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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3854787/4698413
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 15 HIT数 6786
日付 2007/01/27 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 15.ジェラシー
本文




    





              「ジニョン!」

僕が彼女を追いかけようとしたその瞬間、ソフィアが僕の腕を掴んだ
何かを訴えかけるような強いまなざしから僕は視線を逸らして
その手をそっと外すと、玄関の扉を急いで押した

しかし・・・
エレベーターの扉に手を掛けた時にはもう遅かった
それが閉まりきる瞬間・・・その細い隙間にジニョンが見えた
彼女もまた言葉なく僕に何かを訴えていた



       「ジニョン!行くな!」 

僕は降り始めたエレベーターを追うように非常階段の扉を乱暴に開けると
全速力で階段を駆け下りた

僕が7階から降りきって、エントランスを走って外へ出ると、
ジニョンは既に10M程先を歩いていた


       「ジニョン!待って!・・・

             待て!ソ・ジニョン!

振り向いた彼女の瞳には涙が溢れ、顔は悲しみに歪んでいた
彼女は僕の姿を確認するなり歩く速度を速めて進んだ

       「来ないで!近づかないで!
       私・・・最初に言ったでしょ?あなたの邪魔をしない・・
       恋人の・・邪魔はしないって・・・」


       「ジニョン・・・」

       「わかってたわ!・・・わかってるはずだった・・・
        恋人がいる・・・あなたは最初からそう言ってた・・・

        それでもあなたが好きで・・・どうしようもなく好きで・・・
        そんなこと、もうどうでもいいことのような気になってた・・・

        でも・・フランク・・・どうしたんだろう・・・私・・今・・・
        凄くドキドキしてる・・・胸がね・・・潰れそうに痛い・・・

        わかってたことなのに・・・私はそれを承知であなたに・・・
        そうよ・・わかってたわ・・だから、大丈夫なはず・・・」


彼女は両の掌を自分の胸にあてがって
まるで自分自身に言い聞かせているかのようだった

       「ジニョン!」

       「早く!戻って!あの人が・・・誤解する!」

       「誤解?誤解か?・・・誤解じゃないだろ?」

僕は彼女の腕を掴んで無理やり僕に振り向かせた

       「だって!」


       「誤解じゃない!」 

僕は力強く彼女を腕の中に閉じ込めた

       「だっ・・・て・・・」

       「信じられない?」

       「信じられない・・・だって、あの人・・あんなに綺麗で・・・
        あなたと・・・凄く・・似合ってる・・・
        私なんて・・・あなたが子ども扱いするの当然よ」

       「子供扱いなんかしてない」

       「してる」

       「してない!」


僕は彼女の頬を両手で挟んでその唇を自分に運こぶと硬く閉じられたそれを
舌で無理やり押し分け、彼女の舌を自分の中に乱暴に吸い込んだ

彼女の涙がふたりの合わせた唇を伝って僕に流れ込み
その苦さが彼女の悲しみまでも僕に伝えていた

   子ども扱いなんか・・・してない・・・

   こんなにも・・・

   こんなにも・・・

   
彼女への想いが激しく僕の胸を突き上げていた
僕はやっと彼女から唇を離すと、狂おしいほどの想いで彼女を見つめた


       「愛してる・・・」

       「・・・・・・」

       「君は?」

       「・・・・・・」

       「君も・・・そうなんだろ?」

       「・・・・・・」

       「何とか言え・・・ジニョン・・・何とか言って・・・」

       「・・・・・・」

彼女は無言のまま涙混じりの瞳を僕から逸らして伏せた

       「信じないの?」

       「わからない・・・」

       「わからない?・・・何故?」

       「わからない・・・」

彼女は僕から視線を逸らしたまま・・・「わからない」とだけ繰り返していた
その言葉がまるで僕を責めているように思えてならなかった

僕はそれ以上彼女を問い詰めることが出来なかった

       「僕を責めてるんだね・・・」


彼女は首を横に振った


   わかってる・・・

   ごめん・・・君を抱きしめていながら・・・

   僕はまだ・・・彼女を離していない・・・それは事実だ・・・


ソフィアと僕は互いに恋人であると確かめ合ったわけじゃない
しかし・・・彼女への想いは間違いなく恋人へのそれだった・・・

互いを認め・・・尊敬もし・・・求め合った・・・
いや・・・僕が一方的に彼女に寄りかかり・・・
彼女はただ僕を黙って受け止めてきた・・・きっとそんな関係だ・・・

僕にとって、ソフィアという女が他の女とは違う存在で・・・
彼女が僕にとってなくてはならない人であったことも否定はしない

   その僕が・・・君と出逢って・・・

   いつの間にか心を君に奪われていった・・・

   いつの間にか・・・誰の入る余地も無いほど・・・君に・・・

   沈んでいった・・・もう・・・浮き上がれないほど・・・


       「・・・信じて欲しい・・・僕を・・・信じて・・・」

       「・・・・・・」

彼女はただ黙って僕の手を自分からゆっくりと外すと
僕の前から立ち去った

僕はそれ以上彼女を追いかけられなかった


   今はまだ・・・追いかけられなかった・・・




私はどうしても彼の腕の中にいられなかった
現実に目の前に現れたあの人に・・・

    私・・・震えてしまった・・・

    あの人から目を背けてしまった・・・

    あの人が・・・あなたの・・・

    あまりに美しくて・・・自信に溢れていた・・・

    あの人の目があなたを愛していると私に叫んでた

    あの目を・・・あなたは見つめていたのね・・・

    あの人の唇に・・・あなたの唇が触れていたのね・・・

    あの人の髪を・・・あなたの指が撫でたのね・・・


        嫌・・・ 「嫌!


私は自分が想像した二人の絡み合う姿を
掻き消すかのように頭を大きく振った


    どうしようフランク・・・本当に・・・胸が痛いよ・・・

    どうしよう・・・私・・・壊れてしまいそう・・・

    助けて・・・お願い・・・


        「 フランク! 」


    

       

部屋に戻るとソフィアが窓辺に佇んだまま視線を遠くに送っていた


       「生徒さんは・・・帰ったの?」

       「・・・彼女は・・・」

       「フランク・・・私、やっぱりここに来ることに決めたわ・・・」
                
       「ソフィア・・・話があるんだ」

       「卒業まで・・・待たなくてもいいでしょ?」

       「聞いて・・・」

       「学校へはここから通えないこともないし・・・」

       「ソフィア」

彼女は僕に向かって"何も言うな”と掌を見せた

       「彼女のことなら気にしてないわ・・・今までだって・・・
        私がそんなこと訊ねたこと一度でもあった?」

       「聞いて・・ソフィア・・彼女を・・・」

       「止めて!・・何も・・・話す必要はないわ・・・
        わざわざ私に了解を取るみたいな言い方はしないで・・・        
        今までと何ら変わりないことよ・・・そうでしょ?」

       「今までとは違う」

       「今までと違う?何が?何が・・・どう違うの?」

       「彼女を・・愛してる」       

       「愛してる?」

       「彼女を・・・傷つけたくない」

       「傷つけたくない?・・・あなたが?・・・」

       「・・・・・・」

       「あなたが・・・誰を・・・傷つけたくないの?」

       「大切なんだ・・・彼女が・・・」

       「・・・・・・」

       「初めてなんだ・・・こんな想い・・・」

       「・・・・・・」

       「あなたには・・・知ってて欲しい・・・
        いや・・・あなたは・・・もう・・知ってたよね・・・僕の・・・」

ソフィアは僕を見つめながら黙って僕の言葉を聞いていた
その瞳にはみるみるうちに涙が溢れ彼女は
嗚咽を堪えるように口を手で覆うと声を殺して泣いた

今までに見たこともない彼女のそんな様子に僕は
ただ呆然と息を呑んでいた


       「そんな泣き方を・・・するなソフィア・・・あなたらしくない」

       「・・・・・私・・・らしくない?」

       「・・・・・・」

       「どういう意味?」

       「・・・・・・」

       「私らしい泣き方って・・・どんな泣き方なの?フランク・・・」

       「・・・・・・」

       「言いなさい!
     私らしい泣き方ってどんな泣き方?」



       「ソフィア・・・」

ソフィアが珍しく大声をあげて涙を拭いもせずに僕を睨みつけていた





       「・・・・・・・・・
           僕を・・・愛してたの?・・そんなに・・・」

       「・・・・愛してた?・・・愛してるわ・・・」

       「あなたから・・・そんな言葉一度も聞いたこと無い
        僕の告白をいつもはぐらかしていたのはあなただ」

       「・・・・・・・」
           
       「どうして?」

       「どうして?」

       
彼女は僕を睨みつけることで浮かべた涙を飲み込む
きっかけを探していたようだった

       「何故・・・言わなかった?
        どうして!もっと早くそう言わなかった!

       「言わせなかったのは!あなたよ!

       「・・・・・・」

       「あなたが・・・言わせなかったのよ・・・」

       「・・・・・・」

       「女はね、フランク・・・心の無い言葉には敏感なのよ・・・」

       「・・・・・・」

       「でも・・・それでも・・・嬉しくて・・・あなたの・・・
        心の無い愛してるにも胸が震えてしまう・・・そんな自分が
        情けなくて・・・背中を向けるしか・・・なかった・・・」

       「本当に愛してなかったと思ってたの?」

       「それはあなたにもわからなかったことよ・・・きっと・・・」

       「・・・・・・・」
       
       「あなたに・・・愛してる・・・そう答えていたら・・・」

       「・・・・・・」

       「あの子は・・・そうしたの?・・・」

       「・・・・・・」

       「私もそうしていたら・・・あなたは愛してくれたかしら・・・」

       「・・・僕はどうしたらいい?・・・」

       「・・・私に聞くの?・・・」

       「・・・・・・」
               
       「あなたの心が何処かに向かってる・・・わかってたわ・・・
        そうよ・・・その事実を認めたくなくてあなたを避けてた・・・

        いつも・・・あなたを追う女にはなりたくはない・・そう思ってた・・・
        あなたの一番の理解者で・・あなたの寂しさを包み込める
        そんな女でありたかった・・・でも・・・そんなの嘘・・・

        嘘つきなのは・・・私も同じだった・・・

        本当は・・・いつもあなたのそばにいたかった・・・
        本当はいつも・・・あなたを抱いていたかった・・・

        あなたにくちづけされたまま・・・眠っていたかった・・・
        あなたと・・・静かに朝を迎えたかった・・・

        でも・・あなたはそんな女を必要とはしなかったわ・・・
        そうだったでしょ?」


ソフィアは時折大きくため息をついて心を落ち着けているようだった


       「だから・・・いつも嘘をついた・・・
        物分りのいい女の振りをしてた・・・
        
        今日まで・・・ずっと考えてたの・・・
        私はあなたを・・・離せるんだろうか・・・
        でも・・・答えが出なかった・・・・

        いつまであなたに会わないでいられるか・・・
        試してみよう・・そう思った・・・でも・・・もう限界・・・

        だから来たの・・・あなたの心が何処にあっても・・・
        あなたが私にどんな顔を向けるとしても・・・

        ただ・・・・・逢いたかった・・・

                 だから・・・来たの・・・」

       「ソフィア・・・」 

   僕は・・・      
       
       
       「あの子には・・・あなたの心は重すぎる・・・
        それはあなたが一番よくわかってるはずよ・・・」

       「・・・・・・」

       「それでも?」
   
   ソフィア・・・

       「彼女を・・・愛してる・・・」


   そんな目で見ないで・・・


       あなたを置いて・・・


           ・・・行かれなくなる・・・






 












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