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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3842162/4685788
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 2 HIT数 5299
日付 2006/11/30 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 2.kiss
本文


 



      



collage &music by tomtommama

story by kurumi






        「彼・・・同郷の人なんです・・・幼馴染で・・・
 年は二年先輩・・・NYの大学に留学して来たの・・・彼・・一年前・・
 でもアルバイトに追われて・・そのせいで留年してしまって・・・
 結局・・同級生に・・・今年留学した私と・・ 
 私・・外国初めてだし・・彼だけが唯一の・・頼りなの・・・
 それが3日前から連絡が取れなくなって・・急に・・
 だからパニックになったみたい・・・私・・・
 じっとしていられなくなって・・こうしてよく知りもしない町に・・
 きっと大変なことになってた・・さっきあなたに会わなかったら・・
 わかってます、無鉄砲なことだって・・それに
 知らない・・あなたに・・・無理なお願いを・・ホント・・どうかしてますよね・・・
 ・・・・・あの・・・怒ってますか?」

彼女の英語は主語も述語もめちゃくちゃだった。
僕の腕の中でゆっくりと片言の英語で言葉を繋ぎながら、言い訳のように、
ことのいきさつを懸命に話していた。
そうして下から伺って僕の言葉を待っているようだった。

   悪いけど・・・僕は君の身の上話など興味はない。
   まして、ベッドで臥せっている彼の素性など知りたくもない。
   そんなことなんて、どうでもいいことだよ。

   僕は運の悪いことに、今日たまたま君に出会ってしまって
   そして何の因果か、こうして見ず知らずの男が目を覚ますのを
   君とひとつブランケットに、暖を取りながら待っている

   そのことの必然性を説明など出来るはずもない
   “怒ってるか”・・だって?
   僕は君にいったい何を言えばいいんだい?
   
しかし、彼女は僕の言葉がどうしても欲しいらしい

   “いいや・・・怒ってないよ”そう言って欲しいのか?

   本気で“怒っている”そう言ったらどうするつもり?

   君は結局、捨てられた子猫のような顔をして僕をここまで連れて来た

   他人には例外なく無関心なこの僕をこの場に留め抜いた
   それだけで・・・笑える・・・本当に笑える・・・

   だから・・・そういう意味だけでも・・・

「怒ってない。」 ≪きっとそうだ≫

「本当に?」

「ああ」 僕は呆れた眼差しでじろりと彼女を見下ろした。

僕は「怒っていない」と怒ったような無愛想な答え方をしていたのに
それでも彼女は僕の言葉通りを受け取った。

「良かった・・・」 彼女はそう言ってホッとしたようにうつむいた。

「コーヒー飲んだら?冷めるよ」 僕は彼女の手の中で少し
冷めてしまったかもしれないコーヒーに視線を向けて言った。

「ええ・・・いただきます」 彼女は満面に笑顔を輝かせた。

彼女はコーヒー缶のタブレットを引き抜こうとしたが、手がかじかんでいるらしく
上手くできないでいた。

「貸して・・・」
僕は彼女から缶を受け取ると、タブレットを引き抜いて再度手渡した。

「優しいんですね」

「優しい?・・・僕と無縁の言葉だな・・・」
≪笑ってしまうな・・そんなこと誰にも言われたことがない≫

「・・・どうして?」

本当に驚いたというように、目を丸くして僕を見上げた彼女の顔に
僕は思わず吹いてしまった。

「どうしてって・・・」

そんな真顔で「どうして?」と言われても・・・どう答えればいい?
ただ、僕を知る人間は一人残らず、僕を優しいなどと表現する奴はいない。
それだけは確かだ・・・ただ、それを君に言ったところで何になる?

「何か可笑しいこと、言いましたか?・・私・・・」
僕が何も言わず、ただ声を殺すようにして笑っていると、彼女は
きょとんとした表情で首をかしげた。

「いや、失礼・・・そうじゃない・・・
 それより、彼のタオルそろそろ換えてあげた方がいいんじゃない?」
僕は高いベッドに向かって顎をしゃくった。

「ほら!やっぱり優しいんだわ」 彼女は弾けるような笑顔で、
自分の考えが正しかったと言わんばかりに得意そうに言った。
その彼女の笑顔に僕の胸の奥が何か鋭い爪に鷲掴みされたようだった。

   君は・・・なんて笑顔を向けるの?

   こんな・・・僕に・・・

そして次の瞬間、不本意にも・・・
彼女の笑顔に僕自身の顔が自然とほころぶのを感じた。


その後も彼女は10分置き位に冷たい水でタオルを湿らせて
眠っている彼の額にそれを乗せてあげながら、優しく声を掛けていた。

『ジョルジュ・・大丈夫?苦しくない?
 ずっとそばにいてあげるからね・・・』

   彼は・・・ジョルジュというのか・・・

   君は?・・・君の名前は?・・・

   聞いて・・・   ・・・どうする・・・

当たり前だろうが、彼女は彼をとても心配していた。
彼のベッドがもう少し低い位置にあったなら、彼女はきっと
ベッドの脇にでも座って彼の傍らに付いていてあげただろう。

しかし、それは余りに高い位置に設えてあって、梯子を必要だったばかりに
彼女は彼の熱を冷ます為に、額に乗せてあげたタオルを換え終わると
僕の腕の中へ戻って来るしかなかった。

   彼は・・・恋人?・・・きっとそうだろうね・・・

でも・・・聞かなかった・・・

僕は彼女が戻って来るとしっかりと包み込んで寒さから防いであげた。
そうすることで僕自身の防寒にもなったからであって、他に理由はなかった。

彼女はそのことに抵抗することもなく、むしろ僕に身を委ねてさえいた。
すっかり僕を信頼しきっているかのように・・・

   今日初めて会ったんだよ僕は・・・

   君の頭の中を覗いてみたいよ・・・

   恐れを知らない?・・いや・・

   まだ子供なんだね・・・君は・・・



「どうして・・・アメリカへ?・・・」 僕は彼女に初めて質問した。

   彼を追って来た・・・そんなところだろうが・・・

「いつの日か・・・ホテルに勤めるのが夢なんです・・・
 そのためにはしっかりとした語学を・・・
 早い上達には生活に溶け込むのが一番だと・・・オッパが・・・
 あ、いえ、そこにいる彼が・・・そう言ったんです・・・
 父はかなり反対しましたけど、オッパが説得してくれて・・・
 彼がそばにいるなら、と許してくれました・・・」

「信用あるんだね・・・彼・・・」

「はい・・・幼い頃から兄弟同然で育ちました」

それからもずっと、彼女は繰り返し繰り返し、彼の熱を下げるために
タオル交換を続けた。

いったいどれくらいの時間が経っただろうか・・・

ただこうして待つ僕にとってはとてつもなく長い時間のようにも感じられたし、
彼女と過ごす時間を何故か短くも感じられていた。

窓の外からうっすらと夜明けの色が差し込み始める頃になると
時折うとうととしていた彼女がいつしか深い眠りに落ちていた。

そっと彼女を覗き見ると・・・

さっきまでまるで無邪気だった彼女の寝顔が、僕の腕の中で憂いを秘めた
大人の女にも見えて、胸が高鳴った。

僕は眠れなかった・・・

体の芯まで冷えるほどの寒さもあったかもしれない・・・

しかしそんな寒さより、僕の肩に落ちた彼女の頭の重みが・・・

僕の右胸にぴったりと寄り添った彼女の細い肩の感触が・・・

僕を睡魔から遠ざけていた・・・

彼女の可憐な寝顔に・・・
吸い込まれそうなほどの不思議な引力を感じていた。

いつしか・・・僕の左手は彼女の細い顎をそっと持ち上げて、
僕の唇は彼女の唇に重ねられていた。


最初はそっと・・・触れただけだった・・・
それでもただ眠り続ける彼女に次第に僕のくちづけはエスカレートしていった。

彼女の少しばかり厚めの・・・柔らかい唇をついばんで・・・
ついには強く吸っていた。

彼女は僕に向かって顎を持ち上げられたまま・・・ひたすら眠ったままだった。
僕は左手を彼女の顎から頬に移動させて・・・彼女の白い頬をそっと支えた。

右手はブランケットの端を握ったまま彼女の肩をしっかり抱いていた。

   まるで・・・

僕の全神経が彼女の唇一点に集中しているようだった。

キスなんて・・・挨拶ほどの役割しかないもの・・・

   それが・・・

僕の唇が彼女の唇に吸い寄せられたまま離れない・・・

   そして・・・ついには・・・

眠ったままの彼女の唇を舌で押し分けて僕は更に深く彼女に進入した。

   自分でも気づかないうちに・・・

   僕は・・・彼女の唇を・・・

          ・・・・・・・・・・・・・・・



「誰?・・・」

上の方から聞こえたその声で、僕はやっと我に帰ることができた。
それでも、直ぐには彼女の唇から離れられなかった僕が、その声の方に
振り向くまでには少しの間があった。

当然・・・その声の主が誰であるかは・・・わかりきっていた。

ゆっくりと振り向いた僕を・・・
ベッドの上で既に上体を起こしていたジョルジュと呼ばれていた男が
鋭い眼光で睨みつけていた。

ベットに横たわっている時よりも遥かに整ったように見える顔のその男を
僕は彼女との刹那な時間を邪魔されたとばかりに、睨み返した。


「ん・・・うん・・・」

彼女が隣で目覚めた瞬間、僕は自分の腕に力が入ったのを感じた。
彼女を離したくない想いが、無意識にそうさせていた。

本当ならその目覚めは・・・
彼と僕の睨み合いに終止符を打たせるはずだった。

『ジョルジュ!気がついたの?』

彼女はおもむろに僕の傍らから抜け出ると、梯子を上り、彼の額に手を当てた。

彼女が僕から離れた瞬間・・・僕の心が一瞬うずくのを感じた
何か・・・大事なものを盗られてしまった・・・そんな感覚だった。

『熱下がってるわね・・・良かった・・・心配し・・』
『誰?・・・こいつ・・・』

彼は彼女に額に手を当てられながらも、最初から変わらず鋭い眼光を
僕に向けたまま、彼女の言葉を遮った。

僕も彼を睨んだまま、決して視線を逸らさなかった。


『あ・・この人はね・・私をここへ連れて来てくれたの・・・
 悪い人に絡まれてた私を助けてくださったのよ』

『助けて・・・ね・・・』
彼は睨みつけたまま何やら含んだ物言いを僕に浴びせた。

しかし彼としてみれば至極当然のことだったろう。
病に臥せって苦しんだ末、目覚めてみれば、自分の恋人が
見知らぬ男に唇を奪われている場面に出くわした。

≪僕が君だったら・・・殴りかかってるよ≫そう心で呟いて、
僕は左の口角を不敵に上げた。


『あなたと連絡取れなくて、どんなに心配したか・・・
 病院に行かなくても大丈夫?』 彼女は心配してそう言った。

『大丈夫だよ・・・風邪引いてただけだ』 彼がやっと、
彼女に穏やかな口調で答えた時、ふたりが交わした親密な眼差しが
僕の胸を疼かせた。


「それじゃ・・・もういいね・・・僕はこれで失礼するよ」
僕は彼らの光景から目を逸らすように立ち上がるとドアの方に向かい
壊れたそれをどけるようにして開けた。

「あ・・・えっ?ちょっと待って・・・」 
彼女が帰ろうとする僕を追って慌てて梯子を下りて来た。

「このドア・・・後で修理しといて・・・じゃ・・」
僕はそれにお構い無に、壊れたドアを横に避けた。

『待って!』 
彼女の声が僕の背中を追っていたが、僕は部屋を出ると足早に階段を下りた。

   何故、そんなに慌てて出て来た?

僕は自分に問いかけていた。

   彼に対する後ろめたさ?

   いいや・・・二人のハングルのやりとりが気に食わなかった・・・

   二人に僕が嫉妬した?・・・

   バカな・・・なんで嫉妬なんか・・・


僕の後を彼女が必死で追いかけて来ているのはわかっていたけれど
僕は彼女に振り向かずそのまま無視して突き進んだ。


「 待って!待ってください・・・お名前・・・教えて! 」
彼女は息を切らしながら、僕の背中にそう叫んだ

「僕の名前?・・・知る必要があるの?」
僕は面倒くさそうに彼女に振り向いて答えた。

「必要・・・って・・・・わからないわ!」

「わからないなら・・・知らなくていい。」

「でも・・お礼くらい・・・させてくれても・・・」

「お礼?・・・何の?」

「助けてくれたわ・・私を・・・」

「そんなの・・いらない」

「でも・・・」

「早く戻って!彼が心配する!」 僕はそう言ってアパートを指差した。

「でも・・・本当に?・・・本当にこれで?」


   本当にこれで?


「これで?」 ≪何なの≫

「私達・・これで?」

「私達?・・それって何?」


   終わりなのかと言いたいの?

   終わりだよ・・・


「でも・・・でも!・・・私は・・・」


   私は何?・・・

   次のブロックで僕は君の視界から消える
   それで・・君と僕は・・・終わり・・・

   最初から・・・何もなかった・・・

   これからも・・・何も・・・ない


何か言いたげな彼女の憂い顔を僕は振り切るように顔を背けた。

「待って!・・・私は・・・私の名前はジニョン!ソ・ジニョン! 」


    ソ・ジニョン・・・・


彼女の叫んだ名前を僕は背中で聞いていた。
そしてそのまま後ろ手を無造作に振りながら直ぐのブロックの角を
躊躇なく曲がった。

 フランク 」 僕はひと言だけそう残した。


    彼が消えてしまった角の向こうから、
    彼の低く響く声だけが私の耳に届いた・・・

       

          フランク・・・


               ・・・フランク・・・















































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