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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3784970/4628596
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Reymond...
2006.6よりwith BYJにて連載mirageの外伝 レイモンドの生い立ちです^^
No 1 HIT数 6208
日付 2007/07/17 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル His name・・・Reymond 1
本文









                        drowing by boruneo


          collage & music by tomtommama

 

                  story by kurumi













































「彼の名前は・・・レイモンド」

「レイモンド?・・・」

「はい・・・」

「いくつになる・・・」

「今年10歳になるとか・・・」

「10歳・・・彼女が私の前から消えて・・・そんなに経ったのか・・・
 それで・・・彼女は・・・」

「子供を手放すことを頑なに拒んでいます」

「・・・・・」   
「如何なさいますか?・・・」

「私が行こう」

「では渡航の準備を・・直ちに」

「ん・・」

 

 

    ・・・マム?・・・
    

母が帰って来た物音に気がついて、僕はベッドを降り母がいるだろう
リビングへと向かった
いつもなら、仕事から帰宅すると何を置いても真っ先に僕のベッドを
覗きに来るはずの母がなかなか現れなかったからだ

僕がリビングへ入ると、母は頭を抱えたように椅子に腰掛けたまま、
うずくまっていた

「マム・・・どうしたの?頭が痛いの?」

「あ・・・いいえ・・・何でもないわレイ・・・大丈夫よ・・・
 お夕飯はちゃんと食べた?」

「うん・・・食べたよ
 ママの作ったラザニアはやっぱり一番美味いや」

「そう?・・レイ・・ありがとう
 ごめんなさいね、いつもひとりでお食事させて・・」

「マム・・・僕は平気だよ・・
 こうして夜にはママの顔が見れるもの・・
 朝だって、ママのおはようのキス・・知ってるんだ
 ただひどく眠くて、お返しができないけど・・ごめんね」

「いいえ・・・お休みのキスができるまで
 あなたは寝ないで待っていてくれるもの・・・それだけで十分よ」

「マム・・・何だか元気がないね・・・何かあったの?」

「いいえ・・・あなたが心配することは何もないわ
 レイ・・・こっちへ来て?・・・キスしてくれる?」

僕はこの時、母が何を思い悩んでいるのか見当も付かなかった

物心付いた時には僕達はいつもふたりきりだったせいか、いつしか
互いに心配掛けまいと無理をするようになっていたと思う


ふたりの生活の為に母は朝早くから、夜遅くまでふたつの仕事を
掛け持ちしていた
母は身を粉にして働いていたが、もっと小さかった頃の僕は
ひとりきりで待つ寂しさから、母に駄々をこね、困らせることもしばしばだった

ある時、母はちょっと悲しそうな目をしながら僕を思い切り抱きしめ、
こう言った

「レイ・・・ごめんなさい・・・
 あなたにこんなに寂しい思いをさせる・・・悪いママね・・・

 でもね・・・ママはあなたと一緒にいたかった・・・
 それだけなのよ・・・だから・・・あなたを・・・
 許してね・・・レイ・・・許してね・・・」


いつの頃からか、“寂しい”という僕の言葉が、母を一層悲しくさせて
いることに気がついた僕は、それ以来母に“寂しい”と言ったことがない

それが、どんな時にもいつも明るく僕に満面の笑顔をくれる母への
僕のお返しだと思っていたからだ

そんな母がこの夜は何故か沈んだように悲しい目をしていた
僕は自分が何か悪いことをしたんじゃないかと気が気ではなかった

母が望むように左右の頬にキスをして、その首に抱きつくと、
彼女の膝の上に腰を下ろした

「マム・・・僕・・もっといい子になるよ」

「レイ・・・あなたはとてもいい子だわ・・・
 ママはあなただけがいれば幸せなの・・・
 ママのそばを離れないでね・・・レイ・・・」

母はそう言うと僕を強く抱きしめた

「マ・・ム・・・苦しいよ・・・」

「あ・・ごめんなさい・・・」

「マム・・・離れないよ・・・僕はずっとママのそばにいる・・・」

「そうね・・・そうよね・・・」

「ああ・・そうだよ・・・僕はねマム・・・早く大きくなりたい・・・
 早く大人になりたい」

「そんなに急いで大人になることないわ・・レイ・・」

「駄目だよ・・・早く大人になって・・
 いっぱいお仕事をして・・いっぱいお金を稼いで・・
 僕がママを守ってあげる・・いっぱいいっぱい幸せにしてあげる」

「レイ・・・ありがとう」

「だからお願い・・・そんなに悲しい顔をしないで・・マム・・」

「レイ・・・私の・・・レイ・・・
 ごめんなさい・・・心配しないで・・・
 大丈夫よ・・ママはあなたさえそばにいてくれれば
 大丈夫・・・本当よ・・・」

「うん・・・マム・・・お仕事疲れたでしょ?もう、遅いからおやすみ?・・・
 僕が本を読んであげようか?」

僕はわざと大人ぶって母の手を取った

「まあ・・レイったら・・・そうね・・・読んでもらおうかな・・・
 ママはあなたの声が好きだわ」

「いいよ・・・おいで」

母は僕の掌に白い手を乗せて美しい笑顔を僕にくれた

 

 


「ここです」

「・・・・・・こんなところに?」

「はい・・・朝は近くのパン屋で・・・
 昼から夜に掛けてレストランで働いているようです
 朝早く家を出て、夜は10時頃の帰宅の繰り返し
 それでも、生活は楽ではないようです」

「その間・・子供は?」

「ひとりで待ってます・・・今の時間は丁度
 学校が終わる頃・・・そろそろ帰ってくるかと・・・
 ・・・・あ・・あの子です・・・ボス」

「・・・・・」

 

僕が学校から帰ると、アパートの入り口に男の人がふたり立っていた
僕の方をずっと見ているふたりの男に僕は少し怪訝そうな視線を送りながら、
入り口に向かった

「君・・・」

「・・・・・」

「レイモンド君・・かな?」

「・・・・どうして僕の名前を知ってるの?
 おじさん・・誰?・・ですか?」

「私は君のお母さんの知り合いで、アンドルフ・パーキンと言います」

「アンドルフ・パーキン?・・・聞いたことないけど」

「はは・・そうですか?・・・私はよく君を知ってるが・・・」

「僕を?・・・どうして?」

「んー・・君が生まれた時・・・会ってるんだ」

「僕が生まれた時?・・・なら・・・僕をよく知ってる・・・
 わけじゃないね」

「はは・・・そうだね・・・確かにそうだ」

「僕に用ですか?」

「少しお話してもいいかな・・・お家に入れてもらっても?」

「駄目だよ・・・知らない人は入れられない
 あなたが僕や母を知ってても、僕はあなたを知りません・・・」

「そうですか・・・そうですね・・・当然だ・・・いや・・賢い子だ・・
 じゃあ、そこの公園でお話しするだけは?・・どうだろう・・」

「誘拐しない?」

「ははは・・・誘拐か・・・
 レイモンド君・・・実は君のお母さんに会いたい
 お母さんは今日は何時ごろにお帰りかな?」

「今日は早く帰ってくるよ、一緒に夕飯を食べるんだ」

「そう・・・それじゃあ、それまで少し私にお付き合いしていただけないかな・・・
 あ・・・そこの公園の前に交番があるね
 その前のベンチではどうだろう・・・
 そこだと、ほら・・誘拐・・・できないだろ?」

「ふふ・・・いいよ」

その男は温和そうで、笑顔がとても似合う紳士だった
どこか懐かしげなその声に僕は少し気を許していた

「じゃあ、そこで待っててください。僕・・かばんを置いてきます」

「はい」

その人は僕がアパートの階段を上って行くのを、また目を細めて見送っていた

 


「本当に・・・賢い子だ・・・
 姿は私の小さい頃に良く似ている・・かな・・・
 いや・・私よりもずっと大人びている
 睨みつけた鋭い目はいっぱしの男だな」

「はい・・・成績は常にトップ・・・
 子供ながらにかなり落ち着いたお子です」

「何としても・・・あの子が欲しい・・・」

「わかっています・・・彼女が彼を手放さざる得ないように・・・
 手を打っています」

「手荒なことはするなよ」

「もちろんです・・・あの方もボスにとっては大切なお方ですから・・・」

 

僕は母に知らない人には決して付いていかないよう
幼い頃から言い聞かされていた
もちろん、そんなことは十分承知だった
いつもの僕なら、さっきみたいに知らない人に声を掛けられても、
相手などするはずがなかった

それなのに・・・
何故なんだろう・・・あの人はいいような気がした
アンドルフ・パーキン・・・聞いたことのない名前
でも何故か・・・懐かしい声・・・懐かしい目・・・誰かに似ている・・・
誰に?・・・


「お待たせしました」

「いいえ・・・じゃあ、ここへ腰掛けて・・・何か飲むかい?」

「いいえ・・・いりません」

「どうして?学校から帰ったばかりで
 おやつもまだでしょ?」

僕は正直、少しおなかもすいてたし、のども渇いていた
僕のそんな本心を見透かしたようにその人はそう言った

「いりません。」
でも僕はがんとそう言って口を結んだ

「そうか・・・私は飲みたいんだが・・・
 でも、こんなところで大の大人が何も食べない
 子供の横で飲み食いしてたら・・・恥ずかしいね・・・君が一緒なら・・・
 子供に付き合ってあげてるんだなって
 あそこのおまわりさんも思ってくれそうだな・・・そう思わないかい?」

「・・・・・・思・・う」
僕の決意を優しく覆したその人の言葉に、僕は易々と陥落してしまった

「じゃあ、いいよね」
そう言ってその人は、もうひとりの人に合図を送った

しばらくして、目の前にあったハンバーガーショップから
両手に袋を抱えてその人が帰ってきた

「さあ・・・どうぞ・・・召し上がれ」
目の前に、大量のハンバーガー、ポテト、ナゲットそしてドリンクが置かれて
僕は目を丸くしていた

「こんなに・・・食べられないよ」

「はは・・・そうだね・・・
 でも、食べられるだけ食べておくれ」

「は・・い・・・いただきます」

僕はハンバーガーを口いっぱいに頬張って辺りを見渡した
学校の友達がいないか、気になったからだ
いつも友達が食べているお店のハンバーガーも僕は食べたことがない
誘われるたび僕は必ずこう言った

  “僕はハンバーガーが嫌いなんだ”

食事はすべて母の手作りだったし、おやつには母が作ったクッキーが
数枚、テーブルに置いてあって、ミルクと一緒にいただく

母は決して言わないけれど、うちは無駄なお金を使うほど余裕のある
家ではないことは子供の僕でも分かっていた

でも・・・美味しかった・・・
母の作る料理は美味しいけれど・・・
ラザニアもスパゲッティも・・・
少し甘すぎるシチューもすごく美味しいけれど
何も不満はないけれど・・・

食べてみたかったハンバーガーは・・・
本当に美味しかった・・・

「美味しいかい?・・・もっとお食べなさい」

「いいの?」

「あ・・ああ・・・いいよ」

「おじさん・・・どうしたの?」

「え?」

「泣いてる」

「いや・・・泣いてなどいないよ」

「だって・・涙・・・」

その人は、慌てたように目に手を当てて、零れ落ちそうに
なっていた涙を拭いとった

「おじさんは食べないの?」

「私・・・は・・・そうだね・・・いた・・だこう・・・
 ・・・・・すまない・・・どうしたんだろう・・・可笑しいね・・・何故・・だか
 ・・・のどを通って・・いかない・・・・・」

そう言うとその人は我慢していたものが堪えきれなくなったかのように、
嗚咽をあげながら下を向いて泣いていた

僕は何故、その人が泣いているのか少しも理解ができなかったけれど・・・
声を押し殺すように泣いているその人が苦しそうに見えて・・・
いつの間にか、その人の背中をゆっくりとさすっていた

何故だかわからないけれど・・・

僕がそうしなければならない・・・


        ・・・そう思ったんだ・・・





































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awayuki
また私好みのお話じゃありませんか。楽しみ楽しみ。この曲どっかで聞いたことあるような・・・砂の器のテーマ思い出しました。 2007/07/22 16:46
sana508
kurumi☆さん、何か泣けて来た><; レイモンド賢過ぎるけど・・・えぇ子や~ 続きが気になる!! 2007/07/20 01:04
koparu♪
Reyったら・・こんなに小さいのに・・『いいよ・・おいで・・』なんて、患者のツボ☆をわかってるのね・・・。おねいさんたちを酔わせてどうするの?(>_<) 2007/07/19 20:34
koparu♪
tomしゃんの感性に敬愛のブラボー☆と 親愛のチュ-☆を・・・。くぅ~~~~~~~泣かせてくれるなァ・・・・ここでもK&Tは!!! 2007/07/19 20:32
eyonyon
このレイと母の会話が浮かんだのね・・ヴィオリンの響きって・・こんなに・・心が伝えられるんだね・・♪ 2007/07/19 09:01
eyonyon
boruneoさんのこの絵・・とっても心惹かれるよね^^ そして・・kurumiさんの語り口が・・切なくて。。 同じ絵を見ていたのに・・kurumiさんには 2007/07/19 08:50
tomtommama
ヨンkissさん tomは昨晩 (T^T) (T_T)で 鼻チーンしにPCの前を離れましたぁ。 Reymondの回想 愛しくせつなく悲しい。。。 2007/07/18 21:49
ヨンkiss
レイモンドの生い立ちが今、解き明かされるのですね。kurumiちゃんにまた、泣かされるのでしょうね~!^_^; 2007/07/18 09:30
ヨンkiss
アンドルフ・・この方がレイモンドの父親ね。両親は離婚したのでしょう。でも、母親と引き離そうとするアンドルフは嫌な存在。何処となくドンヒョクの生い立ちと重なり合う気がします。 2007/07/18 09:29
tomtommama
joonkeiさん・・・やられちゃうよReymond にkurumiちゃんに^^ 息を潜めて呼吸を整えて mirage外伝楽しみましょうぞー (*^_^*) 2007/07/18 08:34
joonkei
レイモンドの見てはいけないような過去が・・・このバックとBGMでいっそう偲ばれます。。あなたにも自分の愛を見つけて欲しい♪ 2007/07/18 08:12
 
 

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