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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 20 HIT数 7045
日付 2007/01/27 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 19.抱擁 後編
本文

















      







collage by tomtommama

a picture&music by tomtommama

story by kurumi












  
   






  俺はまず・・・韓国のジニョンの父親に帰国の延期を
  連絡しなければならなかった
  もちろん・・・あいつに連れて行かれたなどとは言えるわけがない

ジョルジュは昨日目の前で起きたことのショックから立ち直る間もなく
自分がこうして、ジニョンの消息を追わなければならない事実を、
本当は消してしまいたいほどだった

  親父さんにあいつのことは一切話していない・・・
  そんなことを話でもしたら、親父さんは直ぐに飛んで来るだろう

  俺自身が帰国を決意したことを理由に、ジニョンの学校も韓国で・・・
  そう提言した・・・もともとジニョンの留学に乗り気ではなかった
  親父さんは直ぐに同意してくれた

  とにかく・・・今回のことは
  上手く理由をつけて、当面の帰国延期を納得してもらうしかない

  あいつのアパートを俺が知っていることはジニョンも知っている・・・
  だからきっとそこにはいないだろう

  しかし・・・今の俺にはそこしか手掛かりは無かった

  翌日・・・あいつはひとりでアパートに戻ってきた

  ジニョンを・・・何処へ?


ジョルジュが今できることはフランクの行動を追うことだけだった

  







  レオとの待ち合わせのホテルのロビーであいつを見かけた
  アパートから僕をつけているのはわかっていた・・・
  僕は彼に気づかない振りをしながら、今はとにかく仕事に集中した


   「ボス・・・流石だな・・・昨日一晩でよくこれだけの
    準備を・・・またこれで・・俺たちの勝利は確実だ」


   「待たせて・・・済まなかった・・・」


   「お前を信じてもいいんだろうか・・・
    今回は本当にそう思ったぞ・・・ボス・・・しかし・・・
    上手く切り抜けられそうだ・・・
    やはり、俺の目に狂いは無い・・・」


   「・・・・・・」


   「だが・・・これから先も上手く行くとは思うなよ・・・
    お前の実力は今、この業界で認知されつつある・・・
    出始めた杭は打たれるのが常・・・もちろん・・・
    闇に潜む黒幕たちとねんごろにやっていくというなら
    話は別だがな・・・それなら、やつらもお前を歓迎するだろうよ」


   「どういう意味だ」


   「どういう意味かは・・・自分で考えろ・・・
    俺はお前のするように動く・・・それはこれまでと同じだ
    ただひとつ・・・覚えておいてくれ・・・
    お前に信用が持てなくなったら・・・もしそうなったら・・・
    俺はあっさりとお前を切り離す・・・いいな・・・」


   「・・・・・・」


       出る杭は打たれる・・・

  そんなこと・・・今までにも何度も経験してきた・・・


       やれるものならやれ・・・

  僕にはどんなものにも負けない自信があった
  僕の周りに潜む闇がどんなものであるかは想像はつく



   「ところで・・・今度の利益もいつものように投資に?」


   「いや・・・今回は少し使いたいことがある」


   「・・・・・・」


  しかし・・・僕は必ずこの世界で頂点に立つ・・・
  その決意は変わっていない・・・


      心配するな・・・レオ・・・


      僕の歩く途は・・・誰であろうと・・・


      絶対に邪魔はさせない・・・







   「あ・・いけない・・・買い忘れたわ・・・
    ジニョンさん・・・悪いけど、ビネガーを・・・
    買ってきてくださらない?」


   「あ・・はい・・・」


  ソフィアさんの部屋にお世話になって3日目・・・
  フランクからの連絡がなくて、私は少し心細くなっていた

  それでも彼女は、学校へも必ず私を連れ立って
  レポート作りや資料作りなどを手伝わせてくれたり
  私が気が紛れるようにとの配慮を惜しまなかった


      彼女はやはり凄い人だと思う


  彼女との楽しい時間は互いの微妙な関係をも忘れさせてくれた

  もしもフランクとのことがなければ、私はこの人と一緒に
  映画を見たり・・・食事に行ったり・・・買い物をしたり・・・

  この人になら、何でも打ち明けられそうな気がしていた・・・


     でも・・・そんなこと・・・許されませんよね・・・

  彼女の立ち居振る舞いを目で追いながら
  自分のそんな感情があまりに身勝手であることを
  私は寂しい思いで恥じていた


   「ん?」


   「いえ・・何でもありません・・・それと同じものでいいんですね」

私は彼女が手にしたビネガーの瓶を指差して言った


   「ええ・・気をつけてね・・・そろそろ暗くなってるから・・・」


   「はい」


  私は彼女の部屋を出て、歩いて5分程のストアに向かった
  そこは彼女の知り合いが経営していて
  私が彼女に唯一ひとりで行動することを許された場所だった


  ソフィアさんに頼まれたビネガーだけをレジに運んで精算をすると
  足早にストアを後にした


  その瞬間、私と同時に動く人影が視覚に入ってきた
  いつも外出する時は気をつけるように彼女に言われていた


      付けられてる?


      いいえ・・・気のせいかもしれない


  私は少し小走りでソフィアさんの部屋へと急いだ
  しかしその黒影も私の速度に合わせたように動きを速めた


      やっぱり・・・付けられてる


  目の前にソフィアさんのアパートが見えてホッとして
  更に速度を速めたとたん、私はその影に背後から体を掴まれ
  細い路地に引き込まれてしまった



   「 きゃー! うっ!」


  悲鳴をあげた瞬間、私は口を塞がれ驚愕した
  手から離れたビネガーのビンが地面に叩きつけられ
  割れて砕ける音が更に私の緊張と恐怖を煽った



   「うっ!うっ!・・」


  私は必死にもがいたけれど、強い力で封じ込められた体は
  自由を妨げられ・・ただ足だけを小さくばたつかせるしかなかった



   「シー」


  その時・・・
  私の耳元に聞き慣れた低く響く音が届いた


   「うっ・・うっ・・」


   「ごめん・・・そんなに驚くとは思わなかったんだ・・・
    いい?離すよ・・・もう叫ばないで」


  私はその大きな手が口から離れた後も後ろを振り向くことはできなかった
  あまりの驚きと安堵が入り混じって大きく息を吐きながら
  体が脱力して屈み込みそうになった

  そんな私の体を・・・
  背後の大きな腕はまるで救い上げるように抱きしめた
  私はしばらく言葉もなく、その力強く優しい抱擁にただ身を任せていた



     ・・・フランク・・・




   「・・・・待たせてごめん・・・心細かっただろ?」

彼女は無言のまま頭を左右に振った



                 フランク・・・

                 本当はね・・・

                 うんと・・・寂しかったわ・・・



   「ごめん・・・これでも・・・急いだんだ・・・」

僕はしばらく彼女の背中を抱きしめたまま・・・
彼女の体温を自分の胸に移して少し疲れた心を温めていた



      あぁ・・・

      こうして抱いていると・・・

      このまま君が・・・

      僕の胸の中に溶けていってしまいそうだ・・・



      ジニョン・・・

      もっと強く・・・

      抱きしめてもいいかい?・・・



      この小さな肩を壊してしまいそうなほど君が・・・



                君が・・・


                          
                    ・・・恋しかった・・・





























                            2006.10.17作

 







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