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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3845352/4688978
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 28 HIT数 8541
日付 2007/04/23 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢-  27.守る手・壊す指
本文





          collage &music by tomtommama


                 story by kurumi












































   「ジョルジュといつ?」   

       「今朝・・・君を心配して探してた」

   「・・・・・」

   「話をしたいそうだ・・・」

   「・・・・・」

   「君のご両親にはまだ・・・
    本当のことを話してないらしい・・・」

   「・・・・・」
  
   「本来なら僕が、君と一緒に韓国へ行って
    君のご両親にお詫びする・・・それが筋だ
    わかってる・・・きっと君もそうして欲しいでしょ?」

   「・・・・・」

彼女は僕がジョルジュと会ったことを話している間
ただ静かにそれを聞いていた

   「だけどごめん・・・今はできない・・・」
    
   「いいの・・・わかってるわ・・・
    私はあなたのお仕事の邪魔はしたくない」

   「もう少しだけ待って欲しい・・・きっと・・・
    君のご両親にも認めてもらえる人間になる」
    
   「そのままのあなたを見れば・・・父や母もわかってくれる・・・」

   「・・・・・そうかな」

   「わかってくれるわ・・きっと・・・だって・・・
    私を愛してる人たちだもの・・・
    私が愛したあなたを愛さないわけないわ・・・」

   
       ジニョン・・・世の中はそんなに甘くはないよ


   「ジョルジュには・・・ちゃんと連絡するわ・・・
    それから父にも・・・」

   「それは僕が・・」

   「いいえ・・・今は私が・・・その方がいいと思う」

   「どういう風に?納得させられる?」

   「本当のことを話すの・・・」

   「本当のこと?」

   「ええ・・本当のこと・・・
    “彼のそばを離れられない”・・・そう話すの」

彼女の瞳の中に頑固なまでの強い決心が見えた

   「ジニョン・・・」


       あとは僕が・・・君のその決心に報いるまで・・・

       そうだね・・・



テーブルにジニョンのお目当てのデザートが運ばれた時
携帯の着信音がジャケットのポケットを振動させた

   「ごめん・・・」

僕はジニョンに中座を詫びながら、携帯を手に席を離れた

   「ハロー・・・」

   「Mr.フランク・シン?」

   「イエス・・・そちらは?」

   「そちらがお探しのようでしたので、ご連絡を・・・」

さっき表ですれ違った黒い影の声とは別人のようだったが
含んだ物言いがその仲間であることを物語っていた

   「!・・・・誰だ・・」

   「私は・・・・・まあ、そんなに急がないで・・・
    近いうちに正式に名乗らせていただきます・・・
    しかし・・我々のボスのことは・・・
    もうあなたにも見当がついてらっしゃるでしょう?」

   「僕に何の用だ」

   「それももうおわかりのはず」

   「持って回った言い方は止めろ・・」

   「直球がお好みですか?・・・」

   「何処にいる」

   「ご心配なく・・・逃げも隠れも致しません・・・
    あなたの席の方をご覧下さい」

僕がその言葉に瞬時に反応し、さっき離れた席に視線を向けると
ジニョンが僕に気がついて笑顔で手を振っていた

すると携帯電話を耳にあてがったサングラスの長身の男が
僕達のすぐ後ろの席に近づき着席するのが見えた

そして、思わせぶりに僕の方に振り向くと
口元でにやりと笑って小さく指を振った

肩よりも長そうな髪を無造作に後ろで束ねたその男が
ゆっくりとサングラスを外し、素顔を見せると
中性的な目鼻立ちのその容貌は電話から聞こえてくる
無機質な声とは決して似つかわしいものではなかった


   「どういうつもりだ」

   「美しい恋人ですね」

   「彼女に触れたら・・ただじゃ・・」

   「怖いな・・・私が彼女に何かするとでも?
    それは誤解だ・・・私は何もしません・・・」

   「何の用だと聞いてる」

   「我がボスに会っていただきたい」

   「その必要はない」

   「ん~・・・困りましたね・・・」

   「何でもお前達の思うようには行かない・・そう思え」

   「そうですか?・・・しかし、それは無理だ・・・
    我々は今まで・・・どんなことでも・・・
    思うようにしか・・してこなかったものですから・・・
    フッ・・・いや・・失礼・・・
    しかし大丈夫・・・
    あなたは必ず・・・ボスに会ってくれます」

   「ふざけるな・・」

   「Mr.フランク・・・まずはお話ができて良かった・・・
    今日はご挨拶申し上げたかっただけです・・・
    あ・・それから最後にひとつ・・・」

   「・・・・・」

   「今まで私は・・嘘をついたことはありません・・・
    先ほど申し上げましたね
    わ・た・しは・・何もしませんよ・・・
    彼女にも・・・
    あなたにも・・・」

そう言って男は左右に座っていた強面の男達に交互に視線を送ると、
それまでの柔らかな笑みを冷ややかなそれに変えて、
携帯電話を大げさにパタリと閉じた

僕は急いでジニョンの元に戻り、何でもなかったように
彼女に笑顔を作って席に着いた
そしてしばらく僕の視線はその後も平然と食事を続ける
男の背中に注がれていた


   「ドンヒョクssi」

   「ん?」

   「やだ・・さっきから呼んでるのに・・」

   「あ・・ごめん・・・何?」

   「や~ね・・」

   「ごめん・・・ちょっと仕事のこと考えてた」

今このタイミングで彼女に、帰ろう、などとは言えない
しかし、僕は少しでも早くここを立ち去りたい心境だった

   「そう・・・」

僕はジニョンの怪訝そうな表情から回避すべく
内心の動揺を懸命に隠した


すると・・・
おもむろに席を立ち上がる男の姿が視界に入ってきた
そして男はこちらを振り向いたかと思うと
口元だけに笑みを携えて僕に向かって来た

僕は思わず椅子の音を立て、ジニョンに向かおうとした
その時だった・・・

   「ジニョン?・・ソ・ジニョンじゃないか?」

男はにこやかにジニョンに近づいて声を掛けた
彼女も男の声に振り向いて、彼を見るなり親しげな笑顔を向けた

   「まあ・・レイモンド先生・・・」

   「おっと・・・それは・・・だろ?」

男が自分の唇の前に人差し指を立てて横に振る仕草をしながらそう言った

   「あ・・そうでした・・・レイ・・・」

多分、僕の敵であろう男と、目の前で笑みを交わすジニョンの
ふたりだけでわかりあったかのような会話に僕は驚愕し
それとともに胸が煮えくり返える思いだった

   「ジニョン・・驚いたよ・・・
    こんなところで会うなんて奇遇だね・・・
    そちらは・・・彼かな?」

男は僕に柔らかな視線を送りながらしゃあしゃあと言った

   「え・・えぇ・・」

   「紹介してくれないの?」

   「あ・・ドン・・いえ・・・Mr.フランク・シン・・です
    フランク・・・こちらは・・レイモンド・パーキン先生・・・」


       パーキン?


   「大学の臨時講師でいらっしゃって・・
    私のサークルの顧問をなさってるの・・・」


       大学の?講師?


   「初めまして・・Mr.フランク・・・
        レイモンド・パーキンです・・・
    お目にかかれて嬉しいです」

男は少しの悪びれもなく僕に手を差し伸べ握手を求めた
僕は彼女の手前仕方なく、それに応じながらも奴を睨みつけていた

   「フランク・シンです・・初め・・まして・・」

   「ジニョンにこんなハンサムな彼がいるとはね・・・
    ちょっとショックだな・・・
    もっと早くモーション掛けるんだった」

   「えっ?」

   「知らなかった?僕はね・・
    君に会えるのが楽しみで学校に行ってたんだよ」

   「また、ご冗談を・・」

   「冗談なもんか・・・あ・・これは彼氏の前で失礼・・・
    ところでジニョン・・
    最近、学校休んでいたね・・どうしたの?」

   「あ・・ごめんなさい・・・
    今、事情があって休学届けを出しています」

   「そう・・残念だな・・・早く復帰しておいで・・
    皆待ってるよ・・・」

   「はい・・有難うございます・・・」

   「あー・・Mr.フランク・・彼女をお借りしても宜しいかな
    ジニョン・・この曲・・・覚えてる?」

男は天井を指差して、彼女の答えを待った

   「あぁ・・はい・・確か・・ラフマニノフの・・」

   「そう・・ラプソディ・・・
    この前のように、踊らないか?」

そう言って男がジニョンの前にしなやかに手を差し伸べた

   「あ・・いえ・・私は・・」

   「失礼ですが・・彼女は僕と踊ります・・」

僕はふたりの間に割って入って、ジニョンの肩を抱くと
彼から彼女を遠ざけるように中央のダンスホールへ向かった
彼女は彼に振り返りながら申し訳なさそうに頭を下げていた

   「ドンヒョクssi・・・失礼だわ・・」

   「・・・・・・彼と・・踊りたかった?」

僕は自分でも驚くほどの冷たい言い方をしていた

   「そうじゃないけど・・」

   「彼と踊ったことがあるのか?」

   「サークルで・・あ・・ほら、私のサークルね・・・
    ホテル関係の研究してるの・・そこでダンスの講座が」

   「・・・・・」

   「怒ってるの?」

   「怒ってない」

   「嘘・・怒ってるわ・・・あれは、ただのレッスンよ」

      「随分親しげに呼び合うんだね」

   「あ・・あぁ・・あれは、先生が生徒みんなに・・・
    私達と年齢が近いでしょ?だから、お友達みたいに  
    呼んで欲しいって・・・みんな“レイ”って呼んでるわ」

   「あいつは・・いつから?」

   「あいつって・・・レイモンド先生のこと?・・・
    ひと月ほど前、私が選択している経済学の講師に・・」


        ひと月前・・・そんなに前から?


   「あいつ・・君に何かした?」

   「私に?何かって?・・・誰にもお優しい方だわ
    ドンヒョクssi・・あいつあいつって、失礼よ」

   「君は無防備過ぎるから」

   「ドンヒョクssi・・・どういう意味?彼は・・」

僕は彼の方を振り向こうとした彼女の頭を自分の胸に強く押し付けた

   「他の男を見るな!」

   「ドンヒョクssi!・・いい加減にして・・」

今度は彼女が僕の胸を強く押し返して僕から離れた

   「何だか変だわ・・ドンヒョク・・・せっかく踊ってるのに
    少しも楽しくない」

僕は奴らの手が既にジニョンに近づいていたことを
目の前に突きつけられ、理性を失いかけていた


        駄目だ・・・こんなことでは・・・

        奴らの思う壺・・・


   「あ・・ごめん・・・
    そうだったね・・・初めてのダンスなのに・・・
    今日の僕はちょっと可笑しい・・・きっと・・・
    突然、君の前に知らない男が現れて、動揺したんだ・・・
    ごめん・・・ジニョン・・・怒らないで・・・

    わかったよ・・・
    今夜は楽しく踊ろう・・・さあ、機嫌直して?・・・」


僕は彼女に余計な恐怖を与えないためにもここはしばらく
彼らの存在を頭から振り払うしかなかった

改めてジニョンの前に手を差し伸べ笑顔を向けると
彼女もまた僕に少しばかり睨んだような笑顔を返して、
僕の掌にそっと指を置いた

そして、僕は彼女の腰に手を回し、ゆっくりと引き寄せ
彼女を胸に抱いた

   「私ね・・・ずっと・・・
    こうして・・・あなたと踊りたかったの・・・
    この日を思い描いて、レッスンしてたわ・・・
    でも・・まだ下手でしょ?」

   「いいや・・・僕の方こそ・・・リードできなくてごめん」

   「ふふ・・・愛し合ってるふたりにはね・・・」

   「何?」

   「“愛し合ってるふたりにはステップなんて必要ない”・・・
    レイモンド先生の受け売り・・・」

そう言って彼女はクスッと笑った

   「そう・・・だね・・・」

ジニョンは今度は自分の方から僕の胸にそっと顔を埋めてきた
僕は優しく彼女を抱きしめると、ゆっくりと視線を上げた
その先に薄笑いを浮かべながら僕に向かってグラスを掲げる
奴の姿がホールを揺らめく照明に浮かんで見えた

僕は抱きしめた彼女の肩越しに、まだ計り知れない敵に向かって
戦いを挑むかのように奴を睨らみつけていた


    レイモンド・パーキン・・・

    いったい・・・何を企んでいる?


       しかし・・覚えておくといい・・・

       もしも・・・

       例えわずかでも・・・

       その指がジニョンに触れたなら・・・


           決して許さない・・・




               来るなら・・・


                   ・・・来い・・・


      






















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