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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3821474/4665100
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 51 HIT数 9700
日付 2008/05/13 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 50.冷たい決意
本文


 













      ・・・レイ・・お願いがあります・・・

ジニョンからの電話を受けたレイモンドが彼女の病室を訪れた

      「私もやっと・・君に会えたね」

   「ご心配をお掛けしました・・・」

レイモンドは自分が見舞った時、父親を部屋の外に連れ出してもらうことを
事前にジョルジュに頼んでいた
ジョルジュはレイモンドの正体をジニョンの父親には話さなかった
父親にとってレイモンドはジニョンの学校の教師でしかなく
一縷の疑いをも抱くことはなかった

   「レイ・・どうかお願いです・・
    私をここから連れ出して下さい」

   「・・・・・」

   「お願いです」

ジニョンはレイモンドにすがるような目で手を合わせた

   「・・・・わかった・・待ってなさい・・」




レイモンドは知っていた・・・
フランクは今、ジニョンを置いてこの地を去ろうとしている



   「一生の頼みがあります」

   「・・・聞こう」

   「僕は今からここを出ます」

   「まだ退院許可は下りてないだろう」

   「わかってます」

   「ジニョンはどうする・・」

   「彼女は明後日、韓国に帰国します」

   「どういうことだ」

   「父親が連れて帰ります」

   「一時的ということか」

   「いいえ・・・」

   「どうして君が慌ててここを出なければならない?」

   「・・・・・」

   「彼女を置いて行く気か?」

   「・・・・・」

   「何故だ!」

   「・・・・言わなければいけませんか?」

   「・・・・それで私にどうしろと?」

   「ジニョンはきっと・・あなたに助けを求めるでしょう」

   「だから?」

   「諦めさせてやって欲しい・・
    それで・・父親とソウルに帰るよう
    説得してやってください」

   「ハッ・・」

レイモンドは呆れたように溜息をついてフランクを睨んだ
そして、それ以上フランクと言葉も交わさず彼に背を向けて
病室を去って行った



ドアの外でふたりの話を聞いていたソフィアが無言のまま
病室に入ってきた

   「・・・・・」

ソフィアはフランクから視線を逸らし、ただ黙々とベッドの
シーツを整えていた

   「何?」

冷えた空気に耐え切れず声を上げたのはフランクの方だった

   「・・・・・」

   「・・・・何が言いたいの?」

   「何も?」

ソフィアはフランクにやっと視線を向けたかと思うと
ただひとことそう言った
でもその瞳は確かにフランクに向かって何かを言っていた

   「そんな目で見るな」

   「私は何も言ってないわ・・・
    あなたが今・・私の目を見て感じていることは・・・
    きっと・・あなた自身の心よ・・・」

   「・・・・・」

   「それがあの子のためだと?・・・
    それは大きな間違いだわ」

   「・・・・・」  

   「それでも?」

   「・・・・・」

   「それでも?!」

ソフィアの声は涙声に変わっていた

   「・・・それでも」

そんな彼女の問いかけに、まるで自分自身に言い聞かせるように
フランクは彼女の言葉を繰り返した


   「情けない男」

ソフィアは吐き捨てるようにそう言った
それでも彼女のフランクを見る目は彼を哀れむように優しかった

そして彼女もまたレイモンド同様それ以上何も言わなかった


      ・・言えなかった・・・

      あなたのその悲しい瞳が哀れ過ぎて・・

      言うべき言葉すら見失ってしまったの・・・



      フランク・・・

      どうしてあなたはそんなにも不器用なの?・・・

      どうしてもっと・・・自分を愛せないの?


      神は・・・・






外にはジニョンの父親が待っていた

レイモンドはジニョンの前でポケットから携帯電話を取り出した

   「ソニー・・動けるか」

しばらくして、部屋の外で、男達の声が聞こえてきた
そして、部屋のドアが開いて、ヨンスがジニョンに声を掛けた

   「ジニョン・・・ソニーと少し話をしてくる
    ジョルジュが付いていてくれるというから
    行ってくるよ・・出発の準備をしていなさい」

   「あ・・は・・い」

今日ジニョンはこの病院を退院して、父の意志通り韓国に帰国する




       《フランクが・・・フランクのところへ行かせて》

       《ジニョン・・・彼は駄目だ・・・諦めなさい》

       《パパ・・どうして?》

       《あの男は駄目だ・・・》

       《どうして!・・彼のこと少しもわかっていないのに
        どうしてそんなことが言えるの?》


       《・・・彼は私の気持ちをわかってくれた》

       《どういうこと?・・・》

       《彼はもうここには来ない》

       《嘘よ!そんなこと・・あるはずがない!
        迎えに来るって約束したもの・・
        フランクは私に嘘はつかない
        どうして・・そんな嘘をつくの?パパ・・》

ジニョンはあれから幾度となく父親を説得した
しかし彼の意志は固く、揺るがなかった      


レイモンドはジニョンの目を真直ぐに見つめて
彼女の決意を確かめた

ジョルジュもまた、ジニョンの気持ちをわかっていた
レイモンドがジニョンに手を貸して部屋を出て行くのを
何も言わず見送った

   「ジョルジュ・・」

   「ああ・・わかってる・・・急げ」

   「ごめんなさい・・」



レイモンドとジニョンはまず最初にNYのフランクのアパートに向かった
しかしそこは昨日のうちに解約されたらしく、中を覗くと
天窓の下に置いたベッドも何台かのパソコンも何もかも消えていた

ただキッチンのカウンターに彼が好きだったコーヒー豆の袋が
ポツンとひとつだけ寂しく取り残されていた


ジニョンは目の前で起きている只ならぬ状況に次第に青ざめて
震えるようにレイモンドを見上げた

レイモンドは既にこの結果を知っていた・・・
それでも彼女に諦めろ、と言えずにここまで連れて来た

ジニョンは慌てたように玄関に向かった


   「ジニョン!何処へ行く!」

   「別荘に・・」

   「・・・・・」

   「別荘に・・行きます」

   「行ってどうする?・・そこもきっと・・」 

   「・・・・・」

レイモンドはそう言いかけたものの、彼女の返す切ない目に
それ以上の言葉がつなげなかった

   

   「わかった・・・行こう・・・」


レイモンドは今はジニョンの気の済むようにしてあげようと思った

湖畔に向かう車の中で、ジニョンは爪の先を噛みながら窓の外を見続けていた
時に自分で自分の肩を抱きしめて震えを堪えているかのようだった


別荘に車が到着すると、ジニョンは車が停止するよりも早く車のドアを開け
ふたりの家に向かって走った
そしてそのドアを開けると、そこは初めてここを訪れた時のように
全ての調度品が白い布で覆われていた

ジニョンはその情景を目の当たりにして、愕然としていた

あまりのショックに目が大きく見開き、その瞳からみるみるうちに
涙が溢れ出た


   「フランク?・・フランク?・・・」

ジニョンはドアというドアを開けては彼の名前を繰り返し呼んだ

   「フランク!・・フランク!・・フラ・・」

そして・・・とうとう全てのドアを開けてしまった


   「フランク・・・悪ふざけは止めて・・・
    フランク・・お願い、出て来て・・・

    冗談なのよね・・フランク・・
    そうやってあなた・・いつも意地悪ばかり
    私・・あなたの意地悪にはもう慣れっこなんだから・・・
    
    こんなの・・何てこと無いんだから・・・

    私を怒らせて・・隠れて笑ってるのよね
    そうなんでしょ?

    驚かせようとしてるのよね?

    そうよね・・フランク・・・

    答えて!フランク・・フランク!

   フランク!ー」


ジニョンは今度は狂わんばかりに泣き叫びながら、
家具を被った布を乱暴に剥いで回った

   「・・・・うそつき・・うそつき!・・」

   「ジニョン!」

レイモンドは彼女の興奮を抑えようと必死に捕まえて抱きしめた
しかし・・ジニョンの狂気は、彼の力さえも簡単に振りほどいた



   
   「うそつき!・・・

    迎えに来るって言ったのに

    待ってて・・って・・

    待ってて・・そう言ったのに・・


    私がいればいい・・そう言ったのに・・

    そうよね・・そんなはずない

    そんなはずない・・・

    あなたが私に嘘なんて付かない

    あなたが私をひとりになんてしない

    だって・・・あなた・・私がいないと駄目じゃない

    私がいないと・・・私がいないと・・・」

ジニョンはまるで呪文のように、自分に言い聞かせるように
“そんなはずはない”と繰り返していた

しかしいつまで経っても目の前の風景は変わることがなかった


    「うそだったの?フランク・・・

    ここが私達の家じゃないの?

    ふたりだけの・・家・・そうじゃなかったの?

    ほら・・・

    天井・・まだ穴空けてないじゃない

    約束したでしょ?

    星が見えるようにしてくれるって・・

    約束したでしょ!

  
    フランク!・・・フランクー・・フランクー

    何処にいるの?

    どうして私を置いていくの?

    私は・・どうすればいいの?

    返事して・・

    嫌よ・・・フランク・・・

    置いていかないで

    私を置いていかないで・・・

    置いて・・いかないで・・・・

    嫌よ・・・嫌・・・フランク・・・


    ・・・フランク!-」・・・





        神は・・・


        大きな悪戯をなさったのね・・・


             ・・・フランク・・・














 

 
 

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hitomihito
フランクらしい行動だと思っても辛いです。少しまとめて読んだのは失敗だった・・・。辛さが倍増してしまって・・・。 2008/05/15 20:28
mf1117
より一層にmirageに引き込まれて・・・思わず居ないと解っていてもジニョンと一緒にドアを開けていました。 2008/05/14 07:07
mf1117
mirageタイトルphotoが・・・・ジニョンを諦めようと決意した時のフランクとだぶって・・・あの様に辛い決意をしたのかと・・50タイトルのジニョンの涙と悲しく不安そうにが・・そこにピアノ曲が・・・ 2008/05/14 06:49
naochan16
まさかこんな展開になるとは・・もう、ボロボロです。ジニョンの悲痛な叫びが悲しい・・ジニョンの心が壊れてしまわなければいいけど・・・フランク!何処にいるの・・? 2008/05/14 00:18
poraris31
涙があふれて止まりません(T_T)フランク!こんなの絶対ダメだよ!ジニョンの心がまた壊れてしまったら・・・kurumiさんこのままじゃ悲しすぎるよ~ 2008/05/13 22:02
フック
フランク~~~!!早くジニョンの元に・・・・・。それでないとまたジニョンの心が壊れてしまう!!!ジニョン!!あきらめないで・・・。信じて。 2008/05/13 21:53
フック
『約束したでしょ!』『フランク!-』ジニョンの血を吐く叫びが耳から離れません。この声を聞くレイモンドもたまらないだろうなぁ~~~。レイモンドも本気でジニョンを愛しているんだもの・・・・。 2008/05/13 21:49
フック
またジニョンの心が壊れてしまうのではないかしら???フランクを求めて、待って、そしてフランクの声に目覚めたジニョンですもの・・・・。つぶやく言葉が胸に突き刺さります。『フrsンク!ー』『うそつき!・・ 2008/05/13 21:44
ノラン
私もこれから仕事なのに…どうしよう~涙が止まらなくて~~~立ち上がれない… 2008/05/13 10:28
Lusieta
がまんできずに職場のPCから。フランク、いざとなったら仕事が速いね。さすがだわ。みんなが痛々しくて、苦しいわ。ジニョン、あなただけは、あきらめないで・・・・ 2008/05/13 10:12
joonmylove
出がけに覗いたのが間違いでした(T_T)ボロボロの顔で出かけられない。それより、2人の事が気になるよ。次のアップまでこの不安を引きずるのね。 2008/05/13 09:58
 
 

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