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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3852054/4695680
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 12 HIT数 6521
日付 2007/01/20 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 12.君より大切なもの
本文



   
Thema music select &collage by tomtommama


「結局・・・こんなとこ?」

「だって・・・もったいないもの・・・」

彼女に連れられて入った店はアパートから少し離れたハンバーガーショップだった

「もったいないってこと無いだろ?・・・初めてのデートなのに」

「やっぱり・・デートなのね!」

「・・・・・・・こんなんじゃ、サンドウィッチと変わりやしない」

「でもいいわ・・・ここで十分」

彼女は満足そうにうなづいて、ハンバーガーを口いっぱいに頬張った

「・・・・・」

「フランク・・・そんな無愛想な顔しないで、もっと笑って?」

「必要も無いのに笑えない」

「笑うのって、必要があるからじゃないわ・・・
 心が幸せって感じたら、自然に顔に現れるのよ
 今、私といて、幸せじゃないの?」

「・・・・・」

「ねぇ・・幸せじゃないの?」

「・・・・・」

「ん?」

彼女が首をかしげて僕の答えを待っていた

「・・・・・・・そんなこと・・わからない・・・」

「わからない・・って・・・また私のまね?・・・
 ね、フランク・・笑ってみて・・笑えるはずよ・・・リラックスして・・・自然に・・・
 いい?・・あなたは今・・・幸せな気持ちのはずよ・・・」

「まるで催眠術だな」

そう言いながら僕は今、自分がきっとこの上ない幸せそうな笑顔を
彼女に向けただろうと自分でも感じていた

「ほら!やっぱり!
 あなたは凄く素敵な笑顔の持ち主だった!」

彼女は自分が今まで信じてきたことが目の前で実現した、と言わんばかりに
満面に笑顔をたたえて感嘆した


   君の笑顔って・・・誰かに似てる・・・

   誰だっけ・・・


彼女のほころぶ笑顔を前に僕は更に表情を崩してしまっていた

僕の頑なな心は彼女の純粋な心にいとも簡単に屈していた


   なんてことだ・・・


僕はそんな自分を少しばかり嘲笑していた


僕は今まで女の子とこんなデートをしたことがない

たとえ安いハンバーガーショップであろうとも
二人でいるということだけを楽しいと感じる

こんなささやかなことが・・・

   しあわせ・・・なのか?・・・


   幸せ・・・

その言葉を心に描いたのも・・・きっと・・・初めてのことだった・・・

僕は今、彼女を前に・・・彼女だけを見つめている自分が・・・

それを幸せだと微笑む自分が・・・何故だか無性に愛おしかった


「今度はもっと、いいところで食事しよう」

「いいところって?」

「んー・・綺麗なドレスを着て・・・
 ちゃんとフォークとナイフを使って・・・
 高級なレストランで・・・美味しいもの食べる」

「これだって美味しいけど」

「そうじゃなくて・・・君に色んなことをしてあげたい
 仕事が成功したら、何でも買ってあげる
 洋服も・・・靴も・・・アクセサリーも・・・
 NYで一番高いものを・・・君に贈るよ」

   君の喜ぶ顔を・・・もっと見たい・・・

僕は彼女に対して、彼女がくれる笑顔へのお返しを
僕なりの言葉で現していた

「高いもの?・・・そんなの・・・いらない・・・」

彼女はことのほか不満げな表情を僕に隠さなかった

「何故?」

「私はあなたがそばにいてくれればそれでいいもの・・・

   そうかも知れないけど・・・

        あなたと初めて出逢った時から・・・私の心があなたを求めたの・・・
        そのあなたが今、私を見てくれてる・・・それだけでいい・・・

   どうして?

        だって・・・そんなことって・・・
        そんな幸せなことって、あると思う?

   お金があればもっと幸せが買える・・・

        それ以上の高級なもの、私にはないもの・・・」


そう言った彼女の瞳はまぶしいほどに輝いていた・・・しかし僕は
彼女のひと言ひと言に対して心の中で反論していた


「・・・・・・」

僕の表情を伺っていた彼女の瞳の輝きが僕の心を
まるで読んだかのように次第に小さくなっていった
そして・・・

「フランクにはまだ・・・
 私より大切なものがあるのね・・・きっと」

そう言った彼女が切なげに微笑んだ

       「・・・・・・」

僕は即座に 「そんなことない」 と答えられなかった

今の僕の胸にはまだ多くの野望が渦巻いていて
彼女の気持ちには、素直に応えられなかった

「いいの・・・仕方ないもの・・・」

   そんな悲しそうな顔しないで・・・でも・・・

   僕の・・・本当の気持ちは・・・

   どうなんだろう・・・

   何よりも君が大切だと・・・言えるだろうか・・・


少しばかりの気まずさが彼女に合わせた視線を避けさせた
彼女との会話に詰まって口に運んだハンバーガーも
なかなかのどを通ってくれなかった






それでも僕たちはこの日・・・

普通の恋人たちがするように・・・映画を見て・・・

いつの間にか遠くまで来てしまった名も知らない公園を
互いに指を絡めて散歩した・・・

そこは美しい噴水の上がる公園で・・・夜の摩天楼が森の奥に小さく見えた

僕は彼女の香りに酔いしれていた・・・
彼女もさっきの気まずさなんて何もなかったかのようによく笑っていた



「今日はもう遅いから、このまま送っていくよ」

「うん!あ~楽しかった~・・・
 また・・明日お部屋に行ってもいい?」

「今まで了解取ってた?」

「んー・・・取ったことない」

彼女が首をすくめ、愛くるしい笑顔を僕に投げた
僕はそんな彼女がたまらなく愛しくて・・・彼女の肩を引き寄せると
柔らかい黒髪に大事なものにそうするようにキスを落とした

「フランク・・・私のこと好き?」

「・・・どうかな・・・」

僕は宙を仰いで彼女の質問をはぐらかした

「素直じゃないのね・・・フランク・・・」

「君が素直すぎるんだ」

「でもあなたの目は正直よ」

「目?」

「好きだと言ってる」

「誰を」

「私を」

「気のせいだ」

「フランク・・・もっと素直になれないの?」

彼女が呆れたように僕を横から見上げた
      

「言ってみて!」

「何を!」

「君が好きだって」

「言えない」

「どうして?」

「どうしても!」

僕たちはまるで子供の掛け合いのような会話を
繰り返しながら、街路樹の歩道を歩いていた

   君といると・・・まるで・・・

   遠い記憶の幼い日々に戻ったような・・・

   不思議な気持ちになる・・・

   心が真っ白で・・・汚れていない・・・

   そんな気持ちになる・・・

   こんな日が・・・こんな幸せな日が・・・ずっと・・・ずっと・・・

   続けばいい・・・

僕は心の奥深くで・・・

決して叶うことのない願いをただ無心に祈る子供のように・・・
神の御前で手を合わせていた・・・

ふと僕は幼い日の自分に思いを巡らせた・・・
幼い頃教会で祈りを捧げていた記憶が微かに残っている

   信じることは大切なことだと・・・

   あれは誰に教わっただろう・・・
   母だったのか・・・牧師だったのか・・・

今の僕には記憶の隅にすらない

記憶にあるのは・・・

いつの日も・・・
僕の祈りが叶えられることはなかった・・・
そのことだけだ・・・


そして今度も・・・


        また・・・




彼女の寮の近くまで来た時だった
ひとりの男が僕を突き刺すような鋭い眼光を放って現れた
  


あの時のジョルジュという男だった
あの時よりも怒りを増した形相でこの僕を睨みつけていた

そして、そのままの勢いで僕たちに近づいたかと思うと
その怒りを拳に変えて僕の顔を目掛けて突進してきた

僕の顔を見上げながら、腕にしがみつくように歩いていた彼女が
その瞬間やっと、彼の存在に気がついた

僕はとっさに彼女をそばから離そうとバランスを崩してしまい
彼の拳をまともに受けてしまった

       
「オッパ!何するの!」  

「やっぱり・・お前か!・・・いったい・・こいつに何をした!」

「何言ってるの?ジョルジュ!」

「お前は黙ってろ!」


彼はジニョンに対して怒鳴りながら、睨みつけた目は僕から外さなかった
その目は僕に対する怒りに血走り、握った拳はわなわなと震えていた
ジニョンはそんな彼を必死になってなだめようとしていた

 

僕はいたって冷静だった・・・
二人の様子を冷めた目で眺めながら、切れた口の端を指で拭った

再度向かってきた彼に今度は僕が容赦をしなかった
彼は顔と腹に僕のパンチを数発浴びると崩れるように地面に倒れこんだ

『ジョルジュ!ジョルジュ!』

彼は気絶しかけていたようだった

『フランク!ひどいわ!・・・ひどいわ・・こんな・・』

   また・・・ハングル・・・

「そっちが先に殴りかかった・・・」 僕は呟くように言った

『そうだけど!・・・彼・・こんなこと慣れてないの!
 ジョルジュ!しっかりして!』
 

ジニョンが泣きながら彼を揺さぶって、彼はやっと正気を戻した

『ジョルジュ・・・大丈夫?』 

・・・・こいつに・・・近・・づくな・・・
 ジニョンは俺のもの・・だ・・・お前なんかに・・・
 渡さない!絶対に・・・渡さない!」
 

彼の意思はきっと、殴りかかろうと僕に向かっていただろう
幾度となく立ち上がろうと懸命に歯を食いしばっていた・・・しかし・・・
僕の拳をまともに受けていた彼はジニョンの腕に支えられるしかなかった
彼女は彼を抱きしめるように彼の動きを必死に止めていた

   そいつに・・・触れるな・・・ジニョン・・・

その光景を目の当たりにした瞬間、僕の周りが無音になった
頭に血が激流のごとく上っていくのが自分でもわかった

彼女の腕が彼を抱く姿に・・・僕の心は尋常を失っていた

   この怒りは・・・何だ?

   嫉妬?・・・彼に対して?・・・

   これが・・嫉妬という感情なのか?・・・

   そんなばかな・・・

   そんな陳腐な戯言・・・僕に・・・存在するもんか・・・


それでも僕は努めて冷静に上から彼を見下して言った

「君のもの?なんだ・・・それは悪かったね・・・
 僕はたかが女を争うつもりなんて、さらさらない・・・
 そんなに大切なら・・・鍵をかけてしまっておくことだ」

「フランク・・・」

僕のその言葉に彼女が驚きと悲しみの入り混じったような
複雑な顔を僕に向けた

「フランク・・・冗談・・言わないで・・・」

僕は彼女の瞳から逃れるように冷たく背中を向けた


「フランク!待って!冗談は止めて!
 今の・・・どういう意味よ!」



「そういう意味だ!」 



   僕には幸せなんて・・・ない・・・



           ・・・そういう意味だ・・・







         










  
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