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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 48 HIT数 9430
日付 2008/05/07 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 47.誰よりも・・・
本文



 


 













フランクがドアの反対側に位置した窓の外に視線をやると
そこに映っていた人影の慌しい動きに気がついた

当初からそこには見張りらしき男がふたりいたことは知っていた
そのふたつの影が次々に見えなくなったかと思うと、
ひとつの影の主がその窓をスーと音もなく開けた・・・ソニーだった

ソニーはフランク達が囚われている室内への侵入に成功すると
まずフランクに近づき、彼の手に小型の刃物をひとつ握らせた
そして自分はジニョンを縛り付けていた綱にナイフの刃を入れた

    「急いで・・ここを出ます」

タイムリミットは外で伸された輩を他の仲間が見つけるほんの数分間
ソニーが早口でそう伝えた

    「レイモンドを待つんじゃなかったんですか

    「ライアンにきな臭い動きがあると・・情報が・・
     できるだけ早くここを出た方がいいと判断しました
         若は今こちらに向かっています

フランクもソニーも敵に感づかれないように気遣いながら
手を早めた

 


    「ジニョンという女は何処だ!」


しばらくしてドアの向こうから、新たに入って来た男の声がした


    「急いで・・ライアンです・・彼に捕まると厄介だ


ふたりを縛り付けた綱がやっと解かれて、ソニーはまず
フランクに向かって先に窓の外へ出るよう合図した

フランクは音を立てぬよう、少し高めに設えられた窓枠によじ登り
部屋の反対側へと注意深く脱出した
そしてソニーが持ち上げたジニョンの小脇に両手を差し入れると
彼女をしっかり抱きとめて自分の腕の中に受け取った

その瞬間、反対側のドアが開けられ、奴らの叫び声が轟いた

    「おい!・・何してる!
    逃げるぞ!・・捕まえろ!」


    「逃げろ!フランク・・これを!」

その時ソニーはまだ部屋の中だった
彼は自分の拳銃をフランクに手渡し、素手で奴らと格闘していた

    「ソニー!」

    「いいから!急げ!」


フランクは仕方なくソニーを部屋に残したまま
ジニョンの手を取り急いでその場を離れた

その瞬間部屋の中から、騒々しい物音に混じって銃声が聞こえた

フランクは走りながらも、思わず目を閉じた

ジニョンが怯えたようにフランクの手を握り返していた

    「あの人は・・・大丈夫・・・ジニョン・・・
     大丈夫だ・・・」

 
広い建物の中をジニョンの手を引き、懸命に逃げた

最初入って来た入り口を出ようとそこへ向かったが
丁度そこに辿り着いた時、かなりの手合いがなだれ込んでいた
そして無線からの指示に従っているらしい男達がそこを
塞いでいたためフランクは他の出口を探して逆を走るしかなかった

しかし、出口を探せないまま、その内に追っ手が視界に
入って来てしまった

フランクはひとつのドアを開けた
その部屋は体育館のような大きさの倉庫だった
フランクはそこに逃げ込むとドアを閉め、そのドアに背中を押し付けた
そして、ジニョンの肩に手を掛け彼女を自分に振り向かせると
彼女の目を見て言い聞かせるように話した


      「ジニョン・・いいかい?よくお聞き?」

      「・・・・・」

      「僕があいつらをここで引き止める
       その間に向こうの窓から出ろ・・・
       ここを出て何処かの物陰に隠れてろ」

      「嫌よ・・フランクと一緒でなきゃ・・」

      「いいから!言うことを聞け!・・・
       このままだとふたりとも捕まってしまう
       ひとりだけなら・・
       君はここを出て、レイモンドを待つんだ」

      「レイを?」

      「ああ・・ソニーが言ってた・・彼は今ここへ向かってる
       彼ならきっと君を守ってくれる・・いいね!」

      「でも・・」 

      「ジニョン・・これを・・」

フランクはジニョンの手にソニーから渡された拳銃を握らせた

      「フランク・・」

      「もしも・・危なくなったら・・使え・・」

 

    とにかく今は・・・
    ジニョンをここから逃がさなければならない


    レイモンドの声が脳裏に蘇ってきた


  
    《ジニョンだけは奴らの手に渡すな!

     事が起こってからでは取り返しはつかない

     奴らはお前を見くびってる

     ジニョンに何かあったからといって・・いや・・

     そのジニョンに手を掛けたら最後

     お前という男が決して言いなりになることはない

     却って己の命までも危ぶまれるということに
       気がついていないんだ

     だから決して・・ジニョンを渡すな》



    
ドアの外が騒々しくなってきた
フランクは奴らが騒ぎ立てているドアを背中で力の限り押し返したまま
ジニョンを突き放した


      「時間がない!急げ!」


ジニョンの表情は不安で張り詰め、目に涙を一杯溜めていた
それでもフランクの言うことを聞いて、反対側の窓辺に向かった

フランクはジニョンが出口に近づくを待ったように力尽きて、
ドアが奴らによって蹴破られた


     「逃げろ!」

フランクの叫び声が広い空間にこだました


ジニョンはフランクが気になって何度も何度も振り返った
彼女がもう少しで出口に辿り着こうとしていた時
フランクが激しく攻撃されているのが目に入った

その時だった

      「止めて!」

銃声が広い空間に鳴り響いた
ジニョンの手に握られた拳銃の銃口から白い煙が緩く吹いた

そしてジニョンは自分の行為に怯えたようにそのものを
地面に投げつけるとフランクの元へ駆け戻って来た

   

     「ジニョン!来るな!」

しかし、ジニョンは迷わなかった
彼の体を庇うように被い彼らの前に立ちはだかった


その時、男達の群れを分けるようにして、ひとりの男が前に出た


     「流石・・レイモンドが惚れただけのことはある
      勇気のある・・お嬢さんだ・・
      しかしお嬢さん・・心配要らないよ・・
      彼は我々にとって大事な人間だからね
      これ以上は・・傷つけたりしない・・

      しかし・・あんたは違う・・・
      あんたはどうも・・レイモンドにとって
      大切な人らしい・・・奴にね・・
      あんたを無傷で返すと約束したんだ・・
      しかし・・俺は考えた・・
      それじゃあ、あまりに面白くないとね・・・

      あいつも馬鹿だよな・・
      俺がどれほど自分のことを嫌っているか
      知らないらしい・・・」

男はそう言って薄笑いを浮かべながらジニョンに近づいた

ソニーが言っていた・・ライアン・・・その男だった

     「触るな・・・」

     「止めて・・」

     「ジニョンに・・触るな!」


既に手傷を負っていたフランクは力を振り絞ってジニョンを男から奪い取った
そして走れるだけ走るとフランクは突然倒れるようにして
彼女の上に覆いかぶさった

     「ジニョン・・」

フランクは腕の中に彼女を抱いたまま意識が遠のいていくのを感じていた
彼はジニョンの耳元で途切れ途切れに囁いた


     「ごめん・・もう駄目みたいだ・・
      このまま・・動くな・・ジニョン・・動くな・・
      僕は・・君を離さない・・・
      決して・・離さない・・
      もう直ぐ助けが来る・・きっと来る・・
      だから・・・僕の・・腕の中で・・・
      動く・・な・・・」


そう言ってフランクはジニョンの上で気を失いかけていた


     「女を始末しろ!」

ライアンの指示で男達がフランクの体をジニョンから離そうとしたが
フランクの体はジニョンを包み込んだまま堅く閉ざし
彼らの手に負えなかった

     「無理です!こいつ・・離れません」


   触るな・・・ジニョンに・・・触・・るな・・・

   ジニョン・・・僕の・・・命・・・

   誰よりも・・・誰よりも・・・

   愛しい・・・僕の・・・いの・・ち・・・・・・・

   

 そこにサイレンの音がが鳴り響き、次第にここへと近づいて来ていた

ライアンはとっさに、自分の懐から拳銃を取り出すと迷わず
フランクとジニョンに銃口を向けた

その瞬間、ライアンの拳銃がその手からはじかれ飛んだ


     「無傷で返す・・・
    そう約束しなかったか!
    ライアン!」


男達が慌てた様子でその場を散り始めていたが次々にFBIによって取り押さえられていた

     
フランクは薄らぎ行く意識の中で、おぼろげに見えた人影が
レイモンドであることを確認すると、ホッとしたように
ジニョンを腕の中に抱いたまま薄く微笑んでうな垂れた


     「フランク・・フランク・・いや・・
      私をひとりにしないで・・フランク・・いやー
      フランクー」

ジニョンは自分の上で意識を無くしたフランクに向かって
大声で泣き叫んでいた


ジニョンにはそこに響き渡るサイレンの音も、男達の慌てふためく騒動も
彼らが四方八方で警察の手に拘束されている様子さえも
何も目に入らず、何も耳にも届かなかった

その時、彼女の中に存在したのは愛するフランクただひとりだった


   「フランク!しっかりしろ!」

レイモンドが慌ててふたりに駆け寄り、声を掛けた
そしてやっとの思いでジニョンを抱きしめていたフランクを彼女から離した


   「止めて!」


ジニョンはうな垂れたままレイモンドの腕に抱えられたフランクを
まるで奪い取るかのように彼を抱きしめ離さなかった



   「ジニョン!離しなさい・・救急車に乗せるんだ!」
 

   「いや!・・いや・・連れて行かないで・・
    フランク・・フランク・・・私の・・フランク・・」


   「怪我をしてるんだ!離しなさい!」


ジニョンは錯乱していた
ジニョンにはそこにいるのがレイモンドだということすらも
わかっていなかった

彼女の頭の中には自分達を攻撃していた男達から
フランクを守ることしかなかった


そして・・・
ジニョンもまたフランクを抱きしめたまま
フッと、精神が遠のくようにレイモンドの腕の中で気を失ってしまった



   「ジニョン!しっかりしろ!」



       ・・・ジニョン!・・・ 

 

 

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次の書き込み mirage-儚い夢- 46....
 
eyonyon
う~~ん こういう展開に・・・頑張って読むよ~・・ 2008/05/09 01:06
eyonyon
「止めて!」 ジニョンが・・・本来のジニョンに戻ってる感じがする^^・・連れて行かないで・・フランク・・フランク・・・私の・・フランク・・」フランクとジニョンしか見えない・・私も。。 2008/05/09 01:02
ナタデココ
愛の力溢れるドンヒョクの言葉・・・・ドンヒョクは大丈夫よね。今風邪引きで熱ぽいのよ・・・臨場感溢れる話一気に読んだから、動悸が熱が上がったわ・・・ドンヒョクとジニョンの穏やかな日は何時来るの? 2008/05/09 00:37
ノラン
「獏の…腕の中で…動く…な…」「誰よりも…誰よりも…愛しい…僕の…いの…ち…」はぁ~息を詰めて、一気に読んでしまいました。今も、ドキドキしながらキーを打ってます。明日から私の心臓もつかなぁ~ 2008/05/08 21:35
Lusieta
この緊迫した展開が、今日で終わってほっとしたような気もします。これ以上続いたら倒れる人が出そう。ソニーがいて、レイがいて、助かった二人の命。誰にも引き裂けないひとつの命となってるね。レイの叫びが痛い。 2008/05/08 08:05

はあ・・・・やっとの呼吸です・・・フランクとジニョンの想いの深さ・・切なさに・・・・この年での動悸息切れは・・・つらいよ・・・ハッピーマニアの私ですよ~・・。 2008/05/08 00:43
フック
どんな力をもってしても引き離せないフランクの愛が、失われつつある意識の中で「僕の・・・いのち・・・」とつぶやく。そしてジニョンも・・・・。でもソニーはどうなったのかしら???まさか!!! 2008/05/08 00:08
poraris31
ふう~ 一気に読みました。もうドキドキハラハラで心臓が張り裂けそう! 気の小さい(?)私の心臓は最終回まで持つのかなあ~ kurumiさん最後はきっとD&Jはハッピーですよね! 2008/05/07 23:15
フック
きゃぁ~~~最終回まで怒涛のUPの始まりの一番レスだなんて、どうしよう!!!恐れ多い!!! 2008/05/07 22:40
 
 

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