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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3848341/4691967
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こいびと
2005.10~2006.3まで連載した【こいびと】はホテリアー本編でアメリカに帰るドンヒョクについて行かなかったジニョンと彼が再会するまでの隙間ストーリーです^^
No 20 HIT数 7070
日付 2007/06/11 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル こいびと 13.keep(守る)前編
本文







 





            

      collage & music by tomtommama

 

            story by kurumi


 


     


テジュンはドンヒョクに電話を入れたことを少し後悔していた

   俺は・・・いったい、何をやってるんだ

   いいじゃないか・・・

   あの人があいつを離してくれるのなら・・・

   あいつが・・・あの人をあきらめると言うのなら・・・

   それで・・・いいじゃないか


       「どうしたの?何か用?
        こんなとこに呼び出して・・・」

       「こんなとこはないだろ・・・
        ここは、お前の憩いの場だろ?」

       「そうね・・・憩いの場・・・」


   今は違うわ・・・

   あの人とのことを思い出す・・・寂しい場所

   だから・・・


       「・・・最近はあまり来てないわよ
        サボってませんから・・・社長・・・あ、代理・・・」

       「やっぱり、ここへはサボりだったのか?」

       「チィ・・・だから、何?ご用は?」

       「ジニョン・・・社長の容態がこのところ、
        あまり思わしくない・・・」

テジュンの言葉に、ジニョンは思わず頭を垂れた

       「ええ、朝・夕お邪魔してるけど・・・
        最近、とても辛いの・・・社長の・・・お顔を見るのが・・・」

       「でも、お前がいてくれて良かったよ・・・
        ヨンジェじゃ、おろおろして何の役にも立たないからな
        昨日、ヨンジェと病院に行ってきた・・・
        社長・・・実のところ・・・あまり永くないらしい」

       「・・・・・・・」

ついこの間までは安定していたはずの社長の容態が、
この二三日で急に悪化していることは誰の目からも
疑いようの無いものだった

       「ヨンジェには兄弟もいない・・・頼れる親戚もない
        俺達があいつと一緒に、社長を見送って差しあげよう
        力を貸してくれるか・・・」

       「私・・・ここにいて・・・いいの?・・・」

       「・・・それは俺の方が聞きたい・・・お前こそ・・・
        ここにいて・・くれるのか?」

       「本当は私・・・社長のことも・・・ホテルのことも・・・
        二の次になってたのよ
        このところ、自分のことばかり考えて・・・

        何のことだか、あなたにはわかるわね・・・
        でも・・・私・・・やっぱりここを離れられない・・・
        ここから離れることが怖い・・・」


       「怖い?」

       「ええ・・・怖いの・・・
        ここは私にとって、オアシスなのかも・・・
        私は、ぬるま湯の中で育てられたのね、きっと・・・
        先代や、社長・・・そして、あなたやホテルの仲間達の・・・
        温かい心のぬるま湯・・・
        そうよ・・あなた達のせいなんだわ
        だからここを出る勇気が・・・持てないの・・・」

       「俺達のせいか・・・そうか・・・
        だったら・・いいじゃないか・・・出なくても・・・」

       「えっ?」

       「ずっと、ここにいればいい・・・」


   ここに・・・俺のそばにいればいい・・・

   どうして・・・そう言わない・・・


       「あの人のことは吹っ切れたわけじゃないだろうが、
        時間が助けてくれる」

       「時間が助ける・・・
        どうかな・・・そうね・・・
        自分で決めたことだもの・・・大丈夫・・・」

ジニョンは自分に言い聞かせるかのように呟いた

       「お前は、一度こうと決めたら以外と意志が強い
        その強さに救われたこと・・・俺もあった・・・
        また、助けてくれないか」

       「私があなたを助ける?」

       「ああ、ひとりじゃ・・・
        今の状況、持ち堪えられない」

       「ありがとう・・・」

       「・・・・・・・・」

       「そう言って・・・
        私がここにいやすいようにしてくれてるのね」

   本気だ・・・


憂いを含んだジニョンの笑顔は、テジュンにとって、
満足のいく笑顔ではなかった


   それでも・・・泣かずに

   笑ってさえいてくれればいい

   ジニョン・・・お前のあんな涙を・・・

         ・・・もう・・・見たくはないぞ・・・



       「社長は、ヨンジェはもちろんだが、
        お前や俺と会うことが
        今、心の拠り所になってるようだ
        ご自分でも、余命を悟ってらっしゃるんだろう
        俺達もできるだけのことをして差し上げよう・・・」

       「ええ・・・そのつもり・・・
        時間が空いた時は社長の所にいるようにする」

       「ああ、俺もそうする・・・頼むな」

       「そのことを伝えるためにわざわざここへ?」

       「いや・・・サボりたかっただけだ・・・」
 
       「サボり?社長代理がそれじゃあ、
        ソウルホテルも思いやられるわね
        やっぱり、私がいないと駄目ね」

       「ああ・・・お前がいないと、駄目だ・・・
        このホテルは・・・」


   そして・・・この俺も・・・


       「あ、それから昨日からサファイアに滞在なさっている
        お客様のことだが・・・」

       「ええ、ミンア・グレイス様?」

       「ああ、お前を担当にと、ご指名があった方だ」

       「ええ、田中様からのご紹介があった方ね・・・」

       「その方、ホテルの勉強の為に
        長期滞在なさるんだそうだ・・・
        担当の方に色々質問させていただいていいかと、
        お申し入れがあった・・・よろしく頼む」

       「ええ、わかったわ・・・」





ミンアはドンヒョクの秘書として働くようになって、二年になる

ある大手の会社で優秀な秘書として働いていたところを、
レオに見出された・・・いわゆるヘッドハンティングだった

その頃その大手会社で実力を認められていた彼女にとって、
ドンヒョクの会社は決して魅力があったわけではない
業績がいいとはいえ、個人企業・・・
フランク・シンひとりで支えていると言っても過言ではない
会社の将来性を考えた時、目先の収入に惑わされるほど
彼女は頭の悪い女でもなかった

要請を受けるに当っては、フランク・シンという人間についても
多方面に渡って調査し、自分の長期休暇を利用して、
決心に値するものか見極めるつもりで彼の仕事に同行させてもらった

その結果、想像力・判断力・決断力・・・
仕事に関して完璧と言わざる得ない彼を知った
彼は人を甘やかさないだけではなく、自分に対しても厳しい人間だった

   この人の元で働きたい・・・

彼女のキャリアが彼の能力を敏感に嗅ぎ分けた

彼女は自分の思いに忠実に、その休暇中にも係らず
潔く自分の会社に退職届を提出したのだった・・・

そして、彼女は迷わずフランク・シンをボスと呼んだ


   そのボスが、愛したソ・ジニョンという女性・・・
   いったいどういう女性なのだろう


その好奇心から、彼女の身辺警護のために適当な女性を
探すようにと命じられた時、躊躇無く自らを候補に挙げた

     《ボスは彼女のためなら、分別が付かなくなる

      ボスへの報告は君が良く考えて実行しろ・・・》

それが、レオからのミッションだった・・・

ボスの女性関係がどんなものか、
近くにいて多少は知っているつもりだった・・・
彼の身辺に心から愛情を注いだ女の存在を見たことが無い

それに、ミンアはソフィアをとても尊敬していた

   ボスのような人には、ソフィアさんのような人が必要・・・

   ずっと、そう思って来た・・・

でも、彼女と彼は飽くまでも姉弟のような関係・・・
ミンアにとって、そのことがとても歯がゆいところだった・・・
そして、何故かホッとしている自分がいたことも否定は出来ない・・・

彼に対する想いを恋愛感情という安っぽいもので現すことに抵抗があった

   でも私はきっと・・・ボスを愛している・・・

ミンアはその想いを自分自身に認めていた


   そのボスがこのソウルに滞在していた
   たった二ヶ月の間に、

   愛したという人のために自分の財産を投げ売った・・・
 
   そんなことが本当にあるのだろうか・・・


ミンアには俄かには信じられないことだった・・・


   あのボスが真剣に愛したという女の人がどんな人なのか・・・

   ソ・ジニョンという人に・・・一度会って見たかった


ミンアは先日のレオからの報告で、
ふたりが既に別れたらしいことも聞かされていた


   それなら、何故、ボスは今でも彼女を守ろうとするのだろう・・・
  

レオの計らいで素性が知れないように敢えて何人かの人を介し、
ホテルの常連客の紹介を取りつけ、ジニョンを担当に指名することができた

長期滞在する理由をホテル経営の勉強のため、とした・・・
ジニョンと親しく話せる切っ掛けが欲しかったからである・・・
ホテル内では出来るだけジニョンの姿を追い、
彼女と友好関係を結ぶことに努めていた

この一週間、ミンアの目はソ・ジニョンという女性を追っていた
彼女は、ソウルホテルの中でも、ひときわ目立つホテリアーだった
立ち姿も美しく、聡明で、明るく、馴染みの客からの信頼も
厚いように見受けられた
ホテリアーとしての能力に長けているとの情報通り、
その心配り、的確な判断は申し分無く、
ミンア自身、客としてあらゆる点で実感することができた


    ボスは・・・彼女のこういうところを愛したのかしら・・・


ミンアは受け付けのカウンターに向かい、ジニョンに声を掛けた


       「ジニョンさん・・・」

       「ミンア様・・・こんにちは・・・
        何か御用でらっしゃいますか?」

       「ランチはお済ですか?」

       「いえ・・まだですが」

       「もし、よろしかったら、ご一緒にいかがですか?」

       「あ、申し訳ございません・・・ホテルではお客様とは・・・」

       「ずっと、ひとりだと寂しくて・・・ご迷惑でなければ・・・
        ホテルの中が駄目なら・・・外では・・・駄目?・・・
        ホテルのことも、色々と伺いたいし・・・」

       「ええ・・・外なら・・・丁度お昼休みですし・・・
        ご一緒しましょう・・・
        お薦めのところ・・・ご案内しますわ」

       「是非!それから・・・ジニョンさん、
        お客様扱いは止めて頂けませんか?
        私、ここに来て一週間になります・・・
        まだ、三週間は滞在予定です・・・
        その間、せめて、ジニョンさんだけは、
        お友達として接して頂けませんか?」

ジニョンは満面の笑みをミンアに返した


   この笑顔・・・何故だか、ホッとさせてくれる・・・

   私よりひとつ上だったかしら・・・

   以前にも何処かで会ったような親しみを覚える・・・

   不思議な人・・・ 


彼女は同じ従業員仲間からも親しまれている
様子があちらこちらで伺えた

何処で見かけてもジニョンは美しい笑顔だった


   この人はボスと別れて、既に吹っ切れたのかしら・・・



       「ここのカルグクス、とても美味しいんですよ・・・
        イタリア料理に引けをとりません」

       「・・・・・・・・・・」

       「どうなさいました?食べないんですか?」

       「えっ?ええ・・・」

韓国籍とはいえミンアは生まれも育ちもアメリカで、
韓国の風習にも食事にも不慣れだった


       「そんな風にここで、戸惑った人・・・知ってるわ・・・」

ジニョンの笑顔は今までの屈託の無い笑顔から
陰りを含んだものに変わっていた

       「えっ?」

       「ミンア様・・・あ、いえ・・ミンアさんと同じ、
        サファイアのお客様でした
        お昼をご一緒にと言われて・・・
        私がこちらへお連れしたの・・・
        あなたのように食べ方を知らないみたいに・・・
        戸惑ってた・・・
        私がこうやって、薬味を入れて、
        混ぜてあげたのよ・・・

        その人ね・・私の食べる姿を見て
        笑ってた・・・失礼でしょ?・・ふふ・・」

ジニョンは何かを懐かしむかのように、
優しい表情でスプーンを動かしていた


   それは・・・
   ボスのことですね・・・きっと・・・


       「ジニョンさん?」

ジニョンがいつまでもスプーンを動かすのを止めないことを、
不思議に思ったミンアが俯き加減の彼女の顔を、
伺うように覗いて思わず息を呑んだ

       「・・・・・・・」

ジニョンの大きな目から涙が溢れ、
その涙がテーブルを濡らしていたからだった
しかし、ジニョンは自分でそれに気がついていない様子だった

       「ジニョンさん・・・ジニョン・・・さん?」

       「えっ?」

ミンアの声に、我に返ったかのように、
ジニョンがやっと彼女の方を向いた
そして、自分の頬を伝う涙に気付いたジニョンが、
慌てて掌を頬に当てた

       「嫌だ・・・どうしたんだろう・・・」

そう呟きながら、ジニョンは急いで涙を拭った・・・
しかし、拭っても拭っても、涙が彼女の意志を無視したかのように
次から次に溢れ出てきた

       「あ・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

ジニョンは無理な泣き笑いを見せて、ミンアの前で動揺していた

       「いいんです・・・ジニョンさん・・・いいんです・・・
        泣きたいことがおありなら・・・無理なさらないで・・・」

ミンアはジニョンの肩に手を掛けて優しく言った

ミンアのその言葉を聞いたとたん、ジニョンは
彼女の前で更にはらはらと涙を流し顔を崩した
そして両手で顔を覆うと声を殺して泣いた

   我慢しないで・・・

   ここに・・・誰がいたって・・・

   構わないじゃないですか・・・ジニョンさん・・・

   我慢しないで・・・

突然ミンアはジニョンの肩に掛けた手に力を込めて
彼女を自分の胸に引き寄せ抱きしめた・・・
ジニョンはそのまま、ミンアの胸に顔を埋めて泣いた・・・

それまで堪えていたものをまるで吐き出すかのように
声をあげて泣き崩れた・・・


   ジニョンさん・・・それは・・・

   それは・・・


       ・・・ボスへの涙ですか・・・


















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tomtommama
あああぁぁ・・・・ジニョンの感情とシンクロしちゃう (ToT) (ToT) (ToT) 2011/11/26 02:13
hiro305
心の思いを隠して気丈に振舞うジニョンが悲しい・・・毎回彼女と一緒に号泣してしまいます。ここからの回にミンアがいてくれる事に感謝。 2011/11/22 23:45
juadanly7
本編では響かなかったテジュンさんの心情、本心…優しさ…、短い一言がkurumiさんによって強く響いてきて(;;)こんなにも皆に愛される二人だからこそ“こいびと”が深く…胸を打つんですね☆ 2007/06/13 23:08
juadanly7
スプーンを動かす手を止められない…ジニョンさんと一緒に泣いてしまいました…。ミンアさんも複雑な思いでジニョンさんを抱きしめ…辛かったでしょうね。。 2007/06/13 23:05
kurumi☆
ぷぷ・・ココさんの涙は大滝だ~^^; 2007/06/12 23:03
ナタデココ
今はジニョンと一緒に涙します。社長の容態も思わしくなく・・・今は皆耐える時なのね 2007/06/12 22:51
ナタデココ
涙が(´⌒`。)グスン止まらない~ ジニョンの涙が会いたいという真実を語ってるね 2007/06/12 22:46
mari181818
わたしも、やっぱり泣きました・・・  この物語にミンアがいてすくわれます。 2007/06/12 01:29
kurumi☆
彼女はよくジニョンを抱きしめてくれるんだけど、私としては、離れ離れで決して触れることができないドンヒョクの代わりにジニョンを慰め抱きしめてあげたくて、そんなシーンを書いています 2007/06/11 23:30
kurumi☆
ミンアという、やはりドンヒョクを愛している女性だけれど、ジニョンを理解し、二人の心を決して離さないように繋いでくれようとします…私の大好きなキャラクターです 2007/06/11 23:26
kurumi☆
tomちゃんも下書き部屋でジニョンと一緒に泣いてたよ^^聖さん…「こいびと」っていい言葉だよね^^私大好きです…この回でミンアを登場させたのは形では別れてしまっているふたりを繋ぐためです 2007/06/11 23:24

ありがとう・・何度も何度も何度も・・・やっぱりジニョンさんと一緒に泣いてしまう・・・。 2007/06/11 23:18
 
 

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