲れ様でした^^今は ゆっくり休んで下さいね^^いつか又 kurumiさんの作品読めたら嬉しいです^^本音は 終わって寂しいけど・・ね^^;ありがとう御座いました^^ 2012/04/01 22:12
hiro305
悲しいくらいに苦しいドンヒョク、ジニョンの前では体を丸めて眠れる猫、レイのドンヒョク評は正に的確です!離れていた10年を思い返す旅にまた出たくなりました~^^ 2012/04/01 16:25
hiro305
kurumiさん、tomさん、お疲れ様でした&有難うございます^^このドンヒョクの横顔を見ながら2人の言葉の攻防が動画のように頭に浮かびました。誰も入れない2人の強いつながりを改めて認識。 2012/04/01 16:21
poraris31
kurumiさん今回も素敵なお話ありがとうございました。ドンヒョクとジニョンの熱い口付けの情景が浮かんで感動でした!最初からもう一度読み返したいと思います。 2012/04/01 00:15
れいもん
ドンヒョクを感じたくてこれまでも創作を読んできましたが、今回はジニョンさんにやられました~やっぱりジニョンにしかドンヒョクは救えません。とっても魅力的なジニョンです。T_TT_TT_Tの最終回でした。 2012/03/31 07:49
dangowaoishiine
kurumiさん、tomさん、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。レイモンドの、本当の奴を知ったら苦しいだけだ の言葉に 過去のお話が頭にひろがり涙があふれてきました。  2012/03/31 06:59
 
 

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