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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3853403/4697029
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ラビリンス
創作
No 7 HIT数 5915
日付 2011/04/24 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ラビリンス-過去への旅-7.白い手
本文




 

     















「フランク・・・久しぶりだな。最後に会った日から何年になる?」

「さあ、数えたことはありません。」
 
「はは・・5年だよ、フランク」
ドンヒョクのそっけない返事に対して、ジュリアーノ会長は努めて
親しげにそう言った。

「そうでしたか?」

「ああ、随分と待ったぞ。
 やっと私の仕事をしてくれる気になってくれたそうだな。」

「報酬が折り合いましたので。
 割のいいビジネスに乗らない馬鹿はいません」

「無論、君がやってくれるなら、金に糸目は付けない。
 以前からそう言っていたはずだが?・・ああ・・そんなことより・・
 結婚したそうだな、フランク・・」
その言葉に、ドンヒョクは神経を逆撫でされたかのように苛立を覚えたが、
彼はそれをおくびにも出さず、左の口角を上げるだけでそれに答えた。

「聞いた時はまさかと思ったぞ。
 君のような男は結婚などに興味はないと思っていたんでね。
 しかし・・それもまた必要な時もあるだろう、なあ、フランク」
ジュリアーノはわざと媚びるように言った。

「そんなところです」 ドンヒョクはその媚を無視して淡々と答えた。

「ははは・・我々にとっては時に、結婚もビジネスだ。
 しかしめでたいことには違いない。何か後で祝いを贈らせてくれ」
ジュリアーノは穏やかそうな笑みを浮かべてそう言った。

「お気遣いなく。・・・それより急ぎの用とは何でしょう」 
ドンヒョクは急かすように言った。
必要以上にこの場所に留まることを嫌悪する自分を辛うじて
抑えていたからだ。

「今日アメリカ企業の人間が入国した。明朝会って欲しい」

「わかりました。」

「それからもうひとつ。」 
会長は軽く手を挙げて、ドンヒョクの背後に向かって合図を送った。
「・・・・・・」 
ドンヒョクがその合図の先を追うように後ろに視線を向けると、
一人の女が彼を横切って、会長の傍らに立った。

「フランク・・・紹介しよう。」

「・・・・・・」 ドンヒョクは無言でその女を視線で追った。

「私の弁護団の主任弁護士だ。・・エマ・・」
会長はそう言って、彼女の背中を軽く押して、ドンヒョクの前に立たせた。
「おおそうだ、君達は旧知の仲だったな」
ジュリアーノは、たった今気がついたとばかりにそう言った。

「・・・ええ」 ドンヒョクは表情も変えず答えた。

エマヌエーラ・ビアジ。
アメリカとイタリアの混血である彼女は人目を惹く美しい人だった。
金色の長い髪を緩い夜会巻きにして、凛とした佇まいの彼女が、
彼に微笑んだ。 「Mr.フランク・・・お久しぶりです」

「ああ・・」 ドンヒョクは笑みを返さなかった。

「今日から彼女とトマゾが君と行動を共にする。彼女には・・
 君の秘書兼弁護士を勤めてもらう」 会長がエマの背後で言った。

「何のために?」 ドンヒョクはエマを見て言った。

「君を見張るために。」 会長が冗談のように言った。

「見張るため・・・」 しかしドンヒョクはそれが冗談でないことを知っていた。
「私は自分の部下以外をそばには置かない。」 彼は毅然としていた。

「君の意見は聞いていない。」 会長はゆっくりとそう返した。

「・・・・・・」

「その代わり、君の秘書には私のそばで仕事をしてもらう。」 
会長はドンヒョクの傍らに立つミンアに視線を向けて言った。

「断る。」 ドンヒョクは強い口調でそう言った。

「君の意見は聞いていない。そう言わなかったか?」
ジュリアーノの言葉にもまた有無を言わせぬ響きがあった。

「私は大丈夫です。」 ミンアがドンヒョクの背中に近づいてそう言い、
口元が見えないよう小声で続けた。「その方が、内側が見えます。
そうさせて下さい。」 

ドンヒョクは目を閉じ、彼女のその言葉に、仕方ないというように頷いた。

「では、必ず一日に一度は彼女と会わせてもらう」

「よかろう。但し、その時はエマも同席させるように。」

「・・・いいでしょう」

「では・・今日のところはここまでだ。フランク・・久しぶりに食事でもどうだ?
 奥方の話を聞かせてくれ」

「いいえ。早速ホテルに戻って、明日の資料を作ります。
 それでは。」
ドンヒョクは、ミンアに目で合図を送り、その場を退席しようとドアに向かった。

「・・・・エマ」 会長はドンヒョクの後を追う様、エマに顎で合図した。

ドンヒョクは部屋を出て、エレベーターに向かった。
エマは少しだけ急ぎ足でドンヒョクの後を追い、彼がエレベーターの
ボタンを押すと同時にその横に並んだ。

ふたりは無言でエレベーターの到着を待った。
数十秒ほどして、エレベーターの到着の合図音と共に、扉が開き、
ドンヒョクはその中に足を踏み入れ、エマも彼に続いた。

エレベーターの扉が静かに閉じ、重力が上に作用した。
20階から1階に降りるまで、ふたりは正面を見据えたまま無言だった。

ドンヒョクとエマがエレベーターを降り、ロビーに向かうと、
トマゾが一足先にエントランスの入り口付近でふたりを待っていた。
彼はふたりを見つけると、外で待たせていた車の運転手に合図を送った。

ドンヒョクとエマが後部座席に、トマゾが助手席にそれぞれ乗り込んだ。
車が静かに動き出すと、エマはドンヒョクの横顔をゆっくりと覗いた。

ドンヒョクは正面を見据えたまま、彼女の視線を無視した。
彼女がその視線を彼の手に落とすと、左薬指の指輪に目が留まった。
エマはその手に自分の白い手を重ねた。





「ミラノへ行きましょう。」 ジニョンは力強くそう言った。

「ミラノへ?・・そんなことしたら・・・
 僕はここで留守番するように言われてるんですよ」
しかもジョアンは、ドンヒョクがいるだろう場所からいつも遠ざかっているようにと
彼に念を押されていたのだった。

「大丈夫よ、電話は携帯。私は自由にイタリアを満喫してる。
 事務所に電話が掛かることなんて心配しなくてもいいでしょ?」

「それはそうですが・・・」
「だったら早い方がいいわ。ね。明日の朝」

ジョアンはしばらく考えて、ジニョンを見た。
「・・・わかりました。では明日事務所に寄って、必要な資料データを
 僕のパソコンに。その足で。・・・いいですか?」 
ジョアンはそう言いながら、徐々に覚悟を決めていった。

「いいわ。ジョアン。ね、思ってたんだけど・・私達・・
 名前の響き何となく似てない?ジョアンとジニョン・・
 ね、似てる。」 ジニョンは浮かれたように言った。

「そ、そうですか?」 ジョアンは後ずさって答えた。

「いい相棒になりそうね」 ジニョンはそう言って手を差し出した。
「さっき、事務所で握手できなかったから」

「あ・・・はい。」 ふたりはしっかりと握手した。
「では、今日のところはお休み下さい。
 明日の朝、七時にお迎えに上がります。」 ジョアンが言った。

「ええ」

「これがこの部屋のカードKEYです。でもくれぐれもお願いですが、
 おひとりでお出掛けになることだけは止めて下さい。」

「わかってるわ」

「では」 ジョアンは自分の部屋に戻って行った。


ジニョンはひとりになると、寝室に入り、クローゼットを開けると
ポールに掛けられている服や、引き出しの中を確認した。
ドンヒョクが言っていた通り、ジニョンの衣類も一揃いあるようだった。
彼女は今日一日に起きたことを思い出しながら、そこにあったバックに
何枚かの衣類を詰め、数日分の身支度を手早く済ませた。
そして疲れたようにベッドに腰を下ろすと、自分の左手の指輪を見つめた。
ドンヒョクが10年前に用意してくれていた小さな石が光る指輪と並んで、
つい一週間ほど前、彼にはめてもらった彼との揃いの結婚指輪を
右手の人差し指でそっと撫でた。

ドンヒョクの言いつけを守らない言い訳を、心の中で呟きながら。
≪フランク・・・あなたのせいですからね。≫




ドンヒョクは自分に重ねられたエマの手を右手でそっと持ち上げると
その手を自分の唇へと運び、儀礼的に軽くくちづけた。
そして、何も言わず、その手を彼女の膝の上に戻した。

エマはドンヒョクのその行為が、見事に自分を拒絶していたことに
視線を落とすしかなかった。
それでも彼女は彼に、ずっと伝えたかった言葉を静かに口にした。

「・・・・あなたを・・・忘れたことはないわ」 

「・・・・・・・僕は・・・・


         ・・・忘れた。」・・・


     





 






 




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kurumi☆
ミフさん・・・「彼との過去を彼女は・・・」その後は何~~~~私は何を書けばいいの~~~ 2011/05/03 22:35
kurumi☆
miyukierikaさん、ありがとう^^ははふたりの危機管理の温度差はいつものこと^^互いへの愛情の温度は同じだけどね^^ 2011/05/03 22:33
kurumi☆
hiro305さん、ありがとう^^原作以上に冷たい?そうかな~~^^;原作でも、結構回りの人間には冷たい眼差し向けてたよ~(笑)でも確かにそれ以上を意識してる^^; 2011/05/03 22:32
kurumi☆
yukitanpooさん、ありがとう^^こんな男、一般的にはどうかと思うけど、女としては自分以外には冷たいって、気持ちがいいものかと^^ 2011/05/03 22:30
mf1117
キャ~~・・・僕は・・・忘れた・・・この言葉に落ちた私^^彼との過去を彼女は・・・ 2011/05/02 01:01
miyukierika
なんだか矛盾してますね(^^;) 2011/04/28 16:56
miyukierika
ドンヒョクから伝わってくる危機感とジニョンさんから伝わってくるものに温度差がありすぎて、これからの展開に少し不安も感じます。でも、kurumiさんだからという安心感もゥフ(*´∪`*)フフ~ 2011/04/28 16:54
hiro305
もうワクワクドキドキです。次回の更新がもう楽しみです^^ 2011/04/27 14:59
hiro305
原作以上に冷たいkurumiさんのドンヒョク、ぞくぞくしますね~~^^ジョアンを引っぱってミラノに行ってしまうジニョンにきっとトラブル発生でしょうけれど、ジニョン限定ホットのドンヒョクがどう対応するか 2011/04/27 14:58
yukitanpoo
ジニョン以外には気持ちがいいほど冷たいドンヒョクは私も大好きです。ジニョンがミラノに行くとどんなことが起きるのでしょう・・・ドキドキです!!! 2011/04/27 09:39
kurumi☆
poraris31さん、ありがとうございます^^ジニョン以外には気持ちがいいほど冷たいドンヒョクが私は好きです(笑) 2011/04/26 12:18
kurumi☆
ノランさん、お忙しいのにいつも読んでくださってありがとう^^ラビリンスのドンヒョクはきっと最後までクールだと思う^^ 2011/04/26 12:17
kurumi☆
akanenoaiさん、ありがとうございます^^そう20話と言っていたのですが、どうもそれだけでは済まなさそうな雰囲気になりました・・・もうちょっと掛かりそうです^^ 2011/04/26 12:15
kurumi☆
ジェニーさん、いつもありがとうございます^^8話辺りから徐々にこのストーリーの本題に入っていきますのでお楽しみに^^ 2011/04/26 12:13
kurumi☆
れいもんさん、ありがとうございます^^私の書いているものが、本当にドンヒョクのようだと言ってもらえるのが一番嬉しいです^^彼の過去は8話位から徐々に^^ひっぱるひっぱる~(笑) 2011/04/26 12:12
poraris31
最後のドンヒョクの「僕は忘れた」の一言に私の心臓はバクバクです! ジニョンはミラノの行ったら危険だよ~ でもこんなドキドキしたお話大好きです♪kurumiさんありがとう(^_^)v  2011/04/25 23:32
ノラン
僕は…忘れた」キャー、かっこイイ!クールなドンヒョク〰私も痺れてます〰〰♡ジョアンはジニョンに振り回されそうね。でも、彼もジニョンの魅力に魅かれていくような予感☆D&Jどちらも魅力的だから仕方ないか〰 2011/04/25 21:52
akanenoai
kurumi☆さん、こんにちは、氷のドンヒョク痺れます。次が早く読みたいと思う反面、あー(T_T)、20話位と書いてあったから、だんだん残り少なくなるーと、複雑に待ってます。 2011/04/25 15:40
ジェニー・S
どんどん 面白くなり、D&Jワールドに はまっています、次回がと考えるだけで、ドキドキしてます。 2011/04/25 09:44
れいもん
6・7話と一気読み♪どこからどう読んでもドンヒョク~*^^*ああ~、ジニョン。危険なところに行ってしまうのね~、それもまたジニョンらしい。ドンヒョクの過去が気になりつつ、仕事モードの彼はかっこいい~! 2011/04/25 01:08
 
 

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