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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3853614/4697240
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ラビリンス
創作
No 8 HIT数 5830
日付 2011/05/03 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ラビリンス-過去への旅-8.目覚めた朝に
本文








         collage by tomtommama



                   story by kurumi









             8.目覚めた朝に













「・・・・あなたを・・・忘れたことはないわ・・・フランク・・・」 
エマは静かにそう言った。

「僕は・・・忘れた。」 エマに答えたドンヒョクの声は氷のように冷たく、
彼との再会に震わせていた彼女の胸を、簡単に突き刺した。

それでもエマは懸命に堪えていた。
そして小さく笑みを浮かべ、ドンヒョクの言葉を繰り返した。「忘れた・・・」
それから彼女は、彼にゆっくりと視線を向けた。
「それは少し違うんじゃない?フランク・・・少し違う・・・
 忘れたんじゃなくて・・・あなたの心には・・・最初から・・・
 私という女は存在していなかったの。
 ・・・そうでしょ?」 彼女は努めて冷静な口調でそう言いながらも、
彼を見る目の淵に力が入るのを抑えられなかった。

しかしドンヒョクは前を見据えたまま、それに答えることもなく、
彼女の動揺を見ようとさえしなかった。

少し間をおいて、エマは姿勢を正すと、ドンヒョクと同じように正面を見据えた。
そして溜息をひとつ吐いた後、今度は声の色を明るく取り繕い言った。
「それにしても・・あなたが結婚したとは知らなかった。
 ・・・ついこの間なの、会長に知らされて・・・驚いたわ・・・
 あなたが結婚なん・・」
「その話は今必要か?」 ドンヒョクは尚も冷ややかに彼女の言葉を遮った。

エマの作りかけた笑顔が瞬時に曇る様子も、彼は見なかった。

「必要な話だけにしてくれ。」 そう言ってドンヒョクは目を閉じた。
結局彼は、彼女にわずかの取り付く島さえ与えなかった。

「・・・・わかったわ・・・」 エマもまた静かに目を閉じた。





カーテンの隙間から差し込む光で、ジニョンは目覚めた。
まだ見慣れない部屋の天井が視界に入って、一瞬、何処にいるのだろうと
寝ぼけた頭に記憶を巡らせた。

「フィレンツェ・・」 ジニョンは呟いた。
その瞬間、彼女はハッとしてベッド脇の時計を見た。
そして、慌てて起き上がりベッドを降りると、シャワー室へ急いだ。
ジョアンが迎えに来る時間まで、あと30分しかなかった。


ジニョンが手早くシャワーを浴び、簡単に身支度を済ませ、
コーヒーでも入れようかとした時、玄関の方でエレベーターの開く音がした。
「お邪魔しても宜しいですか?」 ジョアンの声が聞こえた。

「ええ、今コーヒーを入れようかと・・」
すると、トレイを両手で持ったジョアンが、にっこりと笑って現れた。
「コーヒーとサンドウィッチをご用意しました」

「・・・・気が利くのね」 
ジニョンは起きたばかりで余裕の無い自分との違いに苦笑いしながら、
珈琲豆の容器に入れ掛けたスプーンを元に戻した。

「よく言われます」 ジョアンは笑って頷いた。





ドンヒョクは目覚めた後、いつものようにホテルの周辺で汗を流した。
彼が滞在するホテルはドゥオーモ駅のそばにあった。
ホテルから近隣の公園を経由して、ミラノの象徴ドゥオーモへ向かった。
早朝人っこひとりいないその周辺で走り込むのは爽快だった。

その景色を眺め、大きく深呼吸しながらドンヒョクは、心の中で呟いた。
≪ジニョン・・今度は君も一緒に走ってみるかい?≫

昨夜は緊急な書類作成に追われ、ジニョンに電話できなかったことが
悔やまれていた。しかし・・・
「今の時間はまだ夢の中だね」 
ドンヒョクはポケットから出し掛けた携帯電話を元に戻し、スパートを掛けた。
そしてホテルに戻ると、館内のジムで軽いウエイトトレーニングを行い
熱った体をクールダウンさせた。

しばらくして部屋へ戻り、シャワーを使っていると、扉の向こうで物音が聞こえた。
ドンヒョクは頼んでおいたルームサービスだと思い、水浴びを続けた。

ドンヒョクがバスローブ姿でリビングに戻ると、ソファーにエマが座っていた。
「何をしてる。」 彼はさして驚きも見せず、頭をタオルで拭きながら言った。

「おはよう。お邪魔しようとしたら、丁度ルームサービスが届いていたの
 私の分もこちらへ一緒に運んでもらったわ。
 会議の前に打合せをしたかったの。いけなかった?」
エマはドンヒョクの視線を避けながら、それでも悪びれることなく言った。

「いや」 彼はそっけなく答え、そのまま寝室に向かった。
そして数分後、シャツの袖のカフスを留めながら、エマの待つ部屋へと戻った。

「資料は・・・できているようね」 
エマがデスクの上にまとめられていた書類の束を見て言った。

「ああ」

「後はこれをコピーすればいいかしら」

「頼む。」

「了解。・・・・・・・ゆうべ・・来てくれるかと思った」 
エマが少しだけ躊躇ったように言った。

「何処へ?」 ドンヒョクが聞いた。

「私の部屋へ」 

「何故?」
ドンヒョクは椅子に腰掛け、ジュースのグラスを口に近づけながら、
冷めた口調で言った。

「話をしに」

「何の・・」

「5年前のこと」

「言っていることがわからない。」
ドンヒョクはそう言って、グラスをトレイに戻した。

「・・・そうね・・・あなたはあの時も・・・そうだった。
 私に・・・何も聞かなかった・・・
 本当は聞きたかったことがあったはずなのに・・・」

「じゃあ、聞こう・・君が今、ここにいる理由は?」 

ドンヒョクのその言葉に、エマは俯き溜息混じりに笑った。
「ふふ・・そうね・・・Mr.フランク。・・
 本日のご予定を申し上げて宜しいですか?」 エマが立ち上がり言った。

ドンヒョクは軽く頷いた。

「このホテルの会議室を9時から午前中を予約しております。
 本日お目に掛かるMr.サイモンも昨夜の内にこのホテルに
 滞在なさっていらっしゃいます。
 会合は予定通り10時で宜しいですか?」
エマは凛とした姿勢を崩さず、伝えるべきスケジュールだけを口にした。

「構わない。」 ドンヒョクは短く答えた。

「では。」 
エマは彼の向かいの椅子に腰掛け、ナプキンを手に取った。
「ご一緒にいただいて宜しいですか?」 エマがドンヒョクに向かって、
努めてにこやかに言うと、彼は軽く左の口角を上げることで、
それを承諾した。







「本当に・・・ミラノへ?」 
ジョアンは目の前でサンドウィッチを頬張るジニョンに、確認するように言った。

「・・・もちろんよ」 ジニョンはもぐもぐと口を動かしながら答えた。

「実は昨夜、あの後色々考えてみたんです。やはり止めませんか・・
 ジニョンssi・・あなたは・・」
ジョアンがそう言い掛けた時、ジニョンは彼に向かって掌を向けた。
「ストップ!」 そして彼女はコーヒーで口の中のものを流し込むと言った。
「あなたが行かなくても私は行くわよ。」 

無論、それは到底叶うことではない。ジニョン自身もそれは分かっていた。
しかし彼女は自分の確固たる意思表示の為にそう言ったのだ。
「わ・た・しは行く。」 ジニョンは繰り返し言った。

ジョアンは彼女の頑固さに、無駄な足掻きをするのは止めておこうと思った。
それに自分自身、ボスの仕事に係わっていたい思いが強かった。

ジニョンが言った『ボスに自分の必要性を認めさせる』決して
そういうことではない。
ボスのそばで仕事を始めて二年になる。
この一年、やっと彼に認められたことを実感するようにもなった。

ジョアンは、フランク・シンとの仕事に生甲斐を抱き始めていたのだ。

「わかりました。でもくれぐれもお願いです。
 いつどんな時も僕の言うことを聞いてください。
 決して勝手な行動をお取りにならないこと・・・約束できますか?」
ジョアンは右手を挙げジニョンに掌を見せて、そう言った。

彼女もまた手を挙げて言った。「約束するわ。」
そして続けて言った。「取引・・成立ね。」

「はい。」 ジョアンも笑顔で答えた。


ジニョンとジョアンは朝食を済ませると、荷物を持って駐車場へと降りた。
「ミラノのホテルは昨夜の内に予約しておきました。
 ボス達のホテルから5分ほどの距離です。
  余り近過ぎても困りますので。」

「そうね、ありがとう」 ジニョンは満面の笑みで礼を言った。 

「・・・・ジニョンssi?」

「えっ?」

「ちょっと面白がっていませんか?」 
妙に嬉々としたジニョンの表情を覗き込み、ジョアンは疑うように言った。

「アニョ。」 ジニョンは短く答えて、視線を逸らすように車窓から外を見た。
昨夜食事をした店の前を通り過ぎると、ヴェッキオ橋が左手に見えた。
そしてそのまま昨日と逆の道のりの景色を眺めながら思った。

≪フィレンツェを楽しむのはもう少し後ね≫








「そろそろ」 ドンヒョクは朝食を済ませると、そう言いながら席を立った。

「まだ早いわ」 エマが言った。時間はまだ9時少し前だった。

例え今、彼の自分に対する態度が冷たいものであったとしても
こうしてそばにいることだけで、彼女は満足だった。
「もう少し・・・」 彼女は言い掛けた。≪もう少しふたりでいたい≫

「後は会議室で準備する」 
ドンヒョクは彼女の想いなど気に掛けることもなく、上着を手にした。

エマは軽く頷いて、「そうね」と席を立った。
そして彼女はドンヒョクの手から上着を取り、彼が羽織り易いように広げた。

しかし彼は直ぐに、彼女の手から上着を取り返すと、冷めた眼差しで言った。
「そんなことはしなくていい。」 
「・・・・・・」 

結局上着を自分で羽織り、玄関ドアへと向かうドンヒョクの背中を
エマは無言で追った。






「申し訳ないですが、一緒に上まで上っていただけますか?」
事務所に着くと、ジョアンはジニョンにそう言った。
実のところ、四階までの階段を上ってもらうのは大変だと思ったが、
彼女をひとりで残して行くわけにはいかないと思ったからだ。

「この階段・・好きよ」 ジニョンは作り笑顔で言った。


ふたりが事務所の階に着くと、廊下の向こうに若い女が座っているのが見えた。
ラフなジーンズ姿で、ウエーブした黒髪を後頭部で束ねたその女は
ふたりに気がつくとすくっと立ち上がり、彼らが近づくのを待って
お辞儀をした。

「どなた?この事務所に?」 ジョアンがその女に聞いた。

「ルカ・レリーニと申します。Ms.グレイス?」 
彼女は質問したジョアンにでは無く、彼の後ろに立つジニョンに向かって言った。




「フランク・・・あなたに話しておきたいことがあるの」
エレベーターに乗り込むと、エマは思い切ったように言った。
エマが再会してからずっと、自分に何かを話したがっていることを
ドンヒョクはわかっていた。
しかし彼はそれを無視し続けていた。そして彼は尚もそれを拒絶した。


「5年前のことなら・・・

    ・・・聞く必要は無い。」・・・











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kurumi☆
miyukierikaさん、ありがとう^^5年前に起きたことがエマとの決別に繋がったことは間違いないようです(作者談^^) 2011/05/18 23:24
kurumi☆
ミフさん、ありがとう^^実際に行かれたミフさんにもその情景が浮かんでくると嬉しいです^^ 2011/05/18 23:22
kurumi☆
ノランさん、ありがとう^^5年前、5年前と思わせぶりでごめんね^^もう少しで事情がわかります^^ 2011/05/18 23:20
kurumi☆
hiro305さん、ありがとう^^ドンヒョクがエマに対してこれほど冷たいわけは、物語の中盤でわかってくると思います^^(思いますって・・私が書いてるんだけど・・笑) 2011/05/18 23:19
kurumi☆
ジェニーさん、ありがとう^^どんなストーリーになるのかはもう少し進まないと見えてこないかもしれません(笑)じれったいでしょ?^^ 2011/05/18 23:18
kurumi☆
poraris31さん、ありがとう^^5年前に何があったかは、もうしばらくお待ちを^^Msグレイスとはミンア・グレイスのことです^^「こいびと」でも出て来たフランクの秘書です^^ 2011/05/18 23:17
miyukierika
5年前に何があったのでしょうか!気になるぅ~でもこんな冷たいドンヒョクは素敵ですね^^ずーっと見ていた気もします^^; 2011/05/08 21:06
mf1117
念願の地に行けた喜びを今、ラビリンスを読んで、あの感激した景色とドンヒョクが重なっています。ミラノもローマも、かなり自由行動があり色々と歩いたんですょ。 2011/05/05 23:24
mf1117
フィレンツェ・・・ヴェッキオ橋・・・フィレンツェを見渡せる岡・・ミラノのドゥオーモ、読んでいて10年前に旅行で行った景色を思い出しています。ドゥオーモの屋根に上り大理石の凄さ彫刻の見事さに感激をし 2011/05/05 23:19
mf1117
えっ・・・5年・・・5年前に、いったい何があったの?どんなに冷たくされても彼の傍に居たい彼女の気持ちも悲し過ぎる位に解るわ~~でもジニョンがいるのょ。 2011/05/05 23:10
ノラン
オレンジジュースを飲むDの映像に本編の仕事モードでの朝食が思い出されます☆ミラノでの朝食もきっとこんな感じなんだろうなぁ〰と脳内変換中〰(爆) 2011/05/05 21:31
ノラン
何を言っても、何をしてもことごとく拒否されるエマ。5年前、いったい二人に何があったんだろう!?それに、新たな女…気になります〰☆それにしても、ジニョンはジョアンとの約束を守れるんだろうか!? 2011/05/05 21:28
hiro305
エマに対して氷のナイフのようなドンヒョク、何があったの~?ジニョンがミラノに行ってしまうとまずい様な・・でも彼女は大人しく言われた通りにはしないし・・絡まっていく人間模様が面白いですね^^ 2011/05/05 15:14
ジェニー・S
楽しみにしていました。冷めた口調のドンヒョク、 ないしょ?でミラノへ行くジニョン、どんなストウリーになっていくのか ドキドキワクワクです。 2011/05/05 06:46
poraris31
kurumiさん GWの最中にupして下さってありがとうございます。5年前に何があったの?Msグレイスって?ドキドキ感が増加の一途です・・・やっぱりミラノへは行かない方が良いような・・・心配です。 2011/05/05 00:12
 
 

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