story by kurumi

　　　　　　










　　「ドンヒョクssi？電話待ってたわ
　　私の方は順調に渡米に向けて準備進めてる
　　ああ・・もう直ぐ、あなたに逢えるのね・・・」

　　「あージニョンssi・・・」

　　「なあに？」

　　「あの・・話が・・・」

ドンヒョクは明るく話しかけるジニョンになかなか本題を切り出せないでいた
ジニョンはそんなドンヒョクの心も知らず、嬉々として話を続けた

　　「社長のご容態も安定してるのよ
　　　だから、私すごくうれしくて・・・
　　　ヨンジェったらね、“もうジニョンssiが
　　　いなくても大丈夫ですから、
　　　早く彼のところへでも何処でも行っちゃって下さい”
　　　って・・・失礼しちゃうでしょ？

　　　スンジョン先輩にもね、“最近あなた浮かれ過ぎてるわよ”って・・・
　　　確かに私ね・・・このところ浮き足立ってるかも
　　　いつも考えてることはあなたのことばかりだし・・
　　　だって仕方ないわ、やっとあなたに逢えるんですもの・・
　　　
　　　あ、ごめんなさいドンヒョクssi・・・
　　　つい、私ったら自分のことばっかり・・・
　　　お話が有ったのよね・・・何？話って・・・」


　　「あの・・・ごめん・・・そのあなたの渡米のことだけど・・・
　　　時期を少し遅らせて欲しいんだ
　　　テジュンssiには、さっき、もう少しホテルで働かせてもらえるよう
　　　話をしておいた・・・」

ドンヒョクの思いがけない言葉にジニョンの息が一瞬止まった

　　　「ジニョンssi？・・」

　　　「・・・・・・どうして？」

　　　「実は今、こみ入った仕事に着手していて、
　　　　とても忙しいんだ・・・
　　　　あなたにこっちに来てもらっても・・・
　　　　きっと一緒にいられないし・・・その・・・
　　　　慣れない土地であなたに寂しい想いをさせてしまう・・・
　　　　それなら、もうしばらくソウルで・・」

　　　「どうして?!」
ジニョンは更に声を荒げて怒鳴るように聞いた

　　　「だから、忙しくて・・・」

　　　「忙しい？それが何の理由になるの？私が前に、
　　　　直ぐにもあなたのところへ行きたい、そう言った時、
　　　　あなた、こう言ったわ・・・
　　　　心をソウルに残してくるな、と・・・・・
　　　　残してないわ！・・・
　　　　そりゃあ、社長のことは気になるけど・・・
　　　　でも、あなたのそばにいたい・・・それだけではだめ？
　　　　あなたは違うの？私といたくないの？」

　　　「ジニョンssi・・・怒らないで・・」

　　　「怒ってないわ！」

　　　ジニョン・・・「・・・・・・・」

　　　「どうして、黙るの？」

　　　「ごめん・・・どう伝えたらいいのか・・・
　　　　でも、僕を信じて・・・」

　　　「そうよね確かに・・・
　　　　最初にあなたに付いて行かなかったのは私・・・
　　　　勝手だったわ・・・ごめんなさい
　　　　あなたの気持ち・・・少しも考えてなかった・・・
　　　　離れてる間に、あなたの心が変ったとしても、
　　　　私には何も言う資格ない・・・」


　　　「何言ってるの？そんなことあるわけないだろ？
　　　　少しの間、待ってて・・・そう言ってるだけだよ・・・
　　　　わかって・・・」

　　　「・・・・・・・・」

　　　「ジニョンssi？・・」

　　　「わかったわ」

　　  「ジニョンssi・・・本当に？・・・」

　　　「仕事行かないと・・・もう・・切るわね。」

　　　「ジニョン！」

ドンヒョクの言葉を待たずにジニョンは急いで受話器を置いた



　　　わからない・・・

　　　どうして？・・・ドンヒョクssi・・・

　　　私のこと・・・もうどうでもよくなった？

　　　昨日だって・・・一日も早く逢いたい・・・

　　　そう言ってくれていたのに・・・

　　　突然何があったというの・・・

　　　これから、結婚しようとしているのよ・・・私達・・・

　　　忙しいから・・・

　　　どうしてそれが理由になるのか・・わからない・・・


ジニョンはベランダに出て、青い空を仰いだ


　　　この大きな空はあなたの国にも続いてる・・・

　　　このままあなたのところへ飛んで行けたなら

　　　どんなにいいでしょう・・・

　　　何度も何度もそう思った・・・


　　　あなたがいつも・・・

　　　両手を広げて待っていてくれる

　　　そう思っていたから・・・


　　　あなたと離れて3ヶ月・・・

　　　離れて暮らすことが、こんなに苦しいものとは思わなかった

　　　それはすべて・・・自分のせい？


下に視線を落すと、見上げているドンヒョクが微笑んでいた・・・


　　　私は思わず両手をあなたの方へ伸ばしていた


ドンヒョクの幻が消えてしまった後も・・・
ジニョンはしばらくそこを離れられなかった・・・　　

知らず知らずに涙が溢れ、ベランダの手摺を
濡らしていたことすら気づかないまま・・・

透き通った青い空さえも・・・ジニョンには雲って見えた





　　　　　　「ジニョン・・・」

ドンヒョクはそう呟いたまま、頭を抱えた

　　　どう伝えたらいい？

　　　正直に言ったら、あなたは迷わず僕のところにやってくる

　　　今あなたが僕のところに来たら・・・

　　　奴らにとっては格好の攻撃対象だ

　　　あなたは・・・今まで敵に何一つ弱みを見せなかった僕の・・・

　　　・・・唯一の弱み・・・


　　　あなたが傷つくことがあったら・・・僕は・・・

　　　奴らを本当に許せなくなる・・・

　　　僕はあなたとの約束を守りたい・・・もう昔の自分には戻らない・・・


　　　ジニョンssi・・・


　　　 《あなたが怖い人間にはならないか・・・不安よ・・・》

　　　前にあなたからそう言われた言葉が耳から離れなかった


　　　あなたに愛される人間でありたい・・・
　　　
　　　僕にそれが本当にできるのか・・・

　　　まだ、不安なんだ・・・

　　　そんな僕を・・・あなたに見られたくはない


　　　心変わり？

　　　そんなこと・・・有るわけないじゃない、ジニョン・・


　　　こんなに愛してる・・・


　　　狂おしいほど・・・愛してる・・・