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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 141 HIT数 4583
日付 2010/10/28 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 4.うそつき②
本文




    





collage &music by tomtommama

story by kurumi






「フランク・・・仕事の方はどう?」 
ソフィアはシャワー室から部屋に戻った時には、既にここへ来た時の服装に
身を包んでいた。

「ん・・・弁護士は確保した・・・
 まずは小さな会社から手を付けていく・・・
 もう着替えたの?」
僕は横目で彼女をちらりと見て、またPCに視線を戻した。

「そう・・・私も・・卒業後の進路を決めたわ・・・」 
彼女は僕の質問に答えることなくそう言った「ん?・・」≪進路?≫

「弁護士になろうかと思って・・・」

「検事志望じゃなかったの?」
彼女は大学入学当初から、検事を志望していたと聞いていた。

「止めたわ・・・」 
彼女は頭の後ろに両手を回して、長い髪を後頭部でくるりとまとめてた。
「僕のため?」 僕は一度キーボードから指を離し、彼女を見た。

「何故・・私があなたのために?」 
彼女はそのまとめた髪を大きなピンで留めながら僕に視線を送った。

「ならいいや・・・」 僕はまた手元の作業を再開した。


「コーヒー飲む?」 彼女はキッチンに移動して言った。

「いや・・ミネでいい・・」 僕は手元のミネを持ち上げて見せた。

「そうだったわね・・・」 
ソフィアは自分だけのために、慣れた手つきでコーヒー豆を挽いた。


   
「ね・・・卒業したらここへ来る?」

僕の視線は終始パソコンの画面を追いながら、言葉だけが彼女に向かっていた。

「ここへ?」 彼女は僕の言葉が不思議であるかのように首をかしげていた。

「ん・・」 僕は彼女との視線を交えないまま答えた。

「・・止めとくわ」 ほんの一拍を置いて、彼女は直ぐに答えた。

「そう・・・」 僕はただそう言った。

「・・・・・試したわね・・・フランク・・・」

「何を?」

「私の答えは・・正しかった?」 そう言って彼女は僕の顔を覗きこんだ。

「・・・・・来ればいいさ」

僕の向かいに立ちコーヒーカップを口に運んでいた彼女に
僕はやっと視線を向けながら言った。

「正しかったみたいね・・・・・」

そう言って彼女は僕を見透かしたように優しく睨んだ。

   確かに・・・
   あなたが決してそうしないことがわかるから言ったのかもしれない
   女と暮らすなんて・・・考えたことも無い

   もしも女がそれを望んだら・・・それで関係は終わりを告げる
   ソフィアという女はそれを良く知っていた
  

「遅くなったね・・・どうする?」 僕はパソコンから離れて、ソフィアのそばに近づくと、
彼女が髪をまとめていたピンを抜き、その髪を彼女の肩に落とした。

彼女は僕のその行動を美しい眼差しで叱った。
「その方が素敵だ」

「帰るわ・・・勉強したいこと沢山ある・・・みんな今必死よ・・・
 あなたみたいに余裕がある人間なんて、あの学校にはいないわ」

 

   女と朝を迎えない・・・
   そんな僕を知っているのも・・・あなただ

   きっと・・・
   僕自身よりも・・・僕を知っていた


「余裕?僕には生活が懸かってるだけだ・・・学校で遊んでる暇が無いだけ」

「遊び・・ね・・・あなたにかかったら、研究材料も遊びだわね・・確かに・・」

「まあね」
僕はそう言って、片方の口角を上に上げた。

 

     

 

「ジニョン!」 ジョルジュが教室の後方から呼ぶ大きな声に私は振り向いた。

「俺はバイトに行かなきゃならんから、お前は早く寮に帰れ・・・
 いいか、寄り道するんじゃないぞ。」
あの日以来、ジョルジュは自分と一緒で無い日は、必ずそう言って念を押した。


私は最後の授業のあと、ため息をつきながら教材を片付けていた。
≪授業の間中、私はいったい何回の溜息を吐いただろう≫

「わかってる・・オッパ、最近ちょっと心配し過ぎよ」 そう言いながら、
私はジョルジュを横目で睨んだ

「お前が心配させるようなことするからだろ?お前に
 もしものことがあったら、俺はお前の親父に殺されるぞ」

「オーバーね」

「オーバーなもんか・・・もうあんなことするんじゃないぞ!
 俺からたとえ連絡無かろうと、
 一人であんなとこに来るんじゃない・・わかったか?」

「う・うん・・・」 ジニョンは口を尖らせながら、俯いた

「どうした?具合でも悪いか?」

「ううん・・どうして?」

「ため息ついてた」

「大丈夫」

「そうか・・じゃな・・行くぞ・・」

「うん・・じゃ、明日ね・・」

 

 

俺の脳裏にあの時のあの男の眼が焼きついて離れなかった。
俺を睨んだまま決して視線を逸らさなかったあの鋭い眼

    俺はあの時・・・

奴の情熱的なまでのジニョンへのキスに圧倒されて息を呑んでしまった。
心に走った衝撃が俺の声を封じ込め、身動きできなくしていた。

あの瞬間、目眩がしたのは・・・決して熱があったわけじゃない。

ジニョンはあいつのあの激しいキスに本当に気がつかなかったのか?

しかし、あいつがあの男のことを意識したことには間違いない。
男が消えてしまった後、ジニョンは奴の話を一切しなくなった。

   それが・・・

あの男を忘れていない・・・その証拠だ・・・

   だから・・・

俺はジニョンにあの時のことを言わなかった・・・いや・・・
あの光景を・・・悪い夢だったと、思いたかったのはきっと・・
この俺の方だ。

 

 


忘れられなかった・・・

   フランク・・・フランク・・・フランク・・・

私の頭の中にその名前だけが繰り返し巡っていた。
こんなこと・・・今までに経験の無いことだった。

10時間・・・彼といたたったの10時間
でも、ずっとずっと長く・・・一緒にいたような錯覚を覚えた。

無愛想で・・・
鋭いまなざしは少し怖い気さえした。

でも私はあの時・・・彼が一緒にいてくれることを即座に望んだ。
あんなこと・・・後で考えれば、決して私のやれたことじゃない

  それなのに・・・

無意識に彼の袖を引いていた。
何がそうさせたのか・・・わからない・・・

あの日から・・・
私はジョルジュに・・・嘘をついている。

彼のことを何とも思っていないなら笑って話題にするはずなのに

ジョルジュに嘘をつくことなんて今まで一度も無かったのに。

 



 「今度はいつ来る?」

「わからないわ・・・あさっては学校でしょ?」

「ああ・・でも向こうではこんなことしてる暇が無い・・・」

彼女の背後から、僕が肩に下ろした長いブロンドの髪を片方に寄せ、
彼女の白い首筋を露にすると、そこに唇を這わせながら僕は囁いた。

「ふふ・・校内に缶詰ですものね・・・」

そして腰に回した僕の手を彼女はそっと自分から外して、身支度を始めた。

「ねぇ・・僕をじらしてる?」 

「じらす?・・あなたがそんな言葉・・使うの?」

「あなたにだけだ・・・」

「フランク・・・あなたには似合わない言葉ね・・・」

「どんな言葉なら似合う?・・・帰らないでって・・・言おうか?」

「じゃあ、言ってみて?・・・」

 

「か・・」

“言ってみて・・・”そう言ったはずのあなたの小指が僕の口が動くのを止めた。

「フランク・・・思っても無いことは言わない方がいいわ・・・」

「思ってないわけじゃない」

「預かった鍵・・・ここに置くわね」

「持ってればいいのに」

「鉢合わせはごめんだわ・・・」

「誰も来ないよ」

「・・・・・・・・・フランク・・・何かあった?」

「・・・どうして?」

「・・・・・何となく・・・」

「何が言いたいの」

「嘘はつかないで・・・」

「嘘?・・・あなたに嘘をついたことはない」

「・・・・・さっき・・・ベッドの中で・・言ったわ」

「何を?」

「愛してるって・・・」


「それが?・・・」


「ええ・・・それが」

 


     ・・・うそつき・・・













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