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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3822863/4666489
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reason-夢の痕
mirageからpassionまでの空白の日々 ドンヒョク(フランク)とジニョン、そしてレイモンドは・・・
No 7 HIT数 2422
日付 2015/07/29 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル reason-夢の痕- 4話.キスの雨
本文



 

 



       第4話 キスの雨      フランク-27歳-







   ≪フランク≫

   愛くるしい弾んだ声が聞こえる

   まるで心をシルクでくるむような・・・優しい声だ

   僕は柔らかいベッドの中で、夢うつつにその声を聞いていた

   ≪フランクー≫

   その声が少しずつ僕に近づいている

   今、寝室のドアを開けたね
   君が静かに入ってくる気配を感じるよ

   君と一緒に入ってきたこの匂いは・・・淹れたての・・・
   僕好みの渋いコーヒーだ

   君は今、呆れた顔で僕の寝顔を見ているね

   ねぇ・・・
   昨日は少し疲れてしまったんだ、
   頼むからもう少しだけ寝かせてくれるかい?

   ふっ・・君の溜息が僕の髪を微かに揺らした
   ≪しょうがないわね≫ 今、そんな顔をしただろう?

   ベッドの脇のテーブルにトレイを置いて、
   君が僕に更に近づく

   ≪フランクったら、まだ寝てるの?≫
   そう言って、まず僕の鼻先を小さくつついた

   そして君は、
   ベッドに掌を付いて、僕の頬に唇を近づけるだろう

   馬鹿だね・・・

   もうとっくに起きてるよ
  

   でも・・・僕は目を開けない

   柔らかい君の唇が、痺れを切らして僕の唇を捉える

   それでも・・・僕は目を開けたりしない

   僕の唇にキスをして、僕の頬にキスをして、
   きっと君は、僕の顔中にキスの雨を降らすだろうね

   それが君の得意技だ

   僕がそれを苦手だと思っているんだろ?

   だから君はいつもそうやって、僕を起こそうとする
   
   

   でも僕は・・・目を開けない

   このまま永久に目を閉じたままでいられるなら・・・
   

   ≪そうしようか・・・?≫

   僕は心の中でそう思った

   君の気配が僕を包み込む・・・その世界に漂えるなら・・・

   ずっと漂えるなら・・・


   でも叶わないことだとわかっている

   とっくにわかっている・・・それは・・・

   もうすぐ・・僕が目を開けてしまうから

   どうか夢でありませんようにと

   祈りを込めて開けてしまうから・・・


   
   
   君は知らないだろう・・・どれほど僕が

   君に逢いたいか・・・

   君の笑顔に愛されたいか・・・

   君に・・・キスの雨を返したいのか・・・


フランクはベッドからゆっくりと降りて、ガウンを羽織り寝室を出ると、
まず自らが欲していたコーヒーを淹れた。

淹れたてのコーヒーが香しいカップを手に窓辺に近づくと、
広いガラスのその向こうには、朝焼けに照らされたフィレンチェの
赤茶色の街並みが、まるで一枚の絵画のように広がっていた。


   もしかしたら本当に・・・

      君がいるかもしれないなんて・・・

   どうしてまだ・・・信じようとするんだろう




「フランク・・・」

「ん?」

「この天使が好きなの?」

ルカはフランクと天使の像を交互に見上げながら、そう聞いた。

「だって、この前も、その前も・・いつも見てた」

フランクはルカの不思議そうな尋ね顔に、「フッ」と小さく笑っただけで、
何も答えなかった。
そして、無言のままルカの頭を大きな掌で押しやるようにして、
その場所を離れた。

「またここに上るの?フランク」
そう言いながら城を見上げたルカは少しばかり不満げな顔だった。

「嫌なら付いてくるな」
フランクはルカの頭を軽く小突くと、彼を残して目的の場所へと
大股で向かった。

「あっ・・・・嫌じゃないよ!嫌じゃないってば、フランク」
ルカは慌てた様子で、彼の後を小走りに追いかけた。



「やぁ!フランク、フィレンチェからいつ?」
カウンターの向こうから、男が大きな声を張り上げた。
男はカフェのオーナー、サンだった。

「さっき着いたところだ」

「今日は子守に来たのかい?」

「僕は。子供ではありません」
ルカはムッとした表情で、サンを睨んだ。

「ああ、ごめん、ごめん、そうでした。君は子供では無かったです。
 Mr.ルーフィー、今日もパフェにしますか?チョコたっぷりの」
サンはからかうようにルカに言った。

「いらないよ。今日はフランクの淹れたコーヒーを飲むんだ。」
ルカはそう言って、いつの間にかカウンターの向こうにいたフランクに視線を向けた。

フランクは俯き加減に小さく笑って、カップを二つトレイに並べた。
彼のその様子に、ルカは目を輝かせた。

「フランクのコーヒーを飲めるなんて羨ましいな、ルーフィー」
サンがそういうと、ルカは得意げに顎を上げて見せた。

「約束だったんだ。今度の僕の誕生日には飲ませてくれるって、
 ねぇ、フランク」
ルカは自慢げにそう言った。

「今日、誕生日なのか?ルーフィー。幾つになった?」

「11」

「そりゃあ、大人だな」

サンがルカをからかっている間に、フランクは静かに自分のための
コーヒーを淹れていた。
自前の豆を挽いている間に、適温に下げたお湯を、コーヒーの粉に
静かに、落し入れていく。
そのフランクの所作が、本当に美しいと、ルカは思った。

コーヒーなんて、苦くてとても飲めたものじゃない。
それでも、ルカは憧れのフランクがすることなら、何でも真似てみたかった。

フランクは丁寧な作業の後、ドリッパーから最後までお湯が落ち切る前に、
さっと、それを取り上げると、≪出来上がりだよ≫と言わんばかりに、
ルカを見て、淹れたてのコーヒー入りのカップを差し出した。

ルカはフランクからそれを受け取ると、にっこりと笑顔を返した。

「う~ん、いい香りだ・・・フランク、バリスタの資格持ってるって、本当かい?」
サンが目を閉じて鼻を突き出すように、フランクのコーヒーに近づいた。

「まさか、そんな暇人じゃないんでね」
フランクは淹れたばかりのコーヒーをカップに注ぎ入れながら、
サンが突き出したもうひとつのカップに、しょうがないなと、いうように
分けてあげた。

「サンキュ^^、それより、エマはどうしてる?」

傍らで、ルカはフランクのコーヒーをスプーンですくってひと口入れると、
余りの苦さにしかめた顔をした。
そして、フランクがサンと話している隙に、彼の目を盗んで、
カップの中にシュガーをたっぷりと放り込んだ。

「明日までミンアとアメリカだ」
フランクは、椅子に腰かけながら答えた。

「こっちにも寄るように言ってくれよ」

「ああ」

「フィレンチェの事務所も順調のようだな」

「お蔭様で」

「ねぇ、サン、この後ね、フランクのホテルに行くんだよ」
ルカはフランクがサンとばかり話しているのが、気に入らないとばかりに、
割り込んできた。

「フランクの?・・ああ、そう言えば、買ったんだってな、ホテル」

「まあね」

「羽振りがいいな、相変わらず」

フランクはサンの言葉に、ただ口角を上げただけだった。





「ジョルジュ- お帰りなさい!」
ジニョンはホテルのロビーに現れた男に向かって、駆け寄ると、
その首に思い切り抱き付いた。

「おいおい、ジニョン・・ここはロビーだぞ」

「あ、そうでした。だって、ジョルジュ、一年ぶりなんだもの。
 みんな心配してたのよ」

そう言いながら、ジニョンは彼から離れて、睨み付けてみせた。

「ジニョン・・・いいね、その制服姿」
ジョルジュはジニョンから少し離れて、彼女の姿をまじまじ眺めて言った。

「そうよ、早く見せたかったのに。
 アメリカに行ったきり、帰ってこないかと思ったわ」

「・・・・・・」

ジョルジュが急に無言になったのに気が付いて、ジニョンは
怪訝そうに彼を見つめた。

「実は・・・整理の為に帰国したんだ」

「整理って?」

「仕事が忙しくて」

「レイのところ?・・・だって・・・今までだって、行ったり来たりしてたわ・・」

「これからはずっと。彼のもとで勉強したいしね」

「ずっとって・・・どうして?」

「どうして?」
ジョルジュはそう言ってジニョンを見つめると、目を閉じ、フッと笑った。

「ジョルジュまで・・・どうして・・・」
ジニョンの目からみるみる涙が溢れ出た。

「ジニョン・・・」
≪もう、限界なんだ・・・≫ジョルジュは心の中でそう言った。

「ホテルはどうするの?」
ジニョンは涙を拭いながら、やっと言った。

「ヨンジェがいる。君もいるし・・・テジュン先輩も」

「だからって・・・社長も奥様も・・悲しむわ」

「そうだね」≪・・・お前は?≫

「それでも?」

「うん、それでも」

「・・・いつ?」

「明後日」

「そんなに早く?・・・」
ジニョンは急に黙りこくり俯いた。

「あ、そうだ、ジニョン、電話で話してたお前の特等席。案内しろよ」

「えっ?・・ええ。」
ジニョンはジョルジュに背を向けて、さっさとバックヤードへと向かった。
ジョルジュはジニョンの背中を追いながら、彼女が怒っているのが
手に取るようにわかって、苦笑していた。




「ここか?お前の特等席って」
ジョルジュは、ジニョンに連れられて来た場所を眺めて言った。
そこはソウルホテルの従業員さえ入ることはない屋上だった。

「ここ。覚えてたのか?」 ジョルジュがその景色を見渡しながら言った。

「えっ?」

「僕達だけの遊び場だった」

「僕達って?」

「僕とお前の」

「・・・そうなの?」

「忘れてた?」

「え、ええ・・」 ジニョンには本当に覚えがなかった。

「そうか・・・いつも、ここに上がって怒られてたんだ、僕たち。
 
 お前はまだ小さかったから・・・覚えてないんだな。
 こんな危ないところに、ジニョンを連れてくるんじゃありません、って・・
 母さんにこっぴどく叱られてた」

「そうなの?」

「でも、お前、涙いっぱい溜めて、連れて行け、連れて行けって・・・」 
ジョルジュが突然、思い出したように笑った。

「何よ。」

「・・・ごめん、その時のお前の必死な泣き顔思い出した・・・
 結局、大人に内緒で、ふたりで上がってきてたんだ」

「そうだったの・・・だからなのね・・・自然とここを見つけられたの・・・」

「お前、親に怒られたり、嫌なことがあると、ここに隠れてたんだ。
 でもお前ひとりじゃ上れなくて、必ず僕を呼んでた」
ジョルジュはそう言って笑った。

「ふふ」

「学校に行くようになったら来なくなったけど」

「すっかり忘れてたわ」

「今もそうか?」

「えっ?」

「嫌なことがあると・・・ここへ?」

「・・・・・・」

「フランクは今・・」

「いいの。」

「ん?・・・」

「もう教えてくれなくてもいいわ」

「どうして?僕がレイのところに行く度に、聞いてただろ?」

「ジョルジュ・・・もう五年なのよ・・・」

「・・・・・」

「彼に逢えなくなって・・・五年・・・
 最初はね、きっと迎えに来てくれる、必ず迎えに来てくれる、
 そう信じてた」

「来るさ、お前が・・信じてたら」

ジニョンはジョルジュの言葉に大きく首を振った。

≪ジョルジュ、僕は信じてるんだ。あのふたりを信じてる。
 だから、必ずふたりを元の居場所に戻す。
 それが、僕の務めだから・・・≫

レイが口癖のように言っていた言葉がジョルジュの脳裏に浮かんだ。

≪いいか、ジョルジュ・・・ジニョンに決して諦めさせてはいけない≫

レイの思いはジョルジュの思いでもあった。
だから、ジョルジュは今まで、レイから聞き及ぶフランクの近況を、
それとなくジニョンに伝えてきた。

≪どんな気持ちでお前を諦めたと思ってる?≫
ジョルジュはジニョンを少しだけ恨めしげに見つめた。

「五年が何なんだ?」

「長いわ」

「彼の居場所はわかってる。お前が行くことだってできるんだぞ」

「私のことなんて・・・忘れてるわ」

「どうしてわかる?そんなこと・・・」

「わかるわ!・・・・
 わかる・・・だって・・・声すら聞かせてくれないもの

 私を想っていたら、声を聞きたいと思うはずよ
 顔を見たいと思うはずよ

 
 私だって・・もう忘れちゃいそうよ・・・彼の声・・・
 顔も・・・忘れちゃいそう・・・

 ハンサムだった?
 それともへちゃむくれ?」

「・・・きっと、へちゃむくれ。」 ジョルジュは真顔で答えた。

「ジョルジュ。」 ジニョンは、プッと膨れてみせた。

「お前が言ったんだ」

「彼ってね・・・頑固者なの・・・だからきっと・・・
 パパとの約束、絶対破らないわ
 だから・・・私のところには・・・決して帰らない・・・」
ジニョンはそう言いながら、はらはらと涙を流し、泣き笑いをした。

「無理に笑うな。余計に苦しいだろ?
 お前って・・・残酷な奴だな。
 僕の前で、あいつのことで・・・苦しそうに泣くんじゃないよ。」
ジョルジュが怒ったように言った。

「・・・ごめんなさい・・・わかってるけど・・・
 わかってたけど・・・ジョルジュに甘えてること・・・わかってたけど・・・
 ごめんなさい・・・」

「いいよ、わかってる。だから、もう泣くな、って・・」
ジョルジュはそう言いながら、ジニョンの頭を優しく撫でた。

「こうやってると、昔に戻ったみたいだな。
 昔もここでこうやって、何度お前の頭を撫でかしれない・・」

「・・・ジョルジュがいなくなったら・・・私、どうなるの?
 誰も私の話、聞いてくれないわ・・・」

「フランクの話しかしなかったくせに。
 知ってた?、お前って、韓国に戻ってからっていうもの、
 人の気持ちを無視して、いっつも奴の話しばかりだったって」
ジョルジュがわざと怒ったようにそう言うと、ジニョンはクスッと笑った。

「ジョルジュがそうしろって、言ったくせに・・・
 自分の前だけは遠慮しないで、彼の話をしろって。」

「それはそうだけど、限度ってものが・・」 
そう言い掛けて、ジョルジュは声を立てて思い切り笑った。
そして吹っ切れたような笑顔をジニョンに向けた。

「忘れないさ。彼はきっと忘れない・・・お前もきっと忘れない。
 お前たちは・・・そういう星の下に生まれたんだから」

「昔から・・・そうだったわ」

「えっ?」

「昔からジョルジュったら、そうやっていっぱい私を宥めてくれてた。
 でもいつも・・・その通りにはならなかったけど」

「おい。」
ジョルジュはジニョンを思い切り睨み付けた。

「ふふ・・・」
ジニョンは目じりの涙をそのままに、ジョルジュを怒らせ楽しんだ。

 
 

  今は笑っていたかった

  少しだけでいいから・・・笑っていたかった

  苦しいくらいに愛しいあの人の顔も・・・声も・・・忘れ去るくらいに

 
  笑っていたかった・・・

  でもそれは・・・ひどく難しいことだって知っているの

  あの人の皮肉を描く唇も・・・ツンと澄ました鼻筋も・・・

  柔らかいこげ茶色の髪も・・・人を見透かすような憎らしい瞳も・・・

  そうよ、あの人の何もかも・・・

  私の心が・・・

  私の唇が・・・決して・・・

  忘れてくれないもの・・・



「ふふっ・・」 

今しがたまで、べそをかいていたかと思ったジニョンが急に
何やら思い出したかのように声を出して笑った。

「どうしたんだい?」 ジョルジュが不思議そうに言った。

「・・・ううん、何でもないの」 

ジニョンは笑顔でそう言いながら、屋上の際まで進み出て、
両手を後ろに組むと、大きく深呼吸した。



 
 
    
       止めろよ、ジニョン!
       くすぐったいだろ!

   

       嫌よ、あなたの顔ぜ~んぶに
       キスの雨降らしてるんだから!




















イエスのルカ=キリスト教「新約聖書」に収められている四つの正典「福音書」の記者のひとり。
  医者であったと推測される。ルカは十二使徒(イエスの直接の薫陶を受けた弟子)ではない。

 


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miyukierika
暑いので無理されませんように~9月のUPも楽しみにしてます。 2015/08/10 09:31
miyukierika
kurumiさん、UPありがとうございます。いろんな思いがありますが、ここでもう作品を読むことができなくなると思うと残念ですし、寂しいです。あと少しなので今のうちに過去の作品も読ませていただきます。 2015/08/10 09:29
kurumi☆
完成だけはしなければと・・・また脳をドンヒョク思考に起動させました(笑)四話完結と話していましたが、もう一話だけ、9月までに完成させます。他の誰のためでもなく、自分の区切りのために^^ 2015/07/29 09:48
kurumi☆
9か月前に書いていた第四話・・・次の第五話が書けなくて、UPできないでいました(笑)でもブロコリももうすぐ終了。もしかしたら、もう誰も覗いてないかもしれないこのサイト(笑)でも約束だったので、 2015/07/29 09:45
 
 

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