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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3853146/4696772
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mirage
創作mirage-儚い夢- 2006.6より with BYJにて連載中
No 7 HIT数 6335
日付 2006/12/04 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage-儚い夢- 7.追いかける者
本文




       

Thema music select &collage by tomtommama












 

    














結局彼女は帰らなかった。
あろうことか、この僕が“泊まっていってもいい”と言ってしまったのだから、
笑ってしまう。

仕方ないという顔をして僕は彼女に向かって、ひとつしかないベッドを指差した。
しかし彼女は「私はここで」と小さなソファーに、遠慮がちに腰掛けた。
僕も彼女に対してそんな義理もないだろうと、敢えてしつこくは勧めなかった。

しかし夜中に何かしらの重苦しさに目が覚めると、いつの間にか彼女が
僕のベッドに潜り込んでいて、図々しくも僕の腕を枕代わりにしていた。
きっと眠くなった時、椅子に座っているのが疲れでもしたのだろう。
それにしても・・・
僕はすっかり呆れ果ててしまったが、それでも僕は彼女をベッドから追い払うことを
しなかった。
それよりも彼女の怖いもの知らず、というか、男を甘く見過ぎているというのか、
僕はまたも笑うしか無かった。
彼女と会ってからというもの、僕はこうして何度笑っているだろう、とふと思った。

ともかく彼女のお陰で眠れなくなってしまった僕を他所に、当の彼女はというと
僕の傍らで少しの遠慮も無く、ぐっすりと眠り込んでいた。

≪まったく・・・≫

見覚えのある彼女の寝顔がまた僕の目の前にあった。
初めて出逢ったあの日、彼女に魅せられていた、その感情が蘇るようだった。

その時僕はつい衝動に駆られて、彼女の顔に落ちた黒髪を指でかきあげた。
そして僕の鼻先に彼女の伏せた長いまつげが現れると、僕は吸い寄せられるように
そのまつげに唇を寄せた。

≪もう少しだけ・・・こうしていたい・・・≫

彼女に対して、疎ましく思う気持ちとは裏腹に、もうひとつの僕の心が
彼女がまだ目覚めないことを望んでいるようだった。

≪いや・・そんなはず・・あるものか≫

突如、彼女のあまりに無垢な寝顔が無性に腹立たしくなってきた僕は、
彼女の首の下になってしまって、少し血流が悪くなっていた自分の二の腕を、
彼女の頭がガクンとシーツに落ちるように乱暴に外すと、おもむろにベッドから降りた。

それでも彼女は一向に眠りから覚めることはなかった。

≪・・ったく・・・いったい何なんだ・・君は・・・≫

僕は彼女の代わりにソファーに腰掛け、意図も簡単に僕の心を掻き乱してしまった
彼女の寝顔を、その場所からただ黙って見つめていた。
不思議なことに、時が経つにつれ次第に、自分の彼女への苛立ちが消えていく様を、
僕は胸の内に感じていた。




「君・・・君・・」 
夜明けを迎えて僕は彼女の肩をゆすったが、彼女はピクリともしなかった。
「君!・・・起きなさい!」 
僕はもう少し声を張って彼女をゆすった。

「・・・ん?・・・うん・・・もう少し・・・」 彼女は眠そうに寝返りを打った。

「始発の時間だよ、電車。・・・学校あるんだろ?」

「あっ!・・・」

彼女は慌ててベッドから飛び起きると、まず、自分の置かれた状況を把握しようと、
周りを見渡して、それから最後に僕を見た。

「あ・・・泊めて・・もらった・・んでした・・よね・・」 
彼女は自分の頭の中の混乱をまとめるように言った。

僕は頷いた 「ベッドを貸した覚えはないけど」

「あ・・ごめんなさい・・ちょっとだけ・・横になったつもり・・だったのに
 あの・・ごめんなさい!」 彼女はしどろもどろだった。
 
「いいから・・顔洗っておいで・・コーヒーくらいなら入れてあげる」
僕はシャワー室を指差しながら彼女にそう言った。

「あ、大丈夫です・・寮に一度戻りたいし・・・このまま失礼します・・・」
彼女は手荷物を慌しくまとめると、僕に急いで一礼してドアへと向かった。

「あ・・君!・・・」
慌てて帰ろうとする彼女の後姿に僕が思わず声を掛けると、彼女は勢いよく僕に
振り返った。

そして「あの!」と声を張った。

彼女の勢い余った表情に僕は少しばかり後ずさってしまった。「な・・何・・」

「あの・・“君”・・じゃなく・・・ジ・・ニョ・・ン・・です!」 
彼女は僕に向かって、自分の名前を大きな口を開けて、区切って発音した。

「・・・・・・」
彼女は至って真顔だった。そしてそれだけを言うと、そのままバタバタと部屋を
出て行った。

「・・・・・・」

突然彼女がいなくなった部屋で、僕はしばらくあっけにとられていた。

「何・・なんだ?」

   嵐のように僕の前に現れて・・・
   また嵐のように去っていった

僕は誰に向かうでもなく、玄関のドアを見つめたまま小さく笑った。

 

 


私はフランクのアパートを急いで出ると始発の電車に飛び乗り、一旦寮に戻った。
そしてシャワーを浴び着替えを済ませると、急いで寮と隣接している学校に向かった。

すると案の定、ジョルジュが正門で私を待ち構えていた。
彼を見つけて私は思わず顔を背けた。

「ジニョン!」

当然、彼の尋問を受けずにここを通り抜けることは不可能だということもわかっていた。

「お前!昨日何処行ってた!寮に何度も電話入れたんだぞ!
 あそこは遅い時間は電話の取次ぎもしてくれないんだ
 門限の9時に掛けた時もまだ帰ってなかったし
 あろうことか、お前から友達のところに泊まるという
 連絡が入ったって・・寮長から聞いたぞ!」

「おしゃべりね」 私はおしゃべりな寮長の顔を思い浮かべながら呟いた。

「おい!待て、ジニョン・・・いったい、どういうことだ!」

「その通りよ、友達のところに泊まったの。」

「友達って?誰だ。」

「誰でもいいじゃない・・オッパが知らない人!私だって・・
 もうこっちへ来て2ヶ月は経ったのよ、泊めてくれる友達くらい出来たわ
 何もかもオッパに報告しなきゃいけないの?」

「ああ・・駄目だね・・俺にはお前に責任がある。
 おじさんと約束してるんだ・・お前を必ず守るってな。」

「もう!私のこと子供扱いしないで!」 私は思わず怒鳴っていた。

   子供扱いしないで!

私は心の中でジョルジュじゃない誰かに対してそう叫んでいた。

「だから、誰のとこだと言ってるだろ?」 ジョルジュも引かなかった。

「オッパ!しつこい!」 自分の後ろめたさが、彼に対して強い反抗をみせた。

私は誰かに怒っていた。
そしてその誰かが自分の心を捉えて離さないことにも苛立っていた。

「ジニョン!」

                 

結局ジニョンは昨夜、誰のところに泊ったのか決して言おうとはしなかった。

   俺に言えない奴のとこか?・・・

   昨日俺がどれほど心配したと思ってるんだ

その時、考えたくないことが俺の心を支配していた。一人の男の顔が脳裏を
過ぎって俺の不安を煽った。

   まさかな・・・

俺は慌てて、信じたくない予感を頭から振り消した。

 

 

「フランク!おはよう!」

「Hi!ミル」


「フランク~久しぶり~会いたかった~」

「Hi・・サラ・・久しぶり」

       
「フランク!NYはもう慣れた?」

「やあ、スージー、まあまあさ」

「ねぇ、今度NYのお部屋に遊びに行ってもいい?」

「駄目。」

「冷たいのね・・相変わらず。」


僕は一週間ぶりのキャンパスを、生徒達が進む校舎とは反対の建物に向かって
急ぎ足で進んでいた。

そして自分専用の研究室のドアを開けると、そこには当然のように僕の到着を
待っている人がいた。

「やあ・・ソフィア・・モーニン・・」

「・・・・フランク君・・・君はここへ上がって来るまでに
 いったい何人の女とキスを交わしたかしら?」 
ソフィアが窓の外に視線を流しながらそう言って、僕を優しく睨んだ。

「見てたの?・・・でも・・・こんなキスはしなかった・・・」

僕は彼女が座っていた机に手を付いて、頭を斜めに屈めると、彼女に
挨拶以上のキスをした。


「・・・・・フランク」

「ん?」

「何かいいことでもあった?」

「別に?どうして?」

「ん~何となく・・・唇が優しい・・かな・・」

「そう?いつも優しいだろ?」

「そうね・・・」 ソフィアが何となく思わせぶりな笑みを浮かべた。

   いいこと?・・・別に何もないさ・・・

   

「ところで・・・ご用とは?」 
前日にソフィアから頼みたいことがあると聞かされていた。

「ええ、午前中に弁護シミュレーションを予定してるの・・・
 そのインストラクションをあなたにお願いしたくて」

「そんなこと、教授に頼めば?」

「その教授があなたに依頼しろとおっしゃったの」

「ハッ・・・面倒なことは何でも僕に回す気だな」

「いいじゃない・・・たまには・・・」

大学院の課程もほぼ終了に近くなったこの頃には、僕は担当教授の助手まがいの
ことを引き受けるようになっていた。

「中には僕に教授されたくない奴だっているだろうに」

「それがそうでもないわ・・・
 多くの生徒は、教授よりあなたの方が実力は上だと思ってる」

「あなたもそのひとり?」 僕は彼女の座った椅子を回転させて、僕に振り向かせた。

「ええ・・惚れ込んでるわ・・・先生・・・」

そして唇を彼女の首筋に這わせ、掌をスカートから伸びた白い足の膝頭から
次第に上に向かって進入させた。

「そんな暇ないんだよね・・・僕・・・」

そんな僕のお遊びにも彼女は一向に怯むことはない。表情のひとつも変えず
僕をあしらおうとする彼女の凛とした顔も・・・僕は好きだった。

 

「先生・・・電話・・・ですよ」 ソフィアが僕から顔を後ろへ引いて言った。

もう少しで彼女に届くところを無粋な誰かが邪魔をした。

僕はポケットから携帯電話を出して着信画面を見た。

   レオナルド・パクからだった

僕は電話を耳と肩ではさみソフィアに目で合図をしながら手を差し出し、
小声で言った。

「 ・・・資料・・見せて

 Hello・・やあ、レオ・・ああ、僕だ・・・届いた資料見てくれたか」
       

僕はレオからの電話を受けながら、ソフィアからの資料に目を通していた。

『ボス・・・この資料の中のどれをやるんだ?』 
レオは僕から送られた資料を見ているようだった。

「All・・」 僕はひと言だけ言った。

『All?』 レオは僕の言葉を怪訝そうに繰り返した。

「Yes。」 僕は当然だと言わんばかりに言った。

『ここには期間が三ヶ月となってるが・・・』

「長過ぎるか?」

『おい、お前・・思ってたほど賢くないな・・・これだけの案件を
 どうやって三ヶ月でこなすつもりだ』 レオの声は呆れ返っていた。

「それはお前が考えることじゃない。
 お前は弁護士としての仕事をこなしてくれればいい
 資料三枚目のリストにある会社の株の市場調査も頼めるか」    

『あぁ、それは容易いが・・しかし・・』

「fifty-fifty・・だったよな・・・
 三ヶ月でそれだけのことを僕がやってのけたら・・・
 以後、僕の専任となる価値はないか?」 当然僕にはハッタリのつもりはない。

『価値?・・・・・・無いわけは・・ないな・・・』 
レオが電話の向こうで少し考えて、そう言った。

今からの三ヶ月は僕のこの業界でのデビュー戦だ。
「だったら・・見てろ」
僕はそれだけ言うと、レオからの電話を切った。

そして、それと同時にさっきソフィアに渡された資料を彼女に返した。

「赤で書き換えてるところ、至急直して・・・コピーを人数分用意して・・
 一時間後に第3教室で・・・」 僕はソフィアに早口にそう言った。

「フランク・・・」

「ん?」

「あなたの頭の中・・・一度・・見せてくれない?
 別の用件で会話しながら、よくこれだけのことを・・・」

ソフィアが僕に返された資料を一枚一枚捲りながら、溜息混じりにそう言った。

「いいよ・・・条件があるけど」

「何?」

「授業が終わったら・・・ひとり、そこに残ること。第三教室で・・」

「・・・・・?」

僕は澄ました顔で彼女の耳に唇を寄せた。「さっきの・・・続き・・・」

「バカ・・・」


僕は今、新しいものに向かって着実に進んでいた。

それが例え自分には見えない何かであっても・・・


僕は・・・ただ・・・


    ・・・追いかけるだけだ・・・


















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