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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3842062/4685688
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 5 HIT数 6030
日付 2006/12/03 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 5.泥棒
本文




      

Thema music select &collage by tomtommama




見つけた!

背後からの大きな声に驚いて僕が振り返ると、サングラスを掛け、帽子を目深に
かぶった妖しい風体の奴が、僕に向かって走り迫るのが見えた。

≪何?・・僕?・・≫ 体の特徴からそれは女のようだった。

僕は何処かのいかれた女だろうと思い、それを無視して前進を続けていた。

待って! 」 その声はやはり僕に向かっていた。 
     
そして必死に追いかけて来る女に、僕はつまらない面倒に巻き込まれるのを
避けようと、今度は少し急ぎ足で進んだ。


待って!・・・誰か!その人を捕まえて!
 泥棒!その人泥棒です! 」 女が突然、群衆の中で甲高い声を上げた。


「な・・!」≪何!≫ 
僕は思い当たることこそ無かったが、咄嗟にそれから逃れるように走り出していた。

しかし人の通りが激しいこの時間帯に、思うように前に進めないでいた僕を、そこを
たまたま通り掛かった図体ばかり大きいおせっかい野郎が、突然僕を羽交い絞めにして
僕の前進を難なく食い止めた。


「  離せ! 」 僕は必死にもがいて、大男の太い腕から逃れようと試みたが、
奴の余りの馬鹿力を前に、僕の足掻きは徒労に終わった。


「泥棒って、こいつかい?お嬢さん・・」 大男は羽交い絞めにした僕をまるで
その女に突き出しながら、大きな声を張り上げ、得意げに言った。

そして走って来た女はやっと僕に追いついて、息咳きりながら僕の目の前で
立ち止まった。

「はっ・・はっ・・あ、・・あり・・がとう・・・」

「ポリスマン・・呼ぶかい?」大男はそう言って、僕を掴んだ腕に力を込めた。
≪呼んでみろ、ただじゃ置かない≫

「 離せ!この野郎!・・君!どういうつもりだ!
 僕が君の何を!何を盗んだと言うんだ! 」

少々の相手なら難なく倒せる自信があったはずの、さすがの僕もこんな大男に
突然羽交い絞めにされたら、簡単に身動きが取れるもんじゃない。

「いいえ・・大丈夫。・・離してあげてください・・私の・・勘違いでした・・」 
まだ息が上がっていた彼女は言葉を切りながら、大男に言った。

「しかし」 大男はまたも力を加えた 「痛い!」僕は奴を睨み付けた。

「本当にごめんなさい・・私の勘違いなんです
 お願い・・離してあげて・・」

大男は女の言葉にやっと僕の腕を離し、怪訝そうに首をかしげながら
渋々その場を立ち去った。

≪冗談じゃないぞ!≫ 僕は男を睨んだその目を彼女へと移した。


「 君ね!勘違いって! 」 僕は突然自由になった腕の調子を確認しながら、
彼女に憤慨して言った。

「勘違いじゃないわ!」 彼女が声を張って即座に答えた。

「えっ?」

「勘違いじゃない・・・あなたは泥棒。」 今度ははっきりとした口調で重ねて言った。

「まだそんなことを!だったら言ってみろよ
 僕がいつ・・君の何を盗んだ! 」 僕もいい加減頭に来ていた。

例え相手が女・子供であろうが、許せないこともある。僕はそう思いながら、
一歩彼女に詰め寄った。


その時、女は自分がつけていた帽子とサングラスを両の手で同時に取ると、
帽子の中からすべり落ちて来た長い黒髪を、頭を軽く振って自分の肩に落とした。

「ぁ・・・君・・は・・」 あの時の・・・彼女だった。確か名前は・・・

 
     私の名前は・・・ソ・ジニョン・・・


・・・ジニョン?・・・

「君は・・・あの時の・・・」 僕はしばし呆然と立ち尽くしていた。

「唇・・・」 彼女は小さな声で呟いた。

「えっ?」 僕は彼女の言葉が聞こえなかったので、聞き返すように言った。

「私の唇を・・・盗んだ。」 彼女は今度は少し声を張って言った。

ところが彼女は自分でそう言いながら、自分の言葉に赤面したかのように俯き黙った。

僕の目の前で、瞬時に真っ赤になってしまった彼女の頬はなかなか冷めては
くれないようだった。

「彼に聞いたの?」 僕はあの時のことを知っているだろう男のことを思い描いた。

「彼?・・・彼って・・・ジョルジュのこと?・・・
 オッパ・・知ってたの?」 そしてまた彼女は更に赤くなった。

≪彼は言わなかったのか・・・≫「それじゃあ・・」≪どうして?≫

「あの時は夢だと思ってた・・・でも・・・夢にしては・・・あまりに。
 その・・リアル・・すぎて・・・・・」 そう言ってまた、彼女は俯いた。
「寝た振りしてたってこと?」

「そうじゃないわ!・・・」 
彼女は僕に向かって一度強く否定すると、また俯いて声をトーンダウンさせた。

「・・・でも・・夢なのか、現実なのか・・わかってなかった・・」

「それで?」

「それでって?」

「泥棒・・なんだろ?」

「あれは・・・あなたが逃げるから」

「僕に文句を言いたくて、待ち伏せを?・・・しかもそんなかっこ・・・」

「そうじゃないわ・・・それにこれは・・・この前みたいな目に遭わないように・・
 男の子みたいなかっこをって・・・」

「ハッ・・余計目立つよ・・」 僕は吐き捨てるように言った。

「・・・・!」 彼女はやっと顔を上げてムッと口を尖らせた。

「泥棒呼ばわりまでして・・何か言いたかったんでしょ?僕に」

「何って・・・・」

「じれったいな・・文句がないなら、行くよ。」 
僕は彼女を置いてその場を立ち去ろうとした。


「待って!どうして!」 彼女があの時と同じように僕の袖を引いて僕を止めた。

「何!」

「どうしてあんなことを?」

「あんなこと?・・・どうして、君にキスしたかってこと?」


   君は何度僕の前でうつむけば気が済むの?

   君が僕に聞いてるんでしょ?・・・


「聞いてどうするの?・・・意味が必要?」

「必要・・って・・・」

「意味なんてそんなものあるかな・・・ああ・・強いて言えば・・・
 僕が至って健康な男だということ?
 腕の中で無防備に眠ってる女がいればキスもしたくなる・・・それじゃ駄目?」

「それだけ?」

「それだけって?」

「私に・・・私にその・・気持ち・・・」

「ないよ・・そんなもの。」 僕は彼女の言葉を最後まで聞かずに言い切った。

「本当に?」

「何が言いたいの?」 

終始僕が突き放したように話していることに、彼女はしょんぼりとうなだれて
僕の前で小さく肩を落とした。

「どうして・・・」 今度は僕が彼女に訊ねた。

「どうして?・・こんなことを?そう言いたいですか?」
「ああ」≪聞きたい≫

「あれから毎日・・・あなたと出逢った時間にあそこに立ってました」

「毎日?・・・あれからって・・・ひと月は経つよ」 彼女の言葉に僕は本気で驚いた。
確かに彼女と出逢って数日は僕も彼女のことを気になっていたかもしれない。しかし、
最近は正直自分のことで精一杯で、彼女と出逢ったことすら忘れかけていた。


「もうそんなに?・・・・フフ・・・気がつかなかった・・・」 
彼女は自分の行動を振り返り、宙を仰いで自嘲しているようだった。

「君・・頭可笑しいんじゃない?また危ない目に遭ったらどうするの?」

「だから、こんなかっこを・・」 
彼女は手に持った帽子とサングラスを僕に持ち上げて小さく笑って見せた。

「そんなもの・・・役に立つわけないでしょ」

「立ったもの・・」 彼女が泣き出さんばかりの潤んだ目をしてそう言った。

「馬鹿じゃないの?」
僕は決してそうは思っていない言い方で彼女を見つめそう言った。

彼女はただ黙って僕を見つめていた。
僕は彼女のその眼差しに、自分の心を覗かれているような気がして、
一瞬目を伏せた。
「英語・・・」 下を向いたまま僕は口を開いた。

「え?・・」

「上達したね・・・」 僕は顔を上げて、もう一度彼女と対峙して言った。
その時の彼女に向けた声が、思いのほか、優しいトーンだったことに自分でも驚いた。

「あれからいっぱい・・勉強しました」 彼女も少し落ち着いた様子で答えた。

「あれから?」

「あの日・・・あなたの言葉が・・・よく聞き取れなかった・・・
 今度、あなたと逢ったら・・・いっぱいお話ができるように・・そう思って・・・」

「何故?」

「わからないわ」

「わからない?」

「わからないの・・・あれからずっと・・・あなたのことが頭から離れなくて・・
 あなたの声が頭の中から消えてくれなくて・・・
 “フランク”・・・その名前だけが・・・私の胸を締め付けてた・・・」

彼女は僕の目を真直ぐに見つめてゆっくりと言葉をつなげた。

「それって・・・恋じゃない」 僕は他人事のようにそう言った。

   それって・・・恋じゃない・・・
  

「恋?・・・恋・・・」 
彼女は僕の言葉を自分で反芻し、それから納得したように頷いた。

「君・・彼いるでしょ?」

「彼?・・・ジョルジュのことですか?彼は・・・兄のような人です」

「少なくとも彼はそう思ってないようだけど」

あの時のあいつの鋭い目は到底忘れられるものじゃなかった。
きっとあいつは僕の彼女への行為に激しく怒っていたはずだ。≪そうか・・・≫
だから余計に話さなかったのかもしれない。彼にとっては間違いなく最悪な事実を。


彼女が僕を探していた。その事実は僕を驚かせたが、僕の中のもう一方で、
不思議とは思っていない自分がいた。しかし・・・
「悪いけど・・・僕は忙しいんだ・・・子供の戯れなんかに付き合ってられない」
僕は彼女に冷たくそう言った。

「子供じゃないわ!」 彼女はむきになって、僕に返した。

「僕にしたら、十分子供だ。」

「その子供相手にキスしたわ!」

「じゃあ、どうしろって言うんだ?僕にどうして欲しい!責任取れとでも?
 ばかばかしい・・キスのひとつやふたつで大騒ぎ・・こんな風に待ち伏せして・・
 やっぱり君は子供・・うっ」

彼女が突然僕に抱きつくなりキスをして、僕の矢継ぎ早の言葉を止めた。

≪な・・に?≫・・・簡単に・・・突き放そうと思えば突き放せた。

それなのに・・・
僕はそうしなかった。ついには・・・彼女の体を今度は僕が強く抱きしめて、
不器用なまでの彼女の幼いキスを、僕の激しいキスに変えていた。
そして彼女の固く閉じた唇を舌で強引に開かせ、彼女と呼吸をひとつにした。

僕はここが・・・道路の真ん中であることなど・・・忘れていた。
彼女を押し倒してしまいそうなほどの激しさが僕の体の芯をうずかせた。

あの日・・・彼女に意味もなく引き寄せられた感情が激流の如く蘇っていた。
まるでそれが引力であるかのように、僕は彼女の唇を激しく強く吸っていた。


彼女は僕の腕の中で次第に脱力し僕の支えなしでは立っていることさえ
ままならないようだった。

何故か狂おしいまでの情熱で僕の頭は爆発しそうだった。
≪駄目だ≫
僕は彼女の髪を乱暴に掴んでその引力に逆らうように、互いの唇を無理やり離した。

僕の目の前で彼女が熱いまなざしのまま放心していた。
   
   そんなはずはない・・・

   この僕が・・・誰かに心を囚われることなど・・・

   あるはずがない・・・


ふいに僕は彼女の手を掴み、無言で歩き出した。
その手を乱暴に引きながら、僕は自分が彼女をどうしようとしているのかなど、
考えてはいなかった。
ただ僕の足は自然と自分のアパートへと向かっていた。


そんな僕の態度にも彼女は決して抵抗を見せなかった。

彼女はただ沈黙して歩く僕の顔を時折覗きながら、僕の歩調に合わせて
小走りに付いてきた。


アパートのエレベーターに乗り込んでからも、僕は終始黙っていた。
上昇する箱の中で壁にもたれかかった僕の隣で彼女もまた無言で正面のドアを
睨みつけていた。
エレベータが目的の階で止まってドアが開いた時、僕はしばらくその場を
動かなかった。
彼女もまた握られたふたりの手を見つめたまま、じっとしていた。
時間が来てドアが閉まりかけた時、僕はハッとしてドアの外へ出た。

「ここは?」 彼女がやっと聞いた。
しかし僕はその問いに答えもせず、鍵穴に鍵を差し込んだ。

そして部屋に入るなり僕は、彼女をたった今開けて閉めたドアに彼女を押し付けて
何の躊躇も無く彼女の服を剥ぎ取った。
彼女のブラウスのボタンがはじけて宙を舞い、胸に着けた小さな下着も
僕は引きちぎるようにして外した。

彼女の幼さの残る胸のふくらみが月明かりだけの部屋に一瞬浮き上がって消えた。
それは彼女が慌てて両手を交差してそれを隠してしまったからだった。

彼女は見るからに震えていた。
震えながら、黙って僕の目だけを見つめていた。

   見るな・・・

   そんな目で・・・見るな・・・

 

彼女の怯えた瞳から僕は結局逃れられなかった。僕の手は彼女の・・・
震えて硬く前で合わせたその腕を解かなかった。

僕は彼女から視線を逸らしてそばを離れるとそのままベッドに体を投げ出し、
黙って天井を見上げた。

彼女は僕の後を追うようにベッドに乗り込むと、むき出しになった自分の胸を
僕のブランケットで隠しながら僕の横に寄り添って座った。

「帰れ・・・」 僕は彼女と視線を合わせないまま言葉を投げつけた。

「帰らない・・・」 彼女は直ぐにそう言った。

「無理するな」

「無理じゃない」

「震えてる」

「・・・震えてなんか・・」

「僕はもう寝る。」

「ファーストキスだったの・・・」

「・・・・・・」

「夢を持ってた・・・ファーストキスは心から愛する人と・・・
 子供の頃から・・・そう思ってた」

「・・・・・・だから?君の大切なファーストキスとやらを・・・
 勝手に奪った僕が憎い?」 

彼女は黙ってただ頭を大きく横に振った。

「だったら・・・何!」

「・・・・・凄く・・・不思議なの・・・嫌じゃなかった・・・
 あなたで・・・嫌じゃなかった・・・」

「悪いけど・・・僕にとってはそんな深い意味はない」

「本当・・・に?」

「君・・僕のどんな答えを期待してるの?あれが・・・
 僕が君をとても愛していて・・・だからそうした・・・そういう答え?
 だとしたら勘違いもいいとこだ・・・
 僕と君はあの時偶然に出会っただけ・・そうだろ?」

「本当に?」 いい加減僕は、彼女にイラついてきていた。

「いいか!さっきみたいに・・・男にあんなことをしたら! 」

思わず大声を出してしまった僕の目を彼女の萎縮したまなざしが彼女から逸らさせた。
僕の続けた言葉はトーンダウンしたように小声になった。

「・・・男は・・・こういうことをしたくなるんだ・・・
 そんなこともわからないような子供が・・・」

「子供じゃないわ!」

「子供だよ!僕は子供は相手にしない。」

「・・・・・・・」

「ブラウス・・・そこにある僕のシャツ着て帰って・・・」

「あなたに・・・」

「・・・・・・・」

「あなたに・・・恋したんですね・・・私・・・」

「まるで・・他人事みたいだ・・」

「自分でも・・・わからなかった」

「だから?・・どうしたいの?」

「どうしたいって・・・わかりません・・・」

「わからない・・・そればっかりだ・・・」 僕は苦笑してしまった。

「わからないから!わからないの・・・あなたに逢ってから・・・
 あなたと・・別れたあの瞬間から・・・
 胸が潰れそうで・・・壊れそうで・・・
 毎日・・毎日・・あなたのこと考えてた・・・
 夢の中であなたが私にキスするの・・・そして息苦しくなって・・・
 目が覚める・・・私の中に・・あなたの・・・あなたが・・・

 起きてると・・あなたの顔が・・声が・・頭から離れてくれなくて・・・
 ひとりでに涙が出てくる・・・苦しくて・・・
 どうしていいか・・わからなかった・・・
 今も・・・どうしていいか・・・わからない・・・

 ただ・・あなたに逢いたくて・・・あなたの声が聞きたくて・・・
 あなたを・・・ずっと・・ずっと・・ずっと・・待ってた・・・
 それって可笑しいですか?
 私・・・可笑しいですか?
 私・・・いかれてますか?・・・私・・・私・・わた・・」

彼女の精一杯の告白が、頬を伝う幾筋もの涙が、決して彼女が子供ではなく、
女であることを僕に訴えた。

朧な月明かりがその涙を美しく輝やかせ僕の胸をうずかせた。


   何故だ・・・何故・・君は・・・僕の前にいる?

   どうして・・・僕は・・・こんなにも熱く・・・

   君を・・・見ている?


いつの間にか・・・

僕はその白い頬に手を延ばし、指で彼女の涙を拭っていた。

「もういいよ・・・泣くな・・・」


僕は彼女の頭を優しく撫でて・・・
頭を支えるように引き寄せると、彼女の髪にそっとくちづけた。

彼女は・・・僕のくちづけになのか・・・

自分の僕への告白になのか・・・

僕の唇のその下で・・・いつまでもいつまでも震えていた。


君は・・・やっぱり・・・


      ・・・子供だよ・・・































 


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