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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
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愛の群像Ⅱ
愛の群像のその後のストーリー
No 8 HIT数 3321
日付 2013/01/31 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 愛の群像Ⅱ 第八話 カン・ジェホの涙
本文


   
第八話



ほんの一時前まで、シニョンを囲んだジェホとジェヨンには
笑顔が溢れていた。
それなのに今この瞬間、その輝きは消えていた。

その場にいた四人はいずれも言葉を失い、それぞれの場所で
誰かの助けを待っているようだった。

冷たい静けさの中に、掛け時計の針音だけが胸に響く。
シニョンは険悪なこの場を自分が何とかしなければと思った。

「ジェホヤ、少し外に出ない?」 
そう言いながらシニョンは、ジェホの腕に触れた。

その時、パク・ソックが口を開いた。

「いつもそうだ」 ソックはそう言って、ジェホを睨んだ。
「お前はそうやって、いつも俺を馬鹿にしているんだ」 
彼は酔いが覚めてしまったように、冷静な口調でジェホに続けた。
「俺が・・このパク・ソックが、あいつに悩まされていることを・・・
 知ってるんだろ?だからだろ?だからそうやって・・俺をなじる」

「あなた・・ジェホ、お父さんに謝りなさい」 
ジェヨンはジェホに向かって言った。

「・・・・行こう、シニョンssi」 ジェホはジェヨンの頼みを無視して、
シニョンを促し、玄関に向かおうとした。

「そうさ!俺は今でもあいつに縛られてる。
 あいつの魂が『ソック!何やってるんだ!』って・・・。
 『お前は家長だろ』って・・・。
 『大事な俺の妹を・・不幸にするのか』って・・・。
 いつも・・いつも、ここで・・責めるんだ」
ソックは零れ落ちる涙をそのままに、自分の胸を叩きながら、
胸の内を吐き出すように言った。
ジェホは父のその心の叫びを背中で聞いていた。

ジェホが母ジェヨンに視線を向けると、彼女が悲しげな眼差しで
父ソックの肩に手を掛けていた。

「・・・・ごめん・・・そんなつもりじゃなかった」 
ジェホは小さく呟くように言うと、玄関に向かった。
シニョンは心配そうな眼差しで彼の背中を追うジェヨンに、
《大丈夫》と目で伝えると、ジェホの後を追った。



無言のまま歩くジェホの背中を、シニョンは見失わないよう
大股で付いて歩いた。
十分程歩いて川の辺までやってくると、ジェホはやっと立ち止まり、
石の段に腰を下ろした。

シニョンもまた立ち止まり、息切れしそうになった胸を掌で抑えた。
そしてジェホの横にゆっくりと腰を下ろした。

ふたりはしばし、少し薄暗くなった川面を黙って見つめていた。
シニョンが横を向くと、彼が静かに涙を流しているのが見えた。
彼女はその涙に思わず視線を逸してしまった。

昔、幾度も自分の胸を締め付けた「カン・ジェホ」の涙。

結局はその涙を癒すこともできなかったいくつもの後悔が、
時を超えて、シニョンの胸に押し寄せて来るようだった。

「・・・・わからないんだ・・・」 ジェホがやっと口を開いた。
「・・・何故だかわからないけど・・・無性に腹が立つんだ」 
彼が自分の袖で涙を拭った後、繋げて言った。

「・・・・・・」 シニョンは無言で彼の次の言葉を待った。

「お人好しで・・・いつも人に騙されて・・・失敗ばかり・・・
 母さんを泣かせてばかり・・・」
彼は、今度は目から涙が落ちる前に袖で強くそれを拭い取った。

シニョンはジェホの胸の内が手に取るようにわかった。
彼が本当は父親を愛していることを。
それを上手く表現できないだけでいることを。

彼女は彼の背中を慰めるように優しく撫でた。

「伯父さんが・・・ふたりの結婚を強く反対してたのは、
 シニョンssiも知ってるでしょ?」

「ええ・・・すごくね」

「いっそ、あんな男となんか結婚しなきゃ良かったんだ」
ジェホは憎らしげな口調で言った。

「そうしたら・・あなたは生まれないわ」
シニョンはわざと深刻にならないように答えた。

「いいよ、生まれなくても。母さんの悲しい顔を見るくらいなら」

「お母さんはあなたを産んで幸せなのに?」

「オヤジが悪いんだ・・・いつも母さんを泣かせてばかり」

「そう、ジェヨンを泣かせてるのは・・ソックssiだけなのね」
シニョンはジェホの顔を覗き込んで、確認するように言った。

「・・・・・・」
ジェホはシニョンの言葉を心で反芻すると、苦笑して俯いた。
そして、大きくため息を吐いて顔を上げた。

「僕も・・泣かせてる」

「・・・ジェヨンはソックを愛してる。あなたのことを愛してる。
 愛するふたりがいがみ合ったら・・・」

ジェホはシニョンの言葉を人差し指でその唇に触れて制止した。

「ごめんね・・・シニョンssi・・・
 あなたにあんなところ見せたくなかったのに・・・
 母さん、本当にシニョンssiに会えるのを楽しみにしてたのに・・・
 僕が・・・ぶち壊した・・・」

シニョンは彼の言葉に優しく笑ってその髪を撫でた。すると、
ジェホはシニョンの首に両手を回し、彼女に抱きついてきた。

「ジェホ・・・」

「少しだけ・・・」 
ジェホは消え入るような声で言うと、シニョンの肩に頭を落とした。
「少しだけでいいよ・・・こうしていて・・・」 

シニョンは黙って彼の頭を優しく抱きしめた。

「何だか・・・気持ちいいな・・・」 
シニョンの肩の上で、ジェホがポツリと呟いた。

シニョンはジェホの柔らかい髪を優しく梳きながら、愛しさに
胸が一杯になるのを感じた。




「帰るよ」 ジェホは立ち上がって言った。

「そうね、こんなに暗くなっちゃったわ」 
シニョンも立ち上がると、服に付いた土埃を手で払った。

「母さんが心配だから・・・」

「お母さん思いなのね」

「父さんのことも思ってないわけじゃないよ」 ジェホが苦笑いした。

「ふふ、わかってるわ・・・ね、ジェホ・・・」

「うん?」

「こんなこと・・私が言うことじゃないかもしれないけど・・・
 ソックssiはね・・すごく優しい人なの・・・すごく・・・
 友達思いで・・・親思いで・・・ジェヨンをすごく愛してるわ」

「・・・わかってるよ」

「あなたのお母さんは・・ジェヨンはね。
 伯父さんにソックssiとのことをどんなに反対されても・・
 必死で彼を守って・・・必死で彼を信じたわ・・・
 だから・・・カン・ジェホは・・・許したの
 大切な妹の伴侶として・・・ソックssiを許したの・・・
 だから・・・あの言葉は・・・彼の言葉じゃないわ・・・」

「・・・・・・」

「さっきの言葉は・・・カン・ジェホの言葉じゃ・・・ない」
シニョンはジェホをまっすぐに見つめて、言い切った。

《そうよ・・・カン・ジェホなら・・・》

「・・・シニョンssi」 ジェホは少し俯いて口を開いた。
「シニョンssi・・・僕が本当に伯父さんの・・・カン・ジェホの・・・
 生まれ変わりだったら、どうする?」
そう言いながらジェホはまっすぐにシニョンの目を見つめた。

「・・・・・・」 
シニョンは余りに真剣な顔のジェホを呆気にとられて見つめた。
「ジェホ?・・・」

「・・・・驚いた?」 
ジェホは《やった》と言わんばかりに満面の笑顔で言った。

「からかったのね」 
シニョンはジェホの両頬をつねりながら、憎らしげに言った。

「悪かったよ~シニョンssi~止めて」


しかし・・・あの時のパク・ジェホの姿に、彼の言葉に、一瞬でも
カン・ジェホを重ねてしまった。
そのことにシニョンは申し訳ないような気分になっていた。

もしも仮に・・・カン・ジェホが生まれ変わったとしたら・・・
彼ら親子に何を言ってあげただろう。

やはりソックを叱咤したかもしれない。

でもそれは彼への愛情が込められていたはず。

ジェホは、彼らの幸せを心から願っていたんだもの・・・

だから今でも・・・そうよね、ジェホ・・・

いつの日か
あなたの愛する人が心から笑い合える日が来るように・・・
あなたの愛しい妹が泣かない日が来るように・・・

きっと、やきもきしながら見ているはず。

だったらジェホ・・・
そろそろジェヨンを楽にしてあげたら?

あなたになら、できるでしょ?・・・カン・ジェホ・・・


シニョンはジェホと一緒に彼の家には戻らなかった。その方がきっと、
三人が本音で向き合えるだろう、そう思ったからだ。

ジェホは賢い子だ。
彼がきっと家族の要になってくれる。

カン・ジェホの甥だもの・・・
人一倍賢くて・・・人一倍努力家で・・・でも人一倍の寂しがり屋・・・

そして人一倍家族を愛した人・・・

そんなあなたの甥だもの・・・ね、ジェホ・・・





シニョンが帰宅すると家のそばに、車が停まっているのが見えた。

《あの車は・・・》

シニョンはその車を、しげしげと覗き込みながら近づいた。

運転席にキム・ジュンスが目を閉じて腕を組み、背もたれに
深く沈んでいた。

《寝てるの?》シニョンはそう思いながら、窓ガラスをノックした。
その音に、ジュンスがゆっくりと目を開けて、シニョンの方を見た。

「あ・・・」 ジュンスはシニョンを認めると、ドアを開けて外へ出た。
「イ先生・・・随分遅くまでお出掛けでしたね」
自分の腕時計を見ながら言った彼の言葉は、まるでシニョンを
責めているように聞こえた。

「・・・・あなたこそ、こんな所で何を?まさか、私を待ってらしたの?」

「あぁ・・いえ。大家さんに頼まれてお宅へ届け物を。
 あなたがお留守だと聞いて・・・」

「それで?」 シニョンはジュンスを覗き込むように聞いた。

「あー・・・それで・・」 ジュンスは答えを探しているようだった。

「待ってた。・・・私を。・・・」 
シニョンは淡々と《それが答えでしょ?》というように言った。

「いえ、だから・・・待ってたわけではなくて」

「待ってたわけではなくて?」

「あー・・・ちょっと目を閉じたら・・寝てしまって」

「・・・・・ふふ」 シニョンは急に可笑しくなって、笑ってしまった。
あの気難しいキム・ジュンスが、どうもしどろもどろなのだ。
「可笑しな人ですね・・キム先生」

「ジュンス・・です・・・シニョンssi」 
ジュンスは《降参です》とでも言うように、穏やかな表情で答えた。

《シニョンssi》 
自分の名前を口にしたキム・ジュンスに、シニョンは不思議と
親近感が沸くのを感じた。

「それで・・ジュンスssi、そろそろ教えてくれない?・・・
 いったい・・・あなたは・・・」
シニョンは穏やかに見えたジュンスに、ここぞとばかりに切り出した。

「僕は・・・」 
ジュンスは意を決したようにシニョンをまっすぐに見つめた。
「僕は・・・あなたを追って韓国に来ました」 
ジュンスははっきりとそう言った。

「えっ?」

シニョンはさっきのジェホの言葉といい、ジュンスの言葉といい
今日は狐に騙されているような日だと思った。

「少し・・話しませんか?」 ジュンスは車に視線を向けて言った。

シニョンに異論は無かった。
この二日間、妙に気になったキム・ジュンスの言動が、彼の口から
明らかにしてくれるなら、それに越したことはない、そう思った。

「ええ」 シニョンは答えると、ジュンスのエスコートで助手席に座った。

ジュンスは運転席に座ると直ぐに、助手席側のシートベルトに
手を伸ばした。
ふいにジュンスの顔が自分の顔に近づき、彼の柔らかな髪が
ふわりと彼女の唇を霞めた。
シニョンが驚いて一瞬後ろに体を引くと、それに気づいた彼が
シートベルトをかちりと止めながら、クスリと笑った。

シニョンは彼のその態度に少しムッとしてしまった。
何でもない接近に動揺したことを恥ずかしく思ってしまった。
そんな自分自身に腹を立てたからだ。


ジュンスは車を発進させると、しばらく無言で運転していた。
そして、さっきジェホといた場所より上流に位置する漢江の辺で
車は停まった。

車は停まったものの、ジュンスは正面を見据えたまま、しばらく
動かなかった。
シニョンはジュンスの横顔をちらりと見た。
傷のない方の美しい横顔に、シニョンは彼の口から語られる前に
自分が思い出すべきことは本当に無いのか、確認していた。

その時だった。
昼間、シニョンの前に突然現れた時のジュンスの様子が
脳裏に浮かんだ。

『大丈夫ですか?』

『飛行機に・・・驚いたかと』

飛行機に驚く。
私のこと?私が・・・飛行機に恐怖心を抱く。その事実を・・・
知っているということ?

私のあのトラウマを・・・

この人は知っているの?









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rz
うううう、、、、どうなるか気になって気になって~>< 2013/02/02 22:39
ジェニー・S
ジェホが皆を愛していたことを思い、今の妹家族もそれぞれでは家族を愛しているのに言葉で表現できないでいるのが良く解ります。そして、いよいよジュンスssiのことが解りそうで楽しみで~す。 2013/02/01 17:12
 
 

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