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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3792573/4636199
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愛の群像Ⅱ
愛の群像のその後のストーリー
No 14 HIT数 1943
日付 2013/05/04 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 愛の群像Ⅱ 第十四話 ジェホとジュンス
本文






   

第十四話 ジェホとジュンス


「あなたって・・・いったい何者?」

「僕はこの世で・・まちがいなく、あなたを一番愛している男」

「チィ・・」
恐ろしく真面目な顔で、女心をくすぐるセリフを言ってのけた
ジュンスを、シニョンは呆れたように横目で睨んだ。

「その態度は心外だな」 
ジュンスはシニョンの疑わしげな態度に不満を著わにした。

「恥ずかしくない?」 
シニョンは胸の奥の熱いものを懸命に隠しながら、更に彼を
睨んだ。

「ちっとも」 ジュンスは満面の笑顔で答えた。

《なんて表情をするの?》

シニョンはジュンスから顔を逸らし、窓の外を眺めた。
無論踊る心を彼に見透かされないために。

若い娘ならばこんな時どうするのだろう。
徐ろに頬を赤らめて、彼の袖を掴んだりするだろうか。
そんな面はゆい想いが胸を過ぎった。

《・・・できるはずがないわ》
それでもこの熱い想いはきっと、年齢とは関係ないのだと、
彼に隠れて頬を綻ばせた。



「今日は本当にごめんなさい」 
自宅前に到着すると、車を下りる前にシニョンは、本当に
申し訳なさそうにジュンスに詫びた。

「僕は嬉しかったけど」 ジュンスは相変わらず優しく答えた。

「でも疲れたでしょ?今日は随分と運転していたし・・」

「いや・・ぜんぜん?、
 何ならこのままずっとあなたとドライブしてもいい」

「ふふ・・明日は何時に?・・あ・・」
シニョンは明日の朝また学校で落ち合うことを、当然のように
口にした自分に驚いた。

「明日は僕がコーヒー淹れます」

「大丈夫よ、私が・・」

「いいえ、僕の方がきっと上手だ」

「ふふ・・そうね、確かにそうだわ」

「じゃあ、決まりですね」

「ええ、それじゃ・・」

「おやすみなさい、今度こそ」

「ええ、今度こそ」

ジュンスが先に降りて、助手席に回り込みドアを開けてくれる。
近頃はそれが当たり前のように思ってしまっている自分が、
少し可笑しかったりする。

シニョンは思っていた。この数週間で、キム・ジュンスという男は
間違いなく、自分の中に息づいた。
まるで、自分という人間が彼の色に染まってしまうようだ。

《私はこんな女じゃなかったのに》

彼は愛されることの心地よさを、さりげなく与えてくれる。
適性の温度で、適性の弾力で、適性の空気で包み込んでくれる。
キム・ジュンスはそういう人だ。

別れ際に、絡めた互いの指が離れるとき、その指先に赤い糸が
繋がっている、そんな気分にさせられる。
そんな時のジュンスの柔らかく少年のような眼差しが好きだった。

《こんな気持ちになったのは・・・初めて?》

シニョンは思わず首を横に振った。

ジュンスの車がテールランプを数回点滅させて遠ざかっていった。
シニョンはその直後、ひどい自己嫌悪におちいった。

《そうよ、あなた以上に好きな人なんて・・決して・・決して・・・》
「できないわ・・ジェホヤ・・あなた以上に好きな人なんてできない
 ・・・できるはずがないわ・・・」




ジュンスが家に戻ると、入口の前に大きなバイクが止まっていた。

「ただいま帰りました」 
ジュンスは門を入ると、母屋に向かって声を掛けた。

「お帰り、ジュンスssi・・
 さっきは慌てて出て行ったけど何かあったの?」
ジンスクが扉を開けて声を掛けた。部屋の中に視線を向けると、
ジンスクの肩越しにジェホの顔が見えた。

「やあ、パク・ジェホ君・・来てたのかい?」 
ジュンスはジェホに声を掛けたが、彼はそれに答えず顔を背けた。
ジンスクはジェホの態度に顔をしかめ、彼の頭を軽く小突いた。

「は・・い、教授・・・」 
ジェホはジンスクの威圧に負けて、しぶしぶ返事をした。

ジュンスはそんなジェホの態度が可笑しくて、思わず俯いた。
笑いを堪えて顔を上げると、自分に向けられたジェホの眼差しが、
まるで突き刺すようだった。

「ジュンスssi、お茶でも如何?」 
ジンスクがそう言って彼を誘った。

「ええ・・・喜んで」 ジュンスは笑顔を向けて答えたが、
その横でジェホが不満そうな顔をしていた。

ジンスクがお茶を淹れに台所に行くと、また背を向けてしまったジェホと
丁度並んでカン・ジェホの遺影に向かうようにジュンスは座った。

「・・・・気になって来たのかい?」 ジュンスがジェホの背中に言った。

「・・・・・・」 ジェホは無言だったが、背中を少し固くした。

「シニョンssiはちゃんと送り届けて来たよ」

ジュンスがそう言うと、ジェホは怒りを顕にして、振り向きざまに
彼を睨みつけた。

「気になってたんだろ?」 ジュンスは穏やかな調子でそう言った。

「気になってなんかいない」 ジェホは刺々しく答えた。

「そう・・・・なら・・どうして彼女を困らせるのかな」

「あんたには関係ない!」 ジェホは声を荒げて怒鳴った。

「僕たちのこと・・・認められない?」

「僕たち?・・・笑わせるな」

「もう知ってるよね・・・僕たちが付き合っていること」

「シニョンssiはあんたなんか好きにならない!」

「どうして?彼女の気持ちがわかるのかい?」

「あんたなんかよりずっと!シニョンssiのことは知ってる」

「そうかな・・・」

ジェホは怒りがエスカレートする自分を抑えられなかった。

「あんたなんか!好きになるもんか!
 シニョンssiが愛しているのは・・・カン・ジェホだけだ」

「そう?」
それでも、ジュンスは至って冷静にジェホに接した。

ジェホは苛立っていた。

自分がキム・ジュンスに向けている言葉が、余りに子供じみていて、
情けなかった。
それに比べて目の前のこの男は、大人で、冷静で、余裕が有り過ぎる。
だから、またも彼から顔を背けるしか方法を見つけられない自分に
無性に腹が立って仕方なかった。

そこにジンスクがお茶を持って戻って来た。

「ふたりで何を話してたの?」

「男同士の話です」 ジュンスが答えた。

「へー男同士の話ね。いったいどんな話なんだい?ジェホヤ・・」

「何でもないよ」 ジェホはぶっきらぼうにそう答えた。

「お前ももう大人になったんだね」 
ジェホの言葉を無視して、ジンスクが彼の髪をクシャクシャに
しながらそう言った。
まるで目に入れても痛くないと言わんばかりの眼差しを向けながら。

「止めろよ!」 
ジェホはジュンスの前で子供扱いされていることに腹を立て、
思わず力任せにジンスクの体を押しやってしまった。
その拍子にジンスクが大きくよろけてしまったのを、咄嗟に
ジュンスが抱き抱え、彼女が倒れるのを救った。

その時だった。

「伯母さんに向かって何をする!」 

ジュンスが突然声を荒げ、ジェホの胸ぐらを掴んで彼を睨みつけた。
その突き刺すような目に、ジェホは一瞬怯んでしまい、息を呑んだ。

「だ・大丈夫よ。ジュンスssi、そんなに怒らないで。この子、
 ふざけただけですから」 
ジンスクはジュンスの豹変した態度に驚いて、思わずジェホを
庇っていた。

ジュンスはハッとして、ジェホの胸ぐらから手を離し、静かに座った。

「はー・・驚いたわ、ジュンスssi、あなたでも怒ることがあるのね」
ジンスクは驚いたというより、感心したというような言い方でそう言った。
そうすることで、空気が悪くなってしまった場を執り成そうとしている
ことをジュンスは察した。

「あ・・失礼しました。はは・・僕としたことが大人気なかったですね。
 ジェホ君、悪かったね」
ジュンスはそう言って、またいつもの穏やかな表情を向けた。

「・・・・・・」 
ジェホは無言でジュンスに崩された自分の襟を正し座った。

「お前が悪いんだよ」 
ジンスクもいつものように、ジェホを小突く真似をした。

「ごめん・・ハルモニ・・痛かった?」 
ジェホはジンスクに申し訳なさそうに言った。

「ほらね・・いつもはこんなに優しいんだよ」 
ジンスクがそう言ってジュンスに微笑むと、彼も笑みを返した。

ジンスクとジュンスは、お茶を飲みながら他愛のない話しを交わした。
ジェホはと言うと、相変わらず無言でカン・ジェホの遺影に視線を
向けていた。

「・・・伯父さんによく似てるね」 
ジュンスがジェホに視線を向けて、カン・ジェホの遺影と彼を交互に
見ながら言った。
その言葉に、ジェホではなく、ジンスクの方が口を開いた。

「そうなの・・この子はね、生まれた時からあの子にそっくりだった。
 まるでカン・ジェホが生まれ変わってきたようにね。
 母親が・・ジェヨンが・・ブラザーコンプレックスっていうのかい?
 何かあるごとにね・・
 『オッパは・・オッパは・・』って言うんもんだから・・・
 この子ったら、物心ついた頃から、
 『伯父さんてどんな人だった?』って・・・
 『こんな時伯父さんだったらどうしてた?』って・・
 よく聞いたものだよ、ね」
ジンスクはそう言いながらジェホに同意を求めるように彼を見た。
そして続けた。

「私もね・・・次第に口調まで似て来たこの子に、つい・・・
 あの子を見てしまって・・・
 『伯父さんみたいな男におなり』って・・・
 口癖のように言ってしまった・・・
 困ったものでね・・・
 死んでしまうと・・いいところばっかり思い出すもんだから・・・

 あの子の生きた証をあちらこちらに残したくなってしまう・・・
 そのせいだね、きっと・・・お前はいつの間にか、
 カン・ジェホという男に心酔してしまったのかもしれない
 だから、父親ともぶつかってしまうんだね・・・だから・・・・・・」

「ハルモニ!・・・大げさに言わないでよ」 
ジェホは面倒臭いという態度で、ジンスクの話の腰を折った。
 
「愛されてるんですね」 ジュンスが言った。

「えっ?」

「カン・ジェホ・・・ssi」

「ああ・・愛してるなんて言葉・・照れくさいけどね・・・
 そうだ・・昔ここでね、あの子が私に言ってくれたんだよ・・・
 『伯母さんが僕の初恋の人だったって・・・愛してる』って・・・」
 実際、あの子のその言葉が私を救ってくれた・・・
 そのあとね・・後悔したんだ・・・
 私も・・ちゃんと言葉にすれば良かったって・・・・
 だから今はね、伝えてる・・『愛してるよ、ジェホヤ』って・・
 昔も・・・今も・・・これからもずっと・・・愛してるって・・・」
ジンスクはそう言いながら、ジェホの遺影を愛しそうに見つめた。

「・・・・・きっと・・・伝わっています」 ジュンスは静かにそう言った。

「そうかい?ジェホヤ・・・」 
ジンスクはそう言って、ジェホの遺影に微笑んだ。

「・・・・・ジンスクssi・・明日が早いので、そろそろ失礼します」
ジュンスがジンスクの背中に向かって言った。

「あら・・そう?」 ジンスクは振り向いて言った。

「ええ、おやすみなさい。ジェホ君も・・今日は泊まっていくのかい?」

ジュンスがそう言うと、またも無言で返すジェホの頭をジンスクが
小突いた。
ジュンスはふたりのやり取りに微笑むと、「では・・・」と言い残し
部屋を出た。

すると彼らに背中を向けたその瞬間、ジュンスの笑顔が消えた。
そして彼は目を閉じ、胸の中で小さく呟いた。

《そう・・・伝わって・・・いるさ・・・》

 


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hiro305
とってもミステリアス・・・シニョンさんと関わりあう2人の男性、パク・ジェホとジュンスの2人ともの中にジェホがいるみたいです。シニョンさんは幸せになるのを恐れているみたいですね。 2013/05/07 23:07
ジェニー・S
シニョンssiがジュンスssiと幸せになってほしいと思いますが、ジュンスssiが部屋を出て笑顔が消え呟いた一言が・・・この後が楽しみです。 2013/05/04 19:16
 
 

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