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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
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愛の群像Ⅱ
愛の群像のその後のストーリー
No 17 HIT数 1112
日付 2016/05/29 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 愛の群像Ⅱ 第十七話 カン・ジェホの遺したもの
本文


    三年もの間中断していた創作ですが、自分の中でずっと気になっていたので、ちょっとだけ再開^^

   今更という感もありますが(笑)、人にお見せするというより、

   自分の頭の中にある完結までを、いつの日か完成させたい。

   ここを訪問される方は大分少なくなってますが、もしもお読み頂ける機会がありましたら、

   大変申し訳ないですが、まずは一話から十六話までお読みいただいた上で、

   十七話にお進みください。kurumi
  





第十七話 カン・ジェホの遺したもの



「ジェホヤ・・・」

シニョンは立ち上がることも、止めど無く流れる涙を拭うことも
今この時は諦めようと思った。

幻でもいい、ジェホの世界に身を投じていたかったから。




気が遠くなる程の、永遠とも思える程の、時が経った気がした。

シニョンが力無げに見上げて、掛け時計に視線をやると、
ジュンスとの珈琲タイムから、優に一時間は経っていた。
 
ジェホの日記の存在を知らなかったわけでは無い。
彼が亡くなって、ひと月も経った頃だっただろうか、
彼の伯母がシニョンに渡すべく、それを持参してきた。

しかし、彼女はその包みを解くことなく、伯母にそのまま
返してしまった。

伯母は黙って頷いて、シニョンの気持ちを受け入れてくれた。
きっと、彼の死を受け入れる準備ができないでいたのは、
シニョンだけでは無かったのだろう。


シニョンはもう一度だけ瞼を閉じ、 平静を保つ作業を試みた。
 《大丈夫、、、大丈夫》
自分の心臓の音に、落ち着け、落ち着けと暗示を掛けた。

そして、懸命に瞼に力を加えると、すっくと立ち上がり、
深く息を吸い込み、吐き出すと同時に、大きく目を見開いた。

辺りを見渡すと、床にはジェホのノートが散乱したままだった。
彼女は、一冊一冊を拾い上げ、番号順に束ね合わせると、
机の引き出しに仕舞った。

そして彼女は、受け持ちの授業を知らせる予鈴に従った。
彼女は今の自分に、微かながらも理性と言える感情が
残っていたことに救われた。





その日の授業が終わり、シニョンが帰り支度を始めても、
ジュンスは現れなかった。

僅かに心寂しさが過ぎったものの、シニョンにとっては
その方が有難いことだった。

《今、私はどんな顔をしている?》

果たして、何事も無かったように、彼に笑顔を向けられるのか。

そんな自信は到底無い。

シニョンは大急ぎで身支度を整えると、最後に引き出しの中から
ジェホの日記をバックに移し、誰の視線からも逃れるよう、
視線を落としたまま、車に乗り込んだ。



家に帰ると、母から投げられる小言を背に、階段を駆け上がった。

《馬耳東風という諺をそろそろ知った方がいいわ、オンマ》
そう心で呟いて、階段下の母を微かに一瞥すると、
「大事な仕事の準備があるから、声を掛けないで」と、
自分の部屋に雲隠れを決め込んだ。

部屋に入ると、おもむろにベットに腰掛け、持っていたバックから、
大事なジェホを開放した。

《それが・・・カン・ジェホ?》
そう言ったジュンスの声が聞こえた。

《今更、それをあなたが読むことに意味があるの?》

意味があるだろうか。
「わからないわ・・でも・・・」
さっきジュンスに答えた言葉を口にした。

《あなたは言ったね。
 “心に住むひとりの男を死ぬまで離すつもりはない”と。
 “それはあなたにとって許せることなのか”と・・
 僕にそう聞いた》

《やってみたけど・・・努力してみたけど・・・やはり許せないと、 
 今・・そう言ったら、どうする?・・・答えてみて》

結局、彼のその言葉に、彼が求める答えを出せなかった。


《僕か。・・・カン・ジェホか。・・・》

《そのノートを封印して欲しいと言ったら?》

「・・・それは・・・できない。」またジュンスの声に言った。

ジェホは私の一部だから。

《悲しくなるだけだ》

だとしても、

《苦しくなるだけだ》

きっとそうかもしれない。

でも、ジェホが私の手元に戻った以上、避けるわけにはいかない。




古びた日記のページを捲るごとに、そこに綴られた
まだ幼かったジェホが哀愁を誘い、知り得なかった彼に
愛しさを覚え、胸が締め付けられた。

幼いジェホのそばに、自分が寄り添い、思わず彼の涙を
拭おうとするたび、彼が消える。

時を越え、彼を抱きしめて、頭を撫でてあげられたら、
どんなにかいいだろう。

そう思いながら、頬を涙が何度も何度も伝って落ちた。

彼が意固地に実母に会いたがらなかった理由がそこにあった。

日記は、ジェホの幼少期から、十五歳位までで、途絶えている。
ジェヨンを抱えて、自分を誇張し、肩で風を切って生きていた
その頃のことが何も書かれていなかった。

それはきっと、
彼に押し寄せた数々の不遇が、彼を痛めつけるには、
十分余りあったからに違いない。

彼の大学生活を知るシニョンはそう納得した。


日記の大半は、ジェホがシニョンに想いを寄せた頃から、
彼女への切なく、悲しい思慕が切々と綴られていた。

そして、彼自身が自分の最期を受け止めた後の、
彼の張り詰めた強さと砕け散りそうな弱さと、シニョンへの
深い愛が綴られていた。

シニョンは思った。
そのひとつひとつを、自分がどれほど分かってあげていたのか、
きっとわかってはいなかった。
あの頃の自分が、自分自身の悲しみに押しつぶされ、
そのことが、どれほど彼を傷つけ、悲しませていたのか、
数々の後悔の念が蘇って、何度もページを閉じては、
また開いた。


□□□□

ジェヨンに子供が出来たことを、伯母さんが嬉しそうに報告した。
「シニョンももう直ぐだね」と叔母が悪気なく言ってしまった。

その帰り道、シニョンssi、あなたは妙に饒舌だったね。
ジェヨンの子供のことに触れないよう、不自然に話題を
すり替えていた。

僕はあなたに子供を遺してやれない。
医者にそう言われていたのを、聞いていたんだね。

  

□□□□

生まれてくる子のために、楽しそうにベビー服を選んでいるシニョンssi。
そんな彼女が、小さな靴を手に取りながら、ほんの一瞬だけ、
寂しげな眼差しを僕に隠した。

ごめん・・・
あなたに子供を遺せなくて・・・本当にごめん。



□□□□

シニョンssi、このところ僕を避けているね。

日に日に近づく僕の死の影を、まるで遠ざけるように、
僕の目を見なくなってしまった。

駄目だよ、シニョンssi。

分かっていたはずだろ?
何もかも知っていて、覚悟を決めて、僕と居てくれると、
決めたはずだろ?


  
□□□□

シニョンssi、知ってるよね。

僕たちが愛し合う時間はもうそんなに残ってはいない。

僕があなたを抱きしめる時間を、どうか無駄にしたりしないで。

一分、一秒、ほんの僅かな時間も、僕はあなたを愛していたいのに。


□□□□

ジェヨンに生まれた子を、シニョンssiが僕の腕に抱かせてくれた。
柔らかくて、甘酸っぱくて、「この世のものとは思えない」
そう言った僕を、あなたは屈託なく笑った。

散る命と、生まれる命、そのどちらも尊いと、あなたは僕に
教えたかったんだね。




□□□□

シニョンssi・・・ごめん。

その時が近づいているようだよ。

本当は怖いんだ。

あなたの笑顔が見えなくなって、

あなたの優しい声が聞こえなくなって、

あなたが、僕との別れを怖がっていることすら、わかってやれない。

いいや、分かっていても、それを思いやる余裕が無い。

僕に残された僅かな時間が恨めしいよ。

シニョンssi、お願いだ。

僕の最期のわがままを、叶えて欲しい。

その瞬間はどうか、僕の手を一時も離さないでいて。

僕があなたの愛を抱いたまま眠れるように、

僕があなたを限りなく深く愛していること、

あなたの幸せを何処の誰よりも祈っていることを、

あなたがちゃんとわかってくれていると、僕を信じさせて、

遺されるあなたの耐え難い苦しみを知りながら、

それでも

あなたの腕の中で逝くことを、どうか許して欲しい。


   
   ------------------------------


そう

その日、ジェホはベットの中で、自分の掌に私の言葉を聞いていた。

私は彼が求める言葉を懸命に書いた。

そして彼が「また明日」とまぶたを閉じた後も、
「愛している」と何度も何度も彼の掌に書き続けた。

《だから?だからあなたは笑顔のまま眠ったの?》

シニョンがひとり目覚めた翌朝も、彼の子供のようなその笑顔は
少しも消えていなかった。

《その笑顔は、私に遺したあなたの大きな愛だったのね。

 そうなのね。》


シニョンssi

僕が愛していること、知ってますよね。


ええ、知っているわ。

今も、これからも・・・。

















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ジェニー・S
kurumiさん 愛群は観るのはつらいドラマでしたが、書いて下さり嬉し渇です、ゆっくりで良いですよ~ 2016/06/01 09:24
kurumi☆
だから、愛群を深く愛してる人には物足りないというか、内容を誤って記憶している可能性も(笑)でも、これは純粋に私の創作と思って、お許しを(^-^) 2016/06/01 08:45
kurumi☆
愛群を書きたいと思いながらも、実は愛群切な過ぎて一回見ただけに終わりました。だから、愛群の内容を深く掘り探ってはいないと思います。(ホテリアーは、かなり堀探りましたけどね(笑)) 2016/06/01 08:41
kurumi☆
ジェニーさん、読んでいただけて良かったです。いつも、私の創作が励みになったと、言ってくださって、私の方がどれ程励まされたかしれません。これからも、ジェニーさんの励みを生み出せるよう、頑張りますね(^- 2016/06/01 08:37
kurumi☆
でも、真っ先に書込みしてくださって、本当にありがとうございます(o^^o)♪ちょっと事情があり、頻繁には訪問できませんが、いつの日か、必ず完成させますね(^o^)o忘れなかったら、見てください(笑) 2016/06/01 08:19
kurumi☆
mariさん、お久しぶりですm(_ _)mここを忘れずに訪れてくださって、心からありがとうございます、という気持ちと、サークルを放ったらかし状態で、ごめんなさい、という気持ちです(><) 2016/06/01 08:17
ジェニー・S
kurumiさん 愛群を書いて下さって、本当に嬉しかったです、kurumiさんの創作が本になるように願っています。 2016/05/31 17:22
ジェニー・S
はないでしょか…。私は亡き夫の手紙をかきつづけていました、書くことで救われました。誰でもですが、病気に打つ勝ための努力と自分の傍に居てくれる人にも甘え上手になってみるのも良いのかと思います 2016/05/31 17:15
ジェニー・S
行かなければなりませんが、自分の連れ合いが居なくなる喪失感は計り知れないものです、ジェホは病気と闘い幸せにシニョンに抱かれて天国に旅立ちました。残されたシニョンはジェホの日記で心はいくらか救われたので 2016/05/31 17:02
ジェニー・S
kurumiさん、有難うございました、涙がとめどなく溢れて色々なことを考え、思い出しています。私事ですが、夫を亡くしてからIZMでK&Tワールドで生きる力と希望をもらいました。人は何時かは天国 2016/05/31 16:49
mari181818
kurumiさん、おひさしぶりです。また会えてうれしいです。読み返してきますね。とりあえずご挨拶とお礼を。ありがとうございます。 2016/05/30 21:04
 
 

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