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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3848893/4692519
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 39 HIT数 8216
日付 2008/01/15 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 38.忍び寄る足音
本文








ソウルにいる父から突然電話が掛かってきた

    《何も変わったことはないか》

  変わったこと・・・

  沢山あり過ぎて・・・パパに話したら卒倒されそうよ


    《何もないわ・・元気よ》


  ごめんなさい・・・

  全てを語るには少し時間が掛かりそう

  変わったこと・・・一番変わったこと・・・

  それは私の心・・・人を愛する心・・・

  フランクのこと・・・パパにも早く話したい

  でも・・・電話で話すときっとパパは誤解する

  彼のこと・・パパにだけは誤解して欲しくないの・・・

  彼と実際に会って話してくれたら

  きっと・・・わかってくれる

  私が彼を本当に愛していること・・・

  私が彼でなければならないということ・・・

  そうよね・・・パパ・・・

  私を愛してくれているパパだもの・・・

  きっとフランクのことも・・・愛してくれるわね・・・

父は電話をくれる時いつも、私のことを心配して
あれこれ矢継ぎ早に質問する

ご飯は食べてるのか・・ちゃんと寝てるのか・・
今日は何を勉強した?・・どんな友達がいる?

でも・・・今日の父の様子は少し変だった


    《一週間後にはそっちへ行く・・・
     そうしたら、一緒に韓国へ帰ろう》

父は決して自分本位の人間ではない

私のことにも事のほか寛大で、私のためと信じたことならば
親として子供を束縛するようなことは決してない
しかし今日の父の言葉には私に有無を言わせない強いものがあった

    《・・・・・》

    《どうした?》

    《あ・・いいえ・・・》

    《この前はジョルジュにまんまと丸め込められたからな》

    《そんな言い方はないわ》

    《はは・・冗談だよ、ジョルジュのことは信用してるさ
     しかし・・お前を留学させたのはちょっと早過ぎた
     そう思ってる・・・私の間違いだった
     お前をアメリカにやるんじゃなかった》

父はまるで独り言でも言っているように同じことを呟いた

    《どうして急にそんなことを?》

    《急じゃない・・・前から考えていたことだ
     ジョルジュも一緒に帰る》

    《だって・・ジョルジュは今お仕事・・》

    《ホテルが大変なんだ・・・ジョルジュはもう納得してる》

    《ホテルが大変って?ソウルホテルのこと?
     いったいどうしたというの?
     ついこの間まで何もかも順調だったじゃない》

    《いや・・それはお前が心配することじゃない・・・》

    《そんなに大変なの?》

    《ああ・・》

    《でも私・・》

    《わかったね・・お前は韓国に戻るんだ
     お願いだ・・ジニョン・・・私たちのそばにいておくれ》

    《・・・・》


結局、私は父に何も言わなかった


      帰りたくない・・・フランクのそばを離れたくない

そう言いたかった・・・でも・・・
最後の父の声が何故か悲しそうに聞こえて

私はそれ以上何も言えなかった

 

 

フランクから、外出もひとりではしないように言われていた
でも・・・
どうしたんだろう・・・父も・・・フランクも・・・
この頃何だか可笑しい

私は急に不安になって、フランクのアパートへ急いでいた

しばらくして、
誰かに付けられている気配を感じて立ち止まり
何度も振り返ってみたけれど・・・


      きっと・・・気のせいね・・・


太陽がしっかりと隠れて、月の姿が朧に現れる時間帯に
この街を歩くのは、やはり緊張が走る
駅を降りて急ぎ足で歩いたものの、背後からの複数の靴音に
敏感に反応してしまった


      やっぱりフランクに迎えに来てもらうんだった


フランクのアパートまで行くにはこの公園を横切った方が早い
そう思った私が公園の入り口に差し掛かったその時だった


  「きゃあっ!」

私の手首を力強く掴んで、ぐいと引っ張る黒い影に
私はなすすべもなかった


  「何をするの!離して!
   誰か・・助けて!フランク!」


その黒い影はものすごい勢いで私を引っ張ると物陰に入り、
私の体をその腕の中に閉じ込めて私の動きを封じた


      うっ!な・・に・・!


  「シッ・・・動くな!」


その声に聞き覚えがあったがそれが誰なのかを理解する前に
今度は口を大きな手で塞がれて私は声すらも出せなくなった
計り知れない恐怖が私の震えを誘っていたその時・・・

近くで数人の男達の声が聞こえてきた


  「見失ったのか!」

  「確かにここに入ったぞ!」

  「探せ!」

  「何としてもあの女を捕まえるんだ!」


男達の物々しい声が、ふたりの体がやっと隠れるくらいの
幅しかない物陰のすぐそばで怒号のように飛び交い
それらの気配が次第に遠ざかっていった

その物々しさに気をとられていた私は
いつの間にか自分の口を塞いでいた手が外されていたにも係らず
私の体をしっかりと抱きしめて動かない大きなその腕の中で
声を飲み込んだままその腕にしがみつき、震えていた


そして・・・


  「離して・・・下さい・・・レイ・・・」


その腕の主がレイモンドだとわかってからは
私はいつの間にかその腕の中で震えながらも、
妙に安心しきっていた


  「・・・・」

  「離して・・・」

  「離さない」


レイモンドのその反応に私はその胸を押し返している
自分の手に力が入っていないことに気がついた


  「レイ・・・」


少しの身動きも許さないほどに私を抱きすくめるレイモンドが
私の肩に顔を埋めたまま、泣いているように感じた


  「どうして、ひとりで歩いてた?
   フランクにも注意をされたはずだろ?」

  「どうして・・それを?」

  「世の中は・・・君が思うよりずっと物騒なんだよ」

  「フランクも・・・同じことを・・・言います」

  「君は・・・本当に・・・
   見ていられないほど・・・危なっかしい子だね」

  「だったら・・・見ないで・・・ください」

  「・・・・ああ・・そうしたい」

彼の心臓の音を耳で数えながら、私は彼と妙に淡々と話をしていた

  「もう・・離してください」

レイモンドはやっと力を緩めて、私に顔を向けた

  「あの人たちは?」

  「さあ・・」

  「私を探しているようでした」

  「そう?」

  「あなたはどうして・・ここへ?」

  「フランクに仕事のことで用があったんだ・・・」

  「仕事って?・・・あなたはいったい・・・」

  「公園に入るところで君を見かけて声を掛けようとした
   そしたら、あいつらが君の後ろを・・・
   公園なんて静かなところを、女の子がひとり歩くもんじゃない
   君は常識を知らなさ過ぎる」

レイモンドはそう言いながら今度は怖い顔を私に向けた

  「・・・ごめんなさい」

  「送ろう」

  「何処へ?」

  「フランクのところだろ?」

  「あなたが・・フランクのところへ行ったら・・・」

  「フランクが怒る?・・アパートの下までだ」

  「・・・・」

  「送らせてもらえないなら、このまま君を車に乗せて
   フランクのいないところへ連れて行ってしまうよ・・・・ん?」


レイモンドがさっきまでの怒ったような顔から
柔らかい表情に変えて、私の顔を覗き込んだ
私は彼の冗談交じりの言葉に思わず笑ってしまった


  「・・・・」

  「さあ・・」


私はレイモンドの言うがまま、彼の後を付いて、
フランクのアパートの方へと向かった


  「あの・・フランクとは・・お仕事でも?
   学校とどう関係が・・あっ・・ああ・・そう言えば
   フランクって、凄く優秀で・・学校でも先生みたいなこと・・
   そのことで?」

  「フッ・・・ま・・そんなところだ・・・
   彼に頼みたいことがあるんでね・・・それより
   君はどうして、こんな時間に?」

  「それは・・・彼に・・・逢いたくて・・・」

  「そう・・・愚問だったね」

レイモンドはそう言ってまた、寂しげに俯き言葉を途切れさせた

 

この前、別荘に突然やってきたレイモンドを見てしまってから
私の彼に向ける思いが何かしら変わってきていた

何が変わったのか・・・私はそう自問してみた

彼が時折見せる寂しげな伏せたまつ毛に
胸が締め付けられる想いが生まれていたことを
否定することができない

でも・・・これはフランクに寄せる想いと決して違う
そのことだけは確かだった

 

       それでも何故か・・・


  「私のことが気になるのかい?」

  「えっ?」

  「さっきからずっと・・・見てる」


そう・・・さっきから私は・・・
ずっと・・・レイの横顔を盗み見るように覗いていた

  

       私は・・・いったい



 

         ・・・どうしてしまったというの?・・・





                       














      


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eyonyon
「だったら・・・見ないで・・・ください」 「・・・・ああ・・そうしたい」  あ~~ぁ♪何だか見ちゃいけない事?を見てしまった気分で・・((*'-'*)  ここで続きは・・・辛いぞ~~♪ 2008/01/16 23:08
フック
ジニョン、お願い!!!フランクの言う事をきいて、危ないまねだけはしないで。寂しげにうつむくレイにフランクが重なってくる。あ~~~ますますレイが憎めなくなる。kurumiさん、レイも幸せにしてあげて!! 2008/01/15 23:57
Lusieta
どうしてしまったというの?・・・どうしてしまったというの?・・・ジニョン・・・。でも、レイが気になってしまうジニョンを、理解できたりもするんだよね、やっぱり。フランク、どうするの? 2008/01/15 23:53
poraris31
ジニョンとフランクの未来はこの先どうなっちゃうんだろう・・・レイモンドには申し訳ないけど2人を助けて欲しいなあ~心臓に悪いですよ~kurumiさん 2008/01/15 23:46

あぁ・・・・あやういジニョンにもう・・・・・ドキドキ・・・フランク~~~~・・・。なんだかすごく辛いんですけど・・kurumi様~・・。 2008/01/15 23:25
 
 

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