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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3848122/4691748
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こいびと
2005.10~2006.3まで連載した【こいびと】はホテリアー本編でアメリカに帰るドンヒョクについて行かなかったジニョンと彼が再会するまでの隙間ストーリーです^^
No 8 HIT数 7562
日付 2007/05/01 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル こいびと 6.dear(親愛なる)前編
本文






        








   「フランク・シンがこの席にいるとは、
    どういうことでしょう・・・ジュニア・・・」

スティーブはフランクから視線を外したまま、リチャードに向かって
呆れたというようなそぶりを見せながらそう言った

   「私が依頼した・・・明日の幹部会には彼も出席する・・・
    どうせ、このことは君の耳にも筒抜けだろうから、
    敢えてこの場を設けることも無いとは思ったが、
    私の口から、告げておくべきだと・・・」

そう言いながら、リチャードは自分の傍らにいた男に厳しい視線を向けた
スティーブが一癖ある男ということも、彼が自分の配下のひとりを
味方に付けていることもとっくに承知していた
リチャードは、会長である父の時代からの繋がりから、
こうして、無能な男であるスティーブと組まなければならないことにも、
とうに嫌気が差していた
確かに、スティーブの後ろにはかなりの実力者も
付いてはいたが、今回の仕事に関しては、
フランクの右に出る人間はこの世界にいない、
それがリチャードの考えだった
幹部の中には、ジュニアと同意見の人間もいたが、
殆どの人間が、スティーブの父の力を恐れ、決断を渋っていた

   「明日の会議で、どちらの企画で推進していくか決定する」

   「なるほど・・・ジュニアとしては、フランク・シンを
    推していると解釈すればよろしいのかな・・・」

   「いや・・・どちらが我が社にとって有益か・・・それだけだ」

   「そうですか・・・ジュニア・・・頼みがあります
    少しフランクと話させて頂けませんか・・・」

   「私は構わないが・・・」

リチャードはドンヒョクを見て、ドンヒョクもまた、それに頷いた
そして、リチャードもそれに頷くと席を立った

   「ソフィア・・・君も・・・」

   「いいえ、私は、フランク・シンの弁護士です・・・
    同席させて頂きます」

ソフィアはスティーブに向かってきっぱりと答え、身じろぎもしなかった

   「ま、いいだろう・・・」

   「フランク・・・ジュニアを味方につけるとは・・・驚いたな
    もう、とっくにあきらめて、引退を考えてるかと思ってたよ・・・
    ま、ソフィアとジュニアの関係じゃ、考えられないことでもなかったが・・・
    それにしても、お前・・・大した奴だな・・・
    愛してもいない女の力を借りて、男として情けなくないか・・・」

ドンヒョクは相変わらずのポーカーフェイスで、スティーブの兆発に乗ることはなかった

   「話とは?・・・」

   「そう急ぐな・・・面白いものが手に入ったんでね・・・
    君に見せておきたい・・・」

そう言って、スティーブはおもむろに一冊のファイルをドンヒョクの前に滑らせた
ドンヒョクは、スティーブの含みのある顔つきを一べつした後、ファイルを手にした
その中には、ソウルホテルの内情、今回の買収の一件の経緯から結果までの調査書が
綴られていたが、捲るごとに、ドンヒョクの顔色が変わっていった・・・
ジニョンやテジュンの写真と共に彼らを中傷する報告書、最後にジニョンを特定した
文書がドンヒョクの目に飛びこんできた瞬間、ドンヒョクの怒りが頂点を極めた
   

    ソウルホテル顧客担当支配人ソ・ジニョンは
    先般、ソウルホテル買収に伴い、キム・ボンマン氏の要請により、
    アメリカより韓国に入国予定であったフランク・シンをソウルホテル側に
    付かせる目的をもって渡米、ホテル側と結託のうえ事前に彼に接触し誘惑。
    ソウルホテル勝利が決定直前、フランク・シンとの婚約を偽装した。
    しかし、現実にはソウルホテル総支配人ハン・テジュンとの関係も続いており、
    フランク・シンとの渡米を直前に中止。
    現在も、ソウルホテル支配人として勤務に就いている。
    今回の買収逆転劇は、ソウルホテル側の巧妙な裏工作によるものであり、
    この事実は、高級かつ優良ホテルとして名高いソウルホテルそのものに
    傷を付けたばかりか、ホテル業界全般において由々しき問題であることを
    ここに告発するものである。


   「でたらめだ・・・」

ドンヒョクがスティーブに怒りの目を向けた

   「そう・・でたらめだ・・・しかし・・例え、でたらめであっても、
    それが一度人の目に触れることとなったら
   どういう結果になるか・・・そんなこと、散々やってきた君なら
   ・・・わかるだろ?フランク・・・」                                        

ドンヒョクは荒荒しく音をたてて席を立ちあがると
次ぎの瞬間、スティーブの傍らに移動するや否や彼の襟ぐりを掴み、
殴りかかろうと、拳を勢いよく振り上げた

   「フランク!止めなさい!」

問題の文書に急いで目を通したソフィアが慌ててドンヒョクを制止した

   「彼に手を触れたら、お終いよ・・この情報、流れるわ!」

   「彼女の言う通りだ・・・大人になれ・・・フランク・・・
    今ここで、僕を殴ったら・・・お前だけの不始末では済まなくなる・・・」

スティーブはドンヒョクの怒りに満ちた形相に怯えながらも、虚勢を張った
ドンヒョクはスティーブを睨みつけたまま、次第に彼の首を締め上げていった

   「思い出したよ・・・」

   「な、何だ・・・」

   「昔、お前を殴った理由・・・
    お前のことなんて、ついさっきまで記憶にも無かった・・・
    でも、今・・・思い出した・・・昔から、そういう奴だった・・・

    ジニョンを中傷するようなことは決して許さない!
    いいか・・・この文書を・・・流してみろ・・・
    いや、流さないまでも・・・この内容が世の中に出ることがあったら、
    お前の仕業だと、判断する・・・例え、違ってもだ!

    あいつの心を例え僅かでも傷つけることがあったら・・・
    その時は・・・何処の世界でも生きていけない・・・そう思え・・・
    何処へ逃げても、何処までも追いかけて・・・必ず!・・・そうする・・・」

そう言い放つと、ドンヒョクはスティーブを椅子の上に投げるように離した
スティーブはドンヒョクの冷たく凍る目に微かに震えていた

   「ソフィア・・・この仕事はご破算だ!」

ドンヒョクはそう言いながら、帰り支度を整えた
ソフィアは黙ってドンヒョクに頷くとスティーブを見た
      
   「あなた、確かに我侭なところあったけど、
    嫌な人間でもなかった・・・情けないわ・・・」

   「・・・・・・」

   「スティーブ・・・お願いがあるわ・・・どこかで私を見かけても
    決して声を掛けないで・・・」

   「・・・・・・」

   「行きましょう・・・」

ソフィアはテーブルの書類をまとめながらドンヒョクに向かって言った

   「誰が・・・誰がそうさせたと思ってる!」

スティーブが背を向けた二人に向かって声を投げた

   「あの時・・・君が・・・僕と別れる・・・そう言った時・・・
    君はこう言ったんだ・・・

        あの子を傷つけることは決して許さない・・・

    あの頃と・・・少しも変ってないじゃないか・・・
    あの時だって、君がこいつに心を向けなかったら
    あんなことはしなかった・・・
    なんで!なんで、こいつだったんだ!
    こいつは・・・今も・・昔も・・・君なんか愛していない

        それでもいい・・・

    あの時、君はそう言った・・・

        あの子が私を愛することが問題じゃない・・・
        私があの子を愛する・・・そのことに正直でありたい・・・

    そう言った!・・・
    愛してたのに・・・本当に・・・愛してたのに・・・
    君が・・・僕の心を踏みにじった・・・こんな奴のために・・・
    僕を惨めにして・・・面白かったか!
    全て・・・君が悪いんだ・・・
    今のこいつの態度・・・見たか?
    こいつはジニョンという・・・その女を愛してる・・・
    君はそれでもまだこいつを庇うのか!」

   「・・・・・スティーブ・・・あなた・・・子供ね・・・
    仕事の勝負は仕事でつけなさい・・・」

   「これも、仕事だ!食うか食われるか・・・そんな世界で生きてるんだ!」

   「だったら!・・・だったら・・・覚悟しておきなさい!
    あなた到底・・・フランクの相手じゃない・・・」

ソフィアはスティーブの存在を否定するかのように彼に言い放った

   「何を言ってる・・・この勝負だって、僕の勝だ・・・
    こいつは・・・その女のために、勝負を捨てるんだ・・・逃げるんだぞ!」

   「それは・・・どうかしら・・・・」

そう言い捨てると、ソフィアはドンヒョクの背中を押して部屋を出た
二人が消えた部屋でスティーブは呆然と佇み、呟いた

   フランクは・・・もうお終いだ・・・

   リチャードも・・・フランクも・・・僕には叶わない・・・



会議室を出たドンヒョクは後ろから付いて歩くソフィアを一度も振り返らなかった
彼はエレベーターのボタンを押して、それが到着するまでの間も無言を通した
エレベーターの中でもドンヒョクは扉を睨み付けていただけだった
そして彼はジュニアの待つ部屋ではなく、駐車場のある地下のボタンを押した
ソフィアはそれに気がついても何も言わなかった


   「付いて来る必要は無い」 
車の前に来た時、ドンヒョクは彼の後ろを黙ってついて歩く
ソフィアに向かってそう言った

   「あなたこそ」
そう言いながらソフィアは彼より先に車に乗り込んだ

ドンヒョクは呆れたように一度顔を逸らせると、溜息をひとつついて

・・・車のドアに手を掛けた・・・






   




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tomtommama
守るものが弱みになる けれど守るものがあるから強くなれる。それを教えてくれる胸をぐっと掴まれ息が詰まるシーンだね^^ 2011/11/20 22:50
tomtommama
スティーブ汚いやり方を、けれどきっと勝ちだけを目指してきたFrankもそう出なかったとはいえない。ただ・・・ジニョンのこととなると手を出せない。 2011/11/20 22:48
SF2445
ソフィアのフランクに対する愛は長い歳月を経て、家族に対するような見返りを望まない崇高な愛に変化していったのでしょうか? 「こいびと」のソフィアはある意味で幸せな女性ではないかと思いました。 2007/05/22 09:44
SF2445
フランクの屈折した父への愛をソフィアは感じていたということですね?そんなにフランクを理解していたソフィアがフランクの半身ではなかったと言うのはソフィアにとって(フランクにとっても)不幸だったのかしら? 2007/05/22 09:33
SF2445
そうですね。東海で父親の写真を細かく千切って捨てたドンヒョクがジニョンにあてたメールの文で、憎んでいたはずの父のことを恋しい・・と認めていましたね? 2007/05/22 09:21
kurumi☆
それはきっとフランク本人は気がついていなかった・・・でも、彼をずっと見つめていたソフィアにはきっとわかっていた・・・そのことを現したくて書いたシーンです 2007/05/14 22:03
kurumi☆
冷静沈着なフランクがもし、激高することがあるとしたら、きっと愛する人のためだけだろうな、と思ってました・・・自分を捨てた親に対しては憎しみしかないと自分では想っていたはず・・・でも本当は恋しかったはず 2007/05/14 22:01
kurumi☆
大学時代のフランクは自分が生きていくことだけで精一杯で、他人のことには殆ど神経が行ってなかったとの解釈が私の創作です^^だから、スティーブくらいの小物のことは記憶にも無かった・・・ 2007/05/14 21:59
 
 

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