ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3731962/4575588
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 89M/100M
メンバー Total :335
Today : 0
書き込み Total : 1988
Today : 1
Reymond...
2006.6よりwith BYJにて連載mirageの外伝 レイモンドの生い立ちです^^
No 20 HIT数 2636
日付 2008/05/10 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル mirage side -Reymond- 15
本文








 







 


        drawing by boruneo

 




 


 

私は、例の書類をユイ捜査官に渡し、組織の全てを彼に委ねた
このことが引き金となって間違いなく、我が父を初めモーガンや
組織の者達の多くに捜査の手が及ぶことになるだろう

もちろんこの私にも多くの責任がある
しかし可笑しなことに・・・
組織を壊滅させる材料を提供した私にはその手は及ばない

その代わり・・・
私にはやらなければならないことがある

パーキン家という永く暗黒街に蔓延った組織を壊滅させ
そこで生きていた者たちを再生させる責任がある

それはモーガンが言う通り決して簡単なことではないだろう
どれ程の人間が私の敷いたレールに乗って光差す途へと
軌道修正できるのか・・・予測することすら難しかった

しかしもう既にその火蓋は切られた
これから私は力の限り、彼らの行く途に転がる石を取り除いていく
それがこの私に課せられた刑とも言えよう


そして今は・・・その私の目的の為に・・・
巻き込んでしまった愛しい者たちを・・・
この手で救わなければならない


FBIの事情聴取を受けながらも、私の心はここに無かった

ジニョンの元へ・・・

フランクの元へ・・・

ソニーの元へ・・・

私の心は飛んでいた


彼らの容態に関する報告は随時受けていたものの、
この目で確認するまでは安心できるものではなかった
しかも、ジニョンの深刻な様子を知った時は
少しでも早く飛んで行きたい衝動に駆られた



私が彼らが運ばれた病院に向かうことが出来た時には
既に二日を経過していた

ジニョンのそばには連絡をしておいたジョルジュが
ジニョンの父親を伴って付き添っていた

     「レイ・・・」

     「ジョルジュ・・・すまない・・・
      ジニョンをこんなことに巻き込んでしまった
      ジニョンの父上にも・・陳謝したい・・
      そして・・君の父上にも・・・」

     「レイ・・・話は先日の電話で大体理解しました
      しかし・・今は・・・
      ジニョンの父親にその事実は伝えたくはありません
      フランク・シンの存在も・・今はまだ・・」

     「しかし・・フランクは君達のソウルホテルを救おうと
      私に向かっていたんだ・・・
      ソウルホテルと・・・ジニョンを救うこと・・・
      彼はそれだけのために動いていた
      私は・・・」

     「レイ・・・もう止めましょう・・・
      俺はあんたが好きだ・・・
      しかし・・ジニョンがあんな目に遭ったのが
      あんたのせいだとしたら・・・俺は・・・
      あんたを許すことができない
      しばらく・・そっとしておいてもらえませんか」


ジョルジュはそう言うと、私から視線を逸らし背中を向けた



ジニョンには軽い傷以外に身体的な異常は全く見られなかった
しかし、不思議なことに、目覚めていても周囲にいる
父親やジョルジュの姿さえ、目に入らない状況だという
医学的にはその原因すら見出せず、三日が過ぎた


私は来る日も来る日も、彼女の病室の前で彼女の回復を待った


   ジニョン・・・


   きっと君は・・・

   彼を待っているんだね・・・



   
私は彼らの入院手続きを代理の者に依頼していた
その時ジョルジュの意向もあって、敢えてフランクの病室を
ジニョンの病室から離すことを病院に願い出ていた

私がここへ訪れた時には既にフランクの病室は別棟へと移されていたが
ジョルジュは決して、フランクをジニョンから遠ざけようと
していたのではなかった
ふたりのことをジニョンの父親に素直に認めてもらうには
余りにタイミングが悪過ぎるとジョルジュは思っていた


      「時間が必要です・・・
       おじさんは頑固な人ですから・・・
       今は・・何も話さない方が・・・」


今は仕方の無いこと・・・私もそう思っていた
しかし・・・ふたりが哀れでならなかった
きっとフランクを待っているだろうジニョンが不憫でならなかった


ジニョンの父は目覚めぬジニョンのそばを離れようとせず
たったの一度も病室を出て来なかった

ジョルジュが時折、病室を出入りしていたが
病室の前で待つ私とは視線すら合わせてはくれなかった

無論ジニョンに会うことなど到底叶うところではなかった



      
ある時、フランクに付き添っているというソフィアという女が
ジニョンの病室の前に大きな花瓶に生けた赤い薔薇を持って現れた


彼女はジニョンの部屋をノックすると中から出てきたジョルジュにこう言った



      「この花を・・・病室の窓辺に飾ってください」

      「窓辺に?」

      「ええ・・窓辺に・・・外からよく見えるように・・・」
       


   外からよく見えるように・・・



   フランクの病室からよく見えるように・・・


私にはそう聞こえた・・・


ジョルジュにもきっとそう聞こえていたのだろう
彼はまぶたをゆっくりと閉じて彼女に応えていた

彼女がその花瓶をジョルジュに手渡した時だった

      「ちょっと・・待って」

彼女が急に振り返って私の前に進み出ると
手を差し出して唐突に言った


      「あなたのそのお花を・・・」

      「・・・・・・?」

      「一緒に・・・」


そう言って彼女は私の手の中から私の赤い薔薇を取り上げ
ジョルジュの手に渡った花瓶にその薔薇を入れると
彼女の薔薇と馴染ませるように生けた


      「これだけあると豪華ね」


そして・・・私に振り返るとにっこりと微笑んだ

受け取ったジョルジュもまた・・今までの私へのわだかまりの
全てを解くかのように私に向かって柔らかく頷いた


もしかしたら・・・
彼女は私が毎日こうして花を抱えここに座っているのを
見ていたのかもしれない

そしていつも・・・
それを渡すことすら叶わず、そのまま持ち帰ってしまっていることも・・・
知っていたのかもしれない


     フッ・・・きっとそうだ・・・


彼女が用意した花束にはあの花瓶は少し大き過ぎた



多くを語らずとも・・・

フランクとジニョン・・ふたりの行く末を案ずる者同士

祈る心がここにあった・・・



      通じ合う・・・


          ・・・心がここにあった・・・


         




 


 

 







































 
前の書き込み mirage side -Re...
次の書き込み mirage side -Re...
 
hitomihito
背景のように毎日薔薇を抱えて座っていたんですね。ソフィアにもジョルジュにも”ありがとう”って言いたいです。 2008/05/15 19:45
フック
柔らかなタッチで描かれたレイの表情にジニョンを想う心が溢れています。対照的な鮮やかな深紅の薔薇が、相乗効果をあげて胸に迫ってきます。boruneoさん、ステキです!!!! 2008/05/11 17:33
poraris31
BGMと文章がものすごくマッチしていて、読んでいて涙があふれて止まりませんでした。レイ、ジョルジュ、ソフィアの2人への想いが最高に素敵です! 2008/05/10 15:23
tomtommama
boruneoさんがkurumiちゃんの文章を読んで 描いてくれた作品 Reymondのジニョンへの抑えた深い想いが伝わってきて・・・胸に迫る。。。 2008/05/10 10:49
tomtommama
レイの想いとレイの生き方。。。。母から受けた愛 母への想い 父へ反発や許し 義母へのいたわりと愛  見守るソニーからの愛。。 2008/05/10 10:42
ジェニー・S
この二人には、やはり薔薇が似合います、フランクもレイもひたすらにジニョンを想って、心配している様に見えます。そしてこの曲では条件反射の様に涙が頬をつたいます。 2008/05/10 09:00

ソフィアの想い・レイの想い・ジョルジュの想い・・・・それぞれを理解しあえる・・彼らに守られるフランクとジニョン・・幸せが待つと信じたい・・・。 2008/05/10 00:47
jijimama
最初から読み返してます。それぞれの深い想いが、訴えてくるんだけど、言葉を知らない私にはそれを表現できないのが、もどかしい・・・ 2008/05/10 00:41
Lusieta
ソフィア、なんてステキな人なのでしょう。やはり、恋人というより・・・姉?  レイと心を通わせて、二人どちらの心にも温かな灯がともることを願ってしまうけど・・・・願っても・・・いい? 2008/05/10 00:26
Lusieta
ここにきて、kurumiさんの「これこそが私が書きたかったもの」という言葉がわかるような気がしてきました。いや・・・まだまだわかってないかな。 2008/05/10 00:24
 
 

IMX