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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3851755/4695381
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passion
新作コーナー
No 17 HIT数 8842
日付 2008/11/15 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 16.君がいないと
本文


    

      

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 








 
結局その日ジニョンを見つけることさえできなかったフランクは
眠れないまま息苦しい夜を過ごした。
そしてなすすべもなかった彼は、翌朝ホテル従業員通用口の前で
彼女を待つという手段を取った。


出勤して来る従業員達がそこに馴染まない人物を横目に、
次から次へと通って行った。
しかしフランクにとって、彼女に逢えない辛さに比べれば
自分に向けられる冷たい視線など取るに足らないものだった。


そして一時間ほどしてやっと、彼の目の前にジニョンが現れた。
彼女はフランクを見つけると一瞬立ち止まり、一度引き返そうとしたが
意を決したように大きく深呼吸をすると、彼を睨み付けながら
再度入り口へと足を進めた。


フランクは彼女の進行方向を妨げるように立ちはだかった。


「どいてください」 ジニョンは彼の目を見なかった。

「どかない」 フランクは絶対に逃がすまいと彼女を見据えた。

「どいて!」 彼を見上げたジニョンの目は怒りに震えていた。

そしてジニョンはフランクの腕に乱暴に当たって前に突き進んだ。

 

「話を聞いてくれ・・ジニョン」 彼は彼女を追いかけ、その腕を掴んだ。

「離して!話すことなんか、何も無いわ」 彼女は彼の腕を振り払った。

「僕はある!」 それでも彼は諦めなかった。

「私は!無いの!」 ジニョンが本気で怒ると、それを修復するのが
容易でないことはフランクは十分知っていた。

まして、この10年間のふたりの間のひずみの深さを思えば、
何としても早い内に誤解を解かなければとフランクは思っていた。

「少しでいい・・話を・・」
「離して!」 しかし、ジニョンの怒りは彼を頑なに拒絶して、
ふたりはこぜりあった。

「聞け!ソ・ジニョン!」
気持ちが高ぶった彼は彼女の肩を掴み勢い良く振り向かせると
彼女をそのまま乱暴に壁に押し付けた。


「ここは関係者以外立ち入り禁止です、お客様」
そばで様子を伺っていた従業員が慌ててフランクを止めようとしたが
彼はあろうことかその従業員をドアの向こうに突き飛ばし、
防災用の扉の両側を閉め、挙句の果てにセンサーを引きちぎると
そのドアをロックしてしまった。


狭い空間に閉じ込められて、彼とふたりだけになってしまったジニョンは
驚愕の目を彼に向けた。
「なんてことを・・・」

ジニョンを見るフランクの目は常軌を逸していた。

「どうしてこんなことをするの?!」 ジニョンもまた怒りに震えていた。

「君が話を聞かないからだ!」

「そうさせたのはあなたでしょ!」

「確かに僕はホテルの引合いでここに来た
 しかし、その理由をどうして聞こうとしない!」
そう怒鳴りながらジニョンの肩を掴んだ。

「聞かなくてもわかってるわ!」
「わかってない!」 フランクの指が彼女の肩に更に食い込むと
ジニョンはその痛さに思わず顔をしかめた。

「あなた・・昔とちっとも変わってない!
 自分の思い通りにいかないと直ぐにそうやって癇癪を起こすのよ!
 そうやっていつも、自分の思い通りにしようと・・」

「ああ!そうだ!
 君が思い通りになってくれないと腹が立つ!
 君が僕のそばにいないと腹が立つ!
 君が!僕を・・・愛してくれないと・・
 ・・・腹が立つ・・君が・・君が・・・」

ドンヒョクの怒号が次第に消え入りそうに小さくなった時
彼の頭はジニョンの肩に落ちていた。
そして彼は彼女の肩の上で泣いていた。

「君がいないと・・・僕は駄目なんだ・・・
 君がいないと心が・・・簡単に壊れてしまう・・・
 お願いジニョン・・・僕だけを見ていて・・・
 僕の声だけを聞いて・・」

「・・・何を・・・言ってるの?
 何を言ってるの?あなたって・・・あなたって・・・
 どうしてそんなに勝手なの?
 勝手に消えて・・勝手に現れて・・
 どうしていつも・・・私の心を・・振り回すの・・・」

フランクは彼女の肩からゆっくりと顔を上げると、
彼女の目を切なげに見つめた。

「君だけでいいんだ・・・僕は・・・
 君だけがそばにいてくれたら・・・
 他には何もいらない」

「嘘言わないで」

「嘘じゃない」

「・・・・・」

「僕を愛してる?愛してるだろ?」

「もうお終いよ・・」

「愛してるだろ?」

「・・・・・」

潤んだ彼の目を無言で睨みつけながらジニョンはいつの間にか
溢れる涙に逆らうことができない自分を嘆いた。


フランクは彼女の頬を両手で包み込むとその目を見つめ・・・
自分の親指でその涙をそっと拭った。

「愛してる・・・ジニョン・・・」

まるで心を搾り出すように囁いた彼は、その心が誘導するままに
彼女に熱くくちづけた。

10年の年月を超えて、互いの変わらぬ愛を確認しあってから
まだほんの少しの時間しか経ってはいない

この唇を・・この吐息を・・もう忘れられない・・・
そう信じたはずだった

彼女は拭い去れない怒りの中に彼への思慕を忍ばせて・・・
静かに目を閉じ、彼のくちづけを悲しい涙で受け止めた。

 

ふたりの一部始終を、ガラスの向こうで従業員達は衝撃の眼差しで目撃していた。

壊れた鍵が保安課によって解除され、ジニョンはフランクの腕の中から
現実の世界へと引き戻された。

ジニョンはその時、彼の元を離れたくない想いに揺さぶられていた。
彼の余りに寂しそうな目に、このまま彼を抱きしめていたい衝動に駆られた。

でもそれは許されないことだと知っていた。

彼がホテルの敵とわかった以上、彼の元に残るわけにはいかなかった。

≪信じて・・・僕を信じて・・・≫ 何度も繰り返していた彼の声が
彼女の胸に響いていた。

≪信じたい・・・でも・・・でも何を・・・何を信じたらいいの?
 フランク・・・≫

その場に取り残されてしまったフランクは、項垂れ失意の底にいた。
自分のしたことの何もかもが、結果的に何の解決にも繋がらないことが
冷静さを取り戻すにつれ、歯がゆくて、情けなかった。

フランクはジニョンを追わずにいられない自分の心に鞭打つように、
バックヤードへと消え行く彼女の背中から目を逸らし、その場を立ち去った。

 

 

ジニョンとの関係を修復できないまま、フランクは複雑な思いを胸に
部屋に戻った。
ドアを開けると、部屋の中から男達の声が物々しく聞こえた。
中へ入ると、レオとホテルの従業員が口論しているところだった。


「何事だ」

「ボス!この男がホテルを出て行けと言うんだ
 それで勝手に荷物を片づけ始めて・・」

その男は副総支配人のオ・ヒョンマンだった。

「部屋を?」

「当然のことだ・・
 お前達はこのホテルを乗っ取る目的でここに来てるんだろ?
 そんな奴を泊めておく義理が何処にある」

「これはこれは・・・
 由緒あるホテルの従業員とは思えぬお言葉ですね」
フランクはヒョンマンの暴言に対して冷笑しながら更に言葉を繋げた。

「ところでそれは・・・ソウルホテルとしての考えですか?
 ハン・テジュン総支配人も同じお考えだと?」

「当たり前だ!いいから、さっさと出て行け!
 チェックアウトの必要は無い・・
 この場でKEYも渡してもらおう」 そう言いながら、ヒョンマンは
フランクの手に見えたカードKEYに手を掛けようとした。

その瞬間、フランクはヒョンマンの腕を後ろ手に捻った。

「私に触るな!」 
そしてそのまま、彼と一緒に来ていた男を睨んで言った。

「総支配人をここに呼べ」

「しかし・・」 男は震えながらヒョンマンに答えを求めるような目で訴えた。

しかし、フランクに力ずくで押さえられた彼の答えはなかった。

フランクは続けた。
「直ぐに来いと伝えろ・・そうしないとホテルを閉めることになる・・・
 シン・ドンヒョクがそう言っていると・・・」

フランクの睨んだ目に射られたように怯えたその男は部屋から
走って出て行った。

 

 


20分ほどしてテジュンが社長を伴ってサファイアの部屋に到着すると、
ヒョンマンは憤然と押し黙って椅子に座っていた。

「随分時間が掛かりましたね・・お待ちしておりました
 総支配人、ハン・テジュンssi・・社長もご一緒でしたか・・
 さあ、どうぞお掛け下さい」 フランクは丁寧に彼らを迎え入れた。

「お話は伺いました・・・従業員が大変ご無礼なことを・・・
 深くお詫び申し上げます」

社長がまずそう言ってフランクに頭を下げ、テジュンもそれに習った。

ここへ来る前にテジュンと社長は事の次第を聞いて、フランクに対し
ただ陳謝するしかないことを互いに確認し合っていた。

 

「詫びを入れて欲しくてお呼びたてしたのではありませんよ
 社長・・・そして、ハン総支配人・・・
 おふたりに少し伺いたいことがあるんです・・・
 今ここにいらっしゃる副総支配人と名乗る男が
 私の荷物に手を掛け、ホテルを出て行けと・・・
 そしてこのKEYを私から無理やり奪おうとしました。
 この人は、それはホテルの考えであるとおっしゃったのですが・・・」 

そう言って、フランクは持っていたカードKEYを二本の指に挟み翳した。

「いいえ・・ホテル側はそのようなことは考えておりません
 お客様にはどうぞそのままご宿泊いただきたいと・・」

「それは不可解ですね・・副総支配人・
 ハン総支配人はああおっしゃっていますが・・」

フランクは面白いがっているようにヒョンマンに言った。

 

すると透かさずヒョンマンはテジュンに向かって怒鳴った。
「出て行ってもらって何故悪い!こんな奴らに・・」

「だ・・そうです」
フランクはにやりと片方だけの口角を上げて、テジュンを見た。

「ヒョンマン・・いい加減にしないか・・
 君はいいから、今直ぐここを失礼しなさい」
テジュンはヒョンマンに対して激高を抑えながら言った。

ヒョンマンはそんなテジュンが不愉快でならなかった。

「お前にそんなことを言われる筋合いは・・」 
彼はテジュンに向かって拳を握っていた。

「いい加減になさい、副総支配人!
 とにかく、あなたはここを失礼なさい・・」
ヒョンマンの暴挙に呆れ果てていた社長が厳しくそう言い放つと
ヒョンマンは握った拳をそのままに、その部屋にいたすべての人間を
睨みつけ、渋々と部屋を出て行った。


「本当に申し訳ございませんでした
 何と申し上げてよろしいか、言葉もございません・・・」 

社長とテジュンは改めてドンヒョクに頭を下げた。

「謝って欲しくてここへお呼びしたのでは無いと
 申し上げたはずです」

「・・・・」「・・・・」

「たった今、現実にあの男は・・いいえ
 あなた方は・・私の権利をないがしろにしました
 そのことは・・・おわかりですか?」

「それは・・・従業員のミスは認めます。
 どうぞお許し下さい・・今後一切このようなことは・・」

「ああ・・おわかりではないようですね・・・
 なんなら私の弁護士から説明させましょうか?
 ご存知かと思いますが、私は既にこの部屋の宿泊料を
 三か月分先払いしています・・
 となると、ここは私の個人的な空間となるはず・・違いますか?」

「その通りです」

「その個人の空間である部屋を追い出そうと
 ホテルマンともあろう人間が勝手に個人の私物に手を掛けたこと・・
 ホテルマンにあるまじき暴言を吐いたこと・・・」

「それは・・・」

「黙ってお聞きなさい・・それだけではありません」
フランクは彼らを鋭く睨みつけた。

「・・・・」

「先程彼はこう言いました・・・
 私のことを、ホテルを乗っ取ろうとしている奴だと・・・
 あなたも昨日、似たようなことをおっしゃいましたね、総支配人・・・
 さて・・それは何処から得た情報ですか?」
フランクは静かにそう言って冷たく微笑んでみせた。

「・・・・」 

「実は・・・この部屋からひとつの書類が紛失しています
 その書類にどんなことが書かれていたのか・・・
 もちろん、我々しか知りません」

「何をおっしゃりたいのでしょう」

テジュンはすべてを正直に話すつもりなど無かった。
その代わりにフランクの目を見据えて、彼の真意を問うた。

 

フランクは一瞬、テジュンに対して言葉の語気とは裏腹の
友好的な笑顔を作ったように見えた
しかしその直後それは、背筋が凍るほどの冷たい眼差しに変わった。

「ハン・テジュン・・総支配人・・・

    私を・・・

       ・・・みくびるな・・・」・・・




















 



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hiro305
kurumiさん、凄い筆力です!ジニョンを求める苦しいまでの切望と、テジュンに向けた氷の刃。本編を数倍パワーアップさせたシーンの連続に感嘆です! 2011/12/11 23:48
フック
り死にそうです。 2008/11/19 23:11
フック
そしてそんなドンヒョクがテジュンに見せるもう一面の背筋が凍るほどの冷たさ。この対決の場面も迫力満点!!!正反対の姿がより鮮明に際立って、本編以上のドキドキです。結果が分かっていなかったら、苦しさのあま 2008/11/19 23:10
フック
ジニョンの肩の上で泣いているドンヒョクのこの慟哭の言葉に、胸が締め付けられます。本編では語りきれなかったドンヒョクの狂おしいほどのジニョンへの愛がここにあります。kurumiさん、凄いね!!!! 2008/11/19 23:04
フック
あの切ない監禁シーンの「僕だけを見て・・・・僕の声だけを聞いて・・・・・」のドンヒョクの想いが、本編以上に深く、強く胸に沁みます。「君がいないと僕は駄目なんだ!君がいないと、心が簡単に壊れてしまう!」 2008/11/19 22:57
toko7
彼の頭はジニョンの肩に落ちていた。そして彼は彼女の肩の上で泣いていた。。。10年間のフランクの思いが切なくて私も涙がこぼれました。このシーンが本編よりもっと切なくて、悲しくて、重みがあって・・・。 2008/11/17 20:09
4ジュナ
そして、オ・ヒョンマンの暴挙に怒りをあらわにするフランクの凄みにドキドキ(@_@;) そんなフランクに心を持っていかれたまま・・・フランクの怒りも切なさも、まさにツボです・・・(〃▽〃) 2008/11/17 10:47
4ジュナ
あの「監禁KISSシーン」がこんなにも切なく胸が痛くなるほどのものになるなんて、やっぱりkurumiワールドにどっぷりです・・・♥♥♥ 2008/11/17 10:42
Gelsthorpe
ます。毎回、次話が待ち遠しくてたまらなくなります^^; 2008/11/17 04:33
Gelsthorpe
kurumiさんの「ホテリアーAnother Story」いいですね~♪フランクの気持ちが切ない(; ;)「あなたなら彼を信じられるでしょう?ジニョン!お願い信じてあげて!」と思いつつ読ませてもらって 2008/11/17 04:32
akanenoai
こんばんは、ノランさん、ほんとドラマ化してほしいですね、本編もいいですが、こちらのほうが、よりドキドキ、ワクワクの世界ですね。 2008/11/16 20:58
eikoada
あの監禁kissシーンも・・・、10年分の思慕が織り込まれて、より切なさが深まって苦しいほどです・・。kurumiさんの筆の力にかかると、彼の苛立ちと、ジニョンの想いがこんなにはっきり感じらて・・・! 2008/11/16 08:57
ノラン
と、感心しながらkurumiワールドに浸っています☆これも新編ホテリアーとしてドラマ化して欲しい~~~mirageともどもBOFに売り込みたい☆ 2008/11/15 23:07
六角
フランク(ドンヒョク)の魅力です。 この回は 魅力炸裂です。 2008/11/15 23:05
ノラン
tomさんの背景を見ながら、本編のシーンのドンヒョクの声や動きを思い出しながら・・・ドキドキして読みました。kurumiさんの手にかかるとこんな風に描かれるんだ~☆ 2008/11/15 23:04
六角
ジニョンに対する わがままで、いつも不安気な子供の様な姿  クールで切れ者、自信に満ちたビジネスマンの姿 相反する姿こそ   2008/11/15 22:48
Lusieta
kurumiさんの手にかかると、あのシーンはこんなふうに違う命を宿すのですね。ジニョンに対してものすごく正直者になったフランクの哀願が切ないです。 2008/11/15 22:43
ayagiku
昨日からギャオで【ホテリアー】無料配信してます&またまた見てます。おやすみなさい♪ 2008/11/15 22:06
ayagiku
kurumiさん、UPが無いのでどうしたのかなぁと心配を・・・【監禁Kiss】シーンは何時でも素敵♪kurumiさんのは本編以上に切なくて。。。 2008/11/15 22:04
 
 

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