ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3854672/4698298
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 89M/100M
メンバー Total :335
Today : 0
書き込み Total : 1988
Today : 1
mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 13 HIT数 6686
日付 2007/01/27 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 13.でも・・・
本文




   

Thema music select &collage by tomtommama







   ・・・冗談は止めて!・・・

彼女の叫ぶような声が背中に突き刺さっていた
それなのに僕は彼女を振り返らなかった

僕を追う彼女の声を置き去りにしてしまった

   何故だ!

行き場の無い嫉妬心に僕はいらだち、
傍らにそびえ立つ樹木に力一杯拳をぶつけていた

   どうして、あんなことを・・・

   心にも無いことを・・・言ってしまったんだ・・・


時折後ろを振り返りながら歩いていた

   何を・・・期待している?・・・

結局彼女は僕を追っては来なかった

   何を待ってるんだ?
  
   君をまた傷つけたのは・・・


        この僕なのに・・・







私はジョルジュに肩を貸して近くの公園に向かった
彼をベンチに腰掛けさせると、バックからハンカチを取り出した

   「オッパ、待っててね・・・濡らしてくる」

彼のそばを離れようとした時、彼が私の手を力強く掴んだ

   「行くな・・・」

ジョルジュが子供のような目をして私を止めた
      
   「そのあざ・・冷やさないと・・・」

   「いいから・・・座って・・・」

   「・・・・・・・」

   「オッパ・・・」

   「・・・・・・ざま・・・ないな・・・」

   「無理するからよ・・・喧嘩弱いくせに・・・」

私はハンカチを濡らすことをあきらめて、彼の隣に座った

   「フッ・・・小さい頃から、いつもそうだったな・・・
    大人たちには“僕がジニョンを守る”そう宣言しておきながら・・・
    実際に守られてたのは俺の方だった・・・
    幼稚園の頃も・・・小学校の頃も・・・
    お前が俺の前に立ちはだかって、喧嘩をけし掛けてきた奴らに
    睨み利かせてた・・・」

   「そうだった?」

   「ああ・・・そうだった・・・」

   「オッパ・・・お坊ちゃんだったから・・・」

   「お坊ちゃん・・か・・・よく言われてた・・・
    気弱で・・・非力な・・・お坊ちゃん・・・
    お前を守れない自分が歯がゆくて・・・強くなりたくて・・・」

   「・・・・・・」

   「・・・それで・・・家を出たんだ・・・」

   「知ってる・・・だから・・・」

   「・・・・・・」

   「だから・・・追ってきたの・・・」

   「・・・・・・」

   「おじ様に頼まれた・・・
    あいつを守ってやって欲しいって・・・」

   「おやじが?」

   「オッパ・・・跡取りだもの・・・心配してるのよ・・・おじ様
    口では勘当だと言ってても・・・大事な息子なんだから・・・
    私がそばにいれば、道を外すことはないだろうって・・・
    うちの父と共同戦線張ってた・・・」

   「俺はお前の親父に“ジニョンを守るんだぞ”って・・・結局・・・
    お前の方が俺より親父たちに信用あるってわけか」

   「オッパ・・・いつから”俺”って言うようになったの?
    ちっとも似合わないわ・・・」

ジョルジュは情けないような顔をして笑った

        お前を守れる強い男になろうと決めた時からだ・・・


   「オッパ・・いいえ・・ジョルジュ・・・私ね・・・小さい頃・・・
    あなたが私の王子様だと思ってた・・・」

   「思ってた?・・・・」

   「 ジョルジュ・・・運命って言葉信じる?」

   「ああ、信じてる・・・俺の運命はお前と生きることだ」

   「ジョルジュ・・・・」

   「違うのか・・・・」

   「・・・・・私も・・・そう思ってた・・・でも・・・」

   「でも・・・何だ・・・」

   「でも・・・あの人に出逢って・・・あの人を知って・・・
    最初はね・・・どうしてこんなに気になるんだろうって・・・
    ただ逢いたくて・・・逢いたくて・・・たまらなくて・・・
    一生懸命探したの・・・あの人を・・・
    そして・・・やっと見つけて・・・そしたらね・・・あの人を見つけたとたん
    胸が締め付けらるように苦しくなって・・・・」

   「止めろ・・・そんな話・・・」

   「感じたの・・・私は・・きっと・・・この人の為に・・・この世に存在してる・・・
    無意識にそう感じたの・・・だから・・・」

   「 止めろ!
     止めて・・くれ・・・あいつと会ったのはたった二月前だぞ・・・」

興奮したジョルジュから怒りがほとばしり、私の肩に置かれた手の指が
そこに食い込んだ

   痛かった・・・

   だけど・・・ジョルジュ・・・

   ごめんなさい・・・


   「私・・自分でも信じられないくらいの行動を取ったわ・・・あの人に・・・
    ・・・ジョルジュ・・誤解してる・・・彼が私に何かしたんじゃない・・・
    私が・・・彼を・・・愛して・・・」
       
   「そんなこと!・・・お前の錯覚でしかない・・・目を覚ませ・・・
    さっき、あいつが言った言葉・・お前も聞いただろ?
    ひどい言葉だった・・冷淡な声だった・・・あんな奴だぞ・・・」

   「あれは・・彼の本心じゃないわ」

   「そんなの・・どうしてわかる!」

   「 わかるの!
       ・・・わかるの・・・」

私はジョルジュから目を逸らすことなく自分の想いを告げた   

   「お前は!・・・お前は・・・俺の嫁さんになる・・・
    十八年前から決まってることだ・・・」

   「それは・・・親たちが決めたことだわ」

   「俺はずっと本気だった・・・お前は違ったのか」 

私はジョルジュの真剣な問いかけに対して、
彼の望む答えを返せない自分を十分に悟っていた

   「・・・・・・ジョルジュ・・もう大丈夫よね・・
    ・・・・・私・・行かないと・・・」

   「行く?・・・何処へ・・・」

   「・・・・・・・」

   「何処へ!」

   「きっと・・・あの人が待ってる・・・」

   「待ってる?・・・待ってるもんか!」

   「きっと・・・泣いてる・・・だから・・・直ぐに行かないと・・・」

   「泣いてる?・・・あいつの言葉・・忘れたのか!」

   「ごめんなさい」

   「 ジニョン!待て!行くな!・・・行かせない!
    俺は・・・俺だって・・・
 」


私は少し足元がおぼつかなくなっていたジョルジュを気にしながらも
彼を振り切るようにその場を走り去った


   「ジニョン!今にわかる!お前は・・・ 
    お前は・・・俺と生きるんだ!
    あいつなんかに渡さない!
    どんなことをしても・・決して渡さない!」
 

   
          ねぇ・・おばさん・・・

          ジニョン・・・可愛いね・・・

                  ええ、可愛いでしょ?

          ジニョン・・僕のお嫁さんにしていい?

                  いいわよ・・ジョルジュ・・・その代わり
                  ジニョンを守ってくれる?

          守るよ!きっと守る・・・

                  約束ね・・・

          うん!やくそく!


       お前の母さんと・・・  約束したんだ・・・

   俺だって・・・


       「俺だって・・・

   泣いてるんだぞ・・・ジニョン・・・


俺は遠ざかるジニョンの後姿をいつまでも追いながら
力づくでも止められなかった自分の弱さが腹立たしかった



               
ジョルジュの想いは痛いほどわかっていた・・・

   いつかジョルジュのお嫁さんになる・・・

いつの頃からか、私自身も・・・そう信じていたような気がする・・・

   でも・・・どうしようもないの・・・

   彼が・・・フランクが・・・私の心を掴んで離さない

   私が・・・私の心が彼から離れてくれない・・・

   私は自分に正直に生きたい・・・ジョルジュ・・・

   それが例え・・・

   幼い頃から慕ったあなたを裏切ることになったとしても・・・



  

アパートに戻るとジニョンが部屋のドアにもたれて立っていた
たった今まで、彼女のことを考えながらここまで来ていた
その彼女が不意に目の前に現れて、僕は少しうろたえた

僕は・・・思わず駆け寄ろうとした自分をやっと制止して
彼女に冷たく言い放った

   「何しに来た。」

彼女は僕の言葉を予測していたかのように
黙したまま少し呆れたような笑みを浮かべていた

   「・・・・・・・・」

   「僕は人のものに手を出すほど女に飢えてない。」

   「・・・・・・・・」

   「帰れ。」

   「あなたが待ってるから・・・来たの」

   「ハッ・・・待ってる?ご覧の通り、さっきまで酒飲んで
    遊んでた・・・君を待ってるわけ・・」

   「あなたが待ってるから!・・来たの」

彼女は強い口調を僕の言葉に重ねた

   「言ったはずだ・・・女を争う気はない・・・
    君を待ってるのはあいつの方だろ?」

   「ジョルジュは兄みたいな人・・・そう言ったでしょ」

   「その割には必死に守ってた」

そう言った自分の声が拗ねたように聞こえて、それをごまかすように
彼女を睨み付けた

      何を・・・言ってるんだ・・・
      

   「あれは、あなたが彼をひどく殴るから!」     

   「・・・・・・・」
   「・・・・・・・」

   「やつのところに帰れ」
   「本当に?」

   「うぬぼれ屋のジニョンさん・・・僕はね・・・
    あまりに君が僕に熱をあげるから・・・ちょっとからかっただけだ
    そんなこともわからないの?本当に子供なんだね・・君は・・・」

   「本当に?」

   「・・・・・・・」

   「フランク・・・嘘をつかないで」
   「嘘なもんか」

彼女が突然僕の胸に飛び込んで僕の体を必死に抱きしめた
僕は自分の両の手に心と逆の指令を出してそのまま宙に浮かせていた

   「離せ」
   「離れない」

   「離せ!」
   「嫌!」

僕は彼女の肩に手を掛け、その華奢な肩を勢いよく自分から離した
そして急いで部屋に入ると即座に内側からロックを掛けた

   「フランク!逃げるの?!フランク!」


      逃げる?・・・バカなことを言うな

   「フランク!開けて!開けないと!」

彼女の甲高い声がフロアに響き渡っていた
僕はゆっくりとロックを外してドアを開けた

   「うるさい・・近所迷惑だ・・・開けないと・・何する気?」

   「開けないと・・・・・・考えてなかった・・・」

   「・・・・・」

彼女は呆れ顔の僕を強く睨むと、僕にわざとぶつかるようにして部屋に入ってきた

そして振り向きざま僕に向かって怒鳴った

   「いい加減にして!」
   「それはこっちの台詞だ」

   「もっと素直になって!」
   「十分素直だけど?」

   「ひねくれもの!」
   「ひね・・な・・」

   「私のこと好きなくせに」
   「好きじゃない」

   「愛してるくせに」
   「愛してない」

   「本当は私のこと欲しいくせに」
   「・・・・・・」

   「抱きたいくせに・・やせ我慢してる」
   「君ね・・いい加減に」

   「私は好き」
   「・・・・・・」

   「私は愛してる」
   「・・・・・・」

   「私は・・・抱きたい」
   「・・・・・・」

   「・・・・・・」

   「・・・・・どうやって?」

   「えっ?」

   「抱いてみな・・・どうやって抱くの?」

   「えっ?・・・・・・・」

彼女は僕の前で顔を真っ赤に染めながら、突然僕の胸に自分の体を投げた
そして両の手を僕の背中に回し力一杯僕を抱きしめた


   「それから?」

   「・・・・・・」

   「それから・・・どうする?」

   「・・・・・・」

彼女はしばらく身動きもせず僕の胸に顔をうずめて
ただ静かに僕の鼓動を聞いていた

      そうなんだ・・・

      僕の心臓は既に・・・君への愛しさで苦しく高鳴っていた

もうとっくにその高鳴りが彼女に僕の本心を伝えているだろう

僕はそれまで宙に浮かせていた両の手を今度は自分の心に
素直に従わせて彼女をそっと包み込んだ


   「できもしないことを口にするな」

そう言いながら僕は彼女の髪にゆっくりと唇を落とした

   「・・・・・・だって・・・本当にそうしたいもの
    私の体も・・・あなたが欲しいと言ってる」

   「・・・・・・・」

   「あなたが好き・・・あなたを愛してる・・・
    私の心が・・・体が・・・そう言ってる・・・
    あなたも・・・そうでしょ?
    私・・・一度もあなたからそう言ってもらってない
    あなたの心を・・・言葉で教えて・・・」


      何故だろう・・・


   「君って・・・」

   「・・・・・・・」


      心が勝手に君に寄りかかる・・・


   「うるさくて・・・勝手で・・・」

   「・・・・・・・」


      心が勝手に君を見つめている・・・


   「我侭で・・・図々しくて・・・」 

   「それで?」

彼女が僕の鼓動を解放してやっと顔を上げた


   「信じられないくらい・・・子供・・・・」

   「それだけ?」   

僕は彼女との視線を絡めると彼女の頬に触れた 
   「君といると調子狂ってばかりだ」

そして僕の唇は吸い寄せられるように彼女の唇へと向かう


   「それはあなたが正直じゃないからよ」


      ああ・・・君の言う通りだ・・・


   「疲れるんだ・・・」 

   「・・・・嫌なの?」


      僕は・・・正直じゃない・・・

   
   「鬱陶しい・・・」 

   「・・・・そんなに?」


      本当は・・・


   「わずらわしい・・・」

   「・・・・本当に?」


      とっくに・・・君を・・・


   「ああ・・・耐えられない・・・でも・・・・」


僕は震える彼女の唇の振動を自分の唇で感じていた
そしてそのまま彼女の唇の上でささやいた
     
   「でも?・・・」

   「でも・・・・・」


      たまらなく・・・君を・・・


   「ちゃんと言って・・・」


   「でも・・・・・



              ・・・愛してる・・・」



          





















前の書き込み mirage-儚い夢- 14....
次の書き込み mirage-儚い夢- 12....
 
 
 

IMX