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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3853210/4696836
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 142 HIT数 4065
日付 2010/10/30 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 8.星降るベッド②
本文







「僕はね・・・ここで仕事もしてる・・・」

「知ってるわ、邪魔はしない」

「それに恋人だって訪ねてくる。迷惑だとは思わない?」 
僕は彼女に止めを刺したつもりだった。  

   君に・・・意味もなく心を乱されるなんてごめんだ

   頼むから僕に関わりあうな!

僕は心の中でそう叫んでいた。
彼女と出会ってからというもの何かが可笑しくなっていた自分に、今ここで
軌道修正を図りたかった。

「恋・・・人・・・」 彼女は確認するように呟いた。

僕が口にした「恋人」という響きを前に、彼女の落胆が目に見えた。

「そう、僕には恋人がいる。」 僕は自分で口にしておきながら、少し後悔していた。
肩を落とし視線を伏せた彼女の様子に、自分の胸がちくりと刺されたような痛みさえ覚えていた。

   あ・・そんな顔・・・するな・・・

僕は彼女の視線から逃れるように背中を向け、彼女が移動してしまったベッドを見た。

「あ、そうだ・・星・・・せっかくベッド動かしたんだから・・・
 寝転がって見てみな。」 そして僕はつい、そう言ってしまった。

「・・・・・・・」

「ほら・・・おいで」 僕は彼女に振り向き、その手をとってベッドに座らせた。
しかし彼女は下を向いたまま天空を仰ごうとはしなかった。
僕はそんな彼女をほったらかして、ベッドに寝転がってみせた。

「 あぁー・・・綺麗だ・・・何て綺麗なんだ
 何でもっと早くこうしなかったんだろうな~」
彼女は僕の言葉に促されたようにちらりと天井に視線を向け、直ぐにまた下を向いた。

「・・・・・・・」

「寒くなると、星が際立って見える・・・だから・・・冬が好きなんだ」 僕はそう言った。

「あ・・・私も・・・」 
彼女は僕の言葉に釣られるように答え、
やっと僕に振り向いて目を輝かせた。

「そう?寒いの、強そうだしね」

「また・・皮肉ですか?」

「皮肉・・通じてるんだ」

「・・・・・・」

「褒めてるんだよ・・・あんなとこで5時間も座ってたら
 普通は具合悪くなるよ」

「若いから」

「はは・・・君って・・本当に・・・」

「本当に?」

「いや、何でもない」

「言いかけるのはルール違反だわ・・・私って・・・
 “可笑しい”・・そう言いたいんでしょ?」

「いや・・・」

「じゃあ、何?」

「何って・・・・んーわかりません。」

「あっ!私の真似した!」

彼女が寝転がっている僕の胸を叩いた。

「ウッ・・」 僕は彼女が叩いた胸を抱え込むように背を丸めた。

「あ・・ごめんなさい」

彼女がベッドに上がり、申し訳なさそうに僕の様子を覗き込んだ。

「嘘だよ」

「えー!」

あろうことかこうして僕は彼女を相手に戯れていた。

   人と戯れることなど・・・

   幼い頃の記憶にさえない

しかし彼女のあどけない仕草に、何故か遠く何処かで味わったことがある懐かしさを
垣間見て、僕の心は間違いなく和んでいた。

   気分・・・少しは良くなったかい?

   あまりにしょげている君を見ているのがちょっと辛かった

   こんな気持ち・・・今までに一度も味わったことないや

   自分の浴びせる言葉で他人が傷ついたところで気にしたことすら無い・・・

   でも今僕の心は・・・君が・・僕のひと言に傷ついたことにひどく萎えてしまった・・・
                   
   それは・・・何なんだろう・・・


わからなかった。しかし僕の、色もなく、揺れるざわめきもない心の海に、確かに彼女が
小さな石を投げ入れたように波紋を広げていた。


僕はこの世に存在する全てに愛着がない
見るもの全てに・・・感動も無い・・・

たとえ・・・

世の中がたった今消え去ったとしても・・・

一分の悔いすら存在しない・・・

そう思っていた・・・

それなのに・・・

君のそのくったくのない笑顔に・・

僕の心が

戸惑いながらも頬ずりをしていた

今僕は・・・

君に何を見ているのだろう・・・
                        
   本当に・・・

 

       ・・・わからないんだ・・・

 


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