ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3850854/4694480
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 89M/100M
メンバー Total :335
Today : 0
書き込み Total : 1988
Today : 1
passion
新作コーナー
No 16 HIT数 8805
日付 2008/11/11 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 15.儚い夢
本文


   

      

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 


 

ジニョンは、ひとり屋上で座り込んでいた。

余りの情けなさに嫌気が差す自分をやっとのこと冷静に見つめ
ほんの少しだけ落ち着きを取り戻していた。

「ここにいたのか」 
テジュンが後ろから声を掛けたが、ジニョンは彼に振り向かなかった。

「笑いに来たの?」

「俺を馬鹿にするな」 テジュンは彼女の隣に腰掛けると、
彼女と同じように漢江に視線を向けた。

「いつから知ってたの?」

「何を?」 テジュンはしらばっくれて言った。

「・・・・・」 ジニョンが無言で彼を睨むと、テジュンは首をすくめて笑った。

「話そうとした時に呼ばれたんだ」
ジニョンは社長室に呼ばれる前のテジュンの様子を振り返って、頷いた。
「そう」

「お前が悪いんじゃない」

「悪いなんて思ってないわ」

「そうか」

「滑稽に思ってるだけ・・
 ずっとずっと逢いたかったの・・・
 忘れようとしても忘れられなくて・・・凄く恋しかったの・・・
 やっと逢えて・・・彼もまだ私のことを愛してる・・そう思って
 胸が凄く震えたの・・・
 心が弾んだの・・・それなのに・・・
 彼はただこのホテルを奪うために来ていた・・・」
ジニョンはそう言って深く溜息をついた。

「俺にそんな話・・・聞かせるのか」 
テジュンは空を仰ぎそう言うと、空に向かって溜息を吐いた。

「誰に聞かせればいいの?」 
ジニョンはテジュンを見て泣きそうに笑った。

「忘れろ・・」 テジュンはジニョンを見ないまま、そう言った。

「何を?・・何を忘れるの?
 彼が私の恋人だった事実?
 私が彼に騙されて、また胸を震わせたこと?」

「全部だ」

「出来ないわ」

「何が出来ない」

「・・・・彼を・・・忘れること・・・」
ジニョンはテジュンがやっと聞き取れるくらいに小さく呟いた。

テジュンは小さく笑いながら、それが耳に届かなかったと
自分に言って聞かせた。

 



フランクはフロントに向かっていた。

≪このままではいられない・・・ジニョンを離したままでは・・・≫
その想いに突き動かされて、懸命にジニョンを探した。

「ソ支配人を呼んで下さい」
既に従業員の間にも、シン・ドンヒョクの素性は伝わっているようだった。
フロントにいたベルボーイが、彼の難題を懸命に回避しようとした。
フランクが彼に少々手荒く、ジニョンの行方を訊ねていたその時、
テジュンが現れた。

「お客様、どうかお静かに・・・他のお客様のご迷惑になります」

「総支配人なら・・私の要望を叶えて下さいますか?
 ソ・ジニョンさんに逢わせて下さい」

「それはできません・・・少しお話を・・よろしいですか?
 どうぞこちらへ」 テジュンはフランクを別室へと促がした。

フランクを無人の会議室へと案内したテジュンは、彼の目の前で
総支配人としての証のバッジを外して胸ポケットに仕舞った。
フランクはその様子を無言で見つめていた。

「ホテル従業員とお客様ではなく、お話申し上げても構いませんか」

「・・どうぞ」 フランクはテジュンの目を見据えていた。

「もう、お止め下さい・・・シン・ドンヒョクssi」
テジュンは前置きも無く、率直にそう言った。

「何のことでしょう」

「ホテルが欲しいのでしたら・・・
 私が相手になります」

「私が・・・
 このホテルを欲しがっていると?」

「違いますか?」

「どうしてそう思うのですか?」 フランクは不適な笑みをテジュンに向けた。

テジュンはその笑みが意味することを、とっさに理解したが、
もう後には引けなかった。

「あなたの目的はわかっています・・」

「私の目的・・・ですか・・」 フランクは静かに彼の言葉を繰り返した後
顔を上げてテジュンとの視線を合わせた。
「なるほど・・それで?」

「女を巻き込まず、正々堂々と戦っていただきたい」

「女?」 フランクはテジュンに向かって、矢のような視線を放った。
「・・・・」 テジュンは一瞬だけ彼のその鋭い視線にたじろいだ。

「よろしい・・今あなたがおっしゃったように
 私が・・このホテルを欲しがっているとしましょう
 それをあなた方が知った理由も今は問いません・・しかし。
 私は自分が仕掛けた仕事は必ず成功させる・・
 始めたゲームは必ず勝ちます
 そのことも・・・ご存知かな?」

「あなたにとっては単なるゲームでも私にとっては、
 1200人の生活が掛かった現実です
 あなたにとっては弄ぶような女でも!
 私にとっては・・」

「弄ぶ?」

「違いますか!
 まさかジニョンの為に来たとは、言わないでしょう?
 あなたは彼女の純粋な心を利用したんです」

「利用した・・」 フランクは冷たい笑みを浮かべながら
テジュンの言葉をまた単調に繰り返した。

「・・・・」 テジュンは心を落ち着かせるように小さく深呼吸した。

「ハン・テジュンssi・・あなたとは・・・
 一度話をしなければならないと思っていました
 彼女・・ジニョンのことを・・・」

「・・・・」

「はっきり申し上げる・・・彼女は・・・ソ・ジニョンは・・・
 誰が何と言おうと・・・
 ・・・私のものだ」 フランクは自分の目をテジュンの視線から
一分も外さないままそう断言した。

「彼女もそう思っていると?」

「彼女がどう思おうと関係ない。」 
≪そんなはずはなかった≫ しかしハン・テジュンを前にフランクは
その態度とは裏腹に胸の内は冷静さを失っていた。

「横暴だ」

「横暴?・・・結構・・・」 フランクはニヤリと片方の口角を上げ言葉を繋げた。
「あなたは私の相手ではない・・・それが現実だ
 それでも私に立ち向かうと?」

「必要があればいくらでも」

「いくらでも?」

「ええ・・いくらでも!」

「そうですか・・・なら・・容赦はしない・・いいですか?」

「望むところです」

「ふっ・・では、覚悟を。」

フランクは最後まで冷淡な言葉と冷たい視線をテジュンに投げつけて
部屋のドアを後ろ手に閉め、出て行った。


フランクは腹立たしかった。
ハン・テジュンに?いいや・・・自分自身に・・・。

ジニョンのことを庇うように話すテジュンに嫉妬した自分が情けなかった。
≪ソ・ジニョンは私のものだ≫
テジュンに対して強気に言った直後にフランクの胸に後悔が走っていた。

≪何が・・・自分のものなんだ・・・
  あれほどに拒絶されたものを・・・≫

フランクはやっと取り戻したと信じていた彼女を
自分からむしり取られてしまったような衝撃を受けていた。

何処を探しても見つからないジニョンに対しても苛立った。
このまま何もかも放り投げたかった。
しかしこのままの精神状態で仕事に向かうことはできない。




約束していたキム会長との会食に止む無く向かう途中も
頭の中はジニョンのことでいっぱいだった。

こんなにも自分の心を支配する彼女が恨めしかった。

「ご気分でも悪いんですか?」 
先に会食の席についていたユンヒがフランクの様子を気にして言った。

「あ・・いや・・何でもありません・・
 それより会長は遅いですね」 

「来ないと思います・・」

「それは?」

「そういうことです」

「そういうことって?」

「あなたと私をふたりだけにするということ」

「・・・はっ・・」 フランクは会長の思惑を知って呆れたように宙を仰いだ。

韓国に入国した直後、キム会長が自分の娘ユンヒを彼に引き合わせ、
その後数回の会食時には必ず彼女を伴っていた。
会長の思惑は読めたが、フランクは特に気に留めなかった。
そして先日会長がとうとう、彼に娘との結婚を匂わせる発言をした。
その時、フランクは笑ってその話を濁していた。

それがいけなかったのだと、フランクは思った。
フランクは席を立とうと、ナプキンを膝から掴んでテーブルに置いた。

「困ります」 ユンヒの手がフランクのその手に掛けられた。

「どうして」

「あなたとお食事をしないと父が怒ります」

「君は父親の言うなりですか?」

「・・・・」

「もっと自分を持ちなさい・・・僕は仕事以外で
 あなた方親子に係るつもりなどない」

「今日は優しくないんですね」 ユンヒは小さく笑った。

「僕は・・・心を偽れないだけです」

「私が偽っていると?」

「違いますか?」

「・・・・」

「あなたは決して父親のお人形ではない
 あなた自身が埋もれさせてしまっている強さを
 もっと信じるべきだ」

「あなたのそばでなら・・・
 人形にならずにすむかも・・そう申し上げたら?」

「それは・・・無理だ」 フランクは口元だけで笑った。

「何故?」

「まず第一に・・あなたはそれを望んではいない
 第二に・・僕も望んではいない・・・」

「・・・どうしてそんなことがわかるんです?」

「似たもの同士だから・・・」 フランクはまた口元だけで小さく笑った。

「似たもの同士・・・私とあなたが・・ですか?」
ユンヒは不思議そうにドンヒョクを見ていた。
フランクはその後を続けず、ただ静かに笑った。

「とにかく・・今日はこれで失礼します
 申し訳ないが、今は食事に興じている気分ではありませんので」 
フランクはユンヒをその場に残し、改めて席を立った。




フランクは再度ジニョンの部屋に向かったが、彼女は帰っていなかった。
何度も電話を掛けても繋がることすらなかった。

「ジニョンさんを待ってるんですか?」
突然若い女が、ドンヒョクに声を掛けてきた。
「ええ」

「オンニは帰って来ませんよ」

「君は?」

「ジニョンオンニと一緒に暮らしているジェニーと言います」

「ああ」≪調理場で働いているという・・≫

「オンニ・・今日凄く嫌なことがあって、具合が悪くなってるの」
その言葉の裏にフランクに対する悪意を漲らせていた。

「・・・・」 フランクは俯き加減に黙って聞いていた。

「でも!大丈夫です・・オンニにはテジュンさんという恋人がいますから
 彼がきっとオンニのこと助けてくれる・・
 だから私は心配していないの・・
 ですからあなたも・・どうぞご心配なく!」

ジェニーは、フランクに向かって一気にまくし立てると
体全体を怒りに変えたように彼を睨みつけて立ち去った。





フランクは途方にくれていた。
彼女が今、自分に裏切られた想いできっとまた泣いているのかと思うと
胸が締め付けられた。

≪ジニョン・・・泣くな・・・
  どうか、泣かないでおくれ・・・≫



  嫌よ・・・フランク・・・

 

    置いていかないで

    私を置いていかないで・・・

    置いて・・いかないで・・・・

    嫌よ・・・嫌・・・フランク・・・


    ・・・フランク!-

 

フランクはいつもの夢でまた夜中に飛び起きた。
ジニョンと再び心を通わせ始めてからは、しばらく遠のいていた暗い夢。

その夢はいつもフランクを奈落の底に突き落とすかのように
彼の心と体を痛めつけた。

体中が震え汗びっしょりで、喉がからからに渇いていた。

何度も何度も繰り返し蘇るあの時のジニョンの声が・・・

追いかけてくるあの悲しい涙が・・・
この10年の年月、彼をいつも責め立てた

そして今もまた・・・

彼はぐったりとした足取りでベッドから降りると

冷蔵庫からミネラルウォーターを一本取り出し
心の渇きを癒すように一気に飲み干した。

 
   ≪あの時・・・
   彼女を守りきれなかった自戒・・・それが
   あなたが心を閉ざしてしまった理由・・・
   あなたはそれを取り戻さなければならない≫

 

   ソフィアの言った言葉が今でも胸に響いている。


   そして今・・・
   あの時守りきれなかった彼女が・・・

   ジニョンが・・・また・・
   この空の下のどこかで涙に暮れている


   彼女を守りに来たはずなのに・・・
 
   僕はいったい何をやっているんだろう・・・


   彼女を求めることしかできないはずなのに・・・

   僕にはそれしかないはずなのに・・・


   この手が・・・
   彼女からまた遠ざかってしまった・・・


フランクは離してしまったジニョンの手を思いながら
自分の掌をただ呆然と見つめ、涙を流し、その手で顔を覆った。

フランクはこの10年間、
ジニョンの存在を心の奥深くに封じ込めることでやっと
自分という存在を守り、仕事に生きることができていた。

しかし今、フランクは本当の自分を取り戻しつつあった。
本当の自分・・・
そこには必ずジニョンが存在しなければならなかった。


   それなのに・・・傍らに彼女はいない・・・


   僕はいつまでこうしていればいい?・・・

   君がいないと・・・

   僕はこんなにも無力だよ、ジニョン・・・

   
   教えてくれ・・・

   僕は・・・

   暗闇に震えながら・・・いつまで・・・
 

   あの夢の中で・・・

 

      ・・・もがいていればいい?・・・



   














 


前の書き込み Passion-果てしなき愛-...
次の書き込み Passion-果てしなき愛-...
 
hiro305
苦悩する横顔と顔をおおう手に、もう胸が痛いです。本当に、フランクはいつまでもがけばいいのだろう・・・ジニョンの「信じる」の一言があれば救われるのに・・・・ 2011/12/11 23:26
toko7
↓スンマソン<(_ _)> 2008/11/12 23:08

切ないですね^^これからまだまだ切なくなるのですね。でも、最後は二人が幸せになるよね。。。。 2008/11/12 23:07
Lusieta
こんなに苦しい時間がまた二人の間に流れてしまった。でも、ジニョンは気づくんじゃないかな。「信じてくれるか?」って訊いたフランクの言葉を。 2008/11/12 09:38
Lusieta
背景の、海の底にしずむフランク、苦しそうでこっちの息も詰まってきます。顔を覆ってそのまま深海深くの落ちていきそうなフランクが、kurumiさんの言葉とあまりにも合ってる。 2008/11/12 09:34
ノラン
をkurumiさんに私達の拙い言葉では伝えられないような気がして・・・ 2008/11/11 23:26
ノラン
先日、フックさんとレスする時の語彙力の無さを互いに嘆いていました。本編とmirageを下敷きに描くpassionの世界が、「私達にどんな感動を与えているか…」 2008/11/11 23:24
ノラン
passionを最後まで読み終わったら、又きっと本編を見ていることでしょう。何度も見た本編だけど、きっと見方も違っている事でしょう☆新たな想いで本編を振り返らせてくれるkurumiさんに感謝です☆ 2008/11/11 23:14
ayagiku
kurumiさんが描く2人の愛は【愛しぬく愛】と。。。 2008/11/11 16:21
ayagiku
kurumiさん、早く2人を助けてください。。。心臓に悪いです。ジニョンの行動に怒りが、、、何度も読み返すうちに心から愛しているからこそ裏切られた思いが強いと。 2008/11/11 16:18
4ジュナ
背景の両手で顔を覆ったフランクの姿が切なくて哀しい・・・(T_T)ジニョン、早く素直になって欲しいのに・・フランクに挑んでくるテジュン、フランクとの縁談に積極的なユンヒ・・・どうなっちゃうの・・・? 2008/11/11 14:59
eikoada
フランクの後悔と苦しみが・・・息が苦しいほどの重みで伝わってきます。背景の水紋も一緒になって・・・;; ユンヒが本編よりも、したたかそうで・・・更に不安感をそそります・・。 2008/11/11 13:10

明るい朝の陽のなかで読まねば・・私が堪えられない・・と思い・・今まで開くのまちました・・。でも・・辛い・・ジニョン・・冷静になって考えればわかることなのに・・信じてなかったってことなの????? 2008/11/11 10:58
あきちん
フランクの苦しみや悲しみ、苛立ちが痛いほど伝わってきます。この暗闇から抜け出す為にジニョン、お願い。戻って。 2008/11/11 09:55
 
 

IMX