ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3813294/4656920
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 89M/100M
メンバー Total :335
Today : 0
書き込み Total : 1988
Today : 1
mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 50 HIT数 9518
日付 2008/05/11 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢-49.もうひとつの愛
本文



  

翌日の朝、その人は訪れた

ソ・ヨンス・・・ジニョンの父・・・

ヨンスはフランクの病室に入ると、まずソフィアの存在に気がついた

   「あなたは・・・確か・・・
    ジニョンの大学のご友人ではなかったのかな?」

   「友人です・・・彼女も・・・」

彼はソフィアに薄い笑みを浮かべて、改めてフランクに視線を移した
     

   「君が・・・フランクさんですね」

   「はい・・・」

フランクはベッドの上で姿勢を正そうと無理に起き上がろうとした

昨日の夜ジョルジュが病室に現れて、ジニョンの父が
フランクに会いたがっていると言った

フランクは彼女の父との対面前に自分なりの青写真を描いていた
ソウルホテルを守り、自分自身の過去をも払拭するような
仕事の成功と富を得ること・・・

     ソウルホテルは結果的に守ることが出来た

     仕事は成功の途を辿っている

     それに伴い、いくらかの富も得るだろう・・・

しかし・・・フランクの胸の内は何故か暗かった

それは・・・
彼女の父親の心がまるで鏡に映したように
フランクの心に映し出されていたからかもしれない

 

   「あ・・そのままで結構・・楽にしてください・・」

   「すみません・・」

   「まだ回復されていないのに、無理を言って申し訳なかったね・・・」

   「いいえ・・こちらから伺うべきところでした」

   「私が誰なのか・・」 

   「はい、ジョルジュに・・・・ご挨拶が遅れて申し訳・・」

   「いや・・改まった挨拶はいい・・
    ふたりで・・・話せますか?」

そう言ってヨンスはソフィアに視線を向けた

   「彼女は・・大丈夫です・・
    聞かれて困ることもありません」

   「随分と・・信頼なさってるんですな・・・」

ヨンスの言葉の棘をフランクは敢えて無視した

フランクが何故、ソフィアをこの席に同席させたのか・・・
それは彼自身がジニョンの父の前で、どれほど冷静でいられるのか
想像ができなかったからだ

ジニョンのことになると自制が聞かない自分を知っていた
もしも自分が取り乱したり、理性が利かなかった場合
彼女なら必ず自分を食い止めてくれる・・・そう思っていた

彼女の父親の話がどんなものなのかは想像に難くない
フランクはそれでもふたりの為にそれを切り返さなければならない
そう決心していた

   「ジニョンを・・助けてくださったそうだ・・・」

   「いえ・・元はといえば・・僕が・・・」

   「・・ソウルホテルも救って下さったとか」

   「いいえ・・あれは・・」

   「ありがとう・・・私にとっても大事なホテルです
    深く・・・感謝します」

   「あの・・・ジニョン・・ジニョンさんは・・」 

   「ジニョンは・・明後日韓国へ連れて帰ります」

   「明後日・・ですか・・」

   「体の方は特に悪いところがないそうですから」

   「・・・・・」

   「私はね、フランクさん・・・ジニョンには
    平凡な幸せを送って欲しいと願ってます・・
    健やかに・・楽な気持ちで生きていける・・・
    普通の幸せを送ってもらいたい・・・」

   「普通の・・幸せ・・・」

   「あなたは幼い頃・・親御さんの元を離れて育ったとか・・」  


   「・・・・・」
   「随分と苦労をなさったんでしょうね・・
    きっと一生懸命努力して来られた・・・そして・・
    今のあなたがある・・・

    あなたはこのアメリカで成功しようとしている
    いや・・もう既に成功しているのかもしれない
    あなたのような・・いや・・」

 
   「はっきりおっしゃってください・・・構いません・・
    “あなたのような親に捨てられた子は・・”
    そうおっしゃりたいのでしょう?」

次第にフランクはヨンスが言わんとすることが理解できていた

 

   「そんなことを言ってるんじゃない・・
    いや・・そうだね・・・こんな時に詭弁は止めましょう・・・
    恥ずかしいことだがきっと・・
    私が言おうとしていることはそういうことなんだろう・・・
    どうか・・・・蔑んでくれて構わない・・・
    私とて・・人間として、そういう差別は好まない
    そう思っていた・・・
    一生懸命努力して成功を収めた男
    きっとあなたはそういう生き方をするでしょう

    娘と関係なくあなたのような人と出会ったら
    きっと私も手放しで褒め称える
    しかしね・・フランクさん・・・

    親というものは馬鹿なものです・・・
    自分の子供に対しては別なんです・・・ 
    自分の子供に対してだけは・・・
    定規で推し量れない感情が生まれてしまう

    あの子には普通に育った男と・・  
    普通に出会って・・普通の幸せを掴んで欲しいと思ってしまう

    生まれた時から今まで愛しんで育てた娘です
    その娘に平凡な幸せをと望むことが罪とは
    どうか・・・言わないで欲しい・・・

    私は・・・少なくとも決して・・・
    こんな事件に巻き込まれるような
    人の恨みや、妬みを買うような男のそばには・・・
    娘を・・・置けない・・・」

 

   「・・ジニョンの気持ちは・・」

   「君のような男のそばで・・・
    這い上がって生きることを強いられた男のそばで・・・
    これから先も果たしてジニョンは・・
    安穏と暮らしていけるのだろうか・・・・」    

   「・・・・・」

ヨンスの言葉にフランクは何も返せなかった

   「あなたにはその確信がお有か?」

   「・・・・・」

   「いつかきっとあの子にもわかる」

   「そうでしょうか」

   「君も・・ジニョンを愛しているのなら・・
    ・・・わかって欲しい・・親としてのこの気持ちを・・
    君もきっと・・人の親になったらわかる時が来る」

   「人の・・・親に・・・ですか・・・」

   「ああ・・」

   「親というものは・・・子供の幸せを願うもの・・・
    以前ジニョンも・・僕に・・同じことを言いました
    きっとジニョンは・・あなた方に愛されて・・愛されて・・
    育ってきたんですね・・・でも残念ながら僕には・・
    親の愛というものの実感が何ひとつない・・・」

   「・・・・・」

   「人の親になったらわかる・・・それなら・・・
    それなら僕は・・・親というものにはなりません」

   「・・・・・」

   「僕は・・・自分の都合で簡単に子供を捨てたり・・・
    子供の意志に反して・・自分の思い通りの幸せを押し付ける
    それが・・親と言うものなら・・・
    僕は!・・親にはならない・・」

   「親のエゴ・・・そうおっしゃりたいのかな・・・
    どう思ってもらおうと構わない・・・」

   「・・・・・」

   「君に理解してもらえるとも思っていません」

   「・・・・・」

   「ただ・・・私の気持ちを聞いていただいただけです」

   「・・・・ジニョンさんに・・一度会わせてもらっていいですか」


   「・・・あの子は今・・・誰と会っても
    話すらしない」 

   「・・・・!・・どういう・・」


フランクは言葉に詰まりながら、壁際に佇んでいたソフィアを睨んでいた
 

   「大きなショックに因るものらしいが・・・・
    どんなショックを受けたのでしょうね・・・」

ヨンスはその原因がフランクにあることを強調するように
語気を強めた

   「・・・・・」

   「しかし・・心配は要りません
    一過性のものらしい・・時間が経てば、元に戻ります」

   「・・・・・」

   「・・・・・韓国に連れ帰って治療する予定です」

   「会わせてください・・お願いします」




ヨンスが病室を出て行った後、フランクはベッドに座ったまま
しばらく呆然としていた


   「ごめんなさい・・・」

   「・・・・・」

   「言えなかったの・・・」

   「・・・・・」

   「フランク・・・」

   「僕を・・・待ってるんだ・・・」

フランクは一筋の涙と一緒にポツリとそう呟いた


      

     

病室に入るとジニョンは静かに眠っていた
ヨンスの話では、意識を取り戻してから四日間何も食べず、水さえも飲まず
起きている時でも、目を開けているだけで誰とも話さないという
周りの人間が声を掛けても、まるで誰も見えていないかのように
起きている間天井を見つめ、そして眠りに付くその繰り返しだと・・・

 

     《私は・・・あの子に普通に育った男と・・普通の出会いをして・・
      平凡な幸せを送ってもらいたい

      少なくとも決して・・・こんな事件に巻き込まれるような
      人の恨みや、妬みを買うような男のそばには置けない・・・

      君のような男のそばで・・・
      這い上がって生きることを強いられた男のそばで・・・
      これから先も果たしてジニョンは・・
      安穏と暮らしていけるのだろうか・・・》

 
ベッドの中の彼女の顔には少し傷が残っていた
その傷をそっと指で撫でながら、彼女の少しやつれた姿を見つめていると
ヨンスが言った言葉がフランクの脳裏に繰り返し繰り返し蘇った

      
   「ジニョン・・ごめんよ・・・ジニョン・・・ジニョン・・・」

 

フランクは眠ったままのジニョンの顔を両手で挟み
彼女の額に自分の額を押し当てて念じるように彼女を呼んだ

   ・・・ジニョン・・・
 

彼の目から滴り落ちた涙がまるで彼女が流した涙のように
彼女の目尻から滑り落ちていく

その涙に反応してジニョンが薄く目を開けた

 

   「ん・・?・・・・」


   「・・・ジニョン?・・・」

はっきりと目覚めたジニョンはフランクの顔を確認すると
大きく目を輝かせて彼の首に抱きついた

 

   「フランク!」

 ジニョンは意識を回復してから初めて声を出した


   「ジニョン・・・話せるのかい?僕がわかるの?」

   「フランク・・・ああ・・逢いたかった・・
    どこへ行っていたの?探していたのよ」

   「遅くなってごめん・・」 

   「いいの・・・逢えたもの・・・やっと逢えたもの・・
    ずっとね・・夢を見ていたの・・
    夢の中で何度も目を覚ましてるのに・・どうしてだか
    いつもそこにあなたがいないの・・

    来る日も来る日も・・今日こそはって目を開けるのに・・
    あなたがまた・・いないの・・・
    怖くて・・怖くて・・だからずっと目を閉じてた・・
    あなたの声が聞こえるまで・・
    ずっと目を閉じてた・・・」

ジニョンは愛しいものを抱くようにフランクの頭をしっかりと抱いていた

   「ごめんよ・・こんな思いをさせて・・ごめん・・
    ごめん・・ごめん・・ごめん・・」

フランクは彼女の体を思い切り抱きしめて、泣きながら謝り続けた


フランクは涙が止まらなくてどうしようもなかった
ジニョンもまたそんなフランクを見ていると涙が込み上げて来て
一緒に泣きながら彼の頭を撫でていた

   「フランク・・・どうして泣くの?泣かないで・・
    ね・・泣かないで・・・お願い・・」

 

       このままずっと・・・君を・・・

       抱きしめらていられたら・・・

 

 

   「フランク・・・ここはどこなの?」 

   「・・病院だよ・・」 

   「病院?私・・どうしたの?」

   「怪我をしたんだ」

   「怪我?どうして?・・あ・・あなたも・・・ひどい・・
    大丈夫?フランク・・」

ジニョンはフランクの外傷を改めて確認するように彼を見回した

   「僕は大丈夫・・・」

   「ね・・フランク・・帰りましょう・・私達の家へ・・・」

ジニョンが突然深刻な顔をしてフランクを見上げた

   「何だか怖いの・・・ね・・帰りましょう?・・早く帰らないと・・」

   「・・・・?」

   「早く帰らないと・・・胸騒ぎがする・・・」

そう言いながら、ジニョンは顔を曇らせた 

   「ああ・・そうだね・・・」

彼女の言葉にフランクは彼女を再び強く抱きしめてそう言った

      「フランク・・・どうかしたの?」

彼女はフランクの顔を覗きこんで、彼の心を探っていた

 

   「何でもないよ」

   「嘘・・・フランク・・ねぇ・・こっちを見て・・
    私を見て・・・何か隠してる?」

   「馬鹿だな、ジニョン・・僕が・・何を隠してると言うの?
    明日・・そう・・明日帰ろう?・・・

    君はここで待ってて・・・明日・・
    必ず迎えに来るから・・・」

   「いやよ・・明日なんていや・・
    今すぐ・・一緒に連れてって・・」

   「困らせないで・・ジニョン・・・僕もほら・・怪我してる
    まだ退院の許可出てないんだ」     

   「明日には・・出るの?」   

   「ああ・・」

   「ホント?」

   「ああ・・」

   「待ってれば・・いいの?」

   「ん・・」


   「ほんとね?・・」

   「ん・・」

   「約束よ」

   「ん・・」

 

そこへドアの外で待っていたヨンスとジョルジュがジニョンの声に気がついて
慌てて病室に入って来た


   「この人たちは・・誰?フランク・・」


ジニョンはフランクの腕の中でふたりに向かって、怯えたような顔を向けた
しかし、ヨンスにとっては、ついさっきまで話すらしていなかった
彼女の変化の方が喜びだった

 

   「ジニョン・・話せるのかい?」

 

ヨンスはジニョンに駆け寄って彼女をフランクから奪い取り抱きしめた

   「・・きゃっ!何!」

   「パパだよ・・・心配したんだよ・・ジニョン・・ジニョン・・」

   「パパ?・・・・・・・!・・・・パ・・パ・・?」

ジニョンはやっとヨンスの存在を思い出した
そして一瞬にして、今自分が置かれている状況を把握することが出来た

 

   「ジニョン・・思い出してくれたんだね・・」

ヨンスの肩越しにフランクを見たジニョンの目が大きく見開いた
それは全てを思い出したことへの喜びとは程遠く
思い出してしまったことへの恐怖の目のようだった


     フランク?・・・


その先にあったフランクの目が余りに悲しげで彼女の不安を煽った

ジニョンは思わずヨンスの腕を振りほどきフランクに手を差し伸べた

   「フランク?・・」

しかしフランクはそのまま彼女に背中を向けて、病室を出てしまった

  「フランク!・・」

ジニョンは慌てたようにベッドから滑り降りたが足がもつれて床に倒れてしまった
それでも何んとか立ち上がろうとしたがこの数日間の彼女の容態は
その力すら奪ってしまっていた
ヨンスはそんな彼女を捕まえるように離さなかった


   「パパ・・離して!・・行かないと・・
    行かないと・・行かないと・・フランクが・・

    フランクが・・・」

   

 

フランクが自分の病室に戻るとレイモンドがベッドの横に座っていた


    「動けるようになったのか」

    「頼みがあります」

    「?・・・・・」

    「一生の頼みです」

 



         ・・・「聞こう・・・」・・・

 



 

   
        


前の書き込み mirage-儚い夢- 50....
次の書き込み mirage-儚い夢- 48....
 
hitomihito
彼女に背中を向けて、病室を出てしまったフランクはヨンスの気持ちを理解したと言う事?レイに一生の頼みと言うのはもちろんジニョンの事よね?あぁ~、辛い・辛い。。 2008/05/15 20:06
フック
愛するフランクの愛を信じて欲しい!!!!ジニョンも半身であるからこそ、フランクを待って、フランクの声で目覚めたのですものね。二人の半身としての固い絆は誰にも離せない!!!たとえどんなに娘を愛する親でも 2008/05/13 16:50
フック
フランクの犠牲と苦悩の大きさを想うと、どうしようもない悲しみでいっぱいになります。ジニョンパパの親としての気持ちもわからないわけではないけれど、今のフランクを見て欲しい!!!ジニョンを半身として心から 2008/05/13 16:45
フック
「僕は!・・・親にはならない・・・」と言うフランクの言葉が、私の胸をえぐって切ない!!!『普通に育った男』って、それはフランクのせいでもなく、フランクこそ普通に育ちたかったはず。そのために払った 2008/05/13 16:41
naochan16
フランクとジニョン・・お互いを想う気持ち・・・そして二人の状況・・・胸が痛いです。でもでも、期待してていいんですよね?二人の幸せを。。。 2008/05/12 00:00

人の親の自分をみて・・・・何だか無性に悲しいです・・・・・・・・・・・・。↓あぁ~tom大明神様~そんなあ・・・・お願いなんとかして~。。我慢したら幸せになれるの???????????? 2008/05/11 23:27
ジェニー・S
フランクの生い立ちを言われても、フランクのせいではないのに、あまりにも悲しすぎる、あ~~どうなるのかしら この先ドキドキで~す。 2008/05/11 23:00
poraris31
胸が締め付けられて・・・涙で文字がにじんでしまいました(T_T) フランク!ジニョンを離しちゃダメだよ! 2008/05/11 20:56
tomtommama
アップの前にだいたいkurumiちゃんは加筆するんだなぁ・・・・・・はぁ~ (-。-;)  聖ちゃん後はラストまで我慢したほうがいいよ。。。。 2008/05/11 19:27
joonmylove
今やっと息が出来ました。二人を引き裂く事は誰にもできないよね? 2008/05/11 17:47
Lusieta
気を確かに・・・。はい、大丈夫です。この二人は何があっても・・・。はい、また待っていましょう。はい(TTT-TTT) やっぱり二人は半身なのだから、離れるわけにはいかないんですよね。 2008/05/11 16:48
 
 

IMX