私はただここにいるしかなかった
こうしてずっと君を見つめているのに・・・
君の瞳には私の影すらも映っていない
もう泣かないでおくれ・・・
そんな君を見るのは苦し過ぎる・・
ジニョン・・・
私は目を閉じてしまいたかった
しかし今ここで、目を閉じてしまったら・・・
君の存在すらも消え失せそうで本当に怖かった
もうどれくらい経っただろう・・・
・・・やっと・・・落ち着きを取り戻した君は
私の知る君の面影すらなくて・・・
尚更痛々しかった・・・
泣いていた君よりももっともっと儚げで・・・
私はもうこれ以上君を見ている勇気を持てなかった
「ジニョン・・・もうお行き?・・・
ジョルジュをここに迎えに来させている
きっともうその辺で待ってるよ・・
私は送って行けないが・・・」
これでやっと・・・私は救われる・・・
しかし・・・本当にこれでいいのか?
「ジニョン! フランクに・・
フランクに・・何か伝えることは・・
あるかい?・・もし・・もし彼に会ったら・・」
言ってごらん・・・
君の愛しいフランクは直ぐ・・そこにいる・・・
もう一度呼んでごらん・・・
フランク・・と・・・呼んでごらん・・・
そうしたら・・・
でも彼女はもう今までのジニョンとは違っていた
「いいえ・・・何も・・・」
彼女はもう自分の涙を自分自身で拭っていた
そして・・・私の・・ジニョンは・・・
ドアの向こう側へと静かに消えてしまった
これでいいのか・・・フランク・・・
ジニョンをあんなにも壊した・・・
私は君をどうやって許したらいいんだろうか
心を捨てたと言う君を・・・
どうやって認めたらいいんだろうか・・・
「あなたに!・・何がわかる!」
ああ・・わからない
わかりたくもない
君は間違っている・・・
しかし今の私には君にそれを説く術が無い
そうやって泣き崩れる君を前にして
君へ告げるべき言葉は私の喉を通過して
心の奥へとしまわれてしまった
今は・・・私が何を言ったところで
君の答えは決まっていたんだろ?
フランク・・・
どうしてそれほどに自分を傷つける?
どうして立ち直れないほどに自分を貶める?
どうして・・・どうどうと胸を張れない!
自分達は一対なのだと・・・
半身なのだと・・・
離れては生きていけないのだと・・・
どうして言わない・・・
どうしてそれだけじゃ・・・
駄目なんだ・・・
・・・フランク・・・