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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3848957/4692583
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こいびと
2005.10~2006.3まで連載した【こいびと】はホテリアー本編でアメリカに帰るドンヒョクについて行かなかったジニョンと彼が再会するまでの隙間ストーリーです^^
No 17 HIT数 7448
日付 2007/06/01 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル こいびと 11.sound(響音)前編
本文







       







 


      










雨が激しく降っていた

珍しくドンヒョクが時間を過ぎても事務所に姿を現さない
昨夜、自分からソフィア女史を事務所に呼ぶようにと
連絡をしてきたはずなのに・・・

それよりも、何よりも、時間に正確で厳しくもある彼が
今まで約束に遅れるようなことなど一度としてなかった・・・
レオは何度か彼の自宅に電話を入れてみたが
応答すら無いことに不安を感じていた


   ボス・・・いったい何処へ行った?


十時少し前に、ソフィアが事務所を訪れた

      「女史・・・こちらからお呼び立てしておいて
       大変申し訳ございませんが
       実は・・・フランクがまだ・・・」

      「どうしたんです?彼・・・
       珍しいこともあるのね」

      「それが・・・」

      「・・・・・?」

      「訳がわかりません・・・
       あなたですから、申し上げますが
       昨夜遅くに彼の方から連絡があって、
       あなたをお呼びするようにと・・・
       今回の案件に向かって本腰を入れそうな物言いでした
       それなのに・・・今朝、時間になっても現れない
       連絡もとれない状況です・・・
       こんなこと今までに一度として無かったことです」

      「そうですね・・・」

      「何か事故でもと心配していたところでした・・・
       これから、彼のアパートに行ってみようかと・・・」

      「それなら、私が・・・
       今日は、特に急ぐ予定は有りませんから」

      「そうですか?そうして頂けると助かります・・・
       実は午後から外せない用事が・・・」

ソフィアはレオに黙したまま軽く笑顔で頷いた




外に出ると、雨が更に激しく降りつけていた

ソフィアは車を走らせて、とにかく彼のアパートへと急いだ
雨のせいもあって、渋滞で進めない道を彼女は
焦る気持ちを抑えながらハンドルを握り締めていた

やっと辿り着いた彼のアパートの守衛ゲートを
レオに渡された許可証を見せて潜り抜け
地下駐車場のフランクの駐車場脇に用意されている
彼の来客用スペースに自分の車を滑らせた
フランクのプライベート車であるポルシェはそこにあった

   車は・・あるわね・・・

フロントに向かい、取次ぎを頼んだが何度コールしても
彼の応答を得られず、「あいにくですが・・・」と
受付の若い男に諦めるよう促がされた

しかし、ソフィアは諦めなかった

   彼が約束を守らないはずが無い

そう信じるソフィアが「もう一度だけ呼んでみて」と粘っていた
フロントの男も、少々困った様子を垣間見せながらも
彼女の熱意に応じてくれた
その彼がしばらく長くインターフォンを押していると
微かに受話器の奥から低い声が聞えた

      「フランク様でらっしゃいますか?
       フロントでございます・・・ご在宅でらしたんですね
       只今、ソフィア・ロイド様がお訪ねになっておいでですが・・・
       ・・・・・・・・・かしこまりました・・・そのように・・・」

フロントの男はお辞儀をしながら受話器を丁寧に置くと
改めてソフィアに対面し、笑顔を向けた

      「お客様、こちらへどうぞ・・・
       フランク様はご在宅でらっしゃいました
       只今、オートロックを解除なさるそうですので      
       直接、お部屋の方へとのことです・・・」

      「ありがとう」


ソフィアはフランクが無事でいることにまずは胸を撫で下ろした
日頃病気らしい病気をしないフランクがこういう風に
周りに心配をさせることも珍しいことだったので
レオもソフィアも必要以上に心配してしまった


ソフィアがこのアパートに訪ねるのは初めてだった
こうして彼の部屋に出向くこともかなり久しぶりのことである

   何年ぶりかしら・・・

学生の頃は彼にうるさがられながらも
何かと世話を焼きに出掛けて行ったものだった

養子先を離れ学校に通っていることは聞いていた・・・
それにしても身内と呼べる人間の存在が彼の周りに見えなくて
最初は不思議に思っていた・・・

成績は群を抜いて優秀・・・
周りの誰もが彼の将来を嘱望していた

それでも・・・
飛び級をしていた彼の周りには年上の同級生ばかりで
彼の気難しさも加わって親しい友人と呼べる
人間も少なかった

きっとプライベートに訪ねて来る者など誰もいなかったはず

   放っておけずにお節介を焼いていた私を

   フランク・・・
   あなたはよく煙たがっていたわね・・・


エレベーターで最上階に向かいながら、
ソフィアは若かったあの頃に思いを馳せていた



インターホンを鳴らすと、直ぐに彼の声で応答があった

      『開いてるよ・・・入って・・・』

言われた通り、ソフィアは玄関のドアノブに手を掛けた

      「フランク?どこ?」

      「こっち・・・」

ソフィアは声のする方へ向かって進み
ひとつの部屋のドアを開けた
広い部屋にポツンと置かれた大きなベッドに
フランクが、生気の無い顔で横たわっていた

      「フランク!どうしたの?具合でも悪いの?
       電話にも出ないなんて、心配したわ?」

      「これに手が届かなくて・・・」

そう言いながらベッドの枕元に無造作に
置かれた受信機に視線を送った

      「ドアロックはこれで?
       あなた・・・動けないの?」

      「ごめん・・・今日約束してたのに・・・」

      「そんなことはいいのよ・・・それより・・・」

そう言いながら、ソフィアはフランクの額に手を当てた

      「熱は・・無いわね・・・」

      「体が・・・動かないんだ・・・
       昨日家に帰るまでは何とも無かった・・・
       今日、あなたを呼んでることも覚えてる・・・
       動こうとしたんだ・・・頭ではわかってるけど、
       体が重くて動かなかった・・・」

      「どうしたのかしら・・・お医者様を呼びましょうか・・・
       レオ氏も心配してらした・・・連絡しないと・・・」

      「いや・・・医者は要らない・・・
       気分が悪いわけじゃない・・・
       きっと今日一日、こうしてれば大丈夫・・・
       昨日飲み過ぎたのが原因だ・・・
       レオには後で連絡するよ」

      「飲み過ぎ?あなたが?
       どうしてそんなこと・・・らしくないじゃない」

      「フッ・・そうだな・・」

      「食事は?・・・まだよね・・・
       待ってて、支度してくる・・・
       今、何が欲しい?何をして欲しい?」

ソフィアはドアに向かいながら、彼に尋ねた

      「何もいらない・・・」

      「何もって・・・」

      「・・・そばにいて・・・」

      「えっ?・・・」

      「ここに来て・・・」

フランクがすがるような目でソフィアを追う

      「わかったわ・・・
       でも、待ってて・・・食事はしなきゃ駄目・・・
       水分も摂らなきゃ・・・今準備してくるわ・・・
       そうしたら・・・
       そばにいてあげる・・・ね・・・」

ソフィアはまるで小さな子供に言い聞かせるように
彼を宥めると寝室を出た


   昔・・・そう・・あなたがまだ十代の頃
   熱を出して寝こんでいたことがあった

   学生寮を出て一人暮らしを始めたばかりの頃・・・

   決して、休むはずの無い講義に
   あなたが顔を出さないことに心配して
   私が無理やり訪ねて行ったんだったわね・・・

   あなたはその時、高熱にうなされながら
   やはり、今みたいにそう言った・・・

     そばにいて・・・

     手を握ってて・・・

   いつも強がってばかりで
   自分の弱みを決して他人に見せない
   あなたがそんなことを言う時は・・・

   あなたがあなたで無くなっている時・・・

   いいえ・・・そうじゃないわね・・・

   あなたが・・・本来のあなたに戻っている時・・・

   そうよね・・・フランク・・・


   人一倍寂しがり屋で・・・
   いつも抱きしめていて欲しいと願う・・・

   本当のあなたに・・・

   あの頃のあなたにとって、私が唯一の・・・
   あなたの真実を見せられる人間だった・・・

   きっと・・・そうだったのね・・・


   幼い頃、母親を亡くして・・・
   父親に見放された・・・

   そして・・・
   母国を遠く離れた異国の地に連れて来られた・・・

   養父母の元でも、心を開けないことに耐えきれず
   逃げ出してしまった・・・

   親に愛されなかったと思って
   育って来た子・・・

   誰にも愛されたことがないと・・・
   自分で決め付けて育った子・・・

   誰にも・・・
   甘えることを知らずに育って来た・・・フランク・・・

   人から愛されることにも慣れてなくて・・・
   人の優しさに刃を向けた

   そして
   自分の優しさをも閉じ込めてしまっていた・・・

   あなたのあんな目を・・・

   フランク・・・私は・・・

   私はずっと見て来たのよ・・・


   でもね・・・フランク・・・

   私は・・・あなたの・・・その目を・・・


       もう・・・


         ・・・冷静に見なくてはならない・・・

























 


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tomtommama
孤高のレイダースすべてを包み込んであげたくても、支えてあげたくても、もうソフィアの手の届くところにはないのね。そしてたとえ手の届くところになっても 知ってしまったから 冷静に見つめるのね。。。はぁ~辛 2011/11/26 00:28

あぁ・・・絶句・・・BGMが心の隅々にまでしみわたります・・溢れる涙はそのままに・・・貴方をみつめていましょう・・・ 2007/06/05 08:07
kurumi☆
juadanly7さん、ソフィアに感情移入、ありがとう^^これだけのいい男を真剣に愛した女がいたとしても、何ら不思議ではない…いて欲しい…そう思ってたのよ^^ 2007/06/04 08:56
kurumi☆
ジニョンよりのやまはなさん^^ソフィアは理性の塊の女です、ご安心を…彼女の「私は…あなたのその目を…もう冷静に見なくてはならない」という台詞も好きなのよ~^^ごめんね~自画自賛で~~^^ 2007/06/04 08:53
kurumi☆
mariさん、ソフィアに嫉妬…私も現実に彼女が彼のそばにいたらきっと嫉妬してるかも…彼女は彼のそばにいたいと願っている私の化身(笑)なのかも^^(そんないい女に例えるな~~って?) 2007/06/04 08:47
juadanly7
顔を覆うこのフランク…きっとソフィアを待ってたのね…甘えたくて☆だって・・・動けないんですものね^^;わ・わたし・・・やっぱり年のせいかしら~^^ヌナ・・ソフィアに感情移入^^;理性…理性…^^; 2007/06/03 00:40
やまはな
ドンヒョクなら大丈夫・・彼が理性があります・・・あって欲しいです(^o^)ゞ 2007/06/02 23:39
やまはな
ハイ(^-^)/ジニョン寄りです♪・・・tomtomさんいいですね~私は無理です~・・・もしこの時ソフィアに理性が無かったら?・・ズタズタに心が傷ついていてもジニョンに出会った後の 2007/06/02 23:35
tomtommama
tomはいつでもなりきりだから すぐにジニョンにもソフィアにもすぐになってしまうぅ~ (´▽`*) 『嫉妬』 かぁ~それもいいなぁ~♪ 2007/06/02 20:47
mari181818
私には『嫉妬』という感情はあまりないんだけど、ソフィアにだけはそれを感じてしまいます・・・なぜだろう・・・? kurumiさ~ん、く、くるしい・・・・・・・・ 2007/06/02 01:17
kurumi☆
それを想像するのは止めておきましょう^^そうなったら、ふたりともきっと不幸になっていくでしょうから… 2007/06/01 23:55
kurumi☆
その彼を…もう冷静な目で見なくては、と決心したソフィアだからこそ、立ち上がらせられたと思います…もしこのときソフィアに理性が無かったら… 2007/06/01 23:55
kurumi☆
彼は有能で仕事においては誰にも負けることが無い強い男です…でも、本当の彼はどうだったでしょう…愛する人を失う思いをまた味わった時、彼はきっと子供に立ち返ったと想像しました 2007/06/01 23:51
kurumi☆
フランクは10歳で親元から離され、異国の地に連れて来られました…言葉もわからない、風習も異なるところにです…それを本当に彼に起こっていることと想像した時、胸が苦しくなりました 2007/06/01 23:48
kurumi☆
11話も結構修正しました^^この回で体が動かないドンヒョクがソフィアに「そばにいて」というのは、ジニョン寄りの人には受け入れられないかもしれませんが、このシーンは私は大好きです^^ 2007/06/01 23:45
 
 

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