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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
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愛の群像Ⅱ
愛の群像のその後のストーリー
No 6 HIT数 3660
日付 2013/01/22 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 愛の群像Ⅱ 第六話 カン・ジェホの幸せ
本文


   









第六話



シニョンはキム・ジュンスが立ち去った車の後を目で追った。
その時、彼女の脳裏にひとつの疑問が浮かんでいた。

彼の車に乗ってからここに着くまでの間、自分の住所をいつ彼に伝えたのか。

話した記憶は無かった。
なら、彼はどうしてここへ辿り着いたのか。

この辺りの路地は特に分かりにくい。
例え住所を伝えていたとしても、韓国に来たばかりの彼が、道案内無しに
容易に辿り着くとも思えなかった。

《何故?・・・それに・・あなたはいったい・・・誰なの?・・》




シニョンは、登校すると直ぐに学長室へと向かった。

彼女が学長室の扉をノックすると、中から直ぐにギルジンの声がした。
「どうぞ」

部屋に入ると、正面に設えた学長机にギルジンがいた。

既に執務中だったギルジンが視線を上げてシニョンを認めると言った。
「シニョン・・早いな」 

「ええ、初めての授業だから、緊張しちゃって・・」

「緊張?新人でもあるまい?・・・
 NYでもかなり優秀な講師だったと聞いたぞ」

「それはどうかしら」

「それより、昨日は悪かったな。
 ジョンユンが朝『自分が何かやらかさなかったか』と心配してたよ。
 悪い癖だが、酔うと記憶が無くなるんだ。許してやってくれ」

ギルジンが申し訳なさそうに、昨夜の出来事を口にした。
シニョンもジョンユンのことが気になっていたので、ジルジンの方から
そのことに触れてくれたことに安堵した。

「そんな・・許して欲しいのは私の方だわ。それで先輩、話したの?」

「いいや・・あいつはお前との再会をすごく喜んでる・・・。
 だから、そのままにしておきたい。・・・悪いが、お前も忘れてくれ」

「ええ、もちろんよ。・・・何とも思ってない・・・ううん・・私の方こそ・・
 ジョンユン先輩に申し訳なくて・・だから・・もう忘れて」

「シニョン・・申し訳ないなんて思うな。あいつが余計に辛くなる。
 こうしてお前が韓国に戻って来てくれた・・それだけであいつは救われてる。
 きっともう、悪夢を見ることも無くなるさ・・・もう・・・苦しまないさ・・・」

ギルジンはそう言いながら、苦渋な表情を見せた。
シニョンは彼のその表情を見ると、申し訳なさがまた蘇った。

それは、今まで彼らが自分のためにどれほど辛い思いをして来たのかを
思い知らされるようだったからだ。

《ふたりとも・・・沢山苦しんでいたのね・・・全部私のせいね・・・》

シニョンはふたりの友人に対して懺悔の気持ちで一杯だった。
しかし、彼女はもうそのことを口にするまいと思った。

「先輩・・・愛してるのね、ジョンユン先輩を」
そう言って、シニョンはギルジンに笑って見せた。

「無論だ」

「ふふ・・」

《これからはふたりに、うんと友達孝行するわね、先輩・・・》


「あ・・それより先輩、聞きたいことがあるの」

「ん?」

「キム・ジュンス先生のことだけど」

「ん・・」

「実は昨日あれからジンスク伯母のところに寄ったの」

「ジンスクssi?・・あ・・ああ、そうか・・・ごめん、昨日話しておこうと思っていて・・
 あの騒ぎで忘れてたよ。会ったのか?伯母さんの家で・・」

「ええ、泥棒と間違えた・・彼を」

「泥棒?・・おいおい、いくらなんでも」

「だって、まだ薄暗い朝にゴソゴソしてるから」

「ゴソゴソって?」

「水飲もうとしてた」

「水?・・・」

「ね、それより、どうして伯母の家なの?
 この学校のそばだって、小奇麗なアパートは沢山あるでしょ?」

「ああ、俺もそう言ったんだ。不便じゃないかと思ってな。
 しかし、彼の要望だったんだ。
 幼い時に住んでいた家に似た家を探してると・・・
 具体的な希望を言ってきたんだ。古い韓屋のような・・・
 そしたらジンスクssiの家が直ぐに浮かんで・・
 彼女も一人暮らしだったしな。用心棒代わりにどうですって、持ちかけた、
 というわけだ」

「ふーん・・・」

「どうした?お前がクレームつける権利はないだろ?
 伯母さんが了解したんだから」

「クレームつけてるわけじゃ・・」

「なら、文句言うな。ジンスクssiは喜んでくださってる」

「知ってる」

「なら・・・」

「ね、彼に私の家の住所教えた?」

「お前の?」

「ええ」

「いいや」

「そう・・・じゃあ、伯母さんかな」

「いったい、何があったんだ?」

「ううん、何も?・・・ただ、気になったの・・・
 ところで、彼はどうしてこの学校に?」

「ああ、それか・・・それがよくわからないんだ。
 アメリカではかなり優秀な教授だったらしくて、
 教育界でも有望視されてたみたいだしな・・・
 なのに、どうして韓国なんだ?って疑問もあった
 しかもレベル的にはもっと上の大学もあるのに・・」

「聞いてみなかったの?」

「みたさ」

「なんて?」

「生まれ故郷で生活してみたかった、と言ってたな
 この辺りに住んでいたらしい」

「彼、いくつなの?」

「んー・・・確か、40になったばかりだ」

「ふ~ん、そうすると18年前は22歳ね・・・この学校の出身とか?」

「いいや、彼はアメリカで30年は生活してる。大学はハーバードだ」

「ああ、そうか。そう言ってたわね、昨日」

「どうした?そんなに気になるのか?
 それより思い出したのか?彼とどこで会ったのか」

「思い出してたらこんなこと聞かないわ」

「そうだな」

「聞いてみたのか?」

「うん・・はぐらかされた感じ」

「会ったことがあるというのも、意外と冗談じゃないのか?」

「冗談言う人に見える?」

「ん・・・そうだ!シニョン・・これは学長としてではないぞ。
 お前の兄貴としての想像だ、聞くか?」
ギルジンは《思いついた》とばかりに、勢いよく椅子から立ち上がると、
シニョンの前で机に軽く腰掛け、言った。
「思うに。だ。奴はきっと昨日会った時、お前に一目惚れしたんだ。
 それでお前の気を引くためにひとお芝居打った、ってのはどうだ?」
ギルジンは調子よく言いながら、手を叩いて見せた。

「・・・・・・本気で言ってるの?」
シニョンはそんなギルジンを横目で睨んで見せた。

「なわけないか」

「先輩・・・本当に学長?」 シニョンは呆れたようにため息を吐いた。

「確かな」 ギルジンは腕を組んで、確かめるように上を仰ぎ見た。

「チィ・・」




学長室を後にしたシニョンは自室に戻った。
今日から始まる自分の授業のために気持ちを切り替える必要があったからだ。

今は9月。韓国の新学期である3月からは既に半年が過ぎている。
途中から学生のカリキュラムに参加することは簡単なことではない。
シニョンは、余計なことを考えるのは今はよそうと思った。

参考書を開き、カリキュラムに目を通すと、授業内容の確認に取り掛かった。

その時、上空で複数の飛行機の飛ぶ音がした。
シニョンはその瞬間、胸が締め付けられ苦しくなる発作に見舞われた。

《また・・・》

いつものことだった。
彼女は慌てることなく、自分のバックから小瓶に入った錠剤を取り出し、
それを口に含んだ。

その時だった。ドアが突然勢いよく開かれた。

「大丈夫ですか?」

キム・ジュンスだった。

「えっ?」
シニョンは驚きの眼差しで彼を見た。

「あ・・いえ・・飛行機の音が結構うるさかったでしょ?
 驚いたかと思って・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

ふたりはしばらく目を合わせたまま、制止していた。
少ししてシニョンの方から口を開いた。
「・・・飛行機の音がしたから?」

「あ・・いえ・・僕の・・部屋・・隣なもので・・・」
あのキム・ジュンスにしては、話す言葉がしどろもどろのような気がして
不思議な気がした。

「・・・それで?」

「あ・・あぁ・・はは、僕が驚いたんです。ごめんなさい
 大丈夫なら・・それでいいです」

「・・・・・・」

ジュンスは慌てふためいたように部屋を出て行った。
シニョンは首を傾げ、不思議そうな眼差しを閉まったドアに向けていた。
気がつくと、胸の苦しさが解消していることに気がついた。

《大丈夫・・って・・・私の発作のこと?まさかね・・・》




「シニョンssi!」
遠くから呼ぶ聞き覚えのある声に、シニョンは笑顔で振り返った。

ジェホだ。
やはり一瞬、タイムスリップでもした錯覚に捕らわれる。

ジェホは全速力で走って彼女に近づくと、苦しそうな息を整える間
シニョンの腕をしっかりと捕まえていた。

「おはよう、ジェホ」
シニョンは改めてパク・ジェホをしみじみと見つめた。
幼かった彼の顔と予想もしなかった彼の成長後の姿を重ね、
感慨深い思いに駆られた。

「今日から授業だよね。僕も受けるよ」

「そうなの?」

「成績、甘くしてね」 ジェホは甘えるように言った。

「ジェ・ホ・・」 シニョンは優しく窘めるように名前を呼んだ。

「冗談だよ。大丈夫。僕は優秀だよ。伯父さんに似て」

「そうなの?」

「ところで、シニョンssi」

「ジェホ・・そのシニョンssiはどうかと思うわ」

「どうして?シニョンssiのこと、昔からそう呼んでたよ、僕。
 ・・・覚えてない?」

「・・覚えてる。・・・生意気だったもの、あなた」

「そう?」 
シニョンは不思議な気分だった。まるで・・・
《私のジェホ》が若くなって戻ってきたような気がして、心をくすぐられた。

「でも、少なくとも学校では止めなさい」

「あ・・そうだね、じゃあ、学校では『先生』と呼ぶよ。
 でも、一歩ここを出たら・・・いいよね」
ジェホは高い背をシニョンに合わせて低くすると、彼女の視線に合わせ
請うように言った。

「ふふ・・しょうがないわね」

「はは・・やった。では、イ先生、教室に参りましょうか」

「ええ、パク・ジェホ君」

「ジェホ!」 ふたりが並んで歩きだした時、キム・ミンスが駆け寄って来た。
ジェホは《邪魔された》とばかりに、彼女を疎ましそうに見た。

「ジェホの伯母様・・いえ、イ先生、おはようございます」

「あ・・おはよう。あ・・キム・・ミンスssiだったわね」

「はい」 
ミンスは答えたが、どうもシニョンに対して友好的な眼差しとは取れなかった。

「あなたも・・」《私の授業に?》
「一緒に行こう?ジェホ」 
ミンスはシニョンの言葉に被せるように言って、彼の腕に自分の腕を回した。

《あら?無視された?》シニョンは心の中で苦笑した。

するとジェホが自分に回された彼女の腕を直ぐに払いのけた。
「止めろ」

ミンスはその瞬間、シニョンに視線を流し、恥を掻かされたとばかりに
顔面を強張らせたが、直ぐに笑顔に戻して言った。
「ジェホ、どうしたの?伯母さんの前で恥ずかしいの?」

ミンスはお構いなしに再度ジェホの腕を取り、離さなかった。
ジェホは、ミンスに対して悪態をつきながら教室へと向かっていた。

シニョンはそんなふたりの後ろをゆっくりと続いた。



教室に入ろうとする時、キム・ジュンスの姿が前方に見えたので
シニョンは声を掛けようと口を開いたが、彼は無言で彼女の横を通り過ぎた。

《え?・・無視された?》

先程は、自分が発作を起こした時に、彼がまるでそれを知って
駆けつけたかに見えた。
それはきっと気のせいだったかもしれない。

しかし、確認してみたかった。
なのに・・・

さっきのキム・ミンスといい、キム・ジュンスといい・・・
《キムって名前・・やな感じ》 シニョンは両肩を上に上げた。





「イ先生!」 
授業が終わって、シニョンが教室を出ると、ジェホがその後を追って来た。
シニョンは小声で彼に聞いた。「どうだった?授業」

「うーん・・・・」 ジェホは唸りながら、考える様に上を見上げた。

「な・・なによ・・」 シニョンは心配げにジェホの顔を覗いた。

授業中、シニョンの視線はどうしてもジェホに向かっていた。
ジェホは「カン・ジェホ」と同じ眼差しで真剣に授業に取り組んでいた。

「あんなもんじゃない?」 ジェホは生意気な言い方で言った。

途端にシニョンは立ち止まって黙り込んだ。

「うそうそ・・すごくわかり易かったよ、ほんと、ほんとだよ」
ジェホは振り返って、慌てたようにシニョンに視線を合わせた。

「ジェホ・・伯母さんをからかうのはよしなさい」

「・・・伯母さんて、誰?」

「パク・ジェホ」

「ごめん、ごめん・・ね、イ先生、今日は僕の家に来てくれるでしょ?
 昨日ハルモニの家に行ったって聞いたよ。
 だったら、今日はうちだよね、母さんも楽しみにしてるんだ」

「え・・ええ・・そうね」《そうね、ジェヨンに会わないと・・・》
「そうするわ」

「やった。じゃあ、下校時間に先生の部屋に寄るよ」

「ええ」

ジェホは本当に嬉しそうにシニョンに手を振って、駈け出して行った。


シニョンは、楽しげに去っていくパク・ジェホを見つめながら、
ふと、カン・ジェホと過ごした日々に思いを巡らせた。

《ジェホ・・・あなたはあの頃・・
 彼のように学生生活を楽しんでいたかしら・・・
 あんなふうに・・幸せに笑っていたかしら・・・》

シニョンはカン・ジェホが生活の為に身を粉にして働き、大学に入ったこと。
授業料を節約するために早期卒業を必死に狙ったこと。
そのあとに起きた数々の不運。
それを運命と言ってしまったら、余りに哀し過ぎる。

シニョンはその頃に思いを巡らすと、今でも胸が切り裂かれる思いだった。

《振り返らない、と誓ったのに・・・やっぱり・・・駄目ね》

シニョンは立ち止まって目を閉じると、ゆっくりと息を吸い込んだ。
遠いあの日、この空気の中にいたジェホと触れ合うかのように。

その頃・・・
ジェホが本当に幸せだったのかはわからない。

彼との思い出は、苦しみと悲しみばかりだったようにも思われる。

私は彼をほんの少しでも幸せにしたんだろうか・・・
彼は私といて、ただの一度でも幸せを感じたんだろうか・・・

思い出せなかった。

《でも・・・》

《でも・・・私がどれほど彼を愛していたかだけは・・・

 ・・・しっかりと・・・覚えている》




 


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rz
うう>< 2013/01/27 13:00
hiro305
ジュンスには??マークがいっぱい!でも彼は影のようにシニョンを護っていて、ジェホの魂が人となって現れたようです。ジェホは心の中でずっと変わらず一途にシニョンを求めて(愛して)いたから・・・ 2013/01/23 22:01
ジェニー・S
ジェホは大学で シニョンと会っていた時は幸せだったと思います、 それにしても、ジュンスssiが気になり 妄想に浸っています。今日はジェヨンに会いに行くんですね。 2013/01/23 17:53
 
 

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